安住紳一郎 香川照之から聞いたトンボとりの極意を語る

安住紳一郎 香川照之から聞いたトンボとりの極意を語る 安住紳一郎の日曜天国

安住紳一郎さんが2020年12月20日放送のTBSラジオ『日曜天国』の中で香川照之さんから教わったトンボとりの極意について話していました。

(安住紳一郎)2020年、私のニュース。八王子市の40歳女性の方。ありがとうございます。「今年を振り返って一番私の中で大きいニュースはアゲハチョウの幼虫を育て、羽化させたことです。夏に畑をやっている母からパセリをもらいました。そこに黒い小さいいも虫が付いていました。調べるとキアゲハの幼虫でした。その頃はコロナのこともあり、どこにも行けず、息子たちと家の周りの虫を眺めて過ごしていました。

ですのでその珍客に息子たちは大喜び。早速育てることにしました。日当たりのいいキッチンのカウンターにパセリを入れたカップを置き、いも虫を乗せました。もりもり食べ、脱皮して緑と黒の縞模様の姿になります。今までは苦手だった虫なのに、いとおしくてたまらなくなりました。サナギになり2週間ほどたった頃、サナギがもぞもぞ動き始めました。『頑張れ、頑張れ』と励ましているとついに羽化。

涙が出ました。息子たちを差し置いて私が号泣でした。自然の中ではアゲハチョウなどのメスは生涯で100個ほどの卵を産むそうですが、その中で成虫になれるのは1匹程度だそうです。その瞬間に立ち会えることのありがたさに涙が止まりませんでした。『キアゲハのいもいもいもちゃん』と呼んでいますが、いもいもいもちゃんに会えて素晴らしい経験でした。私のニュースでした」という。40歳の方。息子さんと一緒に蝶の羽化を……ねえ。

(中澤有美子)へー!

(安住紳一郎)たしかにあのね、サナギから。羽をたたんでね。

(中澤有美子)ねえ。ドラマチックですよね。

(安住紳一郎)出てくるんですよね。しかも枝に1本繋がった状態でね。もうアクロバティック、並々ならぬっていう感じですもんね。本当に小さい時はね、昆虫のことはただの自分よりも小さい生き物という風にしか見てませんでしたけども。大人になるともうそのね、一挙手一投足。性質やら一生の終え方とかを見るとなんか「ふむむむむ!」って思うことが多々ですよね。

(中澤有美子)本当に。号泣されるお気持ちも……。

(安住紳一郎)わかりますよね。「はあ!」って思うもんね。私、トンボの習性を香川照之さんという俳優の昆虫に詳しい方に30分ぐらいご説明してもらった時に……もう私なんかトンボのことなんかただ、蝶と一緒に飛んでる昆虫としか思ってなかったから。うん。と、思ったもんね。「はー!」って思いましたよ。

(中澤有美子)そうでしたか。へー!

ギンヤンマ・オニヤンマの飛び方

(安住紳一郎)特にね、ギンヤンマとかオニヤンマみたいな立派なトンボはもう飛ぶコースが決まってるっていうんですよ。知ってました? 知らないですよね。飛ぶコースが決まっているんですよ。パトロールをしているんですよね。普通に自由時代に好き勝手にブンブンブンブン飛んでいるのかな?って思ったら違って。もうほぼほぼ決められたコースをグーッと、いわゆるその定期航路みたいのを持ってパトロールしてるんですよね。で、自分の縄張りを犯してないかっていうのを見てるわけですよ。

なので、そのトンボに狙いを定めたら、そのトンボの尻尾を追ってあちこちあちこち網を振り回してるんじゃなくて、もうそのコースで待ち伏せするんですって。で、待ち伏せするとかならず戻ってくるから。だから要するにその彼のコースをきちんと見極めて、そのコースに……それでトンボって目がものすごいいいですから。

相手が何をしてるかっていうのは瞬間的に分かるから、網を背中ごしに隠しておくんですよね。網なんか持ってるともう警戒するから。そして、しゃがんで。網を隠して。そしてその飛んでくるコースのところに、トンボを狙うじゃなくて、その自分の捕虫網をそのコースのところにシャッと……同じ反復で上手に。ゴルフのスイングと一緒ですよね。同じ条件で上げ下げ、同じスピードでできるかっていうのを何回も練習しておいて。

そして来たタイミングでそこにフッと上げると、パサッと入るから。だから、トンボを取るんじゃなくて、そこのコースのところに上手に捕虫網を上げる練習を何回も反復して練習する。こうやって。そういうことだもんね。

(中澤有美子)そうですね(笑)。

(安住紳一郎)だから、来た瞬間にスッと入るようにっていうことで。それでやったんですよね。そしたら私なんか結構真に受ける方だから。ものすごくそれを練習したの。そしたら本当に……香川さんも取ったことのないっていう珍しい種類のトンボを私、なんと捕虫網に入れることができちゃって。もう本当に興奮したっていうかね。やっぱりちゃんと狙いどおり取るとものすごい興奮をするんだなって。

(中澤有美子)へー!

(安住紳一郎)で、その羽を持った時にものすごい生命の躍動感……ブルブルブルブルブルブルッていう感じはね、なんかもう自分が武士になったような気持ちになっちゃってね。うん。なんかこう、武士と武士の命のやりとりみたいな感じで。「もう参りましたでございまする」みたいな。「さらば、我が城に降るか?」みたいな、そういう感じで。

(中澤有美子)「敵もよくやった」と。

武士と武士の命のやりとりみたいな感じ

(安住紳一郎)「敵もさるもの」って。で、逃した時とかにブォン、ブォン! シューッ!って行った瞬間に「さらばじゃ! またお互い、生きていたら会おう!」みたいなね。……長くなっちゃったね。すいません。

<書き起こしおわり>

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