渡辺志保さんがblock.fm『INSIDE OUT』の中でジェイ・Z&ビヨンセ夫妻がThe Carters名義でリリースしたジョイントアルバム『Everything Is Love』について話していました。
(渡辺志保)「7月に『INSIDE OUT』で何を話そうか?っていうか、もう半年終わったのか……」って思って。で、ミーゴスの『Culture II』とか聞いていたのがすっごい昔のことのように思えたし、カーディ・Bのデビューアルバムで大騒ぎしていたのも本当、1万年ぐらい前のことのように感じるし。毎年「今年はヤバいな」って言っているけど、2018年は本当にヤバくないですか?
(DJ YANATAKE)ねえ。まだだってドレイクも出るしさ。
(渡辺志保)今月末にね。
(DJ YANATAKE)ニッキー・ミナージュは8月になったんだっけ? もう毎週毎週すごいですからね。
(渡辺志保)もう持たない。心臓がいくつあっても持たない。カニエのアルバムを聞いた時も「これは心臓がいくつあっても足りねえわ」と思いましたもんね。
(DJ YANATAKE)まあでもそんぐらい、本当にいまヒップホップが面白いっていうことだね。
(渡辺志保)本当に面白いね。それでまた昨日の朝ですよ。たまげる新作がドロップされまして。で、私は日曜日の朝 a.k.a 土曜日に深夜は結構ヤナタケさんと遅くまでお仕事の現場で一緒で。で、ベッドに入ったのが深夜3時過ぎぐらいだったんですけども、朝7時に旦那から「志保、ビヨンセがアルバムを出したよ!」って起こされて(笑)。なんちゅう起こされ方や!っていう(笑)。
(DJ YANATAKE)ドッキリ(笑)。
(渡辺志保)ドッキリ。ええーっ!って思って。3時に寝て7時に起きて、もうそこから大変ですよね。もう本当に(笑)。
(DJ YANATAKE)俺はもうね、その日は6時半ぐらいに寝たのよ。で、起きたらもう浦島太郎みたいになっていて。わずか6時間ぐらいで世の中がものすごい動いていて。乗り遅れた感がすごかったし、なんかもうちょっと寝ただけなのに何?って思って。
(渡辺志保)アハハハハハッ! ちょっと寝ただけなのに(笑)。
(DJ YANATAKE)ちょうど俺が寝たぐらいの時に出たんだよ。多分、だから。
(渡辺志保)そうだと思う。本当に日本時間の朝7時ぐらいだったと思う。それで私も寝ぼけながら「あ、ビヨンセが新しい写真をInstagramにUPしてるけど、これってなんなんだろう?」って寝ぼけながらフーッてしていたら、横で旦那が「志保、ビヨンセがアルバムを出したよ!」って(笑)。優しい旦那さんやなと。
(DJ YANATAKE)「本当か!」って。
(渡辺志保)「本当か! はっ!」みたいな。「ほら、ビデオも出ている!」みたいな感じで「ギェーーッ!」みたいな。それで、ジェイ・Zとビヨンセ夫妻がいま、ジョイントツアー。『On the Run Tour II』っていうのを全米で回り始めていて。かつ、ヨーロッパ公演なんかもしていまして。ロンドン公演が終わったタイミングでジョイントアルバムをいきなりドロップしたという。で、後ろでかかっていますけども『APESHIT』っていうタイトルのミュージックビデオを同時に発表したという。それでさ、またまあまあ、いまはSpotifyでもAppleMusicでも聞けるからいいけどさ。まあ、出ましたよ、またTIDAL限定で。ジェイ・Zさんの企業ですからTIDAL限定で出て、「クゥーッ!」みたいな感じだったんだけど。
で、9曲入り。いままでプシャ・T、カニエ・ウェスト、キッズ・シー・ザ・ゴースト、そしてナズも全て7曲入りのアルバムをババババッと出していましたけど、どうしても7曲よりも増やしたかったんだろうね。わかんないけど(笑)。
(DJ YANATAKE)フハハハハハッ!
(渡辺志保)だから9曲入っている。かつ、TIDALエクスクルーシブチューンの『SALUD!』っていう曲もあって、それもあわせると10曲になるんですけども、そのアルバム『EVERYTHING IS LOVE』を出したところです。もうパンチラインの応酬っていう感じがするんだけど、この『APESHIT』でもジェイ・Zが「俺はNFLのスーパーボウルのハーフタイムショーの誘いを断った。NFLに言ってやれよ。だって俺らは夫婦でスタジアムを埋められるんだから」っていうね。もうかっこいい! みたいな。
(DJ YANATAKE)フフフ(笑)。
パンチラインの応酬
(渡辺志保)で、NFLっていうと去年もコリン・キャパニックのニュースなんかもありましたけど、今年に入って先々月ですかね? 「国歌斉唱の時には全員が起立せねばならない」っていう新しいルールを決めまして。それがまたすっごいバッシングされているんだよね。だからそこでまた本当にタイムリーにNFLのそういうディスラインをつけたりとか。
町山智浩 フィラデルフィアとドナルド・トランプとスタローンを語る https://t.co/Q6h4fbVVyW
トランプ大統領はプロフットボール界全体と戦争状態なんですよ。国歌斉唱の時に選手たちが膝をついて起立しないという形で、警官たちによる黒人を殺す事件に抵抗するという運動をしているんですね。— みやーんZZ (@miyearnzz) 2018年6月18日
(渡辺志保)あと、今年に入ってからずーっと言っているような感じもしますが、今年のグラミー賞ジェイ・Zは最多ノミネートアーティストであったにもかかわらず、持ち帰ったトロフィーはゼロっていうことで。それも結局どうなの?っていう話だったんですけども。それもちゃんとリリックに落とし込まれていまして。「グラミーに言ってやれよ! 8個ノミネートされたのにトロフィーはゼロだ!」みたいにラップしていて、ああ、やっぱりこれに関して言いたいことがあったんだな、みたいなところもありましたし。
あと、ビヨンセもね、これは『APESHIT』のリリックじゃなかったらすいません。「私がちょっとでも数字に関して気にしているのであれば『Lemonade』はSpotifyにもあったはずなのよ」みたいなことを言っていて。だから、今回もTIDAL先行になっていましたし、ビヨちゃんももういまは『Lemonade』はアップルからもSpotifyからも取り下げられているんですよね。前作のアルバムですけども。それで、そういうのを取り下げるともちろん数字が稼げないから大きな損失なのではないか?っていう風に言われているんですけど、でもビヨンセはTIDAL限定にしたところで何も痛くも痒くもないという。いまさらそんな細かい数字のことなんて気にしていない。なぜなら私はこんなにリッチなんだからっていう。
で、他の曲でも「私の曾曾孫の代までリッチなんだから心配しないで結構です」っていう、そういうリリックがあったり。あとはすごい、いちばん私がたまげたリリックはいちばん最後の曲。『LOVEHAPPY』。すげータイトルの曲じゃないですか。で、『LOVEHAPPY』の曲の中で「Hova, Beysus, watch the thrones」みたいなリリックがあるんですけど。「Beysus」っていうのは「Jesus(神)」をもじって「Beysus」になっていて。で、「watch the thrones」って言っているんだけど、もともとJesusをもじって自分のことを「神」って言っていたのはあのカニエ・ウェストなんですよ。で、カニエはずっと自分のことを「Yeezus」って言っていて。で、かつ「Watch The Throne」っていうのはジェイ・Zとカニエが一緒に作ったジョイントアルバムの名前、タイトルだったんだけど。
(渡辺志保)なので、もうジェイ・Zにとっては一緒に「Throne(王座)」に座るのは「Yeezus(カニエ・ウェスト)」ではなくて「Beysus(妻・ビヨンセ)」なんだなっていう。だからカニエのこと、結構気にしてんのかな? みたいな。そういうことも思いましたし。あとはナズの最新アルバム『Nasir』が出た次の日にアルバムをドロップするというその意地の悪さ。やっぱりナズとジェイ・Zといえば長年のビーフがございましたから。そのビーフがまた再燃するのかな? なんてちょっと考えてしまいました。
(DJ YANATAKE)なんか前日にみんなに「俺、出すよ」って連絡したっていうね。ジェイ・Zがカニエとかに。
(渡辺志保)ああ、そうなんですか? マジか?
(DJ YANATAKE)うん。「俺、明日出すわ」っていう。あのへんには言ったらしいですよ。
(渡辺志保)ヤバい。どんな反応だったんですかね? 父の日目前でね、みんな大変だったと思いますけども。
(DJ YANATAKE)まあ「ダメだ」っていうあれもないしね。
(渡辺志保)そうね(笑)。「ホヴァさん、ちょっと1週ずらしてもらえませんかね?」みたいな(笑)。誰も言えねえっていう感じがしますけどね。だから、クレジットとかを見ているとさ、カニエの作品にもかなり深く関わっているマイク・ディーンも参加しているし、タイ・ダラー・サインも参加しているし。あと、ドレイクよね。この後にどうしようと……本気でどうしようと思っていると思いますけども。
(DJ YANATAKE)全部まくる可能性もあるけどね。
(渡辺志保)あるけどね。6月29日に最新アルバム『Scorpion』を出す予定のドレイク、かなりプシャ・Tからの追撃もあって焦っているんじゃないかとも思うけど。そのドレイクといつもコンビになってプロデュースを手がけているボーイ・ワンダーも今回のザ・カーターズのアルバムには参加していますから。本当にどういう思いでみなさんがこのジェイ・Zとビヨンセのコングロマリットに巻き込まれたのか?っていうのは胸中お察ししますという感じが。よくわかんないけど。
(DJ YANATAKE)ねえ。でもこんなにビッグタイトルが短い期間に出たっていうのは歴史的にないんじゃないの? いま、この瞬間がヒップホップの歴史上いちばん面白い瞬間かもしれない。マジで。
(渡辺志保)そう。もうドレイクは毎晩眠れないと思うわ。
(DJ YANATAKE)でもドレイクはカニエの『Yikes』にもソングライタークレジットがちゃんと本名で入っているのもわかったしさ。なんかやっぱり……。
(渡辺志保)うまくできている! ヤバい、神の手の上で……(笑)。
(DJ YANATAKE)誰も見たことがない大ボスが全てを動かしているような気もしますけどね。
(渡辺志保)気もしますけどね。どうなんでしょうか。でも、昨日まではTIDALでしか聞けなかったけど、今日はもうどのストリーミングサービスでも聞けると思うけど。まあ、名字がカーターさんっていいますからザ・カーターズっていう名義で出しているアルバム『Everything Is Love』ですけども、結構プロダクション的にはちょっと『The Blueprint』時代を思わせるようなビートもあったりして。ホヴァさんのリリックも『4:44』よりは『The Blueprint』とか『The Black Album』とかそういったところを彷彿とさせるラインもありまして。
あと、なんといってもビヨンセの本当に素晴らしい、ラッパーよりもラッパーらしいリリックがバンバンバンッ!って出てきまして、素晴らしいところですので。まだまだチェックしていないという方はいまからでももちろん遅くはないのでチェックしてほしいなと思います。私のフェイバリットトラックは『713』という彼女の地元ヒューストンの市外局番をもじった曲なんですが、今日はそのビデオも出ました。なんとルーブル美術館で撮影しているという、これももう絶対にカニエへの当てつけだろう?っていう。もう『Ni**as In Paris』どころじゃないぞ!っていう感じがしますけども。ルーブル美術館で撮られたミュージックビデオも秀逸です。こちらの曲を今日のオープニングチューンとしたいと思います。それでは聞いてください。ザ・カーターズで『APESHIT』。
THE CARTERS『APESHIT』
(渡辺志保)はい。いまお届けしたのはザ・カーターズことジェイ・Z&ビヨンセで『APESHIT feat. Quavo & Offset』。このクエヴォとオフセットの声、どうやって入れたんだろうね?って考えちゃいますよね(笑)。もともとこの声が入っていたトラックだったのかな? とか考えちゃうんですけども。で、いろいろとTwitterでもいただいております。
(ツイートを読む)「ええっ、もうAppleMusicにあるんですか? プチ浦島状態……」と。あります、あります。
(DJ YANATAKE)1曲だけね、追加で出た曲はまだTIDALにしかないんだよね。
(渡辺志保)いま、TIDALエクスクルーシブチューンで『SALUD!』っていう曲があって。それもね、最後は(夫妻の娘の)ブルー・アイビーちゃんの声で終わるっていう、もうやりよるなっていう感じの曲ですね。
『SALUD!』
#NowPlaying "SALUD!" by THE CARTERS in @TIDALHiFi https://t.co/BZpA38CjGd
— みやーんZZ (@miyearnzz) 2018年6月19日
(渡辺志保)あ、あとね、(ツイートを読む)「ビヨンセ&ジェイ・Zの『BOSS』ってドレイクへのディスソングらしいですね。Geniusで言及がありました」ということで。なんか私も『BOSS』はそうだと思った。「お前にはボスがいるんだろ? 俺らは違う。だって俺らは自分たちがボスなんだから」っていう。それは結構レーベルに雇われている側のドレイクのことを言ってるんじゃないかな? とか。そういうラインがありました。
(DJ YANATAKE)難しいね。OVO的にはボスだしね。
(渡辺志保)まあね。OVO的にはボスだけど、やっぱりほら、バードマンの名前はなかなか消せないじゃないですか。キャッシュマネーのね。
(DJ YANATAKE)なんかここに来てみんな急にドレイクを叩くっていうのもまたなんか……。
(渡辺志保)怖いわよね。
(DJ YANATAKE)で、それをまたドレイクがアルバムでまくるところまで絵ができている感じがするな。
(渡辺志保)恐ろしい話ですね。恐ろしい……(笑)。
<書き起こしおわり>