渡辺志保 Lil Nas X『7』と『Panini』を語る

渡辺志保 Lil Nas X『7』と『Panini』を語る MUSIC GARAGE:ROOM 101

渡辺志保さんがbayfm『MUSIC GARAGE:ROOM 101』の中でLil Nas XのEP『7』と『Panini』を紹介していました。

7 EP [Explicit]

(渡辺志保)続いてはリル・ナズ・Xの最新EP『7』を特集したいなという風に思っております。この番組でもたびたびリル・ナズ・X、そして彼の特大大ヒットチューン、『Old Town Road』については触れてきているんですけども。いま、2019年上半期最も売れている曲。そしてずーっとビルボードチャートの1位に居座っていて、あのエド・シーランもテイラー・スウィフトもその1位を奪取することがかなわなかったぐらいの大ヒットチューン、『Old Town Road』を引っさげてリル・ナズ・Xが最新EP『7』をリリースしたというところです。

で、6月21日にリリースされたばかりなんですけれども、まあ多分世界中の人がさ、この『Old Town Road』がぶっちゃけこれだけのヒットになって。世間的にはもう「一発屋」って言われる準備はもうできていると思うんですよね。で、その一発屋になりそうなリル・ナズ・X、次はいったいどんな曲をリリースするのか?っていうのは非常に注目が高まっているところだと思います。

で、このEPは『7』というタイトルの通り、7曲入りなんですけれども。1曲目がまず『Old Town Road』のビリー・レイ・サイラスが参加したりミックスで幕を開けるんですね。で、EPの最後はオールドダウンロードのオリジナルバージョンが入ってるから、実質2/7は『Old Town Road』なんですよ。なので、純粋な新曲としては他の5曲だけっていうことになるんですね。

で、その5曲なんですけれども、ビート、トラックは全てリル・ナズ・X本人が選んだそうなんですよ。で、本人も非常に、彼はそのカントリーとヒップホップをくっつけて新しいジャンルを作ったっていう風に言われてますから、新しいことがしたいということで。それで流行りのトラップ系のヒップビートはすべて排除して作ったそうなんですね。聞いた感想なんですけど、ぶっちゃけね、私は自分が歳を取ったなって感じたんですけど、どう聞けばいいかちょっとわからなかったんですよ。全部通して。2周ぐらいしたんですけど。

で、あのね、その流行りのトラップビートとかはない前提なんですけど、その代わりやっぱすごいエッジの効いたギターがギュンギュンのロックっぽいサウンドもあれば、本当になんかヴァンパイア・ウィークエンドかな?っていう感じのちょっとなんか洗練されたポップでキャッチーなサウンドもあったりして。ぶっちゃけ、リル・ナズ・Xが自分のアーティスト性はこうですって何を提示したいのか、ちょっとわかりかねるところがありました。

なんかすごいポスト・マローンっぽいなって思うところもたくさんあったしね。で、『Old Town Road』が流行りすぎちゃって、あの曲ってやっぱりカウボーイ押しというか、自分もテンガロンハットを被ってね、フリンジ付きのレザージャケットを着て。それで馬に乗ってパフォーマンスするみたいな、そういうところまでをリル・ナズ・Xですっていう感じでパッケージで作り上げちゃってるから、彼が本当にどういう音楽が好きなのかとか、彼が本当にどういうラッパーもしくはアーティストになりたいのか。そのポップスシーンでどういう風に成功したいのかとか、そういったところがカモフラージュされてるなっていう印象がずっとありまして。

で、この『7』を聞けば何かがわかるかな?って思ったんだけど、本当に正直に言うとわからなかったっていうのが私の率直な感想です。で、ネットのレビューとかを見ても、本当にこき下ろしているところはこき下ろしてる。たとえばピッチフォークなんかすごくやっぱりすごく低評価をつけてますし、「まあこんなもんじゃないか」っていう好意的なレビューを書いているサイトなんかもありますので、本当にみんなが混乱してるんじゃないかなっていう風に思うし。

Twitterの反応とかを見ていても、やっぱり若いリスナーは非常に楽しんで……純粋に楽しんで聞いてるんじゃないかなっていう風に印象を受けました。で、この EP『7』の中から、いま多分いちばんストリーミングで聞かれている曲が『Panini』っていう曲なんですが。パニーニといえば、日本でもパニーニサンドってすごいポピュラーですけど、イタリアの薄いパンで挟んだサンドイッチを思い浮かべるかもしれないが……リル・ナズ・X本人も「この曲はサンドイッチじゃありません」っていう風に言ってて。

じゃあ、パニーニって何のこと?っていう感じなんですけど、『Chowder(チャウダー)』というアニメがあるそうなんですね。で、その『チャウダー』に出てくるキャラクターの名前でパニーニちゃんっていうウサギとネコをミックスさせた少女。そして、これはWikipediaから引用しているんですけど、「かなり積極的な性格。主人公のチャウダーに一目惚れして以来、一方的なアプローチを仕掛けているが、彼に迷惑がられている」という、ちょっと押しの強い女の子っていうキャラクターなんだって。

チャウダー&パニーニ

それでそのパニーニっていうのをね、自分のガールフレンドにたとえて歌った曲になっています。で、この曲なんですけれども、なんと驚くべきことにニルヴァーナの『In Bloom』という曲を引用しておりましてね。それでリリース直後からですね、ネット上で話題になっております。

でもこういうところが正直言ってリル・ナズ・Xのいいところだなって思うんですが、彼はこの曲が『In Bloom』を引用してるっていうことを最初は意識してなかったっていうか知らなかったらしいんですね。で、ニルヴァーナの『Nevermind』っていう赤ちゃんのジャケでおなじみのアルバム。あのアルバムもジャケットは知ってたけど、ぶっちゃけ聞いたことがなかったっていう風に言ってました。その正直なのがいいじゃないかと私は思ったんですけれども。

なので、いろんなレファン層に響く曲になっているのか?っていう感じなんですが。次のリル・ナズ・Xのヒットになるかもしれません。ここで1曲、聞いていただきましょう。リル・ナズ・X『Panini』。

Lil Nas X『Panini』

<書き起こしおわり>

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