(星野源)さあ、そして先週、耳の聞こえない方からメールをいただきまして。本当に感動をしてしまったんですけども。音が聞こえなかったけれども、すごい楽しんでいただいたという内容のメールでした。そのメールを読んだのを聞いて、いろんな感想メールが届きました。ありがとうございます。埼玉県の方。「先週の放送を聞いて、大阪京セラドームに参戦された聴覚障害を持つご夫婦の話にとても感動しました。参戦された時のお気持ちや源さんが作られた音楽が1人、また1人の中へ届いていること。あのライブの瞬間にともに最高の時間を共有できた音楽の素晴らしさ。私は大学の時に難聴な学生の方と出会い、授業に一緒に参加をして横で要約筆記をするノートテイカーというボランティアをさせていただきました。
いまでも仲良くしているその後輩くんも音は聞こえないけれど同級生がやっているバンドのライブにいつも参戦して感想をたくさん話してくれてたことを思い出しました。感受性の豊かさ、繊細な部分をとらえる力の素晴らしさを感じて、素敵だと思いました。いまでも、ろう者の方のコミュニティーでボランティアをし、一緒に手話で歌を歌う機会もありますが、良きも悪きも音楽に対する思いや本音な部分も言っていただけたことがありました。だから正直、誰にでも届けるって簡単なことではないと感じていましたが、源さんの音楽を通じて実感したのは、一生懸命心を込めて作ったものは届いていくんだということ。
また音楽は決まった誰かのものではなくて、また形や形式でもなくて、自由なんだって。その空間や心や全てで楽しめる、素晴らしいものであることを改めて気づかせていただき感謝の思いでいっぱいです。私ももっとたくさんの仲間たちに源さんの音楽を聞いてもらいたいってウズウズしてきました。後輩もライブに連れて行こうと決めました。源さんの音楽は本当に元気をもらえます。これからも届けてくださる最高の音楽を楽しみに、ずっとずっと応援しています」。ありがとうございます! 嬉しいですね。
そうなんですよね。なんていうかその、いただいたメールを読んで、景色が見えると言いますかね。先週も言いましたけど。お二人で見ている、音のない、でもその風景みたいなものがすごく伝わってきて。何かが届いたんだなって思うことができました。本当に嬉しいです。ありがとうございます。そして、東京都26歳の方。先週ね、送っていただいた方です。
ご本人からのメール
「この間はメールを読んでいただき、ありがとうございます。友人からは『読まれたよ』と言われず、そのまま字幕として見ていたので……」。そうですね。ラジオの内容を代わりに打ってくれるという友人の方ですね。「……とてもびっくりいたしました。こうして文字を通して感謝を伝えられたこと、嬉しく思います。耳が聞こえないのは生まれつきですので、不自由と感じたことはありませんでした。筆談や手話、目や口の動きでなんとなく理解はできていました。ですがここに来て、初めて源さんの声が聞こえないことがとても悔しいです。
一度でいいから声を聞いてみたかったです。こう思わせていただいたことも、私たち夫婦の中では新しい一歩。まだまだいろいろなことに挑戦できるなと思いました。源さん本当にありがとうございます。『ねぶり棒』という文字に思わず二度見してしまいました。楽しみにしたいと思います」。ねえ。ねぶり棒、届いているでしょうか? もうそろそろ届いているんじゃないでしょうか。ありがとうございます。
ねえ。そうか。「ねぶり棒」……(笑)。そうだよね。文字で見るとわけがわからないと思いますが。いまごろ……2本、送ったよね。たしかね。仲良く使っていただけるとありがたいです。その友人の方も文字に起こしてくれてありがとうございました。そうですね。なんかその、「聞いてみたかった」という風に言っていただけるのはなんというか、嬉しいです。本当にありがとう。でも、なんかその、声質ってね、何かいろいろ、どう届いてるんだろう?っていうのがすごく、分からないですよね。何て言うんだろう? 耳の聞こえない方に自分の声とかっていうのはどういう風に届くのだろうか。で、そのライブを見ていただいて、「いろいろなものが届きました」と言っていただいたけど、何が届いてるのかっていうのはすごく不安で。
でも、それはいわゆる普通に音楽をやっていても、常に不安でですね。どう届いているのか、自分がやっていることっていうのはどう受け取っていただいたのか。もちろんそれを強制することはできないので、どう届いてるのかって常に不安で。しかも久しぶりのアルバムでしたし。はじめてのね、ドームっていうこともあってもすごく不安だったんですけど。先週この方のですね、メールを読んで、なんかその歌っていうのは音だけで伝わるものじゃないんだなっていう。そして何かが伝わったんだなっていうのをすごく実感できて、僕自身がですね、すごく嬉しくて。伝わってるかどうかわからないっていう思いの中から抜け出すことができたんですよね。
で、もちろんそのライブ会場でお客さんの顔を見ている時とか、本当にいちばん後ろの方、いちばん遠いところまで手を振り上げて踊ってくださっていたりとか。そういうところを見て実感もするんですけど。まさか耳が聞こえない方にも届いているとは思わず、本当に勇気と元気をいただきました。本当にありがとうございます。
なので僕もね、あなたの声、顔は分かりませんが、あなたの心が僕の心届きましたので。僕の心みたいなものがですね、音楽。もしくは歌詞とかね、あとはたとえばライブ映像。僕のDVDとかライブ作品はですね、字幕を基本的につけてます。まあ最近のにちょっと限っちゃうんですけど、つけているので。そういうものが伝わればいいなと思っておりますがぜひ、またライブ来てください。ありがとうございます!
<書き起こしおわり>