『東京ポッド許可局』あまちゃん論その後・書き起こし

あまちゃん じぇじぇじぇー!展 NHKスタジオパークがアツい! 東京ポッド許可局

大反響だった東京ポッド許可局のあまちゃん論、その第二弾が放送されました。あまちゃん東京編放送開始を前に、マキタスポーツさん、プチ鹿島さん、マキタスポーツさんのお三方が今後の展開などを妄想込みで熱く語っています!

(ナレーション)ここは東京のはずれにある事務所、東京ポッド許可局。例によって暇を持て余した局員たち。今日もおしゃべりが止まらないようです。3人が語らっているのは『あまちゃん』論その後。一体どんな話が飛び出すのやら。ちょっとのぞいてみましょう。

(サンキュータツオ)『あまちゃん』、相変わらず見てますか?

(マキタスポーツ)俺はね、あの時にあまちゃんの話をしたじゃないですか。

(サンキュータツオ)まだね、あんま見てないって。

(マキタスポーツ)俺はあん時ね、まだ2回しか見てなかったんですよ。あの後ですね、僕もう毎日欠かさず見るようになりました。

(サンキュータツオ)(笑)どっぷりじゃないですか。

(プチ鹿島)そうでしょう?

(マキタスポーツ)で、いまね、いちばんいいお付き合いしてると思いますよ。自分の中で。

(サンキュータツオ)あ、いい付き合い方。

(マキタスポーツ)いちばんいいお付き合いをしてると思う。

(プチ鹿島)させていただいてる状態。

(マキタスポーツ)そうそう。

(サンキュータツオ)まあ、なんか結構ね、その後いろんなところで『聴きました』なんて話、ありました?

(プチ鹿島)ああ、あまちゃんのこの間のね。すごかったじゃないですか。反響というか。まあ実際ドキュメントで、俺も話しながらゾクゾクしたし、それと同じ感覚を聴いてくれた人が味わってくれたってのは、うれしかったですよね。

(サンキュータツオ)その後、なんかこう話したいこととかありましたか?鹿島さん。

(プチ鹿島)まあ僕、前回のあまちゃん論で『お叱りを受けるかもしれないけど、30代40代のいい大人が、男がね、10代の少女を好きだとか言ってる風潮が俺はどうも嫌だ』と。

(サンキュータツオ)まあだから、エロもあるんじゃないかと。

(プチ鹿島)性的対象に・・・一言でいうとロリコンじゃないの?それを、いつから公に人前で言える社会になってしまったの?っていうのを僕はずっと思ってたんです。

(マキタスポーツ)(笑)

(サンキュータツオ)一石を投じたんだ。

(プチ鹿島)モー娘。の頃から。ただ、あまちゃんで能年玲奈を見てから、これは異性でもなく、そうかと言っても父親的な見方でもなく。なんだろうな?っていうのをこの間ぶつけたら、それが『萌え』。

(サンキュータツオ)『萌え』ですよ。純度の高い『萌え』です。いちばん最初の『萌え』です。

(マキタスポーツ)んで、そんなこと話してる2人がいちばんエロかったけどね。

(サンキュータツオ)(笑)もう融け合った感じ。

(プチ鹿島)あれはあれで僕らのドキュメントだったから。で、僕の周りにも『いや、そうなんだよ。あれを萌えというのか。』という意見が結構あって。

(サンキュータツオ)なるほどね。でもそうだと思います。やっぱり2次元に耐性ない人とか、あまちゃん見て『この気持ち、なんなんだろう?』って思ってたら、『そうか、これが萌えか』っていう人はいっぱいいると思います。

(プチ鹿島)ただね、依然としてアイドルを応援する、成長を見守る面白さっていうのをテーマに掲げる人もいらっしゃるじゃないですか?アイドルを応援する理由として。僕、それがね、成長を見守るって何?萌えとは別でね、ずっと疑問だったんですよ。なんで10代の若者、たとえば異性ですよね。これをこう追っかけてく、見守るって何が面白いのかな?って思ったんですが、僕一気に全面解決したんです。この間。

(サンキュータツオ)お、何すか?

(プチ鹿島)これ、10代のアイドルじゃなくて、10代の野球選手を見て気づいたんですよ。気持ちが。日ハムの大谷っているじゃないですか。

(マキタスポーツ)おお、二刀流の!

(プチ鹿島)珍しく野球の話しますけど。

(サンキュータツオ)珍しくないわ!毎週・・・

(プチ鹿島)二刀流。そうなんです。あの人、もう歴史上あり得ないことを今、やってるんですよ。

(サンキュータツオ)すごいよね。あれでしょ?ピッチャーもやるし、バッターもやる人でしょ?

(プチ鹿島)そう。で、やっぱりもうOBが『どっちかに絞れ』とか、意見がすごく対立してるわけです。俺も正直、バッター大谷に興味があるのね。だから俺、広島まで見に行ったんです。あそこ、砂かぶり・・・

(マキタスポーツ)大谷を見に行ったんだ。そういうことだったんだ。

(プチ鹿島)そうですよ。で、砂かぶり席がありますから、すぐそこで見たいんですよ。見といた方がいいだろうな、今、この瞬間のっていう。だって、ずっと自慢できるから。あと何十年。『俺はあのルーキーの年の大谷を見たんだぞ。砂かぶり席で!』って。

(サンキュータツオ)面倒くさいおじさんに・・・

(マキタスポーツ)『いま、スナックやってるけどな』っつって(笑)。

(プチ鹿島)スナックやってるけど。で、見に行ったらあの人ってやっぱりバッターとしては20年に1人って言われてるんです。ピッチャーとしても10年に1人って言われてる。つまりトータル50年に1人って、その『トータル』の意味が分かんないんですけど。まあまあ、小早川さんっていう野球解説者がトータルでは50年に1人の逸材ですと。それはもう、みんな清原とか口うるさい人たちが『天才であることは変わりない』と。

(サンキュータツオ)言ってるんだ。

(プチ鹿島)で、俺は正直バッターを見たかったんですけど、この間ピッチャー大谷、2軍の試合で先発してたのを僕、見たんですよ。スカパー!でやってたやつを。

(サンキュータツオ)もうそんなところまで行っちゃってるんですね(笑)。

(プチ鹿島)鴨川なんて、わざわざ行けねーだろ?そしたらバッター大谷は18歳で開幕戦でヒットを打つぐらいの完成度なんだけど、ピッチャー大谷っていうのはすごいんですよ。もうね、荒削りなの。絵に描いたような。もう、ボークと暴投を連発して、あたふたしてるのね。

(マキタスポーツ)えっ、そうなの?

(プチ鹿島)でもその後はすげー球投げたりして三振取ったりして、すっげー荒削りなんです。荒削りの前に、まず二刀流ですからプロのピッチャーとしてのトレーニングを積んでないんですよ。

(マキタスポーツ)ああ、なるほどね。

(プチ鹿島)つまり、高校生が素質だけでそのまま投げてるの。その面白さに俺、気づいちゃって。じゃあどっちに絞れとかじゃなくて、いずれたぶん絞ると思いますよ。だけど今現在のこの大谷を見るってことは、たぶん大谷を見る特権が僕らにはあるんじゃないか?ってことで、今の成長を見守ろうと思ったら、はたと気づいたんです。これ、アイドルとかあまちゃんを応援する人とおんなじじゃない?って。

(サンキュータツオ)(笑)なるほどね!

(プチ鹿島)そこに僕の欲はないじゃないですか。何も。

(サンキュータツオ)ただね、この鹿島さんの熱量が『何か聞いた時に似てるな』って思ったら、オルフェーヴルの話をしてる時と一緒。

(プチ鹿島)そういうことです!

(マキタスポーツ)ああ、なるほどね!

(プチ鹿島)将来がどうなるか分からないですよ。

(サンキュータツオ)だってあれですよ。オルフェーヴルっていう馬がね、第四コーナーで間違えて端っこの方行っちゃった時とか、あん時も興奮してたじゃないですか。

(マキタスポーツ)それで2着だったんだっけ?

(プチ鹿島)カーブ曲がれないんですよ。曲がれなくて慌てて引き返して来て2着ってどういうことなの?これ。俺、あの後は『この後本番の天皇賞!どうなるか!?』でポッドキャスト終わったじゃないですか。惨敗したんですよ。ただ惨敗したけど、その後圧勝したり。だからそういう危なっかしい面白さがあるんですよ。だから、将来は分かんないけど今、この時点を見れる幸せっていうのは、その選手・・・まあ、大谷はスーパーエリート、天才です。そこはもう、いわゆる地方アイドルとか、そういう人たちとは違いますけど。

(サンキュータツオ)もう、モノが違うっていうことね。

(プチ鹿島)見る側としての面白さはこれ、特権じゃないかな?と。それはもう、あまちゃんからアイドル論から、たぶんそういうことかなと。

(サンキュータツオ)それはもう、アイドルがいわゆる歌やりたい。女優やりたい。どっち?みたいな時に、もう歌唱力はハンパないと。

(プチ鹿島)それをさ、『広島のイベントまで見に行った』っつったら、何だそれ?って笑ってたのを、俺見に行ったからね。広島の球場にね。

(サンキュータツオ)でもそんなこと言ったら、能年玲奈の舞台挨拶もご覧になってますもんね。

(プチ鹿島)あれは仕事で。たまたま知らなかったの。

(サンキュータツオ)すげードライな感じ。何このドライな感じ。せっかくつなげたのに。良かれと思って。

(プチ鹿島)いや、いいんです。ありがとう。

(マキタスポーツ)これ、アイドルの話をした時にも言ったけど、結局日本人って成熟する一歩手前が好きなんだよね。成熟っていうものの一番完成形の形を、もっと言うと日本人は先回りして見てるわけ。だから俺、アイドルに関して『終わりを見る芸能』だって。終わった後もまだ続くんだよ。終わった後もまだ続くんだけど、成熟一歩手前のところを愛でるっていうのに関しては、カワイイの話とかにもつながると思うんだけど、それに関してはものすごく・・・なんて言うんでしょう?好いたらしいっていうかさ、すごい気持ちを持ってるよね。日本人っていうのは。それに関して野球選手にそういうものを感じたわけだ。はっきりと。

(プチ鹿島)言われてみて思った。『終わりを見る芸能』。たしかに大谷も今の二刀流なんてたぶん年数は限られるだろうなっていうのがあるから、いやらしい話、逆算で今を見たいっていう。

(マキタスポーツ)そこまで逆算では考えてないけども、そこの未完成な、未分化な状態のところをどうしてもこう・・・『今しか見なくちゃいけないんだ!』っていう気持ちっていうのは、日本人ってすごく大好きなんじゃないかな?

(プチ鹿島)桜とかね。

(マキタスポーツ)そうそうそうそう!まさにそう。

(サンキュータツオ)だから、完成したものの前の状態と終わって経年変化したもの。要は満月じゃなくて、満月手前、あるいは三日月と満月の後、またなくなって新月になってちょっと出てきた三日月ぐらいがやっぱり好きなんだろうね。それは、だから僕らも美保純さん素晴らしい!みたいに言ってたのは、その器が若干経年劣化で欠けてる感じがいいんじゃないですか。それもやっぱり、完成後の未完成なんだよね。

(プチ鹿島)うん、そうだね。

(サンキュータツオ)結局、合わせ鏡なんですよね。いや、でもそれ分かるわ。ここ1-2年でしょ?大谷が面白いのって。

(プチ鹿島)いや、そうだよ。だってどんどんトレーニングしていったら、プロの体になっちゃいますよ。それなりに技術、覚えちゃいますよ。

(マキタスポーツ)それさ、興行論としてさ、評論家として言ってもらえたら、ものすごく面白くなるのにね。

(プチ鹿島)そうなんだよ。

(マキタスポーツ)専門職化してさ。俺さ、一番つまんないのが『あんなことしてたらケガしますよ!』みたいなこと言う人っているじゃん?それよりも面白いのが優先されるべきじゃないんですか?プロって。

(プチ鹿島)あと、『常識じゃない』みたいなね。常識超えるから、実は面白いんじゃない。

(マキタスポーツ)後から、自分たち散々おいしい思いした後に常識云々語ってるんじゃねーよ、バカヤロウ!ってね。

(サンキュータツオ)(笑)激おこぷんぷん丸だ。

(プチ鹿島)でもオヤジジャーナルで取り上げられやすい意見ってそういうことなんですよ。あんなことしたら結局大谷を潰してしまう!みたいなね。

(マキタスポーツ)俺ね、そういうことでいったらあまちゃんの話に戻すとね、あまちゃんって従来のNHKのセオリーとかを中に外に相当壊してるんじゃないの?だから、あれ自体もまだ、それを目的化してるのかもしれない。完成させることっていうか、安定させることとかってことを目指さないってことを目的化してるのかもしれないけど。なんか、俺ね、前も思ったんですよ。宮本信子さんのキャラクター、夏ばっぱ、タツオはナレーションっていう観点から夏ばっぱのことを語ってましたけど、俺ね、お芝居が気になっちゃって仕方がないわけ。

(プチ鹿島)うんうん。

(マキタスポーツ)宮本信子さんって、昔、その伊丹十三さんの作品とかで主演バンバン張って、奥さんでね、やってたんですけど、そこで完成を見たような気がするんですけど。

(サンキュータツオ)『マルサの女』とかね。

(マキタスポーツ)やってましたよね。俺、夏ばっぱのあれ見た時に、言葉はアレですけど、東北弁ひとつもね、あんまり板についてない感じがするんですよ。で、それが俺、すごく魅力に感じたんですよ。何でしょうか?あの、固まってない感じ。俺は固まってない感じの印象を受けた。

(プチ鹿島)固まってないんだ。

(マキタスポーツ)木野花さん、あの人ネイティブ・スピーカーでもありますから、もう上手いんですよ。だけど夏ばっぱは、もうすごいネイティブな伝説の海女じゃないですか。ものすごく達者に東北弁とか操りながら、しかも伝説の人ですからみんなを束ねてるっていう感じとか。なんかそうじゃないような感じがちょっと一瞬見えるんですよ。ドキュメンタリーの部分。

(サンキュータツオ)なんかね、東北の方に伺ったら、あの海女ーず、海女さんたち、それぞれね、他にも東北の人たちとか海女じゃない人たちの中にもいらっしゃるじゃないですか。吹越(満)さんとか。みんな微妙に出身が違うらしいんですよ。青森とか山形とか。で、僕らからしてみたらみんな東北弁だけど、東北ネイティブ・スピーカーからしてみると、『あの人のは山形弁、この人のはちょっと八戸弁』みたいな。それは関西人が、『あれは京都、大阪、和歌山、尼崎の方・・・』みたいな、そういうのこだわるのと。

(プチ鹿島)『乗る電車の地域によっても違う』とか言うもんね。

(サンキュータツオ)そうらしいですね。だからなんか、そういうのがある中で、それぞれが・・・宮本信子さんって書道で言うと、本当草書とか行書に近いお芝居なのかな?って思う時あるわけ。

(マキタスポーツ)ああ、なるほどな。

(サンキュータツオ)だからみなさんが地元の言葉をちょっとカスタムチューンして、その想像上の東北弁っていうのを、なるべく楷書でやろうとしてる中に、草書芸というか、行書の感じというか。『とめ・はね・はらい』ちゃんとやらない、おしゃれな感じ・・・

(マキタスポーツ)俺は逆に楷書の方に思えた。

(サンキュータツオ)あ、なるほどね。

(マキタスポーツ)楷書の人が、行書をやろうとしてる感じがしたの。

(サンキュータツオ)そうね、たしかに。だからその崩れ感ね。

(プチ鹿島)これ、完全に視聴者的なただの見方ですけど、やっぱりクドカンが書いてさ、あのメンバーってどっちかっていうともう若者向けじゃないですか。現場だって。そこに宮本信子がいるっていう・・・

(サンキュータツオ)重石ね。

(プチ鹿島)いや、重石とも言えるし。っていうのは、僕、これを言ったのはマキタさんが『宮本信子の演技がちょっと気になる』ってツイートした時に、僕パッと返したのは、小林信彦っているじゃないですか?あの人があまちゃんの感想をコラムで書いてた時に、『何人かちょっと演技が古い人がいる』って言うのを書いていたのがずーっと頭に残っていて。で、なんとなく俺は見ていて、これは宮本信子のこの大御所感っていうか、ある意味、『周りはともかく私は宮本信子をやっています』っていう、そのことを批判じゃないけど、言ってるのかな?って思って。それでちょっとなんか合点が行ったんです。で、マキタさんに『そういえばそういうことを書いていた人もいるよ』っていう。

(マキタスポーツ)だからね、なんかつまりあそこの座組みの中で宮本信子さんっていうのが、たぶん確実にチャクラが開いてるというか、化学変化っていうのがすごく起こっている感じがするの。それをビンビンに出しちゃっている、良くも悪くもですけど。俺は良い方向で受け取ってるんですけど、あれは完全に、それこそキャリアがあるベテラン女優さんがですよ、まだ変化をしている最中みたいなところが、まだあるのかと。

(プチ鹿島)じゃあもう、宮本信子の成長といったら失礼かもしれないけど、でもそれを見守ると。

(マキタスポーツ)そういうことです。

(プチ鹿島)宮本信子のアイドル論でもあるわけですか。

(マキタスポーツ)そうです!

(サンキュータツオ)ちょっとしゃべらせてもらっていいですか?

(プチ鹿島)ちょっとだけだよ?

(サンキュータツオ)え、ちょっとだけ?

(マキタスポーツ)この話になると2人がイチャつくの、どういうわけだよ!?

(サンキュータツオ)この間ね、後半の話の記者会見に能年玲奈が出た時に、東京編でナレーションが能年玲奈になると。

(プチ鹿島)聞きたかった!それタツオに。

(サンキュータツオ)ね。僕はずっとあまちゃんって、ナレーションから読み解くあまちゃん論っていうのをずっと僕は提唱してたんですけども。ここでナレーション問題、いよいよっていう。

(プチ鹿島)もう一回、この間言ったナレーション問題、タツオ復唱してくれる?

(サンキュータツオ)まあその、宮本信子さんが現在やっているナレーションっていうのは、宮本信子さんがいないところの描写とかもなさっているので、小説でいうと神の視点みたいなものなんですけど。実は場合によってはアキちゃんとかユイちゃんの気持ちを代弁したりとか。『うるせーな、コイツ』みたいなことをそのまま言っちゃったりとか、あるいは番組の最後に視聴者代表として『今日はここで終わり』みたいなことを言ったりとか。ちょっとその、落語家みたいな、話者が出てくるような。どっちかって言うと、僕はその神の視点というよりは、守護霊的な視点だと。

(マキタスポーツ)はいはいはい。

(サンキュータツオ)だから主人公は能年玲奈なんだけど、アキちゃんなんだけど、アキちゃんの心がわからない、外側からナレーションしているだけで、たまに代弁してくれるっていう。なので、主役が萌えキャラになっているっていうことをお話したわけですけど。で、そしたら鹿島さんが実はその宮藤さんがコラムでナレーション問題について・・・

(プチ鹿島)あの学生のころから、ナレーション・・・朝ドラとは何か?情報を全部入れるんだよっていうのを聞かされてて、で、自分はやっぱりナレーションはあまり得意じゃないって書いていたコラムがあったんです。まさにあまちゃんを始めることになりましたっていう1年前のコラムに。

(サンキュータツオ)それで、1話僕が見た時に、『なんだろう?このナレーション』ってものすごい違和感があって。『あ、この人死ぬんだな』ってちょっと思ったんですよね。だから守護霊だからって思っていて、あ、そしたら2008年っていう設定があるから、2011年にそういうことになって、いま2013年の幽霊の状態で物語を戻って、回想してくれてる、紹介してくれてる話者、落語家・・・

(プチ鹿島)いやー、ゾクッとしたねー。

(サンキュータツオ)なんじゃないか?っていう話をしたらですよ、後半能年玲奈になると。

(プチ鹿島)だから東京編は能年玲奈がナレーション、自分でやるんですよ。

(サンキュータツオ)たしかに、これは何を意味するのか?っていうことなんですよね。

(プチ鹿島)これは、タツオがそういうこと言ったから慌てて変えたんじゃないの?

(マキタ・タツオ)(笑)

(マキタスポーツ)修正した。

(サンキュータツオ)そんなわけねーと思う(笑)。そんな時間ねーと思う。

(マキタスポーツ)海女局員がいたと。あまちゃん局員がいたと。

(サンキュータツオ)これ、考え方としてですよ、地域によって話者を変えてるんじゃないかなと。だから東京はアキちゃんがナレーションするんですけど。

(マキタスポーツ)それ、視点が変わっちゃうじゃん。

(サンキュータツオ)そうなると、どうなるか?要は今度、夏ばっぱが何考えてるかわからなくなるんですよね。

(マキタスポーツ)そうだよね。

(サンキュータツオ)宮本信子萌えなんですよ。次。

(マキタスポーツ)その構造でいったらそういうことだ。

(プチ鹿島)本当のさっき言ってたアイドル論につながる。

(サンキュータツオ)宮本信子アイドル論になってくるの。

(マキタスポーツ)なるほど!うわー!

(サンキュータツオ)だから僕ね、逆算したんです。2008年に東北に来て、いまちょうどこれしゃべっている時点では2009年を舞台にしてるじゃないですか。ってなると、アキちゃんが2011年に成人式で戻ってくる予定なんです。で、そのあたりでまた東京から地元に戻ってくるわけですよ。だからおばあちゃんと最後、会う。で、3月をむかえます。

(プチ鹿島)成人式、1月ってことでしょ?

(サンキュータツオ)そのあたりの時に宮本信子が何を考えてるかは僕らはわかんないから。だから仮にですけど、震災でおばあちゃん亡くなるにせよ、生きてるにせよ、おばあちゃんがその時何考えてるかっていうのは、アキちゃん目線で僕らは知ることになりますよね。ってことは、感情移入度としては、ものすごくおばあちゃんに近いものにならざるを得ないと思うんです。

(マキタスポーツ)うん。

(サンキュータツオ)もっと先読みするとですよ、またそういう震災とかがあって、戻ってきた場合。おばあちゃん亡くなってます、能年玲奈東北戻ってきます・・・3人めのナレーションが出てくると思います。

(マキタスポーツ)えっ!?勉さん?

(サンキュータツオ)違いますよ!

(プチ鹿島)3人めのナレーション?

(サンキュータツオ)キョンキョンですよ!

(マキタスポーツ)春子!そうなの?

(サンキュータツオ)そうですよ!って思うのね。

(マキタスポーツ)なるほど!

(プチ鹿島)つまりあの女系家族の3人のアイドル、人生がそれぞれ描かれるっていうか。

(サンキュータツオ)っていうのが俺の妄想ね。予想じゃないよ。妄想だから。予想すると絶対違うんですけど、妄想としてはそうなってほしいなって。

(マキタスポーツ)いやでも、このナレーションリレーっていう構造って、今まで朝ドラってやってるのかね?やってないよね、きっとね。こんなこと。もしやるとしたら。

(サンキュータツオ)でね、今日これ、オンエアー、ポッドキャストどうなるかわかりませんけど、これいま僕気になってるのは、東京編のアキちゃんのナレーションが標準語なのか?方言なのか?

(プチ鹿島)そう。それ、聞きたかったんですよ。それで大分違ってきますよね。

(サンキュータツオ)これ全然、ものすごいお話に関わる。

(プチ鹿島)これ、たとえば標準語だったらどういう・・・

(サンキュータツオ)これは東京と向き合うお話になるんで、最終的には東京の人に落ち着くと思います。

(プチ鹿島)でもそれだと、僕らはやっぱり一旦岩手に帰ってのびのびと、方言を自由にしゃべりまくってみんなに愛されてっていう、海女のアキを知ってるわけじゃないですか。それが東京に行って標準語でナレーションすると、どこかムズ痒いというか、知らない土地でがんばってんな、知らない土地っていうか自分が弾けない土地で。

(マキタスポーツ)俺、処女じゃなくなったようなイメージ感じちゃう。それだと。

(サンキュータツオ)僕らもね、今だから人の目を意識していなかった能年玲奈に萌えてたわけじゃないですか。アイドルなんて人目をバリバリ気にするものになってきて、『あ、少女がなんか女になってきてる』みたいな。あるじゃないですか。で、ここで方言を切り捨てたらどうなるか?みんな思うんですけど、僕は僕の予想ですと、標準語ナレーションなんじゃないかと。

(マキタスポーツ)ほー。

(サンキュータツオ)で、自分の心をあえて描写しないナレーションになるんじゃないかと。なので、自分が何を思っているのか言わずに、自分が見たものを言うとか。

(マキタスポーツ)だったら東北弁でいいんじゃねーの?今の心ってさ、彼女の心っていうのは、東京時代ではなくて完全に東北で、なんか全部とつながってる感じでしょ?で、そのままの状態で東北弁で『おら、この街、見て・・・』みたいな。

(プチ鹿島)逆上陸ですよね。

(マキタスポーツ)って言ってるんじゃないの?違うの?

(サンキュータツオ)だからやっぱりこれは、地元と向き合うお話なんで、生まれた場所がいいっていう話になっていかざるを得ないと僕は思うんです。あまちゃんっていうドラマがね。

(プチ鹿島)生まれた場所っていうのは、つまり東京ってことですか?

(サンキュータツオ)まあ、『全ての人々の』ってことですよ。視聴者も含めて、全ての人々が生まれた場所を愛しましょうっていうお話。もっと言うと、日本に生まれたんだから、みたいな話になっていくと思うんです。そうなるとやっぱり東京で生まれた自分っていうのを肯定しなきゃいけなくなる。どっかで。

(プチ鹿島)そっか。切り捨てられてるだけだもんね。いま、東京、ふるさとをね。

(サンキュータツオ)だって、もしかしたらですけど、僕らは初めて標準語のナレーションを聞いた場合、『いままでアキちゃんは心では標準語で考えてて、しゃべりは東北弁になってた』って。

(マキタスポーツ)俺、だから気になってたのよ。そのバイリンガル感が。

(サンキュータツオ)そうでしょ?そうなっちゃうよね。

(プチ鹿島)なんだったら、明るくのびのびしていたけど、むしろ岩手の方で演じてたのかもしれない。

(サンキュータツオ)『方言コスプレ』をしてたっていうね。だからこそ、それができる子だったからこそ、アイドルもなれるっていうね。っていうので、なんかちょっと一本筋が通るかなと思ったんですけど。

(プチ鹿島)なるほどね。これ、逆のパターンで、タツオが『無い』と思ってるかもしれないけど、いままでと同じ方言パターンのナレーションだと、与える影響っていうのはどんなのが予想されるわけ?

(サンキュータツオ)そうなると、方言になると印象の度合いとしては、やっぱりアキちゃんが自分で思っていることを吐露するっていうことになるから、ト書きよりはちょっと主観的な印象にならざるを得ないかなと思うんですね。ってなると、やっぱりアキちゃんに感情移入ができなくなっちゃうから、標準語の方が僕はいいなって思うんだけどね。

(マキタスポーツ)『じぇっ』が『えっ』になる日が来るのね・・・

(サンキュータツオ)イヤだなー、それ(笑)。

(プチ鹿島)でもやっぱり東京編ってなった時のサプライズ感っていうか・・・

(サンキュータツオ)でも、たとえば変わった子に会った時に『じぇじぇじぇっ!』って言ってほしいよね。でもそれは実際口に出して言う方で、ナレーションはなるべく第三者的に持って行かないと・・・

(プチ鹿島)でもそうなると、やっぱり標準語でナレーション。標準語でしゃべる東京編が続いて、でもやっぱりそれが8月とか9月終わりになって、また『じぇじぇじぇっ!』とか言い出した時の、このカタルシスってあるよね。俺ら、視聴者の。

(サンキュータツオ)いちばん自然なのは、まあその7月2週めぐらいまで方言ナレーションで、徐々に標準語に戻っていくっていう。

(プチ鹿島)ちょっとタイムスケジュール作ろうか?あの、俺たちのあまちゃんの。パラレルワールドのあまちゃんのね。赤坂のあまちゃん。

(サンキュータツオ)赤坂のあまちゃん(笑)。もうブリッツで俺たちのあまちゃん、しゃべろうか?

(プチ鹿島)あ、それいいな!俺たちのあまちゃん論。

(サンキュータツオ)あの、パラレルワールドのあまちゃんについて。

(プチ鹿島)それ、いいわ。

(マキタスポーツ)パラレルワールドね。

(サンキュータツオ)勝手にね(笑)。いや、能年玲奈と橋本愛ちゃんの『太陽と月』感、ハンパなくないですか?

(マキタスポーツ)そうだね!

(プチ鹿島)橋本愛も、でもさ、相当静かにおかしい女を・・・いい意味でね。だってあの種市先輩に告白されて、付き合おうと思った理由が『お台場』なの。

(サンキュータツオ)どんだけミーハーなんだって。古いタイプの田舎ものですよ。

(マキタスポーツ)気になってたのは、夢中感がどっちが強いか?って見ていたんだけど、橋本愛の方がかなり夢中感が強いんじゃないかって思ったわけ。所詮、海女のアキちゃんは、東京でイケてなくて東北の方に来たらってことで、変えてるわけじゃん。そのコスプレってことと同じだよね?それができてるだけ、なんかイヤらしいとは思わないけど、単なる夢中感の人じゃないんですよ。ただ見せ方はああいうことになってるけど。橋本愛はかなりおかしいよね。言ってることが、もうビビット過ぎて。

(プチ鹿島)向こうの方がおかしいって。

(マキタスポーツ)じゃあ逆転もあるんじゃないの?

(サンキュータツオ)あると思います。そして僕は、アキちゃんは種市先輩と結婚すると思います。

(プチ鹿島)ええー!?

(サンキュータツオ)2013年の時点でアキちゃん計算だと22になってなきゃおかしいんで、22でもうアイドル、やってないでしょ?ってなると、アキちゃんが子供を産んで終わるんじゃないかなと。で、名前に『冬』っていう文字が入るんじゃないかと。

(マキタスポーツ)あ、そこで欠けたピースが。

(プチ鹿島)うーん・・・で、グラビアアイドルに転身とかそういうの・・・

(サンキュータツオ)えー!?嘘、ものすごいがっかり・・・

(プチ鹿島)俺たちのあまちゃん(笑)。

(マキタスポーツ)クドカンのことだから、もう整形とかしだすと思う。

(鹿島・タツオ)(爆笑)

(マキタスポーツ)そういうネタとかぶっ込んでくると思う。

(サンキュータツオ)あるかも。黒く焼けちゃったりとかね。やだなー、それ。

(プチ鹿島)木更津に住んだりね。

(マキタスポーツ)いやでもね、俺ね、ちょっとこれ言うの止めようかな・・・

(サンキュータツオ)なになに?

(マキタスポーツ)俺ね、あまちゃんに関してはね・・・あ、やっぱり止めておこう。

(鹿島・タツオ)(爆笑)

(マキタスポーツ)止めときましょう。これは。

(サンキュータツオ)うわー、気になるわー!

<書き起こしおわり>

許可局2013年6月22日①「あまちゃん論 その後」

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