（十束おとは）なんか可能性をつぶしちゃうような気がしてて。人当たりがいい女の子って会社で重宝されるじゃないですか。アイドルって人当たりは二重丸なんですよ。特典会をこなしてるから。だから、その会社的には能力があればそういう子ってバンバン採用したいじゃないですか。だからそういう意味でも、もうちょっとみんながその後、いい生き方をできて幸せにちゃんとお金を稼いでやりたいことをして生きていけるように。そこまでがアイドルっていうか。そう思うんですけども、なかなか……。
（吉田豪）この前、福田花音さんがここに来て、いいことを言ってたんですよ。アイドルを辞めた後、しばらくバイトもちょこちょこやってて。やっぱりアップフロントで子供の時からやってると、振り入れとかを覚える能力がすごい高いらしいんですよ。歌とかもすぐに覚えなきゃいけないから。で、その結果バイトを何やっても仕事を瞬間で覚えて。もうどんどん出世したっていう風に言っていて。「やっぱりアップフロントってすごい！」っていう（笑）。あそこで鍛えられると、そういうつぶしのきき方があるっていう。
（十束おとは）そうですよね。たしかに能力半端ないですもんね。本当にアップフロントの皆さんもそうですけど。地下の子たちも本当に頑張ってる子たちがいっぱいいるから。その子たちがその後どうなるのか？っていうのがめっちゃ気になっていて。
（吉田豪）わかります。ちゃんと普通に仕事して、そっちも楽しくやってますみたいなものがあんまり見えないから。ごく一部ですもんね。Twitter上でその後もその名前で新たな仕事を頑張ってますみたいな子って。
（十束おとは）どうしているんですか？
アイドルを辞めた後の仕事像が見えづらい
（吉田豪）「どうしている」……？ いろいろですよね。結局だから、普通の仕事……今、辞めなきゃ普通の仕事ができない」と思って辞めたBELLRING少女ハートの朝倉みずほも結局戻ってきて。
（十束おとは）でもみずほちゃんはきっと向いてるんでしょうね。ステージが向いているから、それはきっとね、いい道を……。
（吉田豪）「バイト経験とかなくて、不安で……」っていう。やっぱりいろいろ試した方がいいとは思うのです。たしかに。無責任に言えないじゃないですか。「あなたは絶対向いてるとは思うけれども、どこかで辞めたくなった時。25、6で冷静になった時に僕らが後押しした責任は取れるのかな？」って思って。
（十束おとは）そうなんですよね。あと私みたいに大学を卒業してアイドルになったみたいな子ってあんまりいなくて。在籍中に大学に通うとかはあるんですけど、だいたいアイドル一本でずっと頑張ってきて。大学とか専門学校とかに行かないまま、20代半ばとかを迎えてしまった場合、「その後ってどうしたらいいの？」ってたぶんなっちゃうから。なんかそういうところまでちゃんと考えられる期間があったらいいのかなっていう風に思います。
（吉田豪）常々言ってるんですよ。歌とダンスの能力をいくら上げても、それが生きる仕事ってほぼないわけじゃないですか。ミュージカル俳優的なものってまずないわけで。「あなたが今まで培ったものがほぼ生きないです。さあ、頑張ってください！」って、そんなのないじゃないですか。
（十束おとは）酷ですよね。そう思います。うん。
（吉田豪）ただ、僕が言ってたのは握手会とかが増えた結果、人の顔を覚える能力とか会話する能力とかは高まったので。たぶん社会性は身に付けたんですよ。アイドルは。昔以上に。
（十束おとは）そう！ そうなんですよ。だから、会社が重宝しそうだなって思って。だから営業とかでめっちゃ人当たりよくて。ちゃんと人のことを褒められて、かわいい女の子が来たらもう嬉しいじゃないですか。
（吉田豪）ですよね。
（十束おとは）世の中ってそういうもんなんですよ（笑）。
（吉田豪）フフフ、そう。ちゃんと相手の名前を覚えてね。
営業職として重宝されそうな元アイドル
（十束おとは）そう。すぐ名前覚えるから。「◯◯さん、この前はありがとうございました！」とか言ったらもう本当にもうばっちりじゃないですか。だからそういうところに使えれば……。
（吉田豪）そうなんですよね。アイドルは営業スキルが確実につくはずなので。
（十束おとは）そうそう。いいと思うんだけどな。
（吉田豪）ただなかなかその営業職までたどり着けないだろうし……っていう感じなんですよね。
（十束おとは）そうなんですよ。だから「そこまで誰かがサポートして連れていってあげるようなところがあればいいのではないかな？」って、アイドルをやっていて思ったんですよね。
（吉田豪）うんうん。さすがですね。こういう軽い気持ちで振った質問でも、ちゃんとここまで広げるっていう（笑）。
（十束おとは）えっ、本当ですか？（笑）。
（吉田豪）ちゃんといろいろ考えてるんだなっていう。
（十束おとは）うわっ、偉いなー！（笑）。
（吉田豪）本当に偉いですよ（笑）。
（十束おとは）真面目。真面目すぎちゃったなー？（笑）。
（吉田豪）くすぶっている期間とかにいろいろと自分で考えてきた部分もあるんでしょうね。
（十束おとは）ああ、そうかもしれないですね。うん。
（吉田豪）考える癖がついているというか。
（十束おとは）そうですね。考えることはめちゃめちゃ好きですね。
＜書き起こしおわり＞