堀込高樹と増田雅昭 KIRINJI・お天気歌詞を語る

堀込高樹と増田雅昭 KIRINJI・お天気歌詞を語る ジェーン・スー 相談は踊る

KIRINJIの堀込高樹さんと気象予報士の増田雅昭さんがTBSラジオ『ジェーン・スー生活は踊る』の中でKIRINJIのお天気にまつわる歌詞や冬のお天気のことわざなどについて話していました。

(蓮見孝之)さて、ここからは生活の知恵を授かる「スーさん、これいいよ」。毎週木曜日のゲストで番組お抱えの気象予報士。通称、天気が好きすぎる予報士こと増田雅昭さんです。よろしくお願いします。

(増田雅昭)よろしくお願いします。今日は堀込さんとご一緒できるということで……。

(ジェーン・スー)ちょっと緊張していますか? 肩がキュッとなってますよ。

(増田雅昭)力が入っちゃって。興奮しているんですよ。あの、堀込さんの曲を改めて聞くと、天気にまつわる言葉が結構あるんですよね。

(堀込高樹)そうかもしれないですね。

(増田雅昭)アルバム『ネオ』に入っている『真夏のサーガ』。これ、歌い出しが「南風は夏の使者」とかね。あと、「東アジアが亜熱帯」とか出てくるんですが。この「南風は夏の使者」っていうのはまさにその通りで。

『真夏のサーガ』

(堀込高樹)ええ。

(増田雅昭)夏の前に南風が吹くたびに、だんだんだんだん夏らしくなってくるというのを上手く捉えてらっしゃるなと!

(堀込高樹)フフフ、よかったです(笑)。ありがとうございます。

(ジェーン・スー)なんで天気予報目線で?(笑)。アハハハハッ!

(堀込高樹)専門家に褒められると、なんか芯を食った感じがしますよね。

(ジェーン・スー)専門家から見てもこれは正しいと?

(増田雅昭)はい。素晴らしい捉え方だなと。まだあって。あと、『絶対に晴れて欲しい日』というタイトルの曲。タイトルもそうなんですけど、歌詞がですね、「センター試験の朝は大雪で交通は麻痺」「大事な日ばかり狙って低気圧が襲って来る」とか「降りやまない雨はない」とかね。あとここ。「雨雲レーダーを虚ろに眺めている」。「雨雲レーダー」という歌詞が出てくる歌ってなかなかいままでなかったんじゃないかな?って。

『絶対に晴れて欲しい日』

(堀込高樹)フフフ、まあそうかもしれないですね。

(増田雅昭)これ、気象予報士的にはうれしくてうれしくて!

(ジェーン・スー)アハハハハッ!

(増田雅昭)でもね、この「センター試験の朝は大雪で交通は麻痺」っていうのはもうまさにその通りで。

(堀込高樹)そういうニュースってすごく多いですよね。

(増田雅昭)おっしゃる通りで、ちょうど寒波がやってきやすい時期なんですよね。で、日本海側で大雪もそうなんですが、普段あまり雪が降らない太平洋側でも結構雪になることがあって。東京も2000年代になってから3、4回このセンター試験で雪が降っているんですね。

(ジェーン・スー)ありますね。ニュースでみますもんね。

(増田雅昭)2006年なんていうのは東京都心でも10センチほど積もって、まさに麻痺したなんていう時がありましたけどね。

(ジェーン・スー)まあ、そんな時に「ロケット一発飛ばして」っていう話ですよね。

(増田雅昭)この「雨雲吹き飛ばしてくれロケット」って、これはどういうイメージなんですか?

(堀込高樹)これはほら、中国がオリンピックの開会式とか閉会式とかで雨雲を吹き飛ばすためにロケットを飛ばしたじゃないですか。だからあそこの国がやっているんだからさ、うちも「個別的自衛権で対応」しろっていう、そんなような。

(増田雅昭)やっぱりそうなですね! 実はその話をこのコーナーで去年、ご紹介して。北京オリンピックの開会式の時に雨雲が来る前に小型のロケットをガーッと打ち上げて雨雲を落としたという話をして。やっぱりその通りだ! うれしい!

(堀込高樹)すごい熱い(笑)。

(ジェーン・スー)目の前でガッツポーズしてブンブンと無言で振り回す大人ってはじめて見たんですけど。増田さんが気象予報士であるがゆえに、比喩や隠喩がまったく伝わっていないという稀な事態が起きていて(笑)。

(増田雅昭)いやいや、本当に興奮させていただいたんですが。で、本題ですよ。少し前の曲に『朝焼けは雨のきざし』というタイトルの曲がありまして。これも天気のことわざですよね。朝焼けがあると……朝、東の空の雲が焼けていると雨のきざしですよということわざなんですが。ここから、やっと本題です。今日のテーマ。いまの時期に使える天気のことわざをご紹介したいと思います。

『朝焼けは雨のきざし』

(ジェーン・スー)はい。でもこれ、いろいろ紹介してもらう前に、そもそもなぜ天気の言葉が歌詞に多いんですか?

(堀込高樹)いや、わかんないですけど。書くものがない時に、あるいは会話のとっかかりとして、天気の話ってありますよね? 「寒いね」とか。歌詞もそれから取りかかるからじゃないですか?

(ジェーン・スー)そんな、日常に差し障りのない会話としての天気みたいな?

(堀込高樹)ただ『絶対に晴れて欲しい日』はKIRINJIが野外のライブに出る時、もう十中八九雨なんですよ。だから実際に「明日、どうかな?」ってネットで雨雲レーダーを調べて。「うーん、大丈夫? ああ、ヤバそう……」とかってことをやっているんですよね。

(ジェーン・スー)じゃあ、「虚ろに眺めている」のは本当の話なんですね。実話なんですね! へー!

(堀込高樹)本当の話です。「また雨か……」みたいな。

(ジェーン・スー)そういう時は、どういうものを見ればいいんですか? たとえば明日のライブがここであるといった時に、一般の人間がリーチできる天気情報はどこにあるんですか?

(増田雅昭)いまは翌日の雨が降る/降らないに関してはネット上の情報がかなり充実していますので。で、ひとつだけじゃなくて複数見比べてもらえれば、かなり精度がよく見られると思います。それでも足りなければ……お抱え気象予報士なんかをご用命いただければ(笑)。

(堀込高樹)聞いたことないですよ(笑)。「お抱え気象予報士」って(笑)。

(ジェーン・スー)アハハハハッ! いま、増田さんは新たな地平線を築こうとしていて。「もっと運動会とかイベンターとか、俺を使え!」と。

(堀込高樹)ああ、「どうなんだ?」と。顧問料をかけて(笑)。すごいですね。

(ジェーン・スー)そういう商売をしようとしているので。来年、ぜひ事務所のみなさんも。フェス関係は増田さんに聞いてという。さあ、そこで……。

(蓮見孝之)本題ですよ。冬のことわざ。

(増田雅昭)去年一度ご紹介して、よく当たるというのが関東でいうと、「朝富士に夕筑波」というのをご紹介しました。朝、富士山がくっきり見えていたり、夕方に筑波山がくっきりと見えているということは、それだけ湿気が少なくてくっきり見えている。湿気が少ないということは、朝富士山が見えていたら、そのまま晴れる。夕方筑波山が見えていたら、翌日は晴れるという、そういうことわざでした。じゃあ今日、紹介するのはこんなのはどうでしょうか? 「月夜の大霜」。夜、お月さまがきれいにくっきりと見えている時というのは、次の日の朝にかけて霜がたくさん下りるくらい冷え込みますよということなんですよね。

「月夜の大霜」

(ジェーン・スー)またどこかで使われる可能性ありますよ(笑)。

(増田雅昭)楽しみだなー(笑)。

(堀込高樹)これなんか、「月夜」っていうだけでもうロマンチックですからね。いけるかもしれない。

(増田雅昭)おおっ、「いけるかもしれない」というお言葉をいただきました。で、最近ね、今週ぐらいかな? 結構お月さまがきれいですよね? 先週から今週。

(ジェーン・スー)スーパームーンがきれいだった。

(増田雅昭)そう。スーパームーンの時もきれいでしたけど。で、きれいに見えるということは、その夜は雲がほとんどない。湿気がない。つまり、放射冷却がよく効いて地上付近の熱がどんどん逃げていく。だから、朝にかけて冷えるよということなんですよね。実際に今週あたりとか本当に朝、冷えていますもんね。ですから、夜に空を見てお月さまがきれいだなという時はお布団を1枚厚くするとか、次の日に起きる時に暖房のダイマーをしておくとか。そういう風な対策をしておくのもいいかもしれないですね。

(堀込高樹)そうかそうか。

(増田雅昭)じゃあもうひとつ、行きましょうか。「雪のあしたは裸で洗濯」。

(ジェーン・スー)さあ、これはちょっとクイズにして、堀込さんに答えてもらいましょう。

(堀込高樹)「雪のあしたは裸で」……。「明日は雪だから今日は裸で洗濯しよう」っていうことですか?

(増田雅昭)スーさんはどうですか?

(ジェーン・スー)私が思ったのは、「雪の翌日は絶対に晴れるから、全部洗え」っていうことかなと思ったんですけど。

(堀込高樹)それだ!

(増田雅昭)半分当たっています。

(ジェーン・スー)半分だ。残念。

「雪のあしたは裸で洗濯」

(増田雅昭)「雪のあしたは裸で洗濯」というのは、「雪が降った翌日は裸で洗濯できるぐらいよく晴れますよ」という意味なんですよね。これ、関東地方はよく当てはまるんですよ。日本海側は当てはまらないんですが。関東で雪がどっさりと降る場合というのは、低気圧がやってきてドサッと降らせます。そうするとその低気圧は動いていくので、翌日には東に離れて、晴れるんですよね。ですから、それぐらいしっかりと降る翌日はかならず晴れるということを昔の方は経験的に知っていたというわけなんですよね。まあ、雪が積もるぐらいなので、もちろん寒いことは寒いんですけども、ただ前日雪が降っていた寒さに比べると、太陽がしっかりと当たっていて暖かく感じるよということで。たとえとして、「裸で洗濯できるぐらいよく晴れて、日差しは暖かいですよ」ということですね。

(ジェーン・スー)冬来たりなばな話でしたね。あの、この『絶対に晴れて欲しい日』という歌をさっき、紹介していただいたじゃないですか。この中で「降りやまない雨はないさ」っていうのがサビのところで。降りやまない雨って、いままで気象上、何日が最長なんですか?

(増田雅昭)これは、全国でというのは結構調べるのが難しいんですけども、東京は出ていまして。27日連続というのがあります。

(ジェーン・スー)ええーっ!?

(堀込高樹)休みなし?

(ジェーン・スー)思っていたより長いですよ!

(増田雅昭)24時間降り続けるのが27日ということではなくて、1日のどこかで降ったというのをカウントしていくと27日連続というのがあるんですよ。ところが、調べた限りでは上には上がありまして。仙台では36日というのがあります。

(堀込高樹)それ、今年ですか?

(増田雅昭)おっ、鋭い!

(堀込高樹)今年なんですよね。宮城。

(増田雅昭)はい。東京で8月に21日連続という風なのをここでもお伝えしたんですが、その時実は仙台、宮城はもっと降っていて。36日連続だったんですよね。

(ジェーン・スー)はー!

(増田雅昭)ということがあったりします。

(ジェーン・スー)それは絶対に晴れて欲しいですね(笑)。実感こもるわー!

(増田雅昭)今日の内容が歌詞に盛り込まれるのを楽しみに待ちたいと思います(笑)。

(ジェーン・スー)アハハハハッ!

(堀込高樹)ちょっとなんか、いいアイデアをもらった気がします。

(増田雅昭)やった!

<書き起こしおわり>

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