みうらじゅんさんがTBSラジオ『日曜天国』に出演。安住紳一郎さんとともに権威・濃すぎ(ケンイ・コスギ)問題、不安タスティック、老いるショックなどについて話していました。
(安住紳一郎)さて、みうらじゅんさんの様々なブームがありますけども。最近私が好きなのは、権威・濃すぎ(ケンイ・コスギ)ですね。
(みうらじゅん)ケンイ・コスギ、好きですか?(笑)。やっぱり、つい人間って……自分もあれなんですけども。そんな才能があるわけでもないんですけど、歳を取って同じことをやっていると、ついついケンイ・コスギな時があるじゃないですか。ひょっとしてこの場はケンイ・コスギじゃないか?って気がつくことって、ないですか? 昨日もちょっと仏像の修復の、阿修羅像のやつで朝日ホールっていうところで、興福寺の貫首さんとか、修復師の方とか学術員の方とかと一緒にトークショーがあったんですけども。
(安住紳一郎)ええ。
(みうらじゅん)ものすごい変なんですよ。浮いてるんですよ。俺が。でも、自分は浮いていると思っているけども、お客さんはもう浮いてないと思っているかもしれないじゃないですか。ひょっとして僕のケンイ・コスギがプンプン出ていて。「これはイカン!」っていうことで、やっぱりそこはあの難しい感じを止めて、カタカナにするっていうことですよね。権威・濃すぎを。それによってグッと、(センチュリー21の)黄色いジャケットを着ている人のイメージになるじゃないですか。コマーシャルでやっている。
(安住紳一郎)なるほどね(笑)。これ、あまりにも語感が良すぎて、ちょっと聞き取れない場合があるんですけども。タレント、俳優活動をされている方はケイン・コスギさんですよね。
(みうらじゅん)ああ、そうです。
(中澤有美子)ショー・コスギさんの息子さんの。
(みうらじゅん)ケイン・コスギです。あの、全く別のことですから。これは。
(安住紳一郎)えっ、みうらじゅんさんが広めているのは?
(みうらじゅん)ケンイ・コスギです!
(安住・中澤)(笑)
(みうらじゅん)ケンイ・コスギ。
(安住紳一郎)権威がある。権威が濃すぎる。
権威が濃すぎる
(みうらじゅん)濃すぎる。やっぱり人間にとっていちばんランプ、警告を出さなきゃならないのは権威が濃すぎの状態じゃないかな? と思っているんですけどね。
(安住紳一郎)偉そうにしたらダメだと。自分を過大評価しちゃダメだという。
(みうらじゅん)そうです。そうです。
(安住紳一郎)あまりにも語感がいいんで、パッと聞くとわからないんですよ(笑)。で、どっちがどっちかわからなくなって(笑)。
(みうらじゅん)そうですよね。何の話をしているのかわからなくなって。また別商品ですから。それ。
(安住紳一郎)でも、みうらさんさっき、「ケイン・コスギ」って言ってましたよね?(笑)。
(みうらじゅん)なんですか? ちょっと待ってよ……ケンイ・コスギです。
(安住紳一郎)そう。漢字を思い出さないと(笑)。ケンイ・コスギなんです。
(みうらじゅん)そうです。これ、ボケ防止にもいいですよね。どっちなのか?っていうのをスッスッと出るとボケ防止にいいと思う。
(安住・中澤)(笑)
(安住紳一郎)1958年。昭和33年生まれ、現在59才。来年、還暦ということですね。京都府京都市の出身です。1980年、漫画家としてデビュー。1997年にはマイブームが新語流行語大賞に。ゆるキャラや仏像ブームなどのきっかけもみうらさんからです。イラストレーター、エッセイスト、ミュージシャン、映画監督など多方面で活躍。「1人電通」の異名を取っています。
(みうらじゅん)そうですね。異名を取っているというか、自ら言っているだけで。はい。
(安住紳一郎)あとは、「不安タスティック」ですかね。
(みうらじゅん)あっ、お好きですか?
(安住紳一郎)私、結構使っています。
不安タスティック
(みうらじゅん)ああ、そうですか? あんなに「タスティック」をつけるだけでこんなに気が楽になる言葉ってないじゃないですか。で、しかも「不安タスティック!」ってなんか、気持ちが上がるじゃないですか。上に上がるんですよね。あの言い方はね。
(安住紳一郎)不安な時に、不安は成長の一歩だから肯定的に迎えようっていうことですよね?
(みうらじゅん)そうですね。不安を材料として次を生み出せばいいわけですから。不安がないと、次はないですから。新しいことのためには不安は絶対に必要なんで、「キタッ!」っていう時に。不安が来た時に「不安タスティック!」って言えば……。よく、飲み屋さんでおしっこしたくなって、1回おしっこしてもらって。トイレに行くんですよ。そしたらそこにはかならず、洗面所のところに鏡があるじゃないですか。で、ちょっといい調子で酒が入っている時に「不安タスティック!」ってこう、オモロ顔して言える余裕が自分にあるのか?っていうのを、そのためだけに飲み屋に行ったりすることも必要だと僕は思うんですけども。
(安住紳一郎)そのためだけ(笑)。酔っている時にお店のトイレに行くと、鏡に向かって結構しゃべっちゃう時、ありますよね。
(みうらじゅん)あれ、なんなんすかね? あれ、すっごいしゃべるでしょう?
(安住紳一郎)なんですかね? 「がんばってるな、俺!」みたいなね(笑)。
(みうらじゅん)そうそうそう(笑)。なんですかね? 家ではやらないじゃないですか。居酒屋のトイレの鏡に……なにかあっちにいるんでしょうね。居酒屋兆治的なものがいるんですかね? 中に。
(安住紳一郎)仕事のお付き合いとかでがんばって飲んでいたりすると、結構ね、「俺、やってるじゃん!」みたいなね。
(みうらじゅん)言いますよね。言っている時に人に入られる時、ありますよね? ドキッとしますよね、あれ?
(安住紳一郎)「いい流れに乗れよ!」なんてね(笑)。
(みうらじゅん)そうそう。言ってますよね。
(安住紳一郎)恥ずかしいですね(笑)。
(みうらじゅん)あそこで「不安タスティック!」も「ケンイ・コスギ」も言っていただけるとちょうどいいと思うんで。あの語彙に入れてほしいですね。
(安住紳一郎)あとは最近では「老いるショック」。
老いるショック
(みうらじゅん)老いるショック。やっぱり、1個じゃ物足りなくなってくるんですよ。老いるショッカーとしては。
(中澤有美子)ショッカー?(笑)。
(みうらじゅん)やっぱり老いるショックが増えてくると、ショッカーになってくるから。膝が痛いぐらいじゃあ、老いるショックがひとつしか言えないけど、3つくらい指差し確認があると、もう完璧に老いるショッカーで、「イーッ!」っていう感じじゃないですか。気持ち、上がるんですよね。
(中澤有美子)(笑)
(みうらじゅん)やっぱり、ショックがひとつより2つ、2つより3つあった方がうれしくなってくると思うんですよ。
(安住紳一郎)これは老いるショックは「歳を取る」の「老いる」ですよね。
(みうらじゅん)老いるショックですよね。若い時に、僕もバイクでコケて足の骨が折れたりなんかしたんですけど。若い頃って治ったと思っているんですよね。若い頃ってパーフェクトって好きじゃないですか。でも、歳を取ったら人間にパーフェクトがないっていうことを教えてもらえるんですけども。「古傷」っていうやつを昔、聞きませんでした?
(安住紳一郎)聞きました。
(みうらじゅん)「古傷が痛む」とか。あれ、老いるショックだったんですよね。もう最近、やっぱり昔やったムチウチとかが出てきて。首とか揉んでもらったりして、「なんか首のへんがおかしいですけど。昔、なにかやられたことがあるんですか?」っていう時に、「老いるショック!」で。ムチウチやっていたりするんで。だから、いまから痛くなるもんじゃなくて、昔がジワジワまた出てくるものも老いるショックの1ポイントとして数えられるので。
(安住紳一郎)ちょっと眠っていたものが?
(みうらじゅん)眠っていたものが呼び覚まされるみたいな。老いるショックで。
(安住紳一郎)で、その時に、老いを感じた時に「老いるショック!」って言うと?
(みうらじゅん)言うことですよね。言葉に出さないと、元気出ませんので。
(安住紳一郎)で、元気を出すと。
(みうらじゅん)痛いところを指差して、「老いるショック!」って。田宮二郎ばりに「老いるショック!」はキメてほしいですよね。「チッチッチッチッチッチッ……」っていう感じですよ。その後。
(安住紳一郎)「時は金なり、タイム・イズ・マネー。老いるショック!」って(笑)。
(みうらじゅん)(笑)
(安住紳一郎)っていうと、肯定的に老いを迎えることができると。
(みうらじゅん)たくさん、やっぱり回答できれば、椅子はグルグル回りませんよね? あんなもん、1個2個じゃあグルグル回りますよ。「老いるショッカーとしては、まだまだな!」っていうことになりますからね。
(中澤有美子)むしろ、探したいぐらいの。
(みうらじゅん)探したいですよね。
(安住紳一郎)手首も膝も首も、腰も肩も目も髪も。そして、味もわからなくなってきた……。
(みうら・安住)老いるショック!
(みうらじゅん)そうですよね。もう、勝ち抜いてますよね。その方はね。
(安住紳一郎)そうです。10問正解、パーフェクト!っていう(笑)。
<書き起こしおわり>