東野幸治と佐久間宣行『あちこちオードリー』を語る

東野幸治と佐久間宣行『あちこちオードリー』を語る 佐久間宣行の東京ドリームエンターテインメント

(佐久間宣行)東野さん、MCのレギュラー12本とかやっているんですよね?

(東野幸治)でも、それはあれですよ。だからフロアディレクターやから、もう何でもできるんですよ(笑)。で、それはそれで別にストレスもないし、楽しくてできるんですよ。

(佐久間宣行)俺、Wikipediaを見てびっくりしたんですけども。東野さん、このレギュラー12本ぐらいあって、CMはゼロなんですよね。すごくないですか? 逆に。

(東野幸治)ゼロですよ。いや、俺も気が狂ってるんですよ。たぶん俺、奇跡の人やと思うんですよ(笑)。

(佐久間宣行)逆に?(笑)。

(東野幸治)逆に。俺、なんで仕事あるんやろうなって思って。何の好感度もないのに。だからたぶんホンマにあれですよ。ずっとフロアディレクターに徹しているから仕事があんねんなと思って。

フロアディレクターに徹しているから仕事がある

(佐久間宣行)でも制作からすると東野さんてって本当に頼りになる……それがいつの間にか頼りになる存在になったような気がするんですよ。昔は変な話ですけどちょっと怖いっていうか、飛び道具的な……。

(東野幸治)そうです、そうです。なんか、あれです。飛び道具とかくり抜きみたいなね、ワンポイントみたいな感じでしたよ。

(佐久間宣行)だったのに、いつの間にかこう、ちょっと言い方は失礼ですけども。完全にMCとして定着されたっていうのは、どこかで何かあるんですか? ターニングポイントというか、この仕事みたいなのが。

(東野幸治)この仕事っていうのはないですけど。なんか、諦めたんですよね。

(佐久間宣行)フハハハハハハハハッ!

(東野幸治)お笑いでレジェンドになるのをもう諦めたんですね。「ああ、無理や」ということで、もうテレビって楽しいし面白いじゃないですか。で、出ておきたいなと思ってたんで、まあまあ自分なりにテレビの中の居場所というか。リビングなのか、ベッドルームなのか、トイレなのか、台所なのかわかりませんけども。ほんだらなんか、誰もおらへんクローゼットを見つけたんですよ(笑)。

で、ずっとクローゼットに入ってたら、まあまあ人は来へんし。その競合相手もあんまりおれへんから。「ああ、これはエエな」と思ってなんか、何の文句も言わずに、言うたら番組に参加するようになったんですよ。だから別に視聴率も全く気にせんわけじゃないけど、別に俺が中心でやってるわけでもないし。まあまあ、歯車のひとつやし……みたいなスタンスで。

(佐久間宣行)そうか。「自分を過大評価しない」っておっしゃってましたもんね。

(東野幸治)そうそう。自分のことを全く過大評価しませんから。特に言うたら落ち込むこともそんなにないし。「まあ、こんなもんだろうな」みたいなところですよ。

(佐久間宣行)という風に自分のマインドが変わってきた。

(東野幸治)そうです、そうです。

(佐久間宣行)それから逆に、そうすると仕事が増えていったってことですか?

(東野幸治)そうです。ほんでたまにゴッドタンとかに呼ばれると、お笑い芸人のつもりやと思って何か楽しい思いをして……だから西野はそれをネットでやってるけど。たまにゴッドタンでお笑い芸人というポジションを与えられて。あいつ、おいしいじゃないですか。

(佐久間宣行)1年に1回ぐらい。

(東野幸治)だからああいうポジションの情報番組の司会者のおじさんが行くみたいな感じですよね。どっちかって言うと。

(佐久間宣行)ああ、今の感覚だと。

(東野幸治)今の感覚で言うと。それでゴッドタンを1年に1回、ずっと4回ぐらい呼ばれていたけど、なんかどっかの出役のキャバクラ嬢に「もう出なくていいよ」って言われて。あれから一切呼ばれなくなって。「あの、ボケ!」思って。あのキャバ嬢(笑)。

(佐久間宣行)あいなね(笑)。「東野、もう出なくていいよ」って。フハハハハハハハハッ!

「東野、もう出なくていいよ」(あいな)

(東野幸治)「東野、もう出なくていいよ、ゴッドタン。頑張ってるのわかったからさ」みたいに言われて、全然出なくなって。それで「佐久間さん、全然呼んでくれへんな」って思いながら言われたのがその『あちこちオードリー』で。

(佐久間宣行)1回、千鳥の番組にも来ていただいて。『キングちゃん』っていう。

(東野幸治)ああ、そうそうそう。千鳥もいろいろと東京で頑張ってるっていうことで行ったんですけどっていうことですから。

(佐久間宣行)でもその『あちこちオードリー』の後、なんか若林くんのアクセルが変になっちゃって。その後の収録回で全部、オープニングがテレビの悪口から入るっていう(笑)。

(東野幸治)フハハハハハハハハッ! あいつね、すごいよ。まだ若いし、もっとお笑いスターになれるんやから、ガツガツ行けばいいけど。もうそういうマインドじゃないんですね。

(佐久間宣行)いや、わかんないです。だから、山ちゃんと若林くんは違うじゃないですか。山ちゃんはちょっと野心がある感じ。

(東野幸治)ものすごい野心、ありますね。はいはい。

(佐久間宣行)山ちゃんとライブ、やってますもんね。

野心家・山里亮太

(東野幸治)そうなんですよ。年に1回、山里と2人でお互いの1年間にあった話を言い合うっていうだけのをやっているんですけども。あいつ、だからあいつが赤いメガネを透明のメガネにした時があいつの最終形態なんで。

(佐久間宣行)フハハハハハハハハッ!

(東野幸治)そうなんですって。で、ニュース番組の真ん中にドンと座るっていう。そこを狙ってやってますから。

(佐久間宣行)あいつはそうですよね。だからやっぱり山ちゃんは……。

(東野幸治)ちゃんと、その真っ当な努力を最短距離でする男じゃないですか。

(佐久間宣行)若林くんは結構ね、ウロウロと悩みながら進む中でこの間、東野さんに会った時に東野さんの「俺たちは傭兵だ。テレビ界の、ディレクターのために働く傭兵だ」っていう言葉に感銘を受けすぎていて(笑)。

(東野幸治)それはダメでしょう(笑)。だから、あの人らの世代が頑張ってテレビを面白くするとかっていう。

(佐久間宣行)山ちゃん、若林、千鳥とか。

(東野幸治)それでその下が第七世代っていう人たちなんでしょう? だからその上はもう関係ないんですよ。もうホンマに。あとはわからへんけども。たけしさんみたいに再婚するとか。なんやいろんな道があって。もうほうぼうで好きなことをやるけど。あのオードリーとかバナナマンとか千鳥がやっていくっていうことなんでしょう?

(佐久間宣行)あそこはまだもがいてほしいっていうことですね?

(東野幸治)そうです。だから「面白いことをやったりしてるな」とか、「面白そうやな、すごいな」っていう風に思いたいけど、やけになんか情報番組に来るな思って(笑)。

(佐久間宣行)そうなんですよ。情報番組に行く。

やけに情報番組に来る

(東野幸治)でも情報番組の企画自体がもう通らないでしょう? もう面白い番組なんて。

(佐久間宣行)なかなか通らないと思います。要はゴールデンだと。でも今度、『有吉の壁』がレギュラーになるみたいで。

(東野幸治)ああ、何か言ってました。だからもう有吉もわかった上でね、つぶやいてましたもんね。

(佐久間宣行)もう厳しい枠だとわかった上で、「でも誰かが……」って。もう有吉さん、あれですよね(笑)。

(東野幸治)お前、毒舌でもなんでもないやないか! ただの責任感のある運動部のキャプテンみたいな感じになって(笑)。

(佐久間宣行)「後進のために誰かがやらなきゃいけない」っていうインタビュー、してましたよね?(笑)。

(東野幸治)「俺が低視聴率を出しても、またそれが反省材料になって次につながる」みたいな。「お前、なにを命のバトンを渡してんねん? しっかりせえ!」っていう(笑)。

(佐久間宣行)それ、気になりましたよね? 俺も気になりましたよ(笑)。

(東野幸治)「有吉、どうしたんや?」みたいな(笑)。

<書き起こしおわり>

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