(菊地成孔)(メッセージを読む)「菊地さんスタッフの皆さん、こんばんは。ミドル級のリスナーです。今回の西日本の大雨で被害を受けた呉市在住です。見慣れた光景が崩れたり、断水が続いたり、燃料が尽きたり、多くのことが降りかかっていますが、荒れがちな心を『夜電波』が戻してくれています。『やっていける』と思わせてくれます・改めてリスナーとしてお礼を言わせてください。ありがとうございます。これからもお体に気をつけて長く番組続けてください」ということで、ありがとうございます。「……PS 全国のニュースで流れている呉市の木造の橋が流される瞬間というのがありますが、あれは私が『夜電波』を聞きながら歩く川沿いの道にある橋でした。もうあの橋はありませんが、多くのものが変わったであろう川沿いの道を『夜電波』を聞きながらまた歩こうと思います」。ありがとうございます。ラジオ番組冥利に尽きるお便りを頂戴いたしました。
とにかくね、先ほども申し上げましたけども、音楽がもう人をギリギリで生かすなんというか救援物資というか、日々の……米というか。まあ米がない時代もありますからね。米が贅沢な時代もありました。まあ、そういうようなものになる時代と、音楽が美術品みたいにね。「まあ、琳派の中でもこれはちょっと外れた感じの猫だよね」なんて言って美術品みたいに教養・趣味で典雅に語られる時代とどっちが幸福な時代か、我々は考えていくべきですよね。というか、「考えていく」というか答えは出てるんだよね。それはつまり、なかんずくというか、いまが幸福かどうか?っていうことと関わってくるわけですよね。
我々はいま、21世紀の20年代を迎えようとしているわけですよね。どんな世紀も100年。でも、映画と同じだよね。最初の5分でわかっちゃう。この先、どうなるか?っていうのは。まあまあ、わかりますよね。20世紀はどんなだったというと、残念ながらもうのっけからわかっちゃった。戦争の世紀だって。戦争でボロボロになって立ち上がる。これをもう100年、繰り返していくんだと。実際にそうなりました。第一次大戦が終わってすぐの「ローリング・トゥエンティーズ(Roaring Twenties・狂騒の二十年代)」なんつってね。20世紀最大の祭りの10年間でした。世界恐慌の30年代も第二次大戦の40年代も、まあミッド・センチュリー、アメリカの50年代もサマー・オブ・ラブの60年代も、もう何年代も羨むゴールデンエイジですよ、1920年代っていうのは。
ところが、それから幾星霜ですよ。いまは戦争を1個するにももう複雑で難儀な……テロとかね、内紛とかそういうことは増えましたけど、世界大戦なんてことはもう……世界大戦まで行かなくても局地戦ですら、複雑で難儀になっちゃった時代なっちゃって。もう20世紀っていうのは神様も殺しちゃって。かと言って科学主義も行き詰まって、もうどうすんの?っていう。オリンピックでアップセットなんて本気で信じてる人いるかね? まあ、まあ、いるでしょうな。民主党が政権取った時、本気で日本が変わると思っていたタクシーの運転手さん、いたもん。だって。私が乗った時に「もうこれから日本は変わりますよ! 鳩山さんになったら!」っつって。でも、この有様ですよね。まあ、政治的なことは言わない番組ですから「この有様」程度にしておきますけども。私、どっちかっていうと弟の方が好きだなっていう程度にしておきますけどね。鳩山兄弟、鳩山ブラザーズに関してはね。
まあ、民は愚かなものだとは言いませんよ。愚かさなら失礼ながら私も負けちゃいないですから。ただね、もうこのいまはローリング・トゥエンティーズを迎えようとしているのよ。まあ「20世紀をなぞるなら……」としますよね。そうした場合ですけども、21世紀のローリング・トゥエンティーズが来るのかどうか?っていうところですね。いま、その下準備ですよね。もうちょっとで来ます。でも、はっきりしてることは人間っていうのは結局、20世紀の末の結論として「人間っていうのは宗教と科学と戦争やる素晴らしい生き物だ」ということですよ。この3つをやるんです。やらないと成り立たないんで。宗教はもう終わった、科学主義はもう終わった、戦争はもう終わったって言ったって、終わんないですよ。人間この3つをやるんだから。
だからもう、私は今日はもう前口上で最初に30分近くしゃべりましたけどね。なんて言ったらいいの? 面白がって盛っているわけじゃないんだよね。とにかくキンプリの動画を見るのに起きてる時間のうちの半分を使っていますからね。で、30%はそういうものあげてコメントしているInstagramのコメント欄を読んで。あとの20%はダンスのコピーをしようと思ってね。ちなみに来週はSPANK HAPPY特集。緊急特集です。まあ全部緊急ですけど。その場で思いつくから(笑)。全てが思いつきなんで緊急特集だっていうね、なにも緊急事態はないんですけど。フジロックまであと1週間……1週間っていうのは次のオンエアーがね、SPANK HAPPY特集ということでスタジオにODが来ますけどもね。
まあSPANK HAPPYもまあ、自分でいうのも憚られるぐらいの話ですけど、一応ダンスユニットですからね。SPANK HAPPY。フジなんか口パクだもん。だって。歌わないんだから。もうフジに行く直前にODと私で歌入れをして。それでもう、あとは好きに踊れるような状態でフジのGAN-BAN SQUARE。あそこでまずDJやってSPANK HAPPYが出てくるんですけど。まあまあ、SPANK HAPPYの話はともかく、とにかく毎夜毎夜の宗教告白に涙が止まんないし、「鰯の頭も信心から」と言いますよね。だから何を信じだっていいですよ、そりゃあ。
っていうか、21世紀がもし平和の世紀になりたいんだとしたら、道は1個ですよね。異教徒を愛するしかないです。その異教徒がどうしても気持ち悪かったり、異教徒がどうしても許さなかったりすることが全ての紛争・戦争の始まりですよ。まあ戦争は外交の激化した一形態だとかね、経済問題に換言する人もいますよね。その考え方が、頭のいい方が考えているんですから何もかも100%間違っているんだとは言いませんよ。言いませんけど、私が思うに異教徒と仲良くできさえすれば平和は成立するんですよ。だから、どんどんどんどん……でもいまはその流れにあるんだよね。いろんな……メインリー女性になって、まあ男性もいるんだけどさ、男の人でさ、その50を過ぎて差結婚してなくてさ。別にディスっているわけじゃないよ。ただのプロファイルを言ってるんだけど。
50過ぎて結婚しなくて、まあ言っちゃあ……別にそれが何だってわけじゃないけど、たとえば童貞の方で。それでもうアイドルに命を捧げてるっていう方がいるとしても、それはさ、20世紀の中では……特に20世紀後半では「まあ、いいんじゃないの。そういう生き方も」っていう形で、気持ちの悪い異教徒としてはもう誰も思わない時代にまで来ましたね。なんだけど、まだまだやっぱりね、これは本当にがっちりやるとフェミニズムの話になっちゃうんで。まあ、田嶋陽子先生が来ても機嫌を取ってかわいがって帰らせる自信はありますけどね。ただ、もっとハードコアな上野千鶴子さんが来たら私もちょっとかわいがってくすぐってニコニコさせる自信はあるか?って言われると、ないですからね。ガチフェミニズムの話はできませんけども。
ただ、まあやっぱり女性が、もう子供もできた。まあたとえばそれをシングルで育ている方、ご主人いらっしゃって旦那様もいる方もいるでしょう。で、そこから可処分所得っていうのがどういう風に生じて、それをどうやってね……まあ若い女性がいろんなものに信心があって。それで処分所得を全部払っちゃうっていう人たちが「えっ、なんであの人、あんなものに金を払うの?」っていう風にならない時代になってきていることは確かなの。それはね、すごいウーマンパワーで僕は素晴らしいと思ってるんですよ。「僕は」とか言っちゃいましたけどね。めずらしく(笑)。「ぼかあ、君といる時がいちばん幸せなんだよ」って(笑)。フフフ、光進丸もね……笑いながら言っちゃ申し訳ないですけど、ああいうこおになっちゃって。
それでこの間、長い11時間の音楽番組を見ていたら加山雄三さんが光進丸なき後、豪華客船の前で歌わされたりなんかして。なんかちょっと目がトロンとしていたのがもうね……加山雄三さんが立ち直る時間を待ちますけどもね。まあ、それはともかく。話はあっちゃこっちゃですけど。若い女性同士が、OLさんとかとにかくなんでもいいや。働いて、可処分所得が生じる。そうすると、それを何かに全部費やしちゃう。「ええっ? K-POPに費やすなんて信じられない! どこがいいの? 韓国のポップスが?」とはいまは言わないですよ。同じ信心を持つもの同士、「だよね!」っていう連帯が生まれている。それがまあ、『浪費図鑑』ですよね。
僕、あの編集した人たちを番組に呼びたいんだけど。まあ、やりすぎだなと思って呼ぶのを我慢してしますけど。あれがひとつのなんて言うか、結局資本主義の輪、市場主義経済から出てねえよって言われればそれは出ていないんだけども。とはいえね、少なくとも市場主義経済を完全に壊したとはとても言えませんよ。言えませんけど、それに逆にね、あのフェミニズム、市場経済、アイドルってなると韓国の方が日本よりずっとシリアスで。今日は放談だな。でもまあいいや。放談で。韓国の方がずっとシリアスで。ちょっと前に、もうこの番組ではシリーズを終えちゃいましたけど『韓流最高会議』でも話題にちょっとなりましたけどね。
その若い女性が要するに男性アイドルを消費してる。つまり「消費する」というのは「お金で買う」ということですけども。消費してるっていうに罪悪感がある。私は愛したいのに消費してしまっている。愛したいのに消費するしかないっていう、こんなもん、原理的に考えたらもうどん詰まりじゃないですか。穴熊ですよね。もう逃れられない。だけど、悩みが穴熊に入っちゃう人、いるからね。だから悩みが穴熊に入っちゃって。で、他ならぬ、ちゃんとそのことを電話で自分のラジオ番組で相談してくれるアイドルがいるから、ちゃんとその話をする。そしてその相談にガチで現役のアイドルとして答えるっていう流れもありました。まあ、それをやっていたのがね、自殺しちゃったSHINeeの子だけどさ。
とは言え、シリアスな問題……日本よりはるかにシリアスですよ。「自分達は買っているんだ」と思うことに罪悪感を覚えるっていうのは。でもまあ、大韓民国のシリアスさとうらのシリアスさはまた同一線上では比べられませんから。いま、我々が「消費してしまっている」と思うことに罪悪感を感じるなんてことはないじゃないですか。もうお布施なんだから景気よく払いましょうやっていうことの方がはるかに穏やかっていうかさ、たおやかさっていうかさ、健康的なことですよね。まあ、グッズ買ったりするのに「お布施が高い」とかっていう言い方なんていうのは実際のところは90年代からあったと思うんですよ。
だけど、いまはもっとね、全部を捧げちゃうの。だから出家しているのと同じよね。で、それがね、若い子たちの間でそうなっている。そして、さっき言った平和の唯一のWayだけど。ウェイ・トゥ・平和ですけど、異教徒に対して同じ……昔の日本はね、あの「昔の日本」っつったって江戸時代なんて知っているわけじゃないですけど。まあ昭和40年代ぐらいまでの日本はですよ、あっちはお隣さんは仏教徒で、こっちは中途半端で。こっちはだいたいあの向こう3軒両隣、みんな神棚と仏壇があって。祖霊崇拝があって。神棚にもパンパンって手を合わせて。それでまあ、いい加減に曖昧に神頼みでやっていて。でもキリスト教のお宅なんかもあったりなんかして。
まあ、まだ昭和40年代だとイスラム教のお宅はあまりなかったですけど、まあいまだとあるかもしれないね。そういう、向こう3軒両隣がもう皆さん信じるもんが違っていても、まあなんとなく醤油の貸し借りとかしてた時代もあったわけですよね。
それがなんかこう、ガツガツしてきちゃって、ピリついちゃって。で、まあそうですね。90年代あたりからですけど、「趣味がこれだ」っていうことがもうその人のアイデンティティーになっちゃうから自分が認めたくない何かを認めてる人ってのはもう邪魔になっちゃうで。この、斜に構えてクールに見せてるけど原理的にはいちばん戦争に近い状態ですよね。だから「あんなの聞いてんの?」とかさ、「あんなの好きなの?」とか……「えっ、EDMとか聞くわけ?」とかってなってくるわけよ。だんだん。「ジャズとか聞くわけ?」とか。まあ、ジャズはね、なんかいま変な……儲からない代わりに尊敬されてるっていうわけわかんないところにいるんで(笑)。
ま、なんていうんですかね? 「尊敬してやるかわりに金は落とさない」っていう残酷な立場にいるんで、まあ悪くは言われないですよね。悪く言われるぐらいの方が華ですよね。「あんなもん!」とか言われた方が華なんだけど。だんだんみんな言わなくなってきたの。それよりも、もう自分が生きるために、もう命がけで働いてそのお金を全部費やして。それでしかもですよ、きれいにしていくんだと。それはアーティストさんに失礼だから。向こうからこっちを見えてるか、それはもう甚だ……ですよね。ですけど、だからって言って……「お金払っちゃったんで、ボサボサの髪で化粧っ気なく行く」っていうわけにはいかない。もう「愛する人に会いに行くんだから、きれいな格好して行くんだ!」って、そっちにも金がかかりますよ。
っていう風な感じで、やっぱり女性ならでは感覚があって連帯してくわけね。で、話が戻りますけど、それはもう若い子ならいいでしょう。でも、じゃあお母さまになっちゃって、可処分所得がどこから生まれるんですかね? バイトですかね? レジ打ちですか? またちょっといろいろと話の位相が変わってきます。で、まあそれと別に、まあまあそもそもも子供もいて、ご主人もいて。それでアイドルにハマっちゃって……っていうことが昔だったら、ちょっと前はね。よしんばそういう人がたくさんいる、実際にいるんだっていうことが現実だとしても、アンダーグラウンドだったわけですよ。よくも悪くもね。で、これをね、もうオーバーグラウンドに引き上げないといけないの。
で、誰が引き上げるか? ジャニーズ事務所が引き上げるしかないですよね。あと、誰が引き上げてくれる? 今日、本当に取り留めないですけど。テーマがはっきりしてるだけで話自体はとりとめないですけどね(笑)。さっき言った、そのもう妙齢の女性が……お子さんいて、ご主人もいて。さあ、「よっぽど暇と金があるから追っかけできるんだよね」とか、あるいはもう「ダメ母ちゃんだ。娘、旦那を置きっぱなしで遊びに行っちゃって……」って言われてた時代が長かったわけよ。実態としてはいたからね。だけど、これをやっぱり正式にマーケットに認定しないといけないわけ。これをして、マーケット操作だとか、市場拡大だとか……まあ、同じことか。マーケット捜査と市場拡大は。だとか言って、まあ中・壮年女性に向けてなんかやることを「金儲けだ」と言って一刀両断で切って落とすような人間はね、ロクな死に方しないですよ。本当に。これはひとつの「救い」なわけよ。
あのね、そのことがとにかく伝わってくるの。Instagramのコメントを読むことによって。もうどんな女の人が1人で、あるいは複数でもいいけど、生きてくのは大変なのか? まあ、誰だって大変ですよ。楽々と生きているやつなんか1人もいないよね。私も大変です。ですけども、まあまあ、あのね、『シンデレラガール』のいちばんヤバいところ。まあまあ、タレントがKING & Princeだ。当然これはデビュー曲が王様と王子様の混成軍なんだから、一番人気と言っていいのかな? これもうっかりしたことを言うとティアラちゃんに怒られちゃうからな。「ティアラちゃん」って、ファンのことをティアラちゃんって呼ぶだけどね。
平野紫耀くんっていう子がいて。まあ、ダンスがものすごいんですけど。結構筋肉が……なんていうか、久しぶりに出た野獣派っていうか結構ビースト系な感じで。韓国アイドルは日本人のナヨッとしたのが欲しくて、日本のアイドルはやっぱり軍役、兵役に行ったような人の体が欲しいっていうのは『韓流最高会議』でずっと言ってきたことだけどね。それのまあ、結構あからさまな発露ですけどね。で、その筋肉美みたいなものを愛でる壮年の女性たちに地下化してほしくない。地上化してもらいたい。
ある時、King & Princeだから当然、これはデビュー曲は「シンデレラ」でいいだろう。「シンデレラ姫」っつったらもう「ガラスの靴」「12時には帰る」「その美しさが最初はわからなかったけど、王子様にだけはわかったよ」という。まあ、この3つはポップ・ミュージックとしては当然押さえなきゃいけない3つですよね。楽勝で押さえてますよ。でもそこね、もういいの。どこがヤバいか? ちょっとここはキュルキュルと(巻き戻しを)するんで1回止めておいていただきたいんですけども。あ、止めなくていいわ。
(『シンデレラガール』が流れる)
最初は「どんなときもずっとそばで♪」っていうね。で、ターンをして……まあ、このあたりからヤバいよね。でね、(「魔法が解ける日が来たって♪」と)魔法が解ける日が来るのよ。で、これがいつ来るか?っていうと、加齢して歳を取ったから来るわけ。で、来てもね……ここよ。(「いつになっても幾つになっても♪」)って、シンデレラの物語に「いつになっても幾つになっても♪」はあんまり関係ないよね。「12時に帰る」とかさっき言ったようなことがシンデレラのネタじゃないですか。なんですけど、ここがいちばん重要です。やっぱり。こんなこと言うだけ野暮ですけどね。
『シンデレラガール』歌詞解説
だって「いつになっても」っていう言葉自体はまあ、魔法が解ける日が来ても「いつになっても」っていう言葉自体は別に意味は通るよ。通るけど、歌の歌詞だとした場合ね、「いつになっても」っていう言葉はありそうでちょっと不自然ですよね。なんのためにあるのか? これはこれが「幾つになっても」っていう言葉に変わるからなんだよね。で、「君が幾つになっても」っていうアイドルソング、ありました? 『私がオバさんになっても』っていう歌はありましたよ。だけどあれは女性の方からのやや自虐的なパロディーであって。森高千里さんの少しツイストした知的なセンスでしょ?これ、ド直球の歌で「君が幾つになっても」ってなかなかね……「幾つになっても」っていう言葉自体でもう「痛い」って思う女性だっているんだから。
だから、これをさり気なく入れているんだけど……いま私、紙に書いてますよ。「いつになっても」が来ているでしょう? で、「いくつになっても」。つまり、これは音楽用語で言うと前打音っていうんですけどね。前打音っていうのはたとえば「1、2、3、4、(パーン)」っていうのは前打音がないの。「1、2、3、4、(パパーン)」っていうこの「パ」が前打音。「1、2、3、4、(パパパーン)」っつったらこれは複前打音っていうんですけど(笑)。音の前につく音のことね。音の前に打たれる音のことを前打音っていうんですけど。
「幾つになっても」っていうのは「いつになっても」の「つ」に対する前打音として「く」が入っている。そうすると、「いつになっても 幾つになっても」っていう形で。これね、サラッと歌っちゃっているのとここまでの音がすごすぎるのと全員が素敵すぎることによってあんまり気がつかないんだけど、意外とエグいですよ。「いつになっても 幾つになっても」って、これはなかなか入れられない。なんとかして「壮年の人まで目配せしていますよ。壮年の人まで守備範囲に入っていますよ」ということを明言しましょうと。あの、明言はしないけど、向こうが勝手に買ってくれるっていう状況が長かったですよね。
「アンダーグラウンドに置いといてすみませんでした。今日からオーバーグラウンドに置きますよ」っていう宣言なわけ。これは。だから、作詞・作曲は当然チームで発注されるよね。まあ、この曲の作詞・作曲はどなたかってことは言いませんけど。まあ相当デカいプロジェクトで。物の本というか風の噂によると、デビュー曲もう60曲のコンペの中から選ばれたって言われてますけど。まあ、テーマとしては絶対にありますよ。ひとつは「お姫様であること」。もうひとつは「壮年まで入っているということをさり気なく入れるんだということ」。
それは作詞家……作曲家は気楽っていうか、その点においてはね、気楽だけど。作詞家にとってはもうその技術の試されどころじゃないですか。どうやってその言葉を入れるのか? まあ、それがいちばん上手く行ったのが『シンデレラガール』なんでしょうね。本当に見事ですよ。他の曲……今日はもう『Funk It Up』も聞こうと思ったけど時間がないから聞けなくなっちゃったけど(笑)。『シンデレラガール』にはそれが入っているの。歴史を変える歌だと思いますよ。ジャニーズ事務所の歴史も変えるだろうし、日本のポップスのマーケティングの配置図もね、大きく革命的に変えるとは言わないけど、やっぱりでも変えますよ、これ。だからそれがね、1個の前打音……「いつになっても 幾つになっても」っていうその「く」が入ったことによって、ある大きな革命が生じたっていうことに着目していただきたいですね。ティアラちゃんはもうそんなことを考えなくてもいいですけど。もう大好きだから。
という話ですよね。興奮してしゃべりすぎましたけどもね。まだ止まらないですよ。とにかく。キンプリの話しをし始めたら、まあそうですね。ブチ抜きで2ヶ月ね(笑)。ブチ抜きで2ヶ月、キンプリの話をしようにも、曲がいまのところ3曲しか出ていないから(笑)。3曲をグルグル回しながら、毎週毎週キンプリの話をしている人ということで、ある意味有名になってしまう可能性がありますからね。そこはちょっとね、なんかいろんなこと、お家事情がありますから避けますけども。というわけで、CMに行かなきゃ(笑)。2回目のCMも行っていないもん。
「同時間帯1位」にはすっかりクールな俺ですけど、キンプリには取り乱してしまいました。というわけで、全く3曲かける予定だったんですけど、このまま行くと1曲しかかけらないんで今日は『シンデレラガール』だけっていことですよね。あとは動画サイトでお楽しみくださいということです。
<書き起こしおわり>