菊地成孔 King&Prince『夜空ノムコウ』を語る

菊地成孔 King&Prince『夜空ノムコウ』を語る 菊地成孔の粋な夜電波

菊地成孔さんがTBSラジオ『粋な夜電波』の中でKing&Princeが『ザ少年倶楽部』で披露した『夜空ノムコウ』についてトーク。永瀬廉さんの歌唱が急激に上達したように思える話などをしていました。

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(菊地成孔)最近はとにかくメールボックス……PCのメールボックス、メーリングソフトなんて皆さん、使っているんでしょうか? 使っているんだよね? 仕事のメールとか、そういうのでやるんですよね。私、スマホを使わないから。なんかあらゆる人が仕事のメールも何もかも、ビジネスもスマホ一丁で済ませてるんじゃないかなって思いこんでしまうんですけど。まだPCがあって、そこにメーリングソフトが入っているっていうのは皆さん、一応は持ってるんですか? トナミさん、持ってる? ヤシマくんも持ってる。なるほど、なるほど、そうか。じゃあ、私だけが過去の遺物を持ってるわけじゃないですね。

まあ、メールボックスを持っているんですね。で、そこにはもちろんビジネス関係のメールは来るんですけども……ファンメールっていうのがあって。それでもうファンメールなんてね、来ないですよ、いま(笑)。いまね、私がメールボックスを本当に見せたいんだけど。動画で。メールボックスを立ち上げますよね。バーンって。で、銀行だとか、あとはスパムだとか。(マネージャーの)長沼からのものとかっていうのを除いたら、もう名前を挙げたいぐらいですよ。番組も終わっちゃうし。あ、番組が終わることは忘れないといけない(笑)。名前を挙げたいぐらいですけど。

もうファンメールをくれる方、ここ5、6年は3人しかいないです(笑)。その方々は毎日くれるの。毎日複数くださるわけ。だからまあ、そういう……まあ殿堂入りしている方からのものと、あとはたまに何かの動きがあったりね。スパンクハッピーが再結成しましたとか、デビューライブをフジロックでやりましたとか、映画に出ましたとかいうようなトピックがあるとチラホラと来るという、非常になんつったらいいんですかね? 隠居感覚っていうかね。オワコン感覚っていうんですかね?(笑)。まあ、肩たたかれているわけですから完全なオワコンですけどね。アンチの人は喜んじゃうっていう感じですけども(笑)。

まあ、オワコン感覚なんですが……あれ? なんの話をしようとしたんだっけ? そのメールがだいたい決まった人からしか来ないのだけども、最近はとにかくその殿堂入りしてるお三方以外で多いのが、キンプリのファンの方です。もうあの回……King&Princeのデビュー曲で1回持たせた回以来、私が「♂ティアラ(オスティアラ)」だということで。何を言っているのかわからない方は、もういいです、それで(笑)。

菊地成孔 King&Prince『シンデレラガール』の魅力を語る
菊地成孔さんがTBSラジオ『粋な夜電波』の中で最近ハマっているジャニーズ事務所のアイドルグループKing & Princeについてトーク。楽曲『シンデレラガール』の魅力について熱く語っていました。

私が中壮年♂ティアラだということで、なんというかお若い方から……もうジャニーズになると三代とあるからね。「孫、親、おばあちゃん。三代で推してます。そのうち、お母さんは菊地さんのファンでした」とか、なんかすごいねじれ方しているメールとかをいただくことが多くて(笑)。まあ、「キンプリに関して番組でもっと言ってください!」っていうメールがとても多いんですけどね。とはいえもうあと番組、9回なんでね。また言ってしまいましたけどもね、自分で(笑)。事あるごとにテンドンで言うと思いますけども。

まあ、れんれん(永瀬廉)のね、歌が急激に上手くなったっていうことはもうティアラさんの間でも絶対に話題になっていると思うんですよ。で、れんれんは……私はそれをツアー効果かな?って思っていたの。初ツアーがちょっと前にあったからね。やっぱり1ツアーやると、まだ育ち盛りじゃないですか。だけども、まあいろんな……ダンススキルはとにかく全員すごいから。ただ、歌にちょっと凸凹があるのね。岸(優太)くんは上手いけど、れんれんはまあちょっと……っていうようなことがあって。まあそれだってですよ、別にこれ全然ディスりじゃないですけど、SMAPに比べたら超人的な歌唱力ですよ。うん。

いまね、『少クラ(ザ少年倶楽部)』を見ていて、たとえばこの間なんか……もうずいぶん前ですけども。それこそスガシカオさんの『夜空ノムコウ』。「あれから僕たちは♪」っていう。あの歌、まあ日本人であの曲を聞いて泣いた人ってのべ20億人ぐらいいると思うんですよ。聞いて15億。歌って5億っていう感じだと思うんですけど。それでもね、SMAPが歌うってことによって、やっぱり「SMAP」っていうバイアスがかかっていて。本当の音楽として……SMAPがどうこうっていうようなSMAPディスじゃないですよ。SMAP大好きですよ、私。もう超好きですよ。もう『青いイナズマ』と『がんばりましょう』で何回泣いたかわかんないですけど。

まあ、そのぐらいSMAP好きですけどね、ただそうだな、『世界に一つだけの花』とかになっちゃうとメッセージのパワーがちょっとエグいじゃないですか。ねえ。マッキーがああいう歌を作ったんだって言われると、「もう美しい曲で感動するけどメッセージ重いっす、マッキー先輩!」っていうか。まあ、後輩ですけども。そういう気になるのに対して、『夜空ノムコウ』っていうのはちょうどいいのね。スガさんの脱力したいい感じが出てますよね。なんだけど、キンプリが歌ったのを聞いて初めて音楽的に成仏したと思いましたよ。そのくらい良かったです、本当に。

King&Prince『夜空ノムコウ』

「いや、アイドルだから修正してんだろう」とか外野のバカが斜め聞きで勝手なことを言うと思うんですけど、「じゃあ実際に聞いてみろ!」っていう話ですよ。その回の『少クラ』を……俺のハードディスク、貸そうか?っていう話ですけどね。本当に素晴らしくて。ハーモニーもすごくて。SMAPが歌うと、ピッチがちょっと問題があるから、ハーモニーがガチャッて、逆にハーモニーが目立つんですよね。本当にすごいハーモニーっていうのは「あれっ、ハモってる、これ?」っていうぐらい溶けこんでいるやつですよ。「主メロしか歌っていないんじゃないの? ああ、ハモってるわ」っていうぐらいの溶け込み方しているものがやっぱりすごいハーモニーですよ。まあ、すごかったですよ、本当に。キンプリのね。

で、れんれんの歌は、それが歌が上手くなったのか、リップなのか?っていう問題がやっぱりティアラちゃんの間では話題になっているだろうなっていうね。で、専門家ティアラから言わせてもらうと、ちょっとリップかな?っていう気がしているっていう話はちょっとしたかっただけっていうことですね。はい。まあ私、いま日本でいちばんリップなバンドのリーダーですからね。全曲リップですから。ファイナル・スパンクハッピーは。あ、「リップ」っていうのは「リップシンク」のことね。歌わないでカラオケに合わせて口をパクパクしているっていう。

いま、リップも昔みたいにリップだからインチキだとかそういう話じゃなくて、1曲の中で「この人はちょっと喉が弱い」とか「ちょっとこの人はこの曲が苦手だ」とかって曲によって誰かのどのパートだけリップにするとかいうことが本当にきめ細やかにできる時代になってるんで。ライブとか。特にドームみたいにでっかい会場になっちゃうとわかんないですよね。だからもう、昔はリップ……実はあいつら、リップだったんで訴訟が起こって。「金を返せ!」ってものすごい賠償金を払ったみたいな。あれはどのぐらい前だったろうな? 80年代にはよくあったんですけどね。もうそんな時代じゃないですね。全然。

いまはファン目線っていうのは、アイドルを見る方は特にそうですけど。アイドルの人は踊りながらやらなきゃいけないでしょう? だから、なかなか難しいわけ。だから「ここは生だな」とか「ここはリップだな」っていうのを見極めるのが通の……まあ、日本人のオタクさんの目、通の目っていうのが……要するに喜びに満ちた目ですよね。その見立てっていうのがひとつの楽しみになっているわけなんで。で、まあれんれんはいまのところ、私としてはですよ。まあ、菊地成孔の立場から言わせていただけると、ちょっとリップかな?って最近、『少クラ』を見ながら思っているという話をメールボックスに負けて言ってしまいましたという感じですね。はい。

<書き起こしおわり>

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