プチ鹿島 安倍首相「緊急事態」延長記者会見・新聞記事読み比べ

プチ鹿島 安倍首相「緊急事態」延長記者会見・新聞記事読み比べ YBSキックス

プチ鹿島さんが2020年5月5日放送のYBS『キックス』の中で前日の5月4日に安倍首相が行った「緊急事態」の延長についての記者会見について報じる新聞記事を読み比べしていました。

(プチ鹿島)こんな状況ですけどもね。今、皆さんにとって平等に大変な時期じゃないですか。ただ、なんて言うのかな? この状況だからこそ、見ることができること、状況というのもあると思うんですよね。たとえばセンスがある人が今、どう振る舞うか?っていうのも、変な話、今はもうヨーイドンだからこっちが注意すれば目に入ってきますよね。たとえば、雑誌。この間、スポーツ雑誌で『Number』ってあるでしょう? そこの表紙が大谷平平選手にこの時期ですからリモート取材をしてるわけですよね。だから、表紙がスマホ越しの大谷翔平さんなんですよ。なんか洒落ているじゃないですか。

(海野紀恵)はい。

(プチ鹿島)それでコピーが「今だからできること。」っていうことで。特別インタビュー、大谷翔平っていう。これが『Number』の最新号の表紙。それでもう一方、『KAMINOGE』っていうね、僕もお世話になってるんですけど。プロレスとか格闘技を主に……でもそこから世の中をどんどん面白いものを見つけていくっていう。そういう洒落て面白い雑誌があるんですけども。それも実はプロレスラーの棚橋弘至さんにリモートで取材をしていて。で、表紙のデザインがこちらもスマホに映っている笑顔の棚橋さんということで。

(海野紀恵)へー!

KAMINOGE101
玄文社

(プチ鹿島)『Number』も『KAMINOGE』も大谷翔平、棚橋弘至、同じ扱い。スマホ越しで表紙を作っているんですよ。これ、ずいぶんと洒落た……「ああ、やっぱりこの2つの雑誌って前々から洒落ているなと思っていたけども。こういう時、こういう難局にこういうやり方を見せてくれるんだ!」っていう風に思いましたね。

(海野紀恵)へー!

(プチ鹿島)それはもちろん、雑誌とかファッションだけでなく、当然ですが各国のリーダーとかもそうじゃないですか。まあ各県のリーダーでもいいですけど。そういうのが一斉にヨーイドンで平等に可視化されるわけですよね。どういう風に振る舞うのかというのがね。それでこの間、『サンデーステーション』という番組で「じゃあ外国から学ぶことはないのか?」っていうので調べたんですけど。そのひとつで目立っていたのがニュージーランドなんですよね。ニュージーランドっていうのは先週火曜日、1週間前にはもう都市封鎖を緩和したんですよね。感染者が激減したということで。それでアーダーン首相という、これは女性で若い方なんですけども。

(海野紀恵)はい。

(プチ鹿島)「私たちはほとんどの国ができないことを達成した」と宣言をしたわけです。それでは、ニュージーランドはどういう風にして抑え込んだのか?っていうのを見ていくと、まあ都市封鎖とかもあるんですが……アーダーン首相は発信力がすごい人だったんですよね。いろいろ記事を調べてみると、都市封鎖への理解とかについて動画を配信したところ、再生回数が500万回以上。それでニュージーランド人口って約500万人なんで、ほぼ全員が見てるんだろうなって。もちろん、ネットの動画だから世界中から見ることもできるんだけども。イメージとしてはそうですよね。

(海野紀恵)うんうん。

ニュージーランド・アーダーン首相のメッセージ

(プチ鹿島)あと、その発信力の素晴らしさということでそのニュージーランドの首相は約1ヶ月間で記者会見をなんと19回も行なっていたという。

(海野紀恵)へー!

(プチ鹿島)1ヶ月で19回。だから2日に1回ぐらいやっていたということになるのかな? で、現地の大学教授のコメントも載っていまして。ニュージーランドのアーダーン首相が優れているのはその語り口に思いやりとか人への情があふれている。そういうので支持率がものすごく高くなってるということなんですって。

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(プチ鹿島)それでは、翻ってみてたとえば日本はリーダーである安倍さんが同じ時期に会見場で行なった正式な記者会見ってのは何回か? 3回だったわけですよね。だからここでもちょっと違いがあるのかなっていう。それで昨日、また会見があったじゃないですか。

(海野紀恵)はい。それでやっぱり今日はちょうど火曜日で翌日ですので。新聞を読み比べてみると面白かったのが、たとえば読売と朝日。これが記者とか代表して書いている方の視点がほぼ同じことを書いてるんですよね。たとえば読売は「解除の目安具体化を」って言っていて。読売の中での医療部長という、そういう人がいるんですよね。医療系の記事を書くというその責任者の方が「どうやったら解除をできるのか、具体的な目安を示してほしい」ということを書いている。

一方、朝日新聞も編集委員の方が「出口の見える化、客観的指標で」ということで。まあ、だからこれを読むと昨日の記者会見、もし見てない方も「あれ? じゃあ具体的な数字とか指標って出していなかったのか」っていうことがこの読売、朝日を見るだけで分かりますよね。だからそういう出口戦略について、いかに具体的にするのか?っていう。それを読売も朝日も書いていたということですね。「データ、数字でそれを示してください」っていう。

で、実際に昨日、会見をご覧になった方もいると思いますけども、その全文を洗ってみると、気になるのが精神論的というか……抜粋をしますけども。「私たちの暮らしを支えてくださっている皆さんへの敬意や感謝、他の人たちへの支え合いの気持ち、そうした思いやりの気持ち、人と人との絆の力があれば、目に見えないウイルスへの恐怖や不安な気持ちに必ずや打ち勝つことができる。私はそう信じています。」っていう。これ、ちょっと昭恵さんチックですよね?

(海野紀恵)そうですね。ちょっとスピ系が感じられますね。

(プチ鹿島)前にこの『キックス』でもドクタードルフィン、ご紹介しましたけども。「不安と恐怖が、ウィルスに対する愛と感謝に変わった途端、ウィルスは、目の前で、ブラックホールから、突然、喜んで、消え去ります」という風に提唱している方の宇佐神宮参拝ツアーに昭恵さん、参加されたわけじゃないですか。だからそれ、そういう影響がここにも出ているのかな?っていうのはちょっと思ってしまいますよね。

(海野紀恵)そうですよね。

(プチ鹿島)それで最後も「みんなで前を向いて頑張れば、きっと現在のこの困難も乗り越えることができる」っていう。ただ、「みんなで前を向いて頑張る」ためには、やっぱりね、具体的なお金とかが……お金がなくて、補償がなくて、ただ「頑張ろう、頑張ろう」っていうことだけになると、いわゆる「同調圧力」というものが強まって。最近、よく言われている「自粛警察」というものが……まあ、「自粛検察」じゃなくて「自粛警察」という。そういうものがはびこってくるという。

これ、今日の産経新聞の今日の社説も読んでみますと……「国民に協力を求める一方で政府の説明が十分でなかった点は残念だ」という。産経師匠も昨日の会見について「残念だ」と言っているわけです。あとはやっぱり「説明責任を果たすこと」っていう。産経師匠も「これがないとウイルスとの戦いなんてできないよね」って小言を言っているわけですよね。じゃあ、なんで具体的な数字というものが……だって昨日の会見について、全文書き起こしとかもあるので。そこで数字に注目をしてください。では具体的にどういう数字がどんな場面で出ているのか? それを見てみると……「この5月はそういう月間だ」っていうことで。どうやら「今は5月だ」ということはわかったんですけどもね。

(海野紀恵)フフフ(笑)。

会見の中で示された「数字」

(プチ鹿島)具体的な数字ですね。「どうやら今は5月らしい」っていうことは僕、わかりました。うん。その他、数字がなかなか出てこないっていうね。じゃあ、なんでそういう数字とか目安を出さなかったのか? これは政権幹部の方がコメントをしています。「延長しても解除しても批判される。まず全国一律で延長しつつ、出口に向けた布石を打つことにした」っていう……「布石を打つ」。だから昨日の会見って「布石」だったんですよね。

(海野紀恵)いやー……そうだったんですね。

(プチ鹿島)それだったらニュージーランドの首相とまでは行かないですけども。布石を打つぐらいなら週に1回とか3日に1回ぐらい会見をやってもらってもいいのかな?って思うんですけども。だから「断腸の思い」っていうのもわかるんですけども。そういう感情的な言葉もいいんですけど、でも「具体的な論がほしい」というのはもう読売から朝日、産経とみんな書いてたということなんですよね。

あとは数字的なものを言うと「『最も早い方で8日から入金を開始します』と強調するなど、希望を演出することも忘れなかった」っていう風に朝日では書かれていて。まあ、持続化給付金ですか。ただ、その希望を演出するということでしたが、その「8日」という部分も「8月」と言い間違えたりしていて。まあまあ、人は間違えるものですからいいんですけど。うーん……まあ、言い直しましたからね。そういうのを今日の新聞の読み比べをしてみると感じましたね。

だから「ひとり歩きするのが怖いから解除基準を示さなかったんだ。布石を打つようにした」ということが新聞を読み比べてみると昨日の会見の正体のようなものだという、それが見えてくるんですね。うーん……だからこれ、本当にね、もちろん「家賃をどうするか?」とか動いていますけども。やっぱりスピード勝負ですもんね。

(海野紀恵)その数字が出せないまでも、たとえば「感染者の数がこれぐらいになったら……」とか、せめて方向性ぐらい言ってくれれば少しは違ったのかな?っていう気も何となくしますけども。

(プチ鹿島)そうですね。だからたとえばこれがにあと2週間ぐらい様子を見て、「14日」とおっしゃっていましたけども。14日ぐらいに専門的な判断で数字を入れようか、みたいな。そういう動きはあるみたいなんですよ。その時に数字を判断するみたいな。ということは、昨日はやっぱり布石だったのかなっていう。

(海野紀恵)そうですよね。昨日、なにか重要な情報が発表されるっていうわけではなかったってことなんですかね?

(プチ鹿島)いやー、でもお店をやってる方とか、もう大変ですよね。

(海野紀恵)これで本当にお金が回らなくて……そっちを苦にして自ら命を絶たれてしまうという事例も出ていると聞きますよね。

「差」が可視化されてしまう

(プチ鹿島)だから「みんなで前を向いて頑張れば」とか「人と人との絆の力があれば」とか。「私はそう信じています」とか「敬意や感謝」とかもいいんですけども。ねえ。そこらへんがやっぱり、こういう風に残酷な可視化ができてしまうんですよね。どんなリーダーがどういう風に言っているのか? 日本中だけではなくて海外にも目を向けてもこういう風に比較をできてしまうという。ちょっとそれをまざまざと感じてしまったというのが今日の読売、朝日、産経、毎日……全国紙を読んでの感想でしたけどね。

(海野紀恵)アベノマスクもまだ山梨、私のところには届いていないんですけども。これ、届く前にもう解除に向かうんじゃないか?っていう風になんとなく思ってしまいましたね。

(プチ鹿島)先週お話をしたベトナムと縁の深い馳浩さんの「ハセノマスク」でもちょっと……あのベトコンエクスプレス2号の。あのマスク、もういらないはずですから。あの覆面でもちょっと配っていただきましょうかね。

(海野紀恵)フフフ(笑)。

(プチ鹿島)ということで、また冒頭に戻るとポジティブなことを言うと、こういうご時世でみんなが同じ条件だからこそ、センスのある人。もしくはトップランナーの人がどういう仕掛けをしてくるか? どういうことをやってくるか?っていうのを見れるという。雑誌の表紙でもそうですけどね。そっちはみんなも参考にしてね、見ていけばいいのかなと思います。

<書き起こしおわり>

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