PUNPEEさんがJ-WAVE『SOFA KING FRIDAY』の中でNasの新作アルバム『Nasir』から『Adam and Eve』を紹介していました。
というわけでそんなことを言っていたら、さっき言ったアダムっていう名前が入った『Adam and Eve』っていうタイトルのナズの新曲がちょっと前に出ていたアルバムに入っていたので。それ、ビートもすごいかっこよかったので。カニエ・ウェストがプロデュースのこの曲を聞いて今回は終わろうと思います。置かれている状態とかをアダムとイヴっていう最初の人類が生まれたエデンに比喩をしているような曲で。でも最初は「The ghetto Othello, the Moor」みたいなリリックでナズが入るんですけども。シェイクスピアの悲劇の名前で『オセロ』っていうのがあって。
黒人かムスリムかは定かではないんですけど、オセロっていう人がいて。周りに騙されて結局自分の奥さんを殺しちゃって。最後は自分で自殺しちゃうという劇があって。それが起源でオセロっていうゲームができているんですよ。だからオセロっていうゲームって実は人種的なところ、黒と白っていうところから来ているっていうのもはじめて知ったんですけど。
で、この曲のリリックでも「It’s a trend for these men to die on their own sword」っていうラインがあって。「みんな自分の剣で自殺する風潮がある」みたいなことをラップしていて。それは結構最近の銃社会でいっぱい人が銃で死んじゃっているアメリカの問題とか、最近亡くなったXXXテンタシオンっていう人の話とかに通じるなと思って。そのシェイクスピアの劇をいまの社会になぞらえたような作りになった部分がある曲でした。ナズは昔から――自分が説明するのもあれなんですけども――「リリシスト」っていうか、そういう印象があって。リリシストっていうのは時代の感じを切り取ったライムをすごいかっこよくする人だったり。
たとえばラキムとかビギーとかインスペクター・デックとか。エミネムもそうだと思うんですけど。結構そういうのをかっこよく表現できる人をリリシストっていうんですけども。日本だと自分は仙人掌氏がそれに当てはまるのかなとか思っていて。誰かが「リリシストって簡単に説明をすると凛々しい人」って言っていて。性格的に凛々しい人っていう気もたしかにします。で、結構有名なナズのラインで「睡眠は死の従兄弟。だから俺は寝ない(I never sleep?’cause sleep is the cousin of death)」みたいなラインが(『N.Y. State of Mind』に)あるんですけども。
睡眠は死の従兄弟世代
自分世代の人はみんな「睡眠は死の従兄弟」世代って勝手に思っていて。その言葉に影響を受けた世代っていうか。それはもうヒップホップを聞かなくなった土木建設業の人とかビジネスマンとかセールスマンにも「睡眠は死の従兄弟」世代っていっぱいいると思うんですよね。だからナズはそういうかっこいいリリックをいっぱい書いてきたリリシストの代表ということで、今回のアルバムもすごい超かっこよかったです。というわけで、サヨナラ、サヨナラ、サヨナラ……。
Nas『Adam and Eve』
<書き起こしおわり>
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