(町山智浩)でね、この人ね、実はシルベスタ・スタローンをすごく尊敬しているんですよ。そこも僕、すごくマ・ドンソクの好きなところなんですけども。で、ちょっと怖い話ばっかりしちゃったので、みんなマ・ドンソクに対して偏見を持っていると思うので、そうじゃないところでぜひ、いまDVDとか配信で見れる映画があるので、これを見てもらいたいんですけども。本当にいい映画なんで。『ファイティン!』っていう映画なんですよ。「戦う」っていうタイトルですけども。
(赤江珠緒)はい。
『ファイティン!』
マ・ドンソク、“腕回り50センチ”の上腕筋パワーで闘う!『ファイティン!』公開決定 #マ・ドンソク https://t.co/RAfMqv6Pei pic.twitter.com/m9m2QJCfAW
— 映画ランド (@eigaland) 2018年7月25日
(町山智浩)これ、マ・ドンソクの役は腕相撲のレスラーです。もう最高の適役ですね。で、これは彼自身の人生ともかぶっているところがあって、アメリカで育った男なんですよ。それで韓国にやってきた。その腕っぷしで腕相撲のレスラーとして呼ばれて韓国にやってくる。そのへんは彼自身の個人的な体験とも一致しているところで、すごく彼の素みたいなものが出ているんですね。
(赤江珠緒)マ・ドンソクさん自身もそういう半生だったんですね。
(町山智浩)まあ、彼自身はお母さん、お父さんと一緒に行っているんですけども、この映画の中では昔、韓国って貧しかった時に子供を養子としてアメリカにいっぱい出したんですよね。だからそういう子たちがいっぱいアメリカにはいるんですよ。で、「自分は養子に出されてしまって母親に捨てられた」って思っているのがこの映画の中のマ・ドンソクですね。実生活ではそうじゃないですよ。で、そこで腕相撲をしていくんですけど、彼はその腕相撲を自分の人生の武器だと思っていたのは、シルベスタ・スタローンの腕相撲映画で『オーバー・ザ・トップ』っていう映画があるんですよ。
(山里亮太)はあ。
(町山智浩)ご存知ない?
(赤江珠緒)はい。
(町山智浩)あんまりヒットしませんでした。でも、すごくいい映画なんですけども、その『オーバー・ザ・トップ』を見て腕相撲に目覚めたという設定になっています。で、腕相撲大会で勝ち上がっていくんですけど、そうすると周りにヤクザがいっぱいいて、いろんな圧力をかけたり脅しをかけたりしてくるんですね。で、その中でマ・ドンソクは自分は血のつながりばっかりを考えていたんだけども、そうじゃなくて血がつながらない家族というものを、その自分の周りの友達とか、そういった人たちの間につくっていくという、いい話なんですよ。
(赤江珠緒)うんうん。
(町山智浩)この映画は人情物ですよ。『ファイティン!』って。
(赤江珠緒)へー!
(町山智浩)だからすごく面白いなって思うのは韓国ってね、血のつながりばっかりうるさい国なんですよ。ものすごいんですよ。血筋とかそういうことを言うのがね。でも、この映画はそうじゃなくて、それを超えた絆を作っていくという話で。最近は韓国映画はちょっとそっちの方にシフトしているっていうのがすごく大きい韓国の変化だなって僕は思うんですけども。で、こうやってやっていくうちに結局ヤクザに「お前、負けないと殺すぞ」みたいな話になっていくんですよ。要するに「八百長をやれ」って。で、その時に彼が言うのは「俺はどんなことがあっても退かないぞ。それは俺が自分自身を証明するためだからだ!」って言うんですよ。
(赤江珠緒)うんうん。
(町山智浩)このセリフはロッキーのセリフなんですよ。ロッキーでスタローンが自分の愛するエイドリアンに言った「俺がリングに立ち続けて決して試合を諦めないのは、俺がクズじゃないことを証明するためなんだ」っていうことなんですよ。そのセリフを引用しているんですよ。もうそれだけで100万点ですよ!
(赤江珠緒)フフフ(笑)。
(町山智浩)いや、でも本当に泣けるんですけど。で、そういう話をしていたら、さっき言っていた『悪人伝』っていう映画がシルベスタ・スタローン主演でハリウッドでリメイクされることが決定したんですよ。
(赤江珠緒)へー! トンデモ暴力刑事の話が?
(町山智浩)スタローンが暴力刑事役なんですね。で、その豪腕組長の役はマ・ドンソクがそのままやります!
(赤江珠緒)そのまんま? へー!
(町山智浩)彼は英語ペラペラというか、アメリカで育っているから。
(赤江珠緒)そうか。じゃあ、共演ですね!
(町山智浩)これ、すごいですよ。共演なんですよ。『ファイティン!』でラブコールしていたら、もう本当に共演になってしまうんですよ。で、しかもこのマ・ドンソクはあまりにも腕がすごすぎるんで。とうとうマーベル・ユニバースの新しいシリーズの『エターナルズ』にレギュラーで参加することが決定したんですよ!
(赤江珠緒)超人っていうこと?(笑)。
マーベル『エターナルズ』出演決定
BREAKING: South Korean actor Ma Dong-seok ("Train to Busan") has reportedly joined the cast of @MarvelStudios' THE ETERNALS! https://t.co/gX0RU8UAJn pic.twitter.com/y5TdK65Fhz
— MCU Direct (@MCU_Direct) 2019年4月17日
(町山智浩)超人っていうことですよ! 人間じゃない超人の役なんですけども。「スーパーパワーは?」「腕相撲」っていうよくわからない超人役なんですけども(笑)。だからすごいなって思って。腕一本でのし上がるって、まさに文字通りだな!っていう(笑)。
(赤江珠緒)そうですね(笑)。
(町山智浩)すごいなって思いましたけども。まあ、本当はこのかわいさが非常に重要なんですけども。
かわE! #tama954 pic.twitter.com/DQYlWoVHIY
— みやーんZZ (@miyearnzz) 2019年6月18日
(赤江珠緒)ねえ。マブリーとも呼ばれているという。
(町山智浩)そう。新井浩文さんをすごく太らせて筋肉をつけたみたいな顔なんですよ。かわいくて。で、しかも彼からいやらしい性欲を抜き取ったところにきれいな心を入れるとマ・ドンソクができあがります!
(赤江珠緒)ほうほう。いや、でもどんだけ鍛えればこんだけなるんでしょうね?
(町山智浩)まあたぶん、腕のかわりにカラテカ矢部さんをつけているだけかもしれないですけども。
(山里亮太)おかしいな? それだと急に弱々しく見えちゃうっていう(笑)。
(町山智浩)そういうね、マ・ドンソクの魅力をみんなにぜひ知っていもらいたいので、見ていただきたいです。
(山里亮太)公開、近いですもんね。
(赤江珠緒)はい。『無双の鉄拳』は6月28日、『守護教師』は8月2日に日本公開となっております。『ファイティン!』はDVDなどで見ることができるということでございます。わかりました。もうマ・ドンソクにいま夢中という町山さん、ありがとうございました。
(山里亮太)ありがとうございました!
(町山智浩)もう最高ですよ、はい!
<書き起こしおわり>
2019年6月18日(火)「たまむすび」アメリカ流れ者 https://t.co/y8R1vkNm8z
町山智浩 マ・ドンソクを語る— みやーんZZ (@miyearnzz) 2019年6月18日