佐久間宣行 長渕剛『とんぼ』最終話を語る

佐久間宣行 長渕剛『とんぼ』最終話を語る 佐久間宣行のオールナイトニッポン0

佐久間宣行さんが2020年1月15日放送のニッポン放送『佐久間宣行のオールナイトニッポン0』の中で久しぶりに見た長渕剛さん主演のドラマ『とんぼ』について話していました。

(佐久間宣行)ということがあったというので、田中の話なんだけども(笑)。

佐久間宣行 2020年新春・アンガールズ田中の1人伏線回収を語る
佐久間宣行さんが2020年1月15日放送のニッポン放送『佐久間宣行のオールナイトニッポン0』の中で2020年の元旦に放送された特番『新春!千鳥ちゃん』についてトーク。その中でアンガールズ田中さんが発したある言葉を数時間後に自身で伏線回収して...

それと、年末の12月30日かな? 毎年、年末は特番を作ってるから飲み会とか忘年会とかほとんどやらないんですけど。僕、毎年1個だけ忘年会に行くんですよ。その唯一の忘年会が……まあ、行けない時もあるけども。大学の同級生たちと、僕が働いていた高田馬場の居酒屋があるのね。大学3年からずっと卒業まで働いてたところがあって。味はもうね……これ、店長も聞いてるかもしれないけど。うん。普通です(笑)。年内最後に食べるものとしては本当に普通の……普通の居酒屋。だって学生街の居酒屋だから。

そこで20年、俺の大学の友達たちが忘年会をやっているのね。で、そこに奥さん連れてきたりもするし、みたいなので。まあ家族ぐるみでやってるんだけども。で、そこがさ、鹿児島料理屋なんだけど。俺、バイトしてる時に……これ、横道に逸れちゃう話なんだけども。俺、福島の出身じゃない? それで俺、何の気なしバイト情報誌を見て鹿児島料理屋で働いていたら、もう今は亡くなっちゃったんだけど、そのことをお爺ちゃんに言ったの。その時に。そしたら、「お前は福島の恨みを忘れたのか?」って言わてて。鹿児島……まだ薩摩の恨みを俺のお爺ちゃんは忘れてなくて。「そんなバイト、すぐ辞めろ!」って言われて(笑)。

よく考えたら俺さ、幼稚園の頃にお遊戯会で白虎隊をやって、毎年死んでたのよ。「びゃっこーたいー♪」っつって。で、「薩摩ーっ!」とか言いながら死んでたから、お爺ちゃんは許してくれなかったのよ。最後までお爺ちゃんが俺を許さなかった。死ぬまで許さなかったのよ。鹿児島料理屋でバイトしてたことを(笑)。

なんだけど、まあ店長もいい人だし。大学が近かったからずっと働いていて、そこで忘年会を20年やってるのよ。それで20年、潰れないだけでも素晴らしいんだけども。それで今年、急にその高橋っていう大学の同級生がBlu-rayのデッキを持ってきたのよ。それで「今日はみんなでBlu-rayを見たいんだ」「えっ、なに?」って言ったら「これ、見てくれよ」っつって。それが『とんぼ』っていうドラマのBlu-rayだったの。

で、その『とんぼ』っていうのは長渕剛さんが主演で、1988年のドラマなの。やくざドラマなの。「なんで今更?」って言ったら、ずっと何かでもめてて、映像化されてなかったんだって。それが2019年の10月? 9月の末かな? 長渕さんがOKしたのかどうか知らないけど、初めてDVDとBlu-rayになったんだって。

とんぼ [Blu-ray]
コロムビアミュージックエンタテインメント

「これ、俺は人生で一番好きなドラマだし。長渕は鹿児島だろ?」っていう。それでまあ、店長も長渕ファンなのよ。ギターで長渕の歌、『乾杯』とか弾き始めるようなおっさんだから。「みんなで『とんぼ』、見ようぜ!」って言われて、全然乗らなかったんだけど(笑)。「なんで年末に30年前のドラマを見なきゃいけないんだ?」と思ったんだけど。

なぜか年末に30年前のドラマを見ることになる

でもそれを、長渕のもう本当にクレイジーなぐらいのファンの俺の友達がいるのよ。井上っていうやつなんだけども。桜島ライブにも全部行くみたいな。それでその高橋っていうやつと、とにかく長渕ファンだから「『とんぼ』を見たい」って言われて。「じゃあ、1話だけな」って。それで俺はもう全然覚えてないんだけど、高橋がめちゃくちゃ覚えてて。「ここでカレー食うんだよな。このカレーのスプーンがさ、水の入ったコップに入ってるのが懐かしいよな」って言うんだけど……俺はも全然感情移入できないまま1話を見て。

それで俺、お願いして。「頼むから、もう最終話にしてくれ。このまま。真ん中を飛ばして最終話の有名なシーンを……」っていう。これ、知らないリスナーもいるだろうけど。最終話は、要は英二……長渕剛が刺されて死ぬのね。俺もそこのシーンは覚えているからっていうことで。「そこのシーンだけにしてくれ」って言って。「わかった、しょうがねえな」って言われて。それでみんな、もうベロンベロンなわけよ。俺の友達、高橋も井上もみんな。それで最終話。幸せなシーンのカットバックの後、電話ボックスから出て、その長渕剛が刺されるわけ。それで刺されながら、路上をふらふらと歩くわけよ。

それでいろいろな人が見ているけども、助けてくれない。それを長渕剛が「何を見てるんだ!」みたいなことを言いながら、ずっとゆっくり歩いていくの。それで、思った以上に死なないのね。刺されてから……まあ、体感で言うと10分ぐらい死なないんだけども。ふらふら歩いてるうちに、横から声が聞こえてきたの。高橋の声。「おい、誰か助けろよ」っつって。フハハハハハハハハッ!

「おい! 英二が死んじゃうだろ!」って言い始めて(笑)。そしたらその酔っ払っている井上も「英二、電話ボックス戻って救急車を呼べ!」って言って(笑)。もうベロンベロンで懐かしさの方が先に来て。なんというか、応援上映みたいになったのよ(笑)。『とんぼ』の最後の。「英二!」っつって。でも、その「英二!」って言っているやつらが羨ましくなって。俺も我慢してたんだけど言った方が面白いのかなと思って。俺は最初、チャチャ入れる感じで「ああ、なんか死なねえな?」みたいなことを言ったらめちゃくちゃ胸ぐら掴まれて。フハハハハハハハハッ!

めちゃくちゃキレられて。「ちゃんと見ろ!」って言われて(笑)。それでみんなでしょうがねえから「英二! 英二ーっ!」っつったら、まあまあ死んだわけ。死んだっていうかネタバレ……まあまあ、いいか。30年前のドラマだから。それで空に「完」って出たのよ。そしたらもうべろべろの高橋が「俺たちの応援が足りなかったんじゃないか?」って言い始めて。フハハハハハハハハッ! 「もう1回見たら、英二は死なないかもしれない」みたいなことを言い始めて。そしたら井上が「そうだな。もう1回、見たい。もう1回見たら、未来は変わるかもしれない」みたいなことを言い始めて。もうダメよ。本当に酔っ払いの一番ダメなパターン。

「もう1回見たら、英二は死なないかもしれない」

でもベロンベロンになってて、『とんぼ』の最終話をもう1回見させられたら、今度は井上と高橋が「英二! 電話ボックスから出たらダメだ!」って言い始めて(笑)。「ダメだ! 英二、死んじゃう……刺されたぁー!」って。そしたら「英二、そのまま歩いていったって誰も助けてくれねえぞ!」なんて言いながら。「英二、立ち上がれ!」って言いながら(笑)。俺、結局最終話をね、4回見たんだよ。フハハハハハハハハッ! 翌日、喉が腫れているんだから(笑)。

(中略)

(佐久間宣行)メールが来ております。「佐久間さん、『とんぼ』の応援、届いていますよ。佐久間の応援であのドラマには『英二ふたたび』という続編が出ています。英二は……生きています!」。ああ、そうだ! そうだそうだ! そうか。あそこは死んだか死んでいないか、わからない終わり方をしているんだ。そうかそうか。

続編『英二ふたたび』

もうみんな、ベロンベロンだったから(笑)。もう『まどかマギカ』みたいな見方をしていたからさ。グルグルとループをしながら「英二を助けたい!」っていう気持ちで見ていたからさ(笑)。

続いてのメール。「佐久間さん、ちょうど僕、『とんぼ』を見ていてまだ5話なんすよ。えっ、英二、死ぬんすか? ちょっとネタバレやめてもらっていいですか?」(笑)。ああ、やっぱり30年前のドラマもネタバレはダメかー。くそー! なにも話せねえな。……そんなやつ、いねえだろ? 5話見ているやつ(笑)。

<書き起こしおわり>

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