菊地成孔 King&Prince『シンデレラガール』の魅力を語る

菊地成孔 King&Prince『シンデレラガール』の魅力を語る 菊地成孔の粋な夜電波

菊地成孔さんがTBSラジオ『粋な夜電波』の中で最近ハマっているジャニーズ事務所のアイドルグループKing & Princeについてトーク。楽曲『シンデレラガール』の魅力について熱く語っていました。

シンデレラガール(初回限定盤A)(DVD付)

(菊地成孔)いやー、お暑うございます。あんま暑いんでね、冷房20度でかけっぱなしにしてもう冬服ですよ。逆にね。あの、よく「逆に」って言葉を依存症みたいに頻発する方、いらっしゃいますよね。「あそこまで行っちゃえば逆に爽やかだよね。あの人も逆に言えばね。でも逆に言えばそれって……」なんつってもう何重否定してるのかわからないですけども。もうあんまり暑いからね、部屋を20度にしてセーターとか冬服を着ているっていうのは「逆に」の中の「逆に」って言いましょうかね。「キング・オブ・逆に」って言いましょうかね。

はい。「もうお前、自律神経をおかしくして自分でも何を言ってんのかわかんねえんだろうな?」なんてね、言われたとか言われないとか。汗腺がね、完全に閉まっちゃってね。あの部屋の中が寒くてしょうがないんでね、いまは汗をかくために首筋にホカロン貼りましてですね。貼るホカロン、あれいいですね。貼るホカロン、塗るホカロン、飲むホカロンなんつってね(笑)。「本当に自律神経やられるだろう?」なんつって、だんだん心配されてきたりなんかして。でもこの場合ね、やっぱり貼るホカロン……春ホカロン、夏ホカロンっていうのがシャレとしてはちったあ上ですよね。「ちったあ」っつったってあのつぶやくやつ(Twitter)じゃないですよ。「少しは」っていう意味ですけどね。まあ、自律神経がおかしくなっているんですよね。

まあ、しかし暑いですよ。「ドバイに比べりゃ涼しいもんだ」なんてね、「金持ち喧嘩せず」とか言いますけどね。ドバイだけに金持ち喧嘩せずとか言いますけど、そんなもん上からですよね。実際にストリートは暑いのよ。もううんざりよ。でも、うんざりはいささか気持ちのいい感覚ですけどね。タチが悪いですね、人間っていうのはね。でもね、全然大丈夫ですね。この夏には希望があるんですね。希望の塊があるんですよ。今日はね、もう思い切って河岸を変えてジャニーズに行ってみましょう。初めてじゃないですかね、この番組がジャニーズ・エンタテイメントさんのアイドルさんをスピンするっていうのはね。

先に断っておきますけどね、あの全国に何万人いるか予想もつかないですけどね。ティアラちゃんたちね。まあ眠れぬ夜も越えて一喜一憂、8月のドームツアーのプラチナチケットをファーストコールでゲットした皆さんも、できなかった皆さんもお疲れ様でした。私もコント55才の堂々たるおっさんですけどもね、まごうことなきティアラちゃんなんでね。本当ですよ。「逆に言うとね」とかウザいこと言わないですよ。逆に言わないで真っ直ぐに言って、いま私の起きて意識がある時間……まあ起きてる時間ですね。その使い道ですけどね、『少クラ(ザ少年倶楽部)』で1回だけ歌った『シンデレラガール』のフルコーラスと『Funk It Up』の……これも『少クラ』の録画ですけどね。

King & Prince『Funk It Up』

あの王室コスチュームじゃなくてストリートファッションで歌った回、あるんですか。平野くんがヤンキーファッションのやつ。あれをひたすら見続けることにまあ約50%ぐらい。あと、ファンの方がやってらっしゃるInstagramを読みふける――特にコメントですね――そのことに30%ぐらい。で、あとと20%が『Funk It Up』の振り付けのコピーなんで。まあ、できないですけどね。これは後で言いますけど私、ダンスに関しては仕事柄やったり見たりもしますけど、いま世界でいちばんですよ。興奮して盛っちゃっているんじゃないですよ。冷静に言って世界一ですよ。マイケル・ジャクソン、ブルーノ・マーズ、アッシャー……こういうのをはっきりと超えているんで。

まあ、マイケル・ジャクソンを超えたというのは難しいところにありますけどね。神格にいますから。でもまあアッシャー、ブルーノ・マーズ。ああいうアメリカのオーバーグラウンダーのダンス、あるいは最近のK-POPもすごい。日本のアイドルのダンスは手のひらをヒラヒラさせて熊川哲也さんみたいで……まあ熊川哲也がどうこうじゃないんですけど。なんちゃって言われますけど、もうそんな時代ははっきりと終わりましたからね。革命が起こりました。本当に。だって分かんないんだもん。スロー再生しても、どうやって動いているのか。でも「すごい」ってことだけはわかるわけ。チャーリー・パーカーを初めて聞いた時と全く一緒。

と、まあつい興奮してしまいましたけどね。これで、要するに全部合わせて50%、30%、20%。キンプリで100%ですよ、100%。ティアラちゃんでしょう、これね。チケット手に入れた皆さんはね、そういうわけで私の分まで楽しんで、そして全てのティアラちゃんを代表して愛をね、届けていただきたい。もうね、最近私が夜中に1人でも泣く時間……もうコント55才にもなるとですね、1人で夜中にさめざめと泣くなんていうこともなくなってきました。もうなんて言うんですかね? どうでもいいやっていう年齢になってきたんですけどね。

でも、キンプリのファンの方のインスタのコメント欄を読む時だけはね、もう滂沱の涙ですよ。特にBBA自認の方ね。大丈夫ですよ。この番組の普通のリスナーはもうそろそろ全員寝てるんで。何を言っているのかわからないから。ここまででほぼほぼ全員寝るように仕向けてますからね。私がね。ティアラちゃんだけ、特にBBA自認の方ですね。私はもうGGEですからね。皆さんおっしゃるの。「人生、いろんなことがあった。でも生きてた甲斐があった」って。ハッシュタグの使い方なんてね、もうこの歳になりますってえと、まあ面白いけどね。ああいうもんは若い人のやることで、もうそこそこでいいやなんて思うんですけどね。

もうチケット取れた方曰くね、まずバーン!ってチケットの写真が載せてあって。で、そっからコメントが書いてあるんですけど、「これまで人生いろいろあった……」って。で、ここでもうハッシュタグが入って。「#バツ2 #シングル #AndMore」。これは「#AndMore」っていうのは他にもいっぱい人生に艱難辛苦があったっていうことですよ。女として生きてきて。

まあ「#バツ2 #シングル #AndMore」。最後の「#AndMore」はハッシュタグとしておかしいですけどね。独立したハッシュタグ。でもね、もう超えているの。で、もうハッシュタグが迫ってくるわけ。で、ハッシュタグを抜けてからまた戻ってるんですよ、コメントに。真ん中にこう、サンドイッチの具みたいにハッシュタグが挟まっているんですけど。で、「これでまた生きていける。生きててよかった」っていうね。もうハッシュタグの斬新な使い方にして涙腺が爆発するってね。信仰告白だけが持つ力ってものがありますよ。

まあまあ、年齢的にちょっとわかりません。BBAなんておっしゃってますけど、私から見たらお嬢さんですよ。だからもうお嬢さん、ハッシュタグを足させてください。「#バチカン #メッカ #サンチャゴ・デ・コンポステラ」。サンチャゴ・デ・コンポステラはね、スペインのキリスト教徒の聖地ですからね。フランスの北の方からね、スペインに抜けていくコースなんですけど。ブニュエルの『銀河』っていう映画はね、そのサンチャゴ・デ・コンポステラに向かっていく巡礼路で……ダメだ、これじゃあ全員寝ちゃうね。はい。

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まあとにかくね、いまから屁理屈だの能書きだの言いますけどね、これは仕事柄なんで許してやってください。一応番組の数字はいいみたいなんで。そうそう、結果が出ました。もう前口上で言っちゃいましょう。結果が出ました。同時間帯で1位でした。おめでとうございます。TBSのみなさん、おめでとうございます。次こそ落としますよ。フハハハハハッ! 次こそもう古谷(有美)さんも誰も呼ばないんだから。次こそ私が1人でやって、今日のこのぐらいのアベレージでやって数字を落とします。宣言しておきますね。予告ホームランじゃなくて予告ファールを宣言していくっていう(笑)。TBSを愛しているのか愛していないのかって、もちろん愛していますよ。こんな愛もあるんだということでね。

っていうかもう飽きたね。同時間帯1位は。飽きちゃったもん。だって何をやったってっていうか、毎週頑張ってますよ。それなりに。でももう1位ですからね。まあ次、本当に試しに1人で……だからスペシャルウィークっていう企画書を上に出さなきゃいけないんだよね。編成に。「今週はこんなことやりますよ」って。だから「今週は1人でやりますよ」っていう企画書を出していただいて、まあ上の方に「なんだ、こいつ?」みたいな感じで。「でもまあ、ここんとこ成績がよさそうだからやらせてみようか」みたいな感じで1人でやって。で、そうですね。2位じゃあダメですよね。4位以下に転落しなきゃこれ、意味がないですから。予告ファールとしては。4位以下に転落してみせようと思いますけども、まあえらい横道にそれましたが。

とにかくね、一応番組の数字はいいみたいなんで、今日もたくさんの方が聞いてらっしゃるでしょう。少しでもね、私のような男ティアラちゃんが増えてくれればいいな。よかれと。まあ、それも別にいいか?っていう感じですけどね。「キンプリ」をご存知ない方は「キンプリ」と聞いたら何でしょうかね? 略語だっていうのは阿吽でわかるとしてね、いまだったらそうさな、それこそInstagramで体鍛えてる画像をね、マンもウーマンも出す季節ですから。「筋肉がプリッと」とかね。あるいは「金色のプリティー」とかね。これ、ある意味どっちも正解なんですけどね。「あ、わかった! King & Princessでしょ!」ってこれがニアミスですね。NGワードですね。

正解は「King & Prince」でございます。「王と王子」っていう。まあ、誰でも知ってる単語ですけどね、意外と並ばないですよね。特にアイドルグループの名前だとしたらですよ、だって二世代だもんね。全員10代でKing & Princeっ釣ったらどっちか老けてなきゃいけないからね。よく考えるとおかしいんだけど、でもこういう「あれ? ちょっと不自然なんだけどな。でも行っちゃえ!」っていう時にゴッドアングルが生み出されるエネルギー体というかね。とんでもない大当たりを出すんですね。この5月にデビューしまして、これはジャニーズ事務所が4年ぶりでデビューさせた新人グループなんです。

みなさん、このぐらいはご存知でしょう。ジャニーズに興味ない方もご存知だと思いますけど、コント55才の私ですら知ってるわけですからね。ジャズ屋の私ですら知っているわけですけども。ジュニアっていう……千原さんじゃないですよ。ジュニアっていう層があって、そこから「行ける!」となるとデビューするんですけど、ここ4年はデビューがなかったんですよ。で、4年ぶりでデビューさせた、満を持してデビューさせた新人グループなんですけど。まあ、いまのところね、デビューしたばっかりで。もう昔の言葉で言うとフェノメノンっていうか、現象が起きてるから。数の推移は激しいですけど、9月に入るまでには60万枚行くでしょうね。

もういまのこの時期、60万枚行くっていうのがどんなことかは、どんな音楽ファンの方でもお分かりでしょう。不祥事の話はね、ジャニーさんだって気が悪いでしょうからグダグダ言いませんよ。平成ジャニーズのグループはもう辞めたりモメたり多かったですしね。それに持ってきてあのTOKIOのね、あの方がね……まあまあ、まあまあまあ、でもキンプリのデビューで全部ツケを払って釣りが何億だかわかんないっていう状況なんですよ。いま。もう1回言うけどね。私がいくらダンスに興味があるからっつって、あのポップ・ミュージックに興味があるからっつって、1曲をもう1000回近く見てるの。それで、だって1000回近く見て、そんでですよ、何してるかまだわかんないんだもん。

マイケルのデビューの時とね、全く同じ感覚。あともう1回言うけどチャーリー・パーカーを初めて聞いた時と全く一緒。何してるか全くわかんない。早すぎて。でも、「歴史が変わるぐらい凄い」っていうことだけは伝わってくるんですよ。どうやったらあんな体重移動ができるの? ただザッザッて前に歩いてくるだけなのに。足の裏に無重力、重力を消す装置が付いているとしか思えない。もう。何か跳ねているんですよね、きっと。普通、ステップで大きく体重を前に出す時っていうのは踏み込まなきゃいけないから、勢い足が上がるんですけど。数センチの高さで体重かけて前に移動できるんですね。すごいスキルだと思うんですけど。

もうね全員……6人組ですけど、全員に無重力装置とあと加速装置がついているとしか思えないです。「ダンスすげー」って言うと、どうせ激しく踊るんだろとか思って頭の中にEXILE TRIBE系のね、三代目さんとかのずーっと踊っているのを想像する方がいると思うんですけど、全然違うんですよ。あのね、踊っていない時間とものすごい速度で踊っている時間が混在しているの。倍速、2倍速、ハーフ、ハーフ・アンド・ハーフ。要するにワンツースリー、(倍のスピードで)ワンツースリーフォー・ワンツースリーフォー、(さらに倍のスピードで)ワンツースリーフォー、ワンツースリーフォーっていう、そのカウントの細さが2倍分あって、なおかつ普通にダラーッとしてる時間もあるんですよ。それがカシャッカシャッて、もうね、コント55才ですからたとえが昭和ですけどね。『サイボーグ009』ですよね。奥歯をカチッと噛むと加速装置でピュッと飛んでいくっていうね。あれじゃないかなっていうね。

もう嘘だと思ったら、今日はもう番組聞かなくていいですよ。1位なんだから。もう放っておいたって1位なんだから。だから、まあ聞きながらでもどっちでもいいかな。ヒップホップ、ワールドミュージック、EDM、K-POP、48グループさんたちの非常にコンテンポラリーダンスなんかも取り入れた優れた群舞。Perfumeも相変わらずすごい。まあ、なんでもいいですよ。歌とダンス、ポップ・ミュージックにダンスということに興味がある方は、私に騙されたと思って。「ええーっ、ジャニーズ?」とかね、先入観あってもまあしょうがないですよね。いまは。「ええーっ、K-POP?」「ええーっ、ジャニーズ?」「ええーっ、ジャズ?」っていう時代ですからね。だからまあそれはしょうがない。

仕方がないんだけど、まあ私に騙されたと思って「キンプリ シンデレラガール」「キンプリ Funk It Up」で検索しておいてくださいね。それ戦慄してください。じゃあ、行きますよ。行きますよ。『シンデレラガール』から行くから、あの検索して。それで動画の方の音を消して、いまから私がプレイするのと一緒に……無理だよ、そんなこと! フフフ(笑)。なんで、なんとなくシンクロは味わえないんだけど、まあそういうわけで本日の……でも、できる人はできるかもしれないから。ゆっくり行きますね。本日の1曲目はこちらです。本日は緊急特集King & Princeですね。キンプリ特集ということで、本日の1曲目はジャニーズ事務所の4年ぶりに出た新人King & Princeで『シンデレラガール』。

King & Prince『シンデレラガール』

はい。音楽が人を生かす原動力である時代と音楽が美術品みたいに教養や趣味で愛でられる時代とどっちが幸福な時代か? 今夜は一緒に考えましょう。ということで帝都東京は港区赤坂、力道山刺されたる街よりお送りしております『菊地成孔の粋な夜電波』、本日はKing & Prince特集でございます。

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