町山智浩さんがTBSラジオ『たまむすび』の中でアメリカで大ヒット中のホラー映画『ア・クワイエット・プレイス』を紹介していました。
Acabo de revisionar A QUIET PLACE e insisto en lo que ya dije: Krasinski consigue tenerte durante hora y media atento a la pantalla, casi sin pestanear, haciendote participe de esa pesadilla con una atmosfera angustiosa y claustrofobica. Teneis que verla. pic.twitter.com/4trnfiF8bO
— ?ntonio ?? (@levmauc) 2018年4月20日
(町山智浩)あ、それで今日の映画ですね。
(赤江珠緒)じゃあ、今日の映画ですが……。
(町山智浩)今日の映画は『ア・クワイエット・プレイス(A Quiet Place)』っていう。
(赤江珠緒)これ、アメリカで大ヒットですって?
(町山智浩)これ、ものすごい大ヒット!
(山里亮太)ホラーですよね。
(町山智浩)ホラーなんですよ。ホラーなんだけど、そんなに気持ち悪くはないです。ただね、ものすごいドキドキする映画。だからもう客が飛び上がったりしています。
(赤江珠緒)ああ、ビクッて?
(町山智浩)そう。ビクッ系。
(山里亮太)ああ、ビクッ系……苦手。
(町山智浩)俺もそうなんですよ。ビビリだから。気持ち悪いのは平気なのに、びっくりさせられるのは弱いっていう感じなんですね。
(赤江珠緒)ああ、町山さんもそうなんだ!
(町山智浩)結構そう。ビビリだから。で、これね、「クワイエット・プレイス」っていうのは「静かな場所」っていうタイトルなんですけども。これね、とにかく映画にセリフがほとんどないんですよ。10個ぐらいしかセリフが無いんじゃないかな?
(赤江珠緒)えっ、そんなに少ないの?
(町山智浩)そう。っていうのは、声を立てたり大きな音を出すと殺されちゃう世界なんですよ。
(赤江珠緒)あらー、怖い!
声や大きな音を出すと何者かに殺される世界
(町山智浩)で、なんでそうなっているかっていうのは全然説明がなくて。ただ、アメリカではもう主人公たちの家族がいて。お父さんとお母さんと子供2人がいるんですけど。それ以外はもうほとんど全滅しているらしいんですよ。ゴーストタウンになっていて。
(赤江珠緒)街に人がいない?
(町山智浩)もうアメリカ全体が。もしかしたら地球全体が。で、ちょっとでも音を立てるともう殺されるらしいんですよ。何者かに。だから裸足で歩いているんですよ。音を立てないように。で、木の葉とかも踏まないように歩いているんですよ。
(赤江珠緒)うんうん。
(町山智浩)で、なにか声を立てそうになったら口をガッとふさぐっていう世界で、いったい何が起こるのか?っていうね。言えないんですけど(笑)。
(赤江珠緒)ああーっ! そりゃそうですよね。
(町山智浩)これ、すごいのがものすごい安い映画なんですよ。登場人物は5人ぐらいしか出てこないんですよ。みんな死んでるから。殺されているから。で、セリフもないし、ほとんど映画の間は音がない。
(赤江珠緒)あ、音楽とかも?
(町山智浩)音楽は静かに「ドォーーーン……」って音があるぐらいで。ほとんど音がないから、なにか物を倒しただけでもう観客全員がバッて起き上がるんですよ。席から。
(赤江珠緒)ああーっ! 映画館でお客がたてた物音でもビクッてしちゃうんだ(笑)。怖い!
(山里亮太)入り込めちゃうっていう。
(町山智浩)そうなんですよ。これはアイデアがすごいなって思って。これね、エミリー・ブラントさんって女優さんがいて。『プラダを着た悪魔』とかいろいろと出ている。結構見たことがある人だと思うんですけど。この人の旦那さんで、あんまり売れていなかったジョン・クラシンスキーっていう人が監督をして夫婦役で出ているんですけども。いきなりこれで大大大大大ヒットですよ。製作費の何十倍って。
(赤江珠緒)あ、5人のうちの2人は夫婦っていうこと?
(町山智浩)夫婦です。
(赤江珠緒)夫婦で出ているという。
製作費の何十倍も稼ぐ大ヒット
(町山智浩)夫婦と、だから子供なんですよ。それだけしか出てこない。だから夫婦の家内制手工業映画でもって今年のアメリカ映画で最大の効率ですよ。コスパ最強ですよ。だからもうたぶんね、いままでこの旦那って全然売れない俳優で、奥さんの方が売れていたからいろいろ言われていたと思うんですよ。旦那、いろんなプレッシャーがあったと思うんですよ。「お前、カミさんに食わせてもらってんのかよ」とか。大逆転ですよ、これで!
(赤江珠緒)ああ、そうですか!
(町山智浩)もう他人事ながらホッとしましたよ! なんで俺がホッとするのか? 全然よくわからないですけども。
(赤江珠緒)アハハハハハッ!
(山里亮太)旦那の気持ちがちょっとわかっちゃった。
(町山智浩)そう。そこでなんとなく泣けてきましたね。そこで泣くところじゃねえよ!って言われるんですけど。これが『ア・クワイエット・プレイス』で日本公開がなんと秋ぐらいらしいんですよ。なんでそんなに時間がかかってるんだ?って。これ、字幕翻訳は30分でできますね。字幕つけは30分でできますよ。
(赤江珠緒)セリフが少ないんだもんね。
(町山智浩)そう。でもこれでまた戸田奈津子さんとかにたのんで何十万円とか取られるの、おかしいですよ、これ。これ、映画会社は自分たちで翻訳した方がいいですよ。字幕翻訳とか台本をたのまなくていいですよ、これ。その分、予算が割けるんだからそんな予算は削って、俺に字幕監修料だけくれれば……(笑)。
(赤江珠緒)フハハハハハッ!
(町山智浩)ねえ。5分でやりますから。
(赤江珠緒)どこに向かって提案しているのやら(笑)。
(町山智浩)よくわかんないですけど(笑)。とにかくこれね、字幕翻訳する人は丸儲けだよ、これ!
(山里亮太)セリフも音楽も少ない中で、それだけで成立している。させている設定。
(町山智浩)そうです。これはすごかった。
(赤江珠緒)『ア・クワイエット・プレイス』。
(町山智浩)子供がいる人はちょっと見ていられないシーンもいろいろありますが。結構厳しい……けど、泣ける。お父さん泣ける。あ、最近流行りの、韓国映画によくある父泣き系ですね。
(山里亮太)この前も紹介いただいた。
(町山智浩)パパ泣き映画です。
(赤江珠緒)父ががんばる系。
(町山智浩)これ、お子さんと行っても大丈夫な感じです。というね、まあすごい家族で見れる恐ろしい映画ということで。『ア・クワイエット・プレイス』でした。日本公開はずっと先ですが。
(赤江珠緒)はい。
<書き起こしおわり>