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町山智浩『パーム・スプリングス』を語る

町山智浩『パーム・スプリングス』を語る たまむすび
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町山智浩さんが2020年8月4日放送のTBSラジオ『たまむすび』の中でHuluで配信予定の『パーム・スプリングス』について話していました。

(町山智浩)それで今日はですね、もうしょうがないから笑って忘れようってことで、お笑い映画を紹介します。Huluっていう配信サービスでアメリカでは配信が始まったんですけど。日本ではまだなんですね。Huluはあるんですけど、たぶん今、日本語バージョンを作ってるんですよ。ネットフリックスは同時に作っているんですけどね、Huluはちょっと遅れてるみたいですけど。たぶんもうすぐできて、日本でも配信されますので。そのHuluのオリジナル作品の『パーム・スプリングス』というコメディーを紹介します。

で、これは『サタデー・ナイト・ライブ』ってアメリカ最大のお笑い番組があるんですが、そこのキャストが作った映画なんですけど。パーム・スプリングスっていうのはねロサンゼルスのちょっとね東の方に入った砂漠にある温泉が出るところなんですよ。で、結構リゾート地で金持ちが行ったり。あと老人ホームがいっぱいあるところなんですけど。そこが舞台で。そこで結婚式があって、そこに出席した人たちの話なんですね。

(赤江珠緒)はい。

(町山智浩)で、そこにサラっていう女性……ヒロインがいまして。自分の妹の結婚式なんですよ。でもね、そのサラダはこの映画に出てくる時、すごい憂鬱そうな顔をしてるんですよ。もう、妹の結婚式なのに。で、そこにですね、もう1人、ナイルズという男が来まして。それで2人とも30過ぎぐらいなんですけど。

で、そのサラとナイルズの2人が意気投合して。それで砂漠で結婚式を抜け出してエッチしようとするんですけど……そこになぜかですね、「JK」がやってくるんですよ。まあ、J・K・シモンズっていう俳優さんがやってくるんですよ。この人、『セッション』っていう映画でものすごい鬼教師を演じてたあのハゲ親父ですけど。

(山里亮太)ああ、あの怖い人だ!

(町山智浩)あのめちゃくちゃ」怖い人です。名前は女子高生なんですけど、あのハゲ親父なんですね。それがなぜか襲ってきて、このナイルスを殺そうとするんですよ。で、「ワーッ!」って。そこでエッチをしようとしていた彼女のサラと2人で逃げてる間に、ある洞窟のところで大変な光がブワーッて光って。で、パッと目が覚めるとその結婚式の日の朝、起きた時に戻っちゃうんですよ。

(赤江珠緒)過去に戻ってる?

(町山智浩)1日過去に戻っちゃうんですよ。で、気が付いたらその日から抜け出せないことがわかるっていう話なんですよ。

(山里亮太)タイムループ。

(町山智浩)タイムループ物です。で、その日の夜、寝ると翌朝はその日の朝に戻ったちゃうんです。で、どうしてもそこから抜け出せないんですよ。で、サラが一体これはどういうことなの?ってそのナイルズに言ったら「いやー、俺もずっと抜け出せなくてね。まあ10万回ぐらいこれ、やってるんだよね」って言うんですよ。

(赤江珠緒)うわっ、しんどいな……。

同じ1日が続くタイムループ物

(町山智浩)それで、どうする?っていう話がこの『パーム・スプリングス』なんですね。で、今、「タイムループ物だ」っていう風に山ちゃんが言っていたんですけども。タイムループ物ってなにか他の作品で覚えてるのとかありますか?

(赤江珠緒)私、小説だと北村薫さんの『スキップ』『ターン』『リセット』っていう本があるんですけど。あれもタイムループで。同じことの繰り返しになるっていうね、ちょっとしんどいシーンとかありましたね。

(町山智浩)はいはいはい。タイムループ物は結構ね、2000年代に流行ったんですよ。日本のラノベとか、あとはアニメとか、流行ったんですけど。

(赤江珠緒)タイムワープじゃないんですもんね。過去に行っちゃうんじゃなくて、同じ日を繰り返すんですもんね?

(町山智浩)そうそう。繰り返すの。延々と。『うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー』っていうのがそうでしたね。

(山里亮太)名作と言われる、あの……。

(町山智浩)学園祭の前夜から抜け出せなくなるんですけども。グルグルと。で、そういう作品は結構あるんですけれども。アメリカではね、最も有名な作品はね、『恋はデジャ・ブ』っていうラブコメディーなんですよ。これ、93年に作られて。これが結構アメリカで元祖みたいな感じになっていて。この『パーム・スプリングス』も作ったスタッフは『恋はデジャ・ブ』を元にしたっていう風に言ってるんですけど。

『恋はデジャ・ブ』っていうのはビル・マーレイ扮する非常に傲慢なテレビアナウンサーがいまして。で、地方のレポートとかさせられるんですけど、「こんなことやってられるかよ。こんな田舎に来てよ!」とかって言って、人をバカにしてるんですよ。すごく。で、その人がその日から出られなくなって。最初は出られなくなったことを利用して悪いことをいっぱいするんですよ。

(赤江珠緒)まあ、そうか。ちょっと未来を知ってるから。先のことを。

(町山智浩)そう。何が起こるか知ってるから、それを利用して。たとえばナンパをしたり。女の人を口説いたり。あと、それでもだんだん飽きてくるんで。何回もやってると。で、それこそ犯罪を犯したりね。ものすごく悪いこととかしてみるんですよ。ところが、それをいくらやっても何もそこから先がないから面白くないんですよ。で、もう嫌になっちゃって今度、自殺するんですよ。で、ありとあらゆる方法で自殺するんですけど、それでも目が覚めるとその日の朝なんですよ。「助けてくれー!」っていう話が『恋はデジャ・ブ』っていう話なんですね。

(赤江珠緒)そうですよね。気力がなくなりますよね。

(町山智浩)そう。それを何十万回も繰り返すんですから。で、もう1本ね、結構有名でいい映画があって。それは2011年の映画で『ミッション: 8ミニッツ』っていう映画なんですよ。これはすごくよく出来ていてね。まず、列車事故があるんですね。テロリストによって列車が爆発されて、乗客全員が死亡するんですけれども。誰が爆弾を仕掛けたのか、どこに爆弾があったのかを知るために、その爆発する8分前の列車の中に乗っているある人の意識の中に別の、探偵役になる人の意識をワープさせるっていう話なんですよ。

(赤江珠緒)ええっ?

(町山智浩)そうすると、パッと目が覚めると列車の中にいて。8分後に爆発するんですけど、その8分間でいろいろ中を探って。どこに爆弾はあるのか? 怪しい人はいないのか?って。それで探っていくと、でも8分後には爆発して、また死んじゃうんですよ。で、またそうじゃない、その爆破事故の後の時間帯に戻って、「やっぱり失敗したわね。もう1回行ってきなさい」って言われて、もう1回行かされて。

そういうのを繰り返して、何度も何度もその爆発8分前を繰り返しながら、その爆破テロの犯人を探すっていう話が『ミッション: 8ミニッツ』なんですね。これもね、すごいよくできていた映画なんですけど。ただ、こっちはコメディーなので。『パーム・スプリングス』はコメディーなので。

(赤江珠緒)これでコメディーになります?

(町山智浩)コメディーなんですよ。だからそのナイルズにね、サラが「あなた、今までに何回も繰り返してて、何をやったの?」「うーん。まずね、セックスだね」って言うんですよ(笑)。「このへんにいる人は、みんなやった」って言うんですよ。何回もやってるから口説き技とか、その相手の好きなことを先に分かってるから。それで1人を落とす時に10回、20回、30回、40回と口説いてるわけですよ。だからだんだんコツがわかってきて落とせるわけですよ。最終的にはね。相手の好きなものを知ってるから。嫌いなものもわかってるから。で、身の上話とかをされた後に1回戻って言うと「すごい。あなた、私の考えたことがわかるのね?」とか言われるわけですよ。

(赤江珠緒)そうですね。会話もしてるわけで住もんね。1回ね。

(町山智浩)そう。ぎこちない会話がないわけですよ。で、「そして、やりまくったよ」って言うんですよ。「でもね、やってるうちに飽きちゃって。いろんなのをやったんだ」って言うんですよ。「あそこにいる、おばちゃん。あれもやった」とか言うんですよ。

(赤江珠緒)ああ、そうですか……。

(町山智浩)そう。「でも俺、女の人も飽きちゃってね。だからもう、あの彼。彼ともしたんだ」って言うんですよ。すると「えっ、彼をファックしたの?」「あ、違うんだ。彼の場合は俺の方がされました」とか言ってるんですけども(笑)。

(山里亮太)大人なジョークが(笑)。

(町山智浩)大人なジョークがいっぱいあって。「いいやつだったよ」とかって言ってね。「結構良かったよ」とか言ったりしているんですけども。そういうことを延々とやっているんですけども。で、そのサラを彼はそのタイムループの中に巻き込んじゃったんですね。それで、2人で何度も何度もタイムループを繰り返すんですが。2人でやってたら今まで1人で退屈してたのが、そうじゃなくて楽しくなってくるんですよ。

(赤江珠緒)へー!

(町山智浩)で、2人でもういろんなことをやるんですよ。それこそ警官と銃撃戦したりとかね(笑)。今までやってこなかったことを何でもやるんですよ。で、もうバカなことをいっぱいして。死んでも死なないから。もうどんな冒険でもできる。

(赤江珠緒)何の失敗も怖がらなくていいわけですもんね。

2人でやると、退屈な1日が楽しくなる

(町山智浩)そう。何も怖いものはないんですよ。で、2人でやってるうちにどんどんどんどん楽しくなって。このサラとナイルズは仲良くなって行くんですよ。恋に落ちてくるんですよ。そしたら、1人で何度も人生、タイムループで1日を繰り返してもむなしいだけだけど、自分の本当に好きな人と、気の合う人と一生歳を取らないで永遠に遊び続けることができたらこんなにことはいいことはないって思うんですよ。

(赤江珠緒)「時間を止めてほしい」っていう感覚ですもんね。恋人同士のね。

(町山智浩)そうそう。「この人とだったらもうこの1日を永遠に繰り返したい」って思う時が本当に来るって話なんですよ。ところが、それではまた話がですね……「僕も何万回も君と一緒にこの1日を過ごしてみて、本当に君が好きなんだ」「私も何万回もあなたと過ごして、一生あなたといたいと思った」って言ったら、逆に「この関係には未来がないわ」って話になってくるんですよ。

(赤江珠緒)うんうん。

(町山智浩)そこでね、また別の人がいて。タイムグループに入ってる人がもう1人、出てくるんですけど。人は生きて、歳を取って、死んでいくから人生には意味があるんだ。永遠にそれがない人生には意味があるのか?っていう問いかけがそこで出てくるんですよ。

(赤江珠緒)哲学的になる……。

(町山智浩)そう。哲学なんですよ、これ。これね、この『恋はデジャ・ブ』っていうその元になった映画のアイデアを出した人が言ってるんですけど。「これはニーチェの永劫回帰という哲学的な理論をラブコメにしたんだよ」って言ってるんですよ。人は同じ1日、ないしは同じ人生を何十回も何万回も繰り返すっていうことに耐えられるような人生を送ることができできないか?って話なんですね。

つまり、人はいつ死ぬか分からないけれども、明日にも死ぬかもしれない。ならば、その日1日はものすごく大切じゃないですか。でも、タイムループっていうのは明日がない世界なんですよ。それと同じことなんですよ。明日、死ぬかもしれないのと同じことなんですよ。

(山里亮太)緊張することもないしね。失敗してもだって「ああ、今回は失敗になっちゃったんだ」って言って。「じゃあ次、もう1回始まったら違うバージョンで……」って。

(町山智浩)そう。その1日が大切じゃなくなっちゃうんですよ。だったら、それを大切にしなきゃならないんじゃないか?ってことで考え直していくんですよ。『恋はデジャ・ブ』の主人公は。だから、最初はみんなに意地悪したり、いたずらしたりしてたんですね。ところが「いや、ここにいる人たちは俺と同じで、この1日に閉じ込められてるけどそれを知らない人たちなんだ。

だったら彼らのこの1日を最高にしてあげようじゃないか」と思い始めるんですよ。で、何万回も生き直しながら、ピアノを覚えたり、いろんなことを勉強して。そこにいる町中の人のことを全部知り尽くして、その人たちをその日1日で最高に幸せにしようとするんですよ。

(赤江珠緒)ええっ?

(町山智浩)でね、『ミッション: 8ミニッツ』の方もそうで。やっているうちに、この人たちはこの8分後には絶対死ぬっていう運命なんだってことに気が付いてくるんですよ。その捜査官は。だから「8分後に爆発するっていうことは避けられない。だったら、どうしたらいいのか? 僕はこの列車に乗っている人たちのこの8分間を最高の8分間にしてあげなければならないんじゃないか?」っていう話になってくんですよ。哲学であり、思想であり、ん生きるって何なのか? 自分のためだけに生きても、それは本当の幸せじゃないんじゃないか?って話なんですよね。

(赤江珠緒)そういう心理になってくるって面白いですね。へー!

(町山智浩)これはだから、悟りみたいなものにも達していくんですけれども。というね、映画が『パーム・スプリングス』で。そっちの方に話が行くんですが……ちょっと意外な、アダルトな秘密が途中から分かってきて。すごいことになります。非常にアダルトな……これ、子供は見れない内容ですから。

(赤江珠緒)ああ、そうですか。

(町山智浩)「ええっ!?」みたいな。

(赤江珠緒)なんかこれ、複雑な……コメディーであり、哲学的であり、アダルトな秘密もあり?

(町山智浩)そうなんですよ。でね、これね、『サタデー・ナイト・ライブ』っていうお笑い番組の人たちがやった映画でね、『パーム・スプリングス』。これは傑作なんですけれども。

『パーム・スプリングス』予告

(町山智浩)あとね、もう1本ね、時間がないのでパッと言っておきますが。Netflixで今やってる映画で、『ユーロビジョン歌合戦 〜ファイア・サーガ物語〜』っていうのがあるんですけど。

それも『サタデー・ナイト・ライブ』のスタッフが作った映画なんですね。で、そっちはね、『ユーロビジョン』っていう世界最大の歌謡祭に出演しようとするアイスランドのチームの話なんですけども。そっちはね、何の哲学もない完全なバカ映画ですから(笑)。で、そっちはすぐ見れるんで。ちょっと『パーム・スプリングス』がHuluで見れるようになるまでは、この『ユーロビジョン』の方でお楽しみください(笑)。

(赤江珠緒)へー! そうですか。『ユーロビジョン』の方はNetflixということですね。

(町山智浩)これはね、『俺たちフィギュアスケーター』のウィル・フェレルが作っていて。『俺たちフィギュアスケーター』っていうウルトラバカ映画があるんですよ。バカ映画の金字塔なんですけど。あのノリですから。最高に面白いんで。こちらも御覧ください。

(赤江珠緒)はい。今日は『パーム・スプリングス』。こちらは日本ではまだ未配信。Huluで配信予定。そして『ユーロビジョン歌合戦 〜ファイア・サーガ物語〜』はNetflixで配信中だそうです。町山さん、今日も面白そうな映画をありがとうございました。

(町山智浩)はい。どもでした。

<書き起こしおわり>

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