宇多丸とJQ Nulbarich『Be Alright feat. Mummy-D』を語る

宇多丸とJQ Nulbarich『Be Alright feat. Mummy-D』を語る アフター6ジャンクション

JQさんが2021年4月13日放送のTBSラジオ『アフター6ジャンクション』に電話出演。宇多丸さんとアルバム『NEW GRAVITY』収録曲、『Be Alright feat. Mummy-D』について話していました。

(宇多丸)ということで今夜、この時間を使いましてちょっとエクスクルーシブな音源。要するにこれ、宇宙初オンエアー的なレアな音源をかけるくだりをちょっと設けたいと思います。その曲というのは、皆さんご存知バンド、Nulbarich。この番組だと『キャロル&チューズデイ』の曲の中でもそんな話をしました。Nulbarichの新曲『Be Alright』という極なんですが、これがなんとfeat. Mummy-Dということで。

(宇垣美里)わあ!

(宇多丸)Dさん、今、ソイジョイのコマーシャルの池松壮亮さんのラップ。あれも誰が聞いてもMummy-Dだっていうラップ。あれも鳴り響いておりますが。

(宇多丸)Mummy-Dさんがフィーチャリングの『Be Alright』というNulbarichさんの新曲。こちらをかけたいと思います。ということで、今日はNulbarichのフロントマン、JQさんにこの曲についてうかがってから、曲をかけようと思います。JQさん、もしもし?

(JQ)もしもし、はじめまして。JQです。

(宇多丸)どうも。JQさん、よろしくお願いします。あの、軽くどこかで挨拶というのはあったけども、ちゃんとというのはね、改まってははじめてなので。一応はじめましてということで、よろしくお願いします。

(JQ)僕は一方的にウタさんは見に行っています。

(宇多丸)いやいや、もうお恥ずかしい限りで(笑)。恥ずかしいですよ。そんなね(笑)。というか、うちの相方、ありがとうございます。起用していただいて。

(JQ)こちらこそ、ありがとうございます。

(宇多丸)改めてなんですけども、Nulbarichさん、今度アルバム『NEW GRAVITY』というのが出るということで。4月21日リリース。この中で、そのアルバムのフィーチャリング曲がガッとまとまった……これは2枚組なのかな? で、AKLOとかいろんなこの番組とも縁あるメンツが参加している中でMummy-Dさんが参加した『Be Alright』という曲。改めてこれはどういう経緯でのフィーチャリングなんですか?

(JQ)やっぱり1個、「こんな世の中だから」っていうのもあるんですけど。ちょっとピースな曲を書きたいってのがあって。で、自分の中でパンチラインの主みたいな部分がやっぱりDさんあったので。もうずっとライブも見に行ってましたし。そういう方に僕の思いみたいなものを直接的なラップで表現していたいただけたらいいなと思ってお話をしたところ、なんとOKをいただいて。

(宇多丸)いや、そりゃあ受けますよ。Nulbarichから話が来たら。それは喜びいさんで受けますけど。ということは結構割と歌詞の中は、これから聞いていただきますけど。割と赤裸々なバック・イン・ザ・デイ物というか。若かりし日の鬱屈とか。そういう中身みたいなものもじゃあ、密にミーティングをして……みたいなことですか?

(JQ)そうですね。コンセプトのお話をさせていただいた時に、「もうDさんが思う、ラップ小僧とか、夢追い人の人たちに……僕もそうだったんですけど。そこにDさんの人生観を僕は聞きたい」って言って。「結構、等身大で書いてほしい」っていうのをお願いしたら、すごく素晴らしく、とてつもないリリックが出来上がってきたので。あとはもう僕は大船に乗った気分でサビを歌わせていただいたという感じです。

(宇多丸)なるほど。いや、そうなんですよね。剥き出し感っていうか。でも僕もやっぱり、相方ではありますけど。Dさんって、もちろんすごくテクニカルな人だから、どんなラップもできるんだけど。すごくスタイリッシュにメロディックに……要するに聞きづらは穏やかにというか。聞き心地良くまとめられるんだけど、同時にものすごい剥き出しのっていうか。結構私小説的表現もやっぱり得意とする人で。今回はその面がすごい、しかも今までで最大級だ思う。結構。

(JQ)おおーっ!

(宇多丸)それがゴリッと出ていて。あと、途中のしゃべりがあるじゃないですか。あれはJQさんが「こういうのをやってみてください」っていうのはあったんですか?

(JQ)最初は僕が歌ってるところにうっすらとDさんが語りを入れるっていう感じだったんですけど。「いや、これはもう逆にしよう!」ってなって。僕がもう後ろに引っ込んで、Dさんをメインにしたら、なんかすごく劇的になって。なんかちょっとミュージカル調というか、いいドラマ感が生まれて。僕も初めての発見だったので。なんかもう、行き当たりばったりではあったっすけど、かなり……かなり完成度の高い楽曲になったのかなって思います。

(宇多丸)Dさんもね、その役者の経験……舞台もやってるし、ドラマもやったりとか。もちろんそういう、だからひとつセリフ読みだけで世界を作るみたいなところの経験も積んでるからだと思うし。ああいう曲中のしゃべりって日本語でやって、バシッとちゃんと意味的にも音楽的もハメるのって難しいっていうのはJQさんも当然、わかった上でのあれだと思うけども。なかなかこれがまたね、Dさんがやるとね、様になるんだよね! これがさ。あのね、ちょっと笑ってみせたりするのとかね、ダメね。俺が笑っても「ウヒヒ……」とかなっちゃってダメなところがね。これ、やっぱりDさんは決まるんだわ!

(JQ)決まりましたね。

(宇多丸)うん。相方が横にいないから、もう褒め放題ですけども(笑)。でも、Dさんのなんていうか、いい引き出しを……すごくいい資質をさらに引き出してもらって高めてもらってというか。グループメンバーとしても嬉しい限りのフィーチャリングでした。これは。

(JQ)最高です。本当にありがとうございます。

(宇多丸)ということで、フルでぜひ皆さんにもお聞きいただきたいので。JQさんから曲紹介をお願いします。

(JQ)はい。宇宙一早く解禁ですね。Nulbarichの『Be Alright feat. Mummy-D』。

Nulbarich『Be Alright feat. Mummy-D』

(宇多丸)はい。ということでNulbarich『Be Alright feat. Mummy-D』。宇宙初オンエアーさせていただきました。よいしょー! JQさん、やったー! イエーイ!

(JQ)ヤバい!

(宇多丸)ヤバい!(笑)。自ら言うほどやはり……でも、やっぱりJQさん的にも達成感っていうか。やっぱりコラボならではの化学反応というところで。やっぱり手応え、すごくあったっていうことですかね。これね。

(JQ)リリックの作り方とか、もう何ですかね? 完璧すぎるというか。最初のバースの入りから最後の今に時系列が変わったところもそうですし。「次のバースで世界がひれ伏す」って言ったまま終わるとか。なんかもう……何て言うんですかね? もうただのラップじゃねえ感じがヤバえです(笑)。

(宇多丸)構成力。ねえ。構成力ですよね。

(JQ)構成力が半端じゃないですね。

(宇多丸)個人的はその「背中丸めてポケットに手を突っ込んで歩く」っていうこれ、だからたとえば僕らの曲だと『知らない女』の出だしとか。あとは割とRHYMESTERの曲の出だしの……でも、そのあの頃に書いてた曲の出だしにあった感じとか。そういう感じもするし。

(宇多丸)あとはまあ『前略』。やっぱりかつての自分に話しかけるという『前略』感であったりとか。

(宇多丸)そのさらにブラッシュアップバージョンっていう感じもあって。いや、もうそんな、引き出しちゃって!(笑)。

(宇垣美里)アハハハハハハハハッ!

(JQ)いや、結構それこそRHYMESTERの時のパンチラインとかがそのへんに散りばめられていて。

(宇多丸)マボロシも入ってるしね。「ジェラス」とかね。

(JQ)「約束の土地へ」とかもそうですし。すごい僕得な……(笑)。

(宇垣美里)僕得(笑)。

(宇多丸)独特かつ僕得な(笑)。ありがとうございます。ということで、改めてこの曲はその4月21日(水)にリリースされるニューアルバム『NEW GRAVITY』のフィーチャリングサイドというか。改めて、この『NEW GRAVITY』自体はどういう作品になっているんでしょうか?

(JQ)そうですね。やっぱり2020年に僕たちに直面した音楽の向き合い方みたいなものをシンプルに等身大に表すできたディスク1に対して、ディスク2のフィーチャリング部分に関しては、それでもやっぱり人と曲を作ったり、音楽に触れ合うこと。いかにそれが、どれだけ大事なことか。僕、そのフィーチャリングしてくれた方々に救われた1年だったので。やっぱり音楽で人と触れ合うっていいなって思える作品ができたかなって思っています。

(宇多丸)はい。この番組に出てもらったメンツで言うと、AKLOとか。あと、タイのPhum Viphuritさん。この番組でもライブをしてもらいましたけども。そのあたりとのコラボもあるので、ぜひ皆さんも聞いていただきたいと思います。ということでJQさん。この番組、ライブコーナーもあるので。またちょっと、そんなんでお願いできたら。

(JQ)ぜひ! あの、そっちに行きたいです!

(宇多丸)ああ、すごい(笑)。画面を指差してくれて(笑)。めちゃめちゃ圧がある(笑)。あのね、本当はこれ、第6スタジオ。ここに来てもらっていつもやってもらっているんですけども。ちょっとこの時期なので、割とリモートライブめにはなっているけど。いろんな形ありなんで。ちょっとぜひ、今後ともよろしくお願いします。

(JQ)行かせてください!

(宇多丸)ぜひでございます。というあたりで、本日は『Be Alright feat. Mummy-D』。初オンエアーしました。こちらを収録しましたNulbarichさんのニューアルバム『NEW GRAVITY』は来週、21日リリースです。ということで、これまでのゲストはバンド、NulbarichからJQさんでした。ありがとうございました!

Nulbarich『NEW GRAVITY』

(JQ)ありがとうございました!

(宇垣美里)ありがとうございました!

(宇多丸)はい。豪華なことでございます。ねえ。本人がいたらこういう褒め方はしませんからね。これは。

(宇垣美里)ああ、そうなんですか?

(宇多丸)はい。もうちょっと……「また歩いちゃった?」とか、そういう話をするかもしれませんけどね(笑)。

(宇垣美里)いないところでたくさん褒めて(笑)。

(宇多丸)さすがでございます。Mummy-Dさん。誇らしい気持ちです。

(宇垣美里)かっこよかった!

<書き起こしおわり>

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