ZEEBRAとDJ YANATAKE オオスミタケシ(Big-O)を追悼する

ZEEBRAとDJ YANATAKE オオスミタケシ(Big-O)を追悼する WREP

(ZEEBRA)まずね、やっぱり俺の武道館公演っていうのはいろんなラッパーに出てもらいたいっていう。俺が今までコラボしてきたやつら。ほら、武道館ってなかなか上がれるステージじゃないじゃない? 最近はね、おかげさまでね、BAD HOPだったりZORNだったり、もちろん般若もそうだけど。武道館をやっていけるやつが増えてきたっていうのはあるとは思うんですけれども。

当時はもう、RHYMESTERが唯一やって。で、なかなか本当にあのステージに上がるって……やっぱりほら、上から国旗もぶら下がってるしさ。本当に「日本を背負う」みたいな気にさせられるから。「これはちょっとみんなに味わってもらいたい」ってマジで俺、思ってたのね。

なので、「できるだけ多くコラボアーティストをステージに上げたいな」と思ってたんですけども。俺の3枚目のアルバム『TOKYO’S FINEST』のタイトルトラック。昨日もかけましたけども。『東京’s Finest feat.BIG-O』っていうことで。あの曲もやりたいなって。せっかく「東京」だしさ。

(DJ YANATAKE)はい。

(ZEEBRA)そう思って連絡をしたところ、その当時ね、ちょっとオオスミがラップから離れてたんだよね。

(DJ YANATAKE)ああ、まあちょっとそういう時期はあったかもしれないですね。

(ZEEBRA)で、「ジブさん、本当にごめん。俺ね、ちょっと今ね、ステージとかでラップする感じじゃないんだよね」って言われて。「ああ、そっか。それは残念」って言ったら「でも、もしあれだったら、衣装を作らせてよ」って言われて。「えっ、マジで?」ってなったっていう流れが……スワッガーでね、全身準備してくれて。なんか俺、覚えてるよ。だから、それこそあそこの会社というか、ショールームというか。

(DJ YANATAKE)恵比寿のね。

(ZEEBRA)そうそう。恵比寿まで行って。それでいろいろ、「こういう生地でこういうの、どうかな?」とか。いろんな相談もされて。結局、最終的にシルバー・玉虫色みたいな感じのすごいテッカテカのやつを……(笑)。

(DJ YANATAKE)ああ、はいはい。すごい鮮明に記憶にありますね。

(ZEEBRA)それのライダースベストみたいなやつ。その中に緑のシマウマ柄のパーカー。そして緑のシマウマ柄のストール。あとは……。

(DJ YANATAKE)覚えてるな。完全に覚えてるな、それ!(笑)。

(ZEEBRA)あと、手袋もシルバー玉虫色の手袋して。白いパンツはなんか、たしかスタッツかなんかがいろいろと入っていて、みたいな感じでね。

ZEEBRA・武道館公演の衣装を提供

(ZEEBRA)それで俺、ちょうどこの前、引っ越しでいろいろとやっていた時に武道館の当時の衣装が全部出てきて。見たらグリーンのストールはなんともう1個、使ってないやつが。ビニールに入っているやつを発見しちゃって。「これは使うべ!」っていう風にちょうど思っていたところなんですけども。なんていうか……俺、だからコレクション。今度ある、お別れ会。

(DJ YANATAKE)そうですね。3月にあるみたいですね。

(ZEEBRA)俺、ちょっと恥ずかしいですけども。あの格好で行こうかなっていう風に思って。

(DJ YANATAKE)そういうの、いいですね。

(ZEEBRA)なんかだって、喪に服して黒い格好をしていくのも違うでしょう? オオスミのお別れ会にね。そう思ったのでちょっと、あれを引っ張り出して着ていこうかなと思いますけども。まあ、パンツがだいぶタイトだったので、入るかどうかちょっと心配でございますが。そんな感じでね(笑)。

(DJ YANATAKE)あと、僕はDJ DIRTYKRATESとして使われているアー写。あのパーカーもスワッガーのやつかな?

(ZEEBRA)そうですね。そうなんですよ。俺ね、とにかくスワッガー、フェノメノンはね、もうすごいかっこいいなと思って。俺、それこそぶっちゃけあんまり展示会とか行かないんですよ。ほとんど行かない。

(DJ YANATAKE)ああ、そうかも見かけたことないかも。

(ZEEBRA)ほとんど行かない。お仕事をさせてもらっていたXLARGEとかぐらいで。それ以外で興味を持って行くところなんて本当にあれだけだった。だから、もう、なんだろうな? いろんな意味でぶっ飛んでいるじゃない? だけど、ヒップホップだし。たとえばそのさっきも言ったMCMのコラボとか。あれなんか俺もね、だって80年代後半にMCMの偽物キャップとか普通にかぶっていたし。

(DJ YANATAKE)まあね。エリックB&ラキムとかに憧れてっていうことだと思いますけども。

(ZEEBRA)そうそう。だからそれをリバイバルさせて。俺、なんかあのブルーのアタッシュケース、超ほしかったもん! あれ、超かっこよかったよ!

(DJ YANATAKE)そうですよね。

(ZEEBRA)だからそういうのを全部ひっくるめて、なんかもうセンスの塊。そう思わされたなって気がしますね。なんか曲を1曲、かけておきますか。

(DJ YANATAKE)せっかくなんでZEEBRAくんが好きなSHAKKAZOMBIEかオオスミの曲をかけてみたいと思うんですけども。

(ZEEBRA)初めの頃の曲、やっぱりもうみんなの曲をすごい聞きまくってたんであれだったんですけど。途中で俺、結構好きだったのがこれは2002年発売かな? アルバムは『THE GOODFELLAZ』から。『SO TIGHT, SO DEEP』。

SHAKKAZOMBIE『SO TIGHT, SO DEEP』

(ZEEBRA)こちら、SHAKKAZOMBIEで『SO TIGHT, SO DEEP』ということで。

(DJ YANATAKE)これ、ギターを弾いているのがSaigenjiさんっていう方で。MUROくんの『El Carnaval』とか。あの頃、結構ああいうラテンっぽい曲でギターをやられていた方が弾いていたのと。あと、これMICHICOさんはソロでも出されてますけど。安室ちゃんのプロデュースとかずっとやられてた方で。あとはGIANT SWINGか。T.KURAさんの奥様でいらっしゃるということで。

(ZEEBRA)当時、だからそういう方々の仮歌とか、もうMICHICOさんが歌いまくってたっていう。

(DJ YANATAKE)もう鬼のMICHICOさんですね。みんな泣かされてたんですけども。でも、その分いい作品ができるという。僕、でもあれですね。オオスミとZEEBRAくんのAXの公演の時に一緒に行って。楽屋に一緒にいたら安室ちゃんがちょうど客演で通りかかって。オオスミが「あっ、安室ちゃんだ! かわいい!」とか言っていて(笑)。

(ZEEBRA)ああ、言ってたかもしれない! それ、言ってたかもしれない(笑)。

(DJ YANATAKE)そうそう。僕が安室奈美を生で見た瞬間ということで、覚えています(笑)。

(ZEEBRA)それ、目の前で言ってたよね。たぶんね(笑)。ああ、懐かしい! ヤバい! なんか、だからオオスミってそういう本当に純粋というかさ。本当にピュアなんだよな。なんかこれ、Twitterの方で「aNYtime」さんが書かれていたんだけども。「昔の『オーリー』にオオスミさんの記事がありましたので載せさせていただきます」っていうのがありまして。なんか知らないけど、俺とHASEBEとオオスミとスリーショットの写真が載っていて。ああ、なんかちょっと嬉しいな。こんなのもあったんだな、なんて思いますけれどもね。

(ZEEBRA)まあ、とにかくオオスミはいろんなところにいたよね。パーティーにもね。

(DJ YANATAKE)だから初期の話をすると、さんぴんCAMPに出てるんだけど、LBの人たちともすごい仲良かったし。もちろんその後、さっきも言ったけども本当に幅広く音楽が好きだったので。もうバンドの人たちからテクノの人たちから……もうどこででも仲良くできていた人なんで。すごいですよね。

(ZEEBRA)で、そんな中でですね、どこにでもいた。特によくハーレムで会ったような気もしますが。みんなが待っている、ハーレムでのDEV LARGEとのライブ。

(DJ YANATAKE)これ、某ラジオ局のイベントが……クリスマスイベントなのかな? だから「メリークリスマス」とかたぶん言ってるんですけど。その時の……もう23年前とかなんで。まあいいかと思ってちょっとかけますね。昨日、カセットテープから起こしてきて。長いし、かけるの最初で最後だと思うんで。心して。

(ZEEBRA)心して聞いてください。

(DJ YANATAKE)1997年12月23日『Live at Harlem』ということで。DEV LARGE、Big-O、DJ YANATAKE。

(『Live at Harlem』音源が流れる)

(DJ YANATAKE)はい。お送りしているのが97年のライブです。これ、やる前に僕、ハーレムの裏に住んでいたんで。直前に家にDEV LARGEとオオスミが来て。ギリギリで練習をしたっていう記憶が(笑)。

(ZEEBRA)DJ、やる予定じゃなかったの?

(DJ YANATAKE)覚えてないけど……。

(ZEEBRA)そういうレベル?

(DJ YANATAKE)そう。たぶん7畳ぐらいの部屋で3人で練習してから……あ、続きを聞きましょう。

(ZEEBRA)はい。

(『Live at Harlem』音源が流れる)

(DJ YANATAKE)もう思いっきり番組名を言っていますけども(笑)。

(ZEEBRA)こちらはWREP『Zeebra’s LUNCHTIME BREAKS』でございます(笑)。

(DJ YANATAKE)こんな感じですかね。

(ZEEBRA)これ、すごいな。でもね、Twitterの方もみんな大喜びでございますよ。

(DJ YANATAKE)よかったです。「よかった」っていうか、本人らには怒られそうですけどね(笑)。

(ZEEBRA)まあ、そうですね。許してください(笑)。たとえば……「今日の番組、どっかにアーカイブ、残せないんですか?」。絶対無理です(笑)。「彼らが残したヒップホップがずっとずっと続けていってほしいと思いますね。これからも聞き続けるぞ」とか。「ヤバいとしか言えない。全部刺さる!」「むちゃタイトなショウケース、最高です」「涙が止まらないです」とか。

「リアルだ、間違いなくリアルだろ!」「毛穴という毛穴が……」「泣いています」「かっこよ!」「かっこいい!」とか。みんな、喜んでますね。「この現場は間違いなくEL DORADO」「ショック! 貴重な音源ありがとうございます。る安らかに」とか。本当に皆さん、喜んでくれていてよかったですけれども。タケシもよくこの音源、あったのを見つけたね。

(DJ YANATAKE)でも、実は僕、YouTubeとかにアップしないようなものをいっぱい持っているんです(笑)。秘密のものを僕、まだいっぱい持っています。だってあれも……。

(ZEEBRA)ああ、あれね! ライブね。あれもね……。

(DJ YANATAKE)まあ、いいんですけども。まだまだちょっとね。

(ZEEBRA)あの時もシャカ、一緒だったっけ?

(DJ YANATAKE)そうですよ。

(ZEEBRA)ですよね。そうか。

(DJ YANATAKE)まあ、その話はまた。映像も含め、僕はまだまだ秘蔵コレクションがいっぱいあるんで。あれですけども。これは本当にね、WREPを聞いてくださっている皆さんと共有したいなと思って。

(ZEEBRA)今日はでも、本当に見たことないアカウントの方もつぶいてくれてたりして。すごい良かったなと思いますけれども。最後にもう1曲だけかけて終わらせたいなと思うんですけれども。やっぱりなんあか俺はね、「同期だな」っていうのをすごい感じる。

(DJ YANATAKE)「同期」……でも、そうなのか。そうなるのかな?

「同期だなと感じる」ZEEBRA

(ZEEBRA)そうじゃない? 歳は俺のが2個、上なんだけど。だってHIDE BOWIEはタメだからさ。

(DJ YANATAKE)『空からの力』と『SHAKKATTACK』がひょっとしたら同じ年かも。

(ZEEBRA)『空からの力』は95年だから。そうそう。だからもうほとんど同期というか、そういう感じで。だからいろんな現場も一緒だったし。それでやっぱり、俺としてはその次のフェイズに移る時のタイミング。まさにFuture Shockというレーベルが出来上がった時なんですけれども。あれはもともとSTREET FLAVAっていうね、Future Shock代表もやっていたBlooklyn Yasが始めたレーベルみたいなところで。

そことUBGが一緒になってFuture Shockになったっていう感じなんですけども。それの一番最初の『DOUBLE IMPACT E.P.』っていう、STREET FLAVA側の企画の曲とUBGレコード側の企画の曲を1枚のにまとめてリリースというのがありまして。我々は当時UBGのTOP RankazというUBGの中でのお兄ちゃんたち3人。俺とT.A.K THE RHYMEHEAD、UZI。その3人でやってた曲。そしてもちろんDJ KEN-BOさんがビートを作ってね、一番初め、スクラッチから始まるっていうそんな感じの曲なんですけれども。

DJ KENSEIくんがビートでオオスミとDEJJAがやるっていう、そんな感じが曲。あれはまたなんか、日本のヒップホップの曲の中でもちょっと変わった文脈というか、曲じゃない? なんかすごくアブストラクトだし。当時のあの時代の中のど真ん中にあんなアブストラクトな曲をぶち込んだってのもすごい意味があったんじゃないかなという気がしますけど。結構しっとりした曲なので、最後はそれをかけてお別れしたいと思います。では、行ってみましょう。『100万光年のやさしさが注がれる限り』。

INDOPEPSYCHICS(DJ KENSEI, OSUMI, DEJJA)『100万光年のやさしさが注がれる限り』

<書き起こしおわり>

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