R-指定さんが2020年7月14日放送のニッポン放送『Creepy Nutsのオールナイトニッポン0』の中で神門『夫婦』を紹介していました。
(DJ松永)じゃあ、Rさんの日本語ラップ紹介コーナーにまいります。
(R-指定)今日、紹介したいのは1回、このラジオでも『ギャラ天国』という曲を紹介しましたけども。神戸の神門(ごうど)さんというラッパーの方を。
(DJ松永)おおっ、神門さんだ。
(R-指定)この人は2007、8、9年ぐらい。俺がホンマに高校生で実際に現場に出てマイクを握り始めたぐらいからずっと神戸で絶大な支持を得ていて。ラップの種類というか、「ポエトリーリーディング」っていう風に分類されることもあるんですけど、俺からしたら正真正銘の超ど真ん中なラッパーの方です。それこそ、冒頭でも言いましたけどもこの人はホンマに生き様を歌う人で。それが不良系の生き様とかじゃなくてホンマに市井の人間。
ホンマに俺たちみたいな普通の生活を送ってきた人間がヒップホップという音楽に心を奪われて。不良でもない。でも、音楽をやりたいっていうその葛藤みたいなものも全部書いてきた人。で、そういう人間だからクラブや人とのつながりとか、そういうところも大事に描いてきた人で。もうこの人は人生の全部を歌にするんですよ。だから、それこそ就職活動のことも歌にするし。家族の不幸があったこと。それだけでもアルバムを1枚作ってしまうっていうぐらい、もう人生を全部作品にできる人なんです。
で、この神門さんが出した『エール』っていうアルバムの中の『夫婦』という曲がすごいいいので。全然俺とか松永さんには今のところ関係ない話やけども。言うたら仲間にも、梅田サイファーの中にも結婚しているやつらが増えてきて。そういう話を聞くことが多いから。「ああ、それをこんな形で描けるんや」っていうのをすごい思ったので。その神門さんの『夫婦』を聞いてください。
神門『夫婦』
(R-指定)これ、ヤバない?
(DJ松永)ヤバッ! 超いい!
(R-指定)これ、最後の締めのフレーズが「いじるように尋ねる Where is happiness?」っていうんですけど。神門さんの曲の中で『HERE IS HAPPINESS』っていう有名な曲があって。それは失恋の歌やったりするんですけども。
(DJ松永)うんうん。
(R-指定)その『HERE IS HAPPINESS』っていうところから取ってきて、その曲を書いていた自分が今の自分を見たら羨ましいと思うやろう。その昔の自分の声が今の自分の生活の一部をいじるように尋ねる。「Where is happiness?(幸せはどこにあるんだ?)」って。昔、つらい状況の時に「Here is happiness(幸せはここにある)」って言っていたけど、今、この幸せな状況で昔の自分が「いやいや、幸せがどこにあるかわかるでしょう?」って言ってくるっていう。その時系列もすごいし。
「人と暮らすことは自分のじゃない跡と暮らすこと」とか。かと思いきや、ラッパー的なかなり韻で畳みかけるところもあるんですね。「カレー? 引っ掛け、紐解く鍵は糸こん」とか。あとは俺がすごい好きやったのは「ペットボトルに書かれたひらがなの『ご』」っていう。神門さんってホンマに名字が「神門」で。だから奥さんが「ペットボトルのフタにひらがなで書かれた頭文字の『ご』」っていう。で、「免許証や保険証で見るよりもはるかに俺はこの人の名字を変えたんやと思った」っていう。
(DJ松永)めちゃくちゃいいな……。
(R-指定)結婚したい……。
(DJ松永)フハハハハハハハハッ! 待ってよ。最後、それ?(笑)。
(R-指定)フハハハハハハハハッ!
(DJ松永)終わってんな、こいつ……(笑)。
(番組放送後のMixchannel配信限定アフタートークで……)
(DJ松永)神門さんの曲はいいな! すげえ。
(R-指定)いいのよ。ホンマにね、それこそアルバム1枚を通して、言うたらああいう風に頭からケツまでラップ……語りに近いようなラップが続いて。サビとかがある曲もあるんですけども、基本的にはあのスタイルで。ライブとかを見ているとホンマに……それこそ新しい次元の落語なんやないかなと思うような。しかも人情噺のっていう感じがするんですよね。神門さんのライブは。
(DJ松永)俺、神門さんのライブ、見たことないのよ。みんなヤバいって言うじゃない?
(R-指定)ヤバい。俺とKGさんで最近もイベントが一緒になって見たこともあるけども。ハタチぐらい? 21、2ぐらいやったかな? 神門さんが三宮でワンマンライブするからって全員で行ったんやけど。俺とかKGさんもボロボロ泣いててんけど、その神戸の当時のいかつかったBボーイ。H.R.Cの面々とかENDYさんとかその周りの人たちもボロボロ泣くっていう。強面のBボーイたちも俺らみたいなやつも全員がグッと来るっていう。
(DJ松永)最強じゃん。なにそれ?
(R-指定)だから神門さんはライブもヤバいし曲もすごいっていう。
ライブも曲もヤバい
(DJ松永)神門さん、『夫婦』はいつのアルバムに入っているやつなの?
(R-指定)これはね、『エール』っていう2018年のアルバムかな?
(DJ松永)神門さん、結構出しているよね?
(R-指定)それで全部がちゃんとその時その時の神門さんの人生を……『エール』の前の作品は『親族』っていうアルバムやったりして。これは身内の不幸があったところから始まって、親族の……それを1枚丸々歌うっていう。だからこの人はたぶん無限に書き続けるやろうなっていうか。神門さん、ホンマに人生を経験していくたびに、いろんな転機があるたびに書いていく人なんやなっていう。まさに生き様な人で。
(DJ松永)それ、超ラッパーだね。
(R-指定)めちゃくちゃ神門さん、ラッパー。だからやっぱりね、ライブを見たり曲を聞いたりすると「敵わんな」って思ってしまうぐらい。だから聞く時と場所を選ばないと喰らいすぎてしまうというか。
(DJ松永)ああ、なるほど。それは超ヤバいやつだ。
(R-指定)「こんなリリックを書くのがラッパーやんな」って思って落ちてまうぐらいすごい人なんよ。神門さんは。
(DJ松永)自分に自信がある時じゃないと聞けなかったりするっていう。自分に余裕がないとマジで喰らって立てなくなる?
(R-指定)そう。凹んでしまうっていうぐらいすごい人です。
(DJ松永)すげえな!
<書き起こしおわり>