DJ YANATAKE Kendrick Lamar『The Heart Part 4』を語る

DJ YANATAKE Kendrick Lamar『The Heart Part 4』を語る INSIDE OUT

DJ YANATAKEさんがblock.fm『INSIDE OUT』の中でケンドリック・ラマーが突然発表した新曲『The Heart Part 4』を紹介。リリックの内容やケンドリックが攻撃してると噂されている相手などについて話していました。

(DJ YANATAKE)いま、バックトラックでもかかっております。とにかく今週のヒップホップの話題っつったらこれを話すしかないだろ!っていうことで、ケンドリック・ラマーの新曲が突然発表されましたよということで。これがどういうことか? という話を説明していきたいと思うんですけども。その前にまず、本当一言いっておきたんだけど、いま、2017年のこのヒップホップ、マジでどんだけ盛り上がっているのかと。アメリカのヒップホップ、本当に。日本ももちろんいい作品が出ていますけども、とにかく本当にすごい。

2017年のヒップホップシーンの盛り上がり

去年の終わり、12月にはまずJ・コールがアルバムを出して。今年もまたいで盛り上がっておりましたけども。1月に入ってからはミーゴスがアルバムを出して。2月に入ったらビッグ・ショーンがアルバムを出して。さらに、フューチャーが2週連続で2枚アルバムを出して。もうこれ、どうなっちゃうの?って思ったら、全然3月も止まらなくて。3月17日にはリック・ロスのニューアルバム。そして翌日の3月18日には、ドレイクのニューアルバム。これ、もう普通に聞くだけで本当に時間もなかなか大変なんですけども。全然どれも、絶対に聞いておかなきゃいけないアルバムばっかりですね。

だっていま言ったアルバムって、ほとんど全部ビルボード一位。これはね、もう絶対にチェックしておかなきゃいけないっていうぐらいのアルバムがボボボボボッと。今年まだだって、3ヶ月ですよ。その間にこんだけ、アメリカでヒップホップが盛り上がっていて。まあまあ本当にね、こういうラジオをやっている身としてはうれしい出来事なんですけども。でね、とにかくそれでもやっぱりね、ドレイクがすごかったわけですよ。1日だか2日で1億5千万回再生ですか。アップルミュージックとスポティファイを合わせてね。そういうストリーミングとかでもすごい記録を打ち立てたなんて。もう、とにかく会う人、会う人、「『More Life』、聞いた?」みたいな話を。

渡辺志保 Drake『More Life』を語る
渡辺志保さんがblock.fm『INSIDE OUT』の中でドレイクの最新作『More Life』を紹介。作品の中から『Passionfruit』『Teenage Fever』を選曲していました。 THEY MOVED US TO 630

DEFLOくんがいま横で大きくうなずいていて。DEFLOくんも今日、入ってきてからずっとね、「もうドレイク、聞いてきたよ」なんて言っていたんですけども……しかし、そのドレイクの盛り上がりすら、1曲でウワーッと話題をかっさらったのがケンドリック・ラマーなんですね。そろそろね、ニューアルバムが出るなんて噂もされていましたし。自分でも「エマージェンシーだ。緊急に俺のアルバムを出さなきゃいけないんだ!」みたいなことを言っておりまして。まあ、それはトランプ政権とか、いまのアメリカの現状へのメッセージなのか? という風にも推測されていましたし。まあ、それがそういうことなのかわかりませんけども。

そんな中、3月23日にサプライズで新曲『The Heart Part 4』というのをリリースします。で、これが出てから本当にリック・ロスがさ、アルバムでバードマンを攻撃しているとか、ドレイクのアルバムではこんな話になっているなんて言っていたけど、もうすっかり話題が本当にケンドリック一色になっちゃって。ねえ。ずっとこの番組でも話していたレミー・マーの『ShETHER』とかね、もうそういう話も一気にどっか行っちゃって。もう全部、いまケンドリックが話題をかっさらっているような状況であるんですけども。

で、僕もInstagramに投稿したんですけど。インターネットのミームっていうからかい動画みたいなやつで、ケンドリック・ラマーが久々に街に現れると、ビッグ・ショーンとJ・コールとドレイクが逃げ出すみたいな、そんなからかい動画なんかも作られているんですが、本当にヒップホップシーンはそういう状況になっているんでしょうか。

#KendrickLamar

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というわけで、そんだけ話題になっているこの曲でケンドリック・ラマーは何を歌っているのか? ということなんですけども。以前にビッグ・ショーンの『Control』という曲がありましたね。ケンドリック・ラマーがいろんな人を名指しで攻撃するラップの曲がありましたけども。まあ、今回も割りとそういう攻撃的なテンションのラップをしているということでございます。で、いまね、「誰をディスっているのか?」みたいなことでリリックの深読み合戦がいろんなサイトで行われているところなんですけども。いまのところ、ドレイクとビッグ・ショーンがやり玉にあげられているんじゃないか? なんて言われてますね。

ケンドリックは誰を攻撃してるのか?

で、ビッグ・ショーンに関しては、『No More Interviews』という曲の中で「早口のラップは感心しないよね。喘息の発作みたいに聞こえるし、俺のラップで返すならゴミみたいなもんになっちゃうよ、そんなのは」「誰がお前のことをトップ5のMCでラップの救世主だなんて言ったんだ?」なんてね。

これは完全にケンドリック・ラマーを攻撃していたと見られるんですが、そのことへのアンサーとして、今回の『The Heart Part 4』の1バース目の最初では、改めて「いやいや、俺は伝説的なヒップホップライムの救世主になったんだよ」なんていう風に言ったり。あと、「Little Bitch」っていう言葉をビッグ・ショーンがよく使うことに対して、「ビッグ・パンのようにお前をぶっ潰してやるよ」って脅しているんですけども。ビッグ・パンっていうのは亡くなったラッパー、ビッグ・パニッシャーのことですけども。彼は気性が荒くて、めちゃめちゃ暴れん坊だったことから、ビッグ・パンはたとえにすぎなくて、「ビッグ・パンのようにお前を残忍に仕留めてやるよ」みたいな感じでビッグ・パンの名前が使われているそうですが、こういう感じで攻撃的にケンドリック・ラマーがラップしていますよと。

で、ドレイクには、『Control』で名指ししているものの、それ以降お互い、ディスりあっているんじゃないか?っていう勘ぐり。推測されるラインを何度もやり取りしているんですけど、いま、「サブリミナル・バトル」なんて言われていてね。まあ、直接的に名前を言っていたわけじゃないんですが。ケンドリックはこの曲でドレイクに対して「お前は俺の名前を匂わせてディスっている癖に、実際に会った時には何もなかったように接してきやがって!」みたいな感じでガンガン行っているんですけどね。でも、ケンドリックのファーストアルバムで『Poetic Justice』っていう曲ではドレイクが一緒に参加していたりしますからね。まあ、どこで仲悪くなっちゃったんでしょうか。

でも、まあケンドリックはこの曲で要するに「最高のラッパーは俺なんだよ」って言っていますね。「Best Rapper Alive」っていうワードが出てくるんですけどもね。「生存しているラッパーの中で俺がベストだ」ってことですけども。このラインはリル・ウェインがよく使っていましたけども、いまはたしかにケンドリック・ラマーの称号になっちゃうのかなと。リル・ウェインもこういう曲、出していたんですけどもね。ケンドリック・ラマーも実は2005年、同じ年に『Best Rapper Alive』っていう曲を出していたんですが。まあまあ、AKLOさんがメールでいろいろ解説なんかを教えていただいて、回していたんですけども。「いやいや、そこはリル・ウェインさんに取っておいてあげてくださいよ」なんてAKLOは言っていましたけども。まあまあ、ケンドリック・ラマーはそういう風に言っちゃっても説得力が本当にあるなという感じで。

で、ケンドリックはとにかく強気で、トラックも途中ですごい変わったり。とにかく、英語はわからなくても、どんだけラップのフロウのパターンを持っているんだ?っていう感じで、そういう聞き方をしてもらってもいかにケンドリック・ラマーがすごいラッパーかというのがわかるかと思います。もちろん、トランプ政権への批判もあったり、あといまのアメリカの選挙システムにも言及していたりしてですね。まだまだでも、語りたいことがいっぱいあるんですけども。本当にすごい。1曲で1時間、まるごとしゃべれちゃうんじゃないか? ぐらいの情報量が詰まっている曲なんですが。でも、曲の最後の締めでは、「4月7日には期待しておけ」というところで終わるんですけども。これはファーストアルバム『good kid, m.A.A.d city』がリリースされた時もこの『The Heart Part 3』っていう曲を出して同様のリリース予告をしていたんで。おそらくこの4月7日には4枚目のニューアルバムが出るっていうことで間違いないんじゃないでしょうか。

で、昨日ぐらいですかね? まだ本物かわからないですけど、ニューアルバムのトラックリストがリークされまして。おなじみのテラス・マーティンとかそういったメンバーも参加しているんですが、なんとディアンジェロとか、アンダーソン・パックとか、サンダーキャット、カニエ・ウェスト、スウィズ・ビーツ、Qティップなんかの名前もあがっておりまして。あ、フライング・ロータスは前回も参加していたかな? まあ、そういったメンバーが参加するアルバムで、非常に楽しみだし。またそれを出す頃には4月7日……ジョーイ・バッドアスも同じ日にアルバム、出るんだけどね。まあでも、非常に楽しみにしております。

で、この『The Heart Part 4』はアルバムに入らない予告編みたいな感じなんですけども。この予告編みたいな、昔で言うところのフリースタイルっぽい感じですかね。これをアルバムに先駆けてリリースするっていうのはちょっと流行っているのかもしれません。J・コールも『False Prophets』っていう曲でそんな同じようなこともやっておりました。長くなりましたけども、とりあえずケンドリック・ラマーのラップがいかにフィジカル的に面白いか?っていう楽しみ方もできると思います。ケンドリック・ラマーの新曲『The Heart Part 4』を聞いてください。

Kendrick Lamar『The Heart Part 4』

はい。いま聞いていただいておりますのはすごい! ケンドリック・ラマーのなんだ、この鬼気迫るラップは?っていう感じですね。『The Heart Part 4』がいまかかっております。いや、しかし本当にすごいな……。

<書き起こしおわり>

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