安住紳一郎 メガネとコンタクトレンズの思い出を語る

安住紳一郎 メガネとコンタクトレンズの思い出を語る 安住紳一郎の日曜天国

安住紳一郎さんがTBSラジオ『日曜天国』の中でメガネとコンタクトレンズについての思い出をトーク。思い出散歩に出たまま迷子になり、戻ってこれなくなっていました。

メガネスタイル―いとうせいこう×みうらじゅん、メガネ紳士対談!! (OAK MOOK 227)

(安住紳一郎)町田市の「大好きっ子」さん。50才、女性の方。ありがとうございます。「10年ほど前、長男がはじめてメガネを作った時のメガネ屋さんからの帰り道、久しぶりに明瞭になった視界に感激していた長男が……」。そう。私も目が悪いからわかりますよー。成長期の頃はどんどん視力が落ちますからね。メガネのレンズを変えてもらうとものすごい視界がクリアになって感動しますもんね。

(中澤有美子)ねえ。

(安住紳一郎)昔はまたメガネが高くてですね。親に迷惑をかけちゃいけないし、黒板の字は見えなくなるし。「黒板の字が見えない」って席を前の方に変えてもらうと「ガリ勉だ!」って少し冷やかされるし。そうするとテストの点を取らないと周りからはなんとなく結果を出さないやつだと思われるし。

(中澤有美子)アハハハハハッ!

(安住紳一郎)あの悪循環はキツかったなー。目が悪い人は……いや、たぶん私たちと同世代はね、そういう記憶があると思いますよ。でね、レンズが合わなくなってくるからレンズをちょっと斜めに構えると視線がレンズを通る距離が長くなるからちょっと見えたりするんですよね。

(中澤有美子)しますね、しますね(笑)。

(安住紳一郎)で、なんかビーバップのキクリンみたいな感じでメガネの角度をつけて、真面目な女の子とかがやったりとか。やっていましたよね。

(中澤有美子)ありましたね(笑)。

(安住紳一郎)あと、メガネを逆にすると見えやすくなったりするから逆にやったりして。そう。大変だった。

(中澤有美子)そうでしたよねー(笑)。いま、メガネ屋さん増えたもんな。あの頃、大変だった。

(安住紳一郎)レンズ1枚2万5000円とか3万円ぐらいしましたよ。私、特に田舎の……いや、思い出したわー! 私、メガネかけていた時代、辛かった。いま、コンタクトレンズを使わせてもらっていますけども。コンタクトレンズも高かった!

(中澤有美子)そうですねー。

(安住紳一郎)なくしたら地獄の感じですもんね。いや、辛かったー。1枚4万円ぐらいしていたかな? 高かったー!

(中澤有美子)みんなに「ここ、探すから歩かないでください!」なんて。

(安住紳一郎)使い捨てコンタクトレンズなんてありませんでしたからね。なくしたらもう最後みたいな。洗面所に流さないようにマットとか敷いてね。流れないマットみたいなのを敷いたりして。大変。洗浄液、保存液、煮沸消毒とかして大変だった。思い出しちゃった、いろいろ……。小杉くんっていう学生時代の仲間もコンタクトレンズをしていたんですけども、彼も苦学生でしたからね。まあでも、ちょっとおしゃれになってくるとコンタクトレンズをしたいっていうことで居酒屋で飲んでいる時で。居酒屋で2時間飲み放題だったんですけど、小杉くんがコンタクトレンズを落としちゃったから2時間中1時間半ぐらいみんなでコンタクトレンズを探したことがありますね。

(中澤有美子)フフフ(笑)。

(安住紳一郎)「小杉くん、飲み放題が終わっちゃうよー!」「でもこのへんに絶対にあると思うんだよね」「マジで服についている可能性があるから。服だよ!」みたいな。

(中澤有美子)わかりますー。

(安住紳一郎)まあ決してあの時代がよかったとは言いませんけども。いまの時代の方がはるかにいいですけどもね。メガネね……もう1人、思い出しちゃった。

(中澤有美子)フフフ、小杉くんに続いて。

(安住紳一郎)高校の時の同級生の女の子も視力がどんどん悪くなって黒板の字が見えなくなるんですよね。なので、席替えとかをする時に前の席を希望みたいなことで、抽選に参加せずに「ちょっと私、黒板の字がよく見えないので前の席を希望します」なんて言うんですよね。そうすると、黒板の字が見えなくても後ろの方で妥協をしている人間とかもいるわけで。そうすると、ものすごくやる気がある、向学心旺盛っていう目で見られるわけで。

(中澤有美子)うんうん。

(安住紳一郎)で、私が通っていた学校は結構定期テストの成績が廊下にガーン!って貼られたりして、1番から46番までザッて全校生徒にバレるようなところでしたから。ちょっと意地悪な目線で……まあ、上の人たちはそんなことは考えてませんけど、私たちみたいな中位から下位にかけての連中なんかは要するに「あいつは勉強してないのにできる」とか「あいつ、今回はちょっと上の方に上がっていった」みたいな、ちょっと嫌らしい成績の見方をしているの。それでかならず毎回毎回前の方の席を申請する女の子が46人中43番ぐらいだったのかな? その時になんか無性に腹が立っちゃって。

(中澤有美子)ええーっ!

(安住紳一郎)……なんで腹が立ったんだろうね。

(中澤有美子)フフフ(笑)。

(安住紳一郎)「お前、優遇されているのになんだ、その成績は!」みたいな(笑)。変なやつだったね(笑)。

(中澤有美子)どういう心の動きだったんだろう?

(安住紳一郎)わからない。「ねえねえ、あの子さ、毎回あんな前の席を申請しているのにさ、43番っておかしくない?」みたいな。で、「お前、何番なの?」「39番」。

(中澤有美子)フハハハハハッ!

(安住紳一郎)どうでもいいみたいな。どうでもいい(笑)。

(中澤有美子)アハハハハハッ!

(安住紳一郎)「ねえねえ、そんな前で勉強しているのになんでそんな成績悪いの?」みたいな。身内でもないのに。放っておけって話だよ。

(中澤有美子)本当だよ(笑)。余計なお世話(笑)。

(安住紳一郎)うん。余計なお世話ね。……町田市の大好きっ子さんのメールの途中でした。すいませんね。

(中澤有美子)思い出散歩に……(笑)。

思い出散歩から戻れない

(安住紳一郎)思い出散歩に出たらもう出られなくなる。思い出散歩、楽しいですからね。天気の悪い日曜日、外を歩くよりも頭の中の記憶の散歩に出かけて戻ってこれなくなっちゃった。思い出迷子、戻ってこられずっていうね。「……10年ほど前に長男がはじめてメガネを作った時のメガネ屋さんからの帰り道、久しぶりに明瞭になった視界に感激していた長男がふと私の……」。もうひとつ、思い出しちゃった!

(中澤有美子)フハハハハハッ!

(安住紳一郎)ごめん。これ、短く終わるから!

(中澤有美子)アハハハハハッ!

(安住紳一郎)これ、短く終わる。最近、メガネ屋さん増えましたよね? 私が住んでいた人工15万人ほどの小さな地方都市なんですけども、メガネ屋さんと言えば文明堂と水晶堂の2つの個人経営メガネ屋さんしかなかったんですね。

(中澤有美子)ふーん。

(安住紳一郎)文明堂と水晶堂。水晶堂の方がちょっと大きめだったんですね。で、文明堂が二番手ぐらいだったんですけども。私の父親は独身の頃からなにやら文明堂で大変お世話になった記憶があるらしく。うちの家族は姉も私も目が悪かったので4人家族中3人がメガネを使用していたんですが、「かならず文明堂で買いなさい」って父親に強く言われてまして。

(中澤有美子)へー!

(安住紳一郎)なんでそんなことがあったのかはわからないんですけども。それで水晶堂の方が大きいし、品揃えがいいんで私たちとしては水晶堂で買いたかったんですけど。頑なに父親は水晶堂ではなくて文明堂で買いなさいって。「でも、水晶堂の方が安く買えたりするんですけどもいかがですか?」って言っても、「いや、そういう問題ではありません。文明堂で買いなさい」って言われて。当時はすごい不可解だったんですけども……。

(中澤有美子)ええ、ええ。

(安住紳一郎)私、大人になってから羽田空港に行く時には京急とモノレール、両方使い勝手がいいですよね。で、どっちを使ってもいいみたいなことなんですけども、私は東京モノレールで携帯電話を忘れた時、東京モノレールの方に大変よくしていただいて。絶対に私の目が黒いうちは、そして私に親族ができた時はかならず羽田空港は東京モノレールで行かせるって決意をしたんですよ。

(中澤有美子)そうでした、そうでした(笑)。

(安住紳一郎)その時に、「ああ、父親はたぶんなにかこういうことがあって俺に文明堂を使えって言っていたんだ」って思って。もうお金とかそういうものではなくて、なにかお世話になって。経済的な理由とかは関係なく、一途に通すっていうのは大事だなと思って。いつも東京モノレールに乗る時には「父親が言っていた『文明堂でメガネを買え』っていうのは俺が『モノレールに乗れ』って言っているのと一緒だな」と思って。いつも、遅刻しそうになっても私はかならずモノレールに乗っているから。

(中澤有美子)アハハハハハッ!

(安住紳一郎)遠回りしてもモノレールに乗っているから。でも、絶対にそういう気持ち、大事ね。そう。うん。話の途中になっているのも知っているのよ。

(中澤有美子)大好きっ子さんのメールに(笑)。

(安住紳一郎)そう。ごめんなさいね。「……10年ほど前、長男がはじめてメガネを作った時のメガネ屋さんからの帰り道、久しぶりに明瞭になった視界に感激した長男がふと、私の顔を見つめておもむろに『毛穴』と言った一言が忘れられません。この話を実家の母にしたところ、母曰く同じように私がはじめてメガネをかけた日に母に向かって『お母さんは結構おばちゃんなんだ』と言ったそうで。母は『30年たってもありありと覚えている』と言っていました。ゴメンね、お母さん。言った方は全然覚えていなかったよ。ちなみに、今年はじめてメガネを作った次男には『結構化粧が濃い』と言われましたが、長男の絞り出すような『毛穴』ほどのインパクトはありませんでしたのでさほどショックではありませんでした。と、いいつつもしっかり覚えているあたり、矛盾していますね。以上、忘れられない一言、言われた方、言った方でした」。

(中澤有美子)へー! みんなの毛穴が見えちゃいますからね。お母さんだけじゃなくて。

(安住紳一郎)本当にね。いや、たしかにね、視力が悪くてメガネとかコンタクトにお世話になっている人、多いですよね。日本人は2人に1人ですか? 視力の矯正器具を使ってますもんね。うん。

<書き起こしおわり>

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