宇多丸と渡辺志保 BAD HOP解散発表を語る

宇多丸 BAD HOPの解散発表を語る アフター6ジャンクション

宇多丸さんと渡辺志保さんが2023年5月30日放送のTBSラジオ『アフター6ジャンクション』の中でBAD HOPが解散を発表したことについて話していました。

(宇多丸)ということで、ちょっと本題に行く前にさ、日本のヒップホップシーン的にはちょっと激震が走りまして。

(渡辺志保)ちょっといろいろ忙しいかったんですよ。本当に。

(宇多丸)一昨日の土日にヒップホップフェス『POP YOURS』っていうのが開催されまして。私ども、RHYMESTERはちょうどミュージックビデオを撮っていまして。そしたら、そのミュージックビデオの現場に一報が入りました。

(渡辺志保)ああ、そうなんですね。「速報です」みたいな?

(宇多丸)「『POP YOURS』でこういうことがあった」って。要はBAD HOPが……あのBAD HOPが解散を発表したという。

(渡辺志保)そうですね。私、この『POP YOURS』は2日連続、司会という大層な立場で参加させていただいておりまして。司会を務めたんですけれども、私も「BAD HOPが今日、ここで解散を発表します」っていうのを、彼らの出番の直前に知ったんですよ。それは同じ関係者の方から「こういうアナウンス、あるらしいよ」みたいな感じで。「ええっ?」って思って。「今から取りやめられないんですか? 『解散……しません!』みたいにできないんですかね?」って本気で……。

(宇多丸)「やめへんでー!」ってね。

(渡辺志保)「そんな風にならないですかね?」って相談したんですけど、やっぱりどうにもならなかったっていうところがありまして。ただ、ちょっとこれは昨夜、私の『INSIDE OUT』っていうラジオ番組でも申し上げたんですけれども。本当に「ありがとう。おつかれさま」っていう、それに尽きるなっていう感じがします。

(宇多丸)もちろん、もちろん。グループと一口に言っても、KANDYTOWNとかBAD HOPみたいなグループって大所帯グループって、たとえばRHYMESTERみたいな3人のグループのグループとは意味が違うっていう。

(渡辺志保)KANDYTOWNに至っては15、6人の大所帯で。BAD HOPにしても、MCだけで8名いるっていう。

(宇多丸)だからファミリーっていうかさ、そういうあり方だから。いっぱいあるグループ……僕らなんかはバンドに近い形態なわけだけども。それとは全く違う、本当に大所帯ファミリーっていうのがあるから、それぞれ違う道を歩む時がくるみたいなのは全然僕、あると思うんです。で、あともうひとつはさ、ヒップホップにおけるその解散とか引退とか、なんといいましょうか。そういうワードの持つニュアンス……やっぱりジェイ・Zパイセンをはじめとして。

ラッパーの「解散・引退」のニュアンス

(渡辺志保)そうですよね。結構、いつでもカムバック、ウェルカムです!っていうような土壌が逆にありますから。だから本当にいつでも、ラップしたくなったら……まあ今後もソロ活動はおそらく、盛んに。KANDYTOWNもそうですけれども。既にね、ソロ活動をバンバンやってらっしゃるメンバーもたくさんいるから。BAD HOPにしても、もしかしたらまたリユニオンとか、期待できるのかもしれないですね。

(宇多丸)いつもそれこそ、直接後輩とかに相談されたりするような時……活動休止とか、解散とか。「あのね、無理して決定的に仲悪くなるぐらいだったら、一旦休むのも全然ありに決まってる」って言っていて。「空中分解するぐらいだったら、全然そんなのもありだよ」っていうのはいつも言ってるあたりですよね。

(渡辺志保)だからメンバーもね、歳を重ねて、それぞれのライフスタイルが変わったりとか、そうしたこともあるだろうし。あとは本当にある意味、やり尽くしたのかなっていう。チャレンジをいろんなことをしてきて。自分たちの中で、「もうこの辺で、いい意味で区切りをつけようか」っていうタイミングが今、来たのかなっていう。

(宇多丸)全力でやってきたわけだからね。世代違うけど、たとえばMIGHTY CROWNがさ、たとえばサウンドクラッシュはもうやめるとかさ。そういう、やりきったグループのみがある立場っていうのもでもあるからさ。しかも彼ら、BAD HOPはやっぱりコロナにものすごく……。

(渡辺志保)昨日も宇多丸さん、ちょっとそれを触れていらっしゃって。「たしかに」って思ったんですけども。

(宇多丸)でも、それに対しても真っ向から戦ってきたグループでもあるし。でも、その体力たるや……っていうのは相当を絶するものがあるから。だから本当におっしゃる通り、おつかれさまだし。僕はよくぞ、この何年間かの日本のヒップホップを先頭に立って、構造的に引っ張ってくれたなって思っていて。

(渡辺志保)そうそう。なのでこれも昨日、申し上げたんですけど。私の世代とか、たとえば宇多丸さんとかZEEBRAさんとかの世代でも、BAD HOPのおかげで見ることができた景色みたいなものは確実にあるかと思いますので。そのすごい、めちゃめちゃ爪痕を大きく深く残してくれたグループだなという風に感じましたね。

(宇多丸)NHKでやった『ラップ入門』。本になったやつも最後ね、ラストがBAD HOPで。「これからBAD HOPが大舞台に立つ」っていうところで。「いやー、最後がBAD HOPって未来、あるぜ!」って言っていたけども。なんか、それも感慨深いよね。今、思えばね。

(渡辺志保)感慨深い。だからあれからもう5年以上が経過して、こうした流れというか。彼らが自分たちでピリオドを打ったっていうのもひとつ、流れだな。歴史だなという風に感じた出来事でもありました。

NHK FM『今日は一日”RAP”三昧』のラストがBAD HOP

(宇多丸)自分たちでコントロールしてきたグループだからさ。ちなみに、しのりなさんはなんと、BAD HOPが……。

(篠原梨菜)大好きなんですけど。川崎……私、溝の口なんですけども。ちょい同世代気味というか。若干、BAD HOPさんたちの方が上ではあるんですけども。やっぱりそういう、「○○中らしいよ」みたいな。

(渡辺志保)リアルな、ローカルな話題ですね(笑)。

(篠原梨菜)そういうのがあって、やっぱりかっこいいなっていうのはすごい思っていて。

(宇多丸)しのりなさんと以外な接点があるわけですね。

(篠原梨菜)「川崎」っていうだけですけども。

(宇多丸)そんな感じでちょっと前置きが長くなりましたが。お知らせのあとは渡辺志保さんに2023年上半期、ヒップホップシーンどんなことがあったのか。どんな流れがあるのかといったあたり。そしておすすめ新譜。このあたりを伺っていきたいと思います。

<書き起こしおわり>

宇多丸 BAD HOPの解散発表を語る
宇多丸さんが2023年5月29日放送のTBSラジオ『アフター6ジャンクション』の中でBAD HOPが『POP YOURS』で解散を発表したことについて話していました。

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