日比麻音子さんが2020年7月1日放送のTBSラジオ『アフター6ジャンクション』の中で映画『ストーリー・オブ・マイ・ライフ わたしの若草物語』について宇多丸さんと話していました。
(宇多丸)あと、そうだな。日比さんニュースとしては昨日ね、『ストーリー・オブ・マイ・ライフ』に関して宇垣さんの感想のお話なんかもしてましたけども。
(日比麻音子)ああ、はいはい。
(宇多丸)ちょっと語り尽くせなくて。「いろんな話をしたい」なんて言っていたじゃない?
(日比麻音子)だから私、本当はムービーウォッチメンでメールを送ろうかなって思ったんですよ。思ったんですけど、まとまりなくて(笑)。
(宇多丸)言いたいことが多すぎてね。でね、あの日はいろんな方の……それこそ、原作を読み込まれている方とか、いろんな方からのメールがたくさん来て。それを端折ってでもたくさん紹介したかったので。なかなかなあれだったのでね。日比さんにガツンとしたメールを送っていただいていてもどのぐらい紹介できていたんだろう?っていうのはありましたんでね。
(日比麻音子)本当、書けば書くほど止まらなくて。
(宇多丸)また、いろいろな角度がありますしね。
(日比麻音子)ジョーでA4の1ページ。ローリーで1ページ、グレタで1ページ、ローラ・ダーンで半分書いて、「私、これ間に合わない。というか、まとまらないからやめよう」って思って。
(宇多丸)ああ、書くは書いたんだ?
(日比麻音子)一応、眠らせてあるんですけども。
(宇多丸)それこれさ、引き続きあの日比さんの自粛新聞に中でやればいいじゃん?
(日比麻音子)あっ! やります? 若草新聞。私のストーリー・オブ・マイ・ライフ新聞を。
(宇多丸)そう。一度に出さないで連載でやればいいじゃないですか。
(日比麻音子)ああ! これはクリエイティブな気持ちを……。
(宇多丸)ジョー気分でね(笑)。
(日比麻音子)ジョー気分を。でも、まだそのムービーウォッチメンもちょっと噛み締めて聞きたくて。半分でまだ止まっています。10分で止まっていて。
(宇多丸)そんな大したことは言ってないですよ。中でね、言っていなかったこととしてはやっぱり、触れて入るんだけども。昨日の話ではちょっと言ったけども、やっぱりティモシー・シャラメとシアーシャ・ローナン。要するにグレタ・ガーウィグの前作の『レディ・バード』でも共演していて。で、いろんなメイキングの話なんかを聞いていても、とにかく2人がめっちゃ仲がいいっていう。
(日比麻音子)そうですね。宇多丸さんの「気心が知れた」っていう言葉を「まさにその通り!」って思って。
ティモシー・シャラメとシアーシャ・ローナンの関係性
(宇多丸)それがあるからこその、あの2人。ジョーとローリーのソウルメイトぶりっていうかさ。しかもそのちょっと、やっぱり子供の魂を持った2人のじゃれあいだから。それが本当に自然に……ちょっとした画面の隅っこでじゃれていたりするじゃん? 俺、あの海のところでね、「おいっ!」ってやった時、突き飛ばされたシャラメがこうやってバッと立ち上がって何事もなかったかのようにスタスタ歩き出すっていう。あいつのあのおどけ! あのシャラメのおどけ。あれはね、演技じゃないもんな。
(日比麻音子)そう! なにかがあるのよね! あの2人に。
(宇多丸)2人が普段、ふざけてる通りの感じがするっていう。で、あとなんかちょっと見てもジョーがつついていたりとかさ。
(日比麻音子)そう。なんかこの頭をくしゃくしゃってやっているのを見るだけでも「永遠にくしゃくしゃしててくれ!」って思うぐらい(笑)。なんか幸せな……でも、あの2人の描き方はグレタ・ガーウィグだからこそだと思うんですけども。まあ「男女」っていうところではない、その関係性というところ。人と人とが、本当に必要な2人がパズルみたいにしてパチッと合った時の喜びっていうのがあのダンスであったり、2人のじゃれあいだったり……。
(宇多丸)そうね。ダンスのシーン、俺は予告で見た時に思ってたのよりも……「ああ、こんなに楽しく素敵なシーンなのか!」って。
(日比麻音子)あそこで1回、泣いちゃう。
(宇多丸)もちろん、原作にもあって。「でも、あの舞踏会でお互いに馴染めない同士が出会う」っていうその描写は同じなんだけど。あの柱の間を隠れるように、ちょっとステレスゲームのように……っていう。この1個、映画的な演出っていうか。あれで……しかも、だからこそ2人が弾けるっていう。「ああ、こういう場面なんだ。よくできてるな!」って。
(日比麻音子)「シャラメ、よく跳ぶわね!」って思いながら(笑)。
(宇多丸)しかも、ああいう場面でかけていた曲っていうのは実はそのね、あの音楽って後からつけたもので。実際、現場ではデヴィッド・ボウイの『Modern Love』とか……それこそ『スウィング・キッズ』ですけどね。だからそういう現代のポップミュージックでみんなが現代で踊っている感じの曲を流して踊ったらしいんで。
『Modern Love』でダンス
(日比麻音子)はー!
(宇多丸)だからあのティモシー・シャラメの跳ねとかは『Modern Love』跳ねかもしれないですね。
(日比麻音子)なるほどなー! シャラメの骨格が生かされた跳ねで。本当に。
(宇多丸)やっぱり角度も……最初にパリでエイミーが見つけてしまうっていう。あそこのとにかくさ、「ああ、もう好き!」っていうね。エイミー視点のローリー。あの去っていく後ろ姿を見送る。大股で去っていくローリーを。
(日比麻音子)ああ、そうそう! あのポケットにつっこんじゃって。生意気にもう……本当に素敵!
(宇多丸)あれ、普通に見たら、別の視点で見たら「なんだ、このどうしようもない男?」ってことかもしれないけれども。
(日比麻音子)本当にね。「どうした? 落ちぶれちゃって」っていうぐらいのテンションですけども。
(宇多丸)でも、やっぱりね、彼のその少年のような感じっていうか。それがまたさ、最後の方ではですよ、すっかり落ち着いちゃって。あなた。前髪はらりがなくなってきますよね。やっぱり大人になるとね。
(日比麻音子)そうですよね。本当に。やっぱり丸くなっちゃってね。
(宇多丸)そして「ああ、そのメアド見てなかった」ってやつですね(笑)。「ああ、そっち送っちゃった? そっち、随分見てないわ。mixi? 俺、もうmixiはだいぶログインしてないわ」みたいな。
(日比麻音子)「パスワード、何だっけ?」ぐらいの。
(宇多丸)「あった、あった」ぐらいの。そのテンション。
(日比麻音子)そう。シアーシャ・ローナンもいいのよね。少年みたいな鋭い目もあってね。フェミニンさだけじゃないっていうのもまた彼女の良さで。ああ、止まらない!
(宇多丸)たしかに。あの服装のああいうのも……昨日、宇垣さんも言っていたけども。書く時にちょっとね、ミリタリーなジャケットを羽織るっていうあの感じも良かったですね。なんて、語り尽くせないね、これはね。でも、それもこれもやっぱり日比さんが事前に、公開延期になる前に見ておいていただいて。グレタ・ガーウィグさんね、できればインタビューを……いずれはちょっと、なんて話もありましたけども。その時の日比さんのプッシュがあってこその。だからすごくメールも多かったですけども、その注目度というのもあったと思うので。
(日比麻音子)とんでもない。私はただよだれを垂らしているだけですよ(笑)。
<書き起こしおわり>
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— みやーんZZ (@miyearnzz) July 3, 2020