町山智浩 アメリカでの有名人・セレブ目撃情報を語る

町山智浩 日本人が誤解しているアメリカ像を語る J-WAVE

町山智浩さんがJ-WAVE『Others』にゲスト出演。ふかわりょうさん、稲垣えみ子さんとアメリカでの有名人・セレブの目撃情報について話していました。

(ふかわりょう)グリーン・デイっていま、あれですか? かなり活発ですか?

(町山智浩)まあ、前よりはそうじゃないんですけども。グリーン・デイはね、うちの近所にあったギルマンっていうライブハウスから出てきたんですよ。うちのすっごい近所にあるんですよ。

(ふかわりょう)へー! ああ、そうですか。

(町山智浩)いまもまだ、ライブハウスやっていますけども。で、彼らはリーダーのジョー(ビリー・ジョー・アームストロング)のお母さんはうちの近所のカフェで働いていたりとか……(笑)。

(ふかわりょう)あの、『プラダを着た悪魔』ってあれは舞台、アメリカでしたっけ?

(町山智浩)あれはニューヨークですよね。

(ふかわりょう)ああいう世界って本当にあるんですか?

(町山智浩)まあ、あれはファッション誌のね。あれは実話ですよね。

(ふかわりょう)そうですよね。メリル・ストリープとか、どっかで目撃したりとかしないですか?(笑)。

(町山智浩)ああ、芸能人はロスアンゼルスに行くと、うどん屋にいたりしますよね。

(ふかわりょう)うどん屋? ああ、日本食がブーム……

芸能人はLAのうどん屋にいる

(町山智浩)僕ね、レイジ・アゲインスト・ザ・マシーンが一時解散した時があって、その時に解散したのをラジオで聞いていて。その後に入ったうどん屋に、ボーカルの人がいたんでびっくりしたことがありましたけど(笑)。三島っていううどん屋で(笑)。

(ふかわりょう)へー! テイラー・スウィフトとか、そういうのにも遭遇する……

(町山智浩)テイラー・スウィフトはうどん屋には行かねえんじゃねえかと思うんですけども(笑)。キアヌ・リーブスをラーメン屋で見たりとかね、そういうことはありますね。ニコラス・ケイジが韓国焼肉屋に行って、そこで働いていた姉ちゃんと結婚したりとかね。いろんなことがありますけども(笑)。

(ふかわりょう)あのー、映画越しのアメリカって本当に美しくて。それこそ空だったり、人々が住んでいるところも建物からポストまですごい距離があって。で、側道に大きな車がいっぱい停まって、みたいな。あれは、アメリカの一部分を描いたものですか?

(町山智浩)あれはカンザスとか、そういう田舎の方ですけど。うちの近所は日本よりもはるかに家賃が高いんで、そんなのはないですけど。はい。

(ふかわりょう)ああ、そうですか。あと、ビルの後ろ側に鉄の階段があって。で、道路の脇から煙がモクモクと出ていて……

(町山智浩)ああー、セントラルヒーティングの湯気が出ていて。あれはニューヨークですね。

(ふかわりょう)あれはニューヨーク? ああ、脳内ニューヨークっていうのがあったなー。

(町山智浩)ありましたね(笑)。いまは全然変わっちゃってますよ。

(ふかわりょう)えっ? そうなんですか?

(町山智浩)ものすごい高級化が進んで。もうマンハッタンの中には中産階級の人は住めなくなっちゃって。上流階級しか住めなくなっちゃったんですよ。マンハッタン島は。だから、中で掃除をしたり、普通に働いている人……地下鉄とかバスの運転手の人とかはマンハッタンの外に住むしかなくなっちゃって。だから、夜になるともう本当にそういう人たちがいないんで。すごいことになってますね。上流階級の人だけの街です。爆破してやろうかと思いますけどね(笑)。

(ふかわりょう)(笑)。(メールを読む)「来月の4月から海外にお勉強に行こうと思っています。帰りたくなったり、壁にぶち当たったら自分は大丈夫なのか? とすこし不安に思うことがあります。町山さん、そんなことはありましたか? そうなった時、どう乗り越えましたか?」。

(町山智浩)ああー、僕はアメリカに行ってしばらく、会社を辞めて行ったんで、仕事もなくて金もなくて。結構どん底でしたよ。

(ふかわりょう)ええー……

(町山智浩)何年かは。子供もいたし。

(ふかわりょう)どうやって上っていったんですか?

(町山智浩)いや、いろいろ……アメリカの会社にも一時的に入って、上手く行かなかったりして。で、まあ……カミさんはちゃんとすごく、シリコンバレーで働いてたんで。金は困らなかったですけど。

(ふかわりょう)「カミさん、シリコンバレーで働いている」って……すごい表現ですけど。「Take it easy」みたいなことって日常で言うんですか?

(町山智浩)あ、「Take it easy」は言いますよ。「Take it easy」っていうのは……

(ふかわりょう)「ティ、ティキリージー」?

(町山智浩)(笑)

(ふかわりょう)「手切れ金」みたいな(笑)。

(町山智浩)「Take it easy」って、「そんなに真剣になるなよ」みたいな話なんですけど。「Take it easy」って「気楽に行こうよ」っていう意味じゃあないんですよ。

(ふかわ・稲垣)えっ?

(町山智浩)あの歌は全然違うんですよ。ナンパした時に、彼女がちょっと身構えた時に、「まあ、そんなに身構えるなよ。まあ、いいじゃないか、セックスぐらい」っていう歌ですよ。あの歌は。

Eagles『Take It Easy』

(ふかわりょう)本当ですか?

(町山智浩)『Take It Easy』っていうイーグルスのあの歌は、あれはナンパした女の子に「そんなに緊張するなよ。やるだけだから!」みたいな歌詞ですよ。

(ふかわりょう)そっちなんですか?

(町山智浩)あれはそういう歌詞です。

(稲垣えみ子)へー!

(ふかわりょう)やっぱり日本人はそういうところを、曖昧にしたまま……

(町山智浩)イーグルスはそういう人たちだったんです。

(ふかわりょう)へー! 「気楽に行こう」っていう……だって、よく番組のオープニングテーマとか、旅番組で。『田舎に泊まろう』とかね(笑)。

(町山智浩)そう(笑)。あれはいきなり道端で通りすがりの女の子をナンパするっていう歌詞なんですよ。で、「緊張すんなよ。たかがセックスだろ?」っつってんですよ。イーグルス。

(ふかわりょう)『SEX AND THE CITY』ってアメリカでもヒットしたんですか?

(町山智浩)大ヒットしましたね。

(ふかわりょう)ああー、やっぱりそうなんですか。ああいうのは本当にアメリカの、なんか憧れの色彩と言いますか……

(町山智浩)あれはだって、女の人たちが彼氏のチンコの大きさを自慢し合うっていう内容で大ヒットしたんですよ。そういう会話が。

(ふかわりょう)そうなんですか。(ビート)たけしさんはでも、欧米でも結構有名なんですよね?

(町山智浩)たけしさんって、ビートたけしさん? ビートたけしさんは、もう知らない人はいないですけど。それはたけしさん自身が世界中どこに行ってもみんなたけしさんのことを知っているから、「俺は北野武監督として有名だな!」って言っているけど、全然違いますからね。

(ふかわりょう)あ、そうなんですか?

(町山智浩)『風雲!たけし城』が全世界で大ヒットしてるからです。

(稲垣えみ子)ええーっ!?

(ふかわりょう)(笑)。まあ、そういう側面もあるという?

(町山智浩)『風雲!たけし城』は日本のコンテンツで最もヒットしたものです。

世界で最もヒットした日本のコンテンツ『風雲!たけし城』

(ふかわりょう)ピカチュウよりも?

(町山智浩)ピカチュウ……まあ、いまはすごいですけどね。だから、それこそ人種を超えて、アラブだろうとなんだろうと、どこでも『風雲!たけし城』はやっていたので。だからたけしさんはどこに行っても「お前、知ってるよ!」ってタクシーの運転手とかに言われているんですけど、それは監督北野武を知っているわけじゃないですから。『風雲!たけし城』の殿として知っているわけですからね。

(稲垣えみ子)へー!

(ふかわりょう)(メールを読む)「先ほどの町山さんのハリウッド映画の話を聞いて、『ゼロ・グラビティ』の中で救世主役の宇宙船がなぜ中国のものだったのか、いま腑に落ちました」。これは、こういうことですか?

(町山智浩)はい。そうなんですよ。あれは人工衛星をミサイルで破壊するっていうシーンがあるんですけど。で、その破片が飛び散るっていう話なんですけど。あれ、実際にやったのは中国なんですよ。それをロシアがやったことにして、それで中国のおかげで助かる話にして。全然逆にしてますね。

(ふかわりょう)はー! (メールを読む)「9.11の頃にアメリカを旅していました。北米を一周したのですが、ほとんど田舎で気軽に話しかけてくるフレンドリーな人柄でした。ニューヨークだけは大手ハンバーガーショップで買うにしろ、英語が通じないと『はあ?』と強い態度で、都会なんだなと思いました」。

(町山智浩)まあ、そうですね。

(ふかわりょう)お店の人とお客さんの関係って日本と全然違いますよね。

(町山智浩)全然違います。レジでも本当に話しかけてくるんですよ。田舎の人は。で、みんなニコニコしていて、道を歩くと、すれ違った人全員が挨拶してきますね。田舎は。でも、都会はみんなむっつりしていて。レジの人も暗い顔でレジを打ってね。まあ、そういうもんかと。

(ふかわりょう)(笑)。あの、縦の国道、なんでしたっけ? 66でしたっけ?

(町山智浩)あ、ルート66は逆で、横です。大陸横断です。

(ふかわりょう)ああ、横ですか。まあ、縦にしろ横にしろ、ただ道しかなくて。遠くの方でトラックのライトだけがピカーンと光るみたいな。ああいう世界はいまもあるんですか?

(町山智浩)いまもあります。カンザスのあたりだと、日本よりも面積が大きいんですけども。道路は真っ直ぐな道路が東西南北に走っているだけなんで、クラクラしてきますよ。カーブが一切ないんで。地平線の彼方まで。

(ふかわりょう)行ってみたいなー。人生観が変わるみたいなことを聞きますけども。

(町山智浩)クラクラしますね。ただ、まあネバダとかすごいですよ。道路に標識があって。「ここでガソリンと水を補給せよ」って書いてあるんです。「しないと、死ぬ」って書いてあるんです。

(ふかわりょう)(笑)

(町山智浩)要するに、そっから先に行っちゃうともう誰も住んでいない完全な無人地帯に入るんで。

(ふかわりょう)ああー、行ってみたいなー!

(稲垣えみ子)えっ、じゃあそれを見逃したら、本当に死んじゃうじゃないですか。

(町山智浩)見逃したら大変な事態になるんですけど。まあ、電話があるんですけどね。大変なことになったら、そこで電話で呼ぶんですけど。まあ、そんなバカはいないですけど。すごいですよ。

(ふかわりょう)『バグダッド・カフェ』の映画のあの世界。バグダッド・カフェって実際にあるんですよね? その、地名としても。あそこ、行ってみたいなと思います。

(町山智浩)すごいですよ。ああいうところに行くと、ラジオが一切入らなくなるんですよ。どっからも遠くて。で、カーラジオってサーチにしておくとグルグルグルッて回って、ラジオステーションが1個もキャッチできないっていう状態がずーっと続くんですよ。で、5時間とか6時間走っていると、急にパシッとラジオをキャッチするんですよ。街が近づいたってわかるんですよ。あれは面白いですよ。

(ふかわりょう)はー! いいなー! 味わってみたいなー!

(町山智浩)で、そういうところでちょっと横に行って拳銃をバンバン撃っても、誰も何も言わないですからね。

(ふかわりょう)いやいやいや……(笑)。まあ、そういう問題じゃないですけど(笑)。

(町山智浩)やっぱり銃が撃ちたいんだったら、アメリカに行くのがやっぱりいいですよ。だって、50口径対物ライフル撃てるんですよ?

(ふかわりょう)いやいや、全然僕、その話乗らないですから。

(町山智浩)えっ、本当に? 50口径対物ライフルって、1キロ先の自動車のエンジンをブチ抜けるんですよ?

50口径対物ライフル

(ふかわりょう)「ええーっ! 行ってみたいです!」っていうタイプじゃないんで(笑)。

(町山智浩)えっ、そうじゃないんですか? もう最高に面白かったですけどね!

(ふかわりょう)いや、もう今日、本当に町山さん越しのアメリカがすごく楽しかったです。またぜひ、お話を聞かせてください。

(町山智浩)すいません、はい(笑)。

(ふかわりょう)ということで、映画評論家の町山智浩さんでした。ありがとうございました。

(町山智浩)どうもでした。

<書き起こしおわり>

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