鳥居咲子 Dynamic Duo・Loco・不汗黨・Verbal Jintを語る

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鳥居咲子さんがDommune『ヒップホップコリア特集 Chapter2』の中で、著書『ヒップホップコリア』の中から注目ラッパーたちを紹介。Dynamic Duo、Loco&Gray、不汗黨、Verbal Jintについて話していました。

(鳥居咲子)じゃあ、また曲の紹介に行きたいんですけど。前回、時間の都合上泣く泣くカットした人たちなんですが、大御所のダイナミック・デュオ(Dynamic Duo)という2人組がいて。この2人をカットするのはいかがなものか? と自分で前回思いつつ、ちょっと仕方なかったんですね。で、2人組なんですけど、韓国ヒップホップを語る上で欠かせない2人です。1990年代後半からアンダーグラウンドで活動を始めたんですが、2000年代に入るとオーバーグラウンドに上がり、アメーバカルチャー(Amoeba Culture)っていうレーベルを作り、そこにクラッシュ(Crush)、ザイオン・T(Zion.T)、イーセンス(E Sense)なんかがいたシュープリーム・チーム(Supreme Team)。そういう大人気ラッパー、シンガーたちを結構たくさん輩出してきています。

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Dynamic Duo

Twins

Choizaさん(@choiza11)が投稿した写真 –

(Wardaa)うんうん。

(鳥居咲子)で、ダイナミック・デュオ自身はもともとパーティーチューンが多い人たちで、ライブでジャンプ、ジャンプで盛り上がるような、そんな曲が多い人たちです。あと、それと同時によく「歌謡ラップ」って称されるんですね。歌謡曲っぽい曲にラップを乗せているっていうのが多くて。すごく韓国ヒップホップらしいって言ったらいくつかアーティストの名前が挙がるののひとつがこのダイナミック・デュオかな?って感じがして。最近の若手の韓国のラッパーたちは結構サウス系だったり、トラップみたいなアメリカのトレンドにしっかりついて行ってるんですけど。

(Wardaa)そうですね。

(鳥居咲子)ダイナミック・デュオとかはそういう感じじゃなくて、王道の韓国らしい歌謡っぽいやつをずっと続けていて。(最近の若手ラッパーの)歌詞もアメリカのサウスな感じとかウェスト・コーストな感じに合わせた、ちょっとブイブイしているような歌詞が増えてきているんですが、ダイナミック・デュオはもっと韓国人としての日常みたいなものをラップしていたりして、大衆的にすごく受け入れられている人たちですね。で、ミュージックビデオもクールさとは程遠いコミカルなものが多かったりして。やっぱり大衆を楽しませるみたいな、そういう独自の魅力がある人たちで。最近、やっぱり実際に若手に人気が押され気味かな?って感じる部分もあるんですが、でも、若手にはない彼らだけの魅力っていうものがあるので。

(Wardaa)うんうん。

(鳥居咲子)って、言いながらだいぶコミカルなパーティーチューンをかけちゃうんですが(笑)。ライブで毎回、いちばん盛り上がる感じの曲で。『プルゴンノリ』。「花火」っていう意味の曲なんですけども。2009年でちょっと古い曲なんですが、そちらをおかけしたいと思います。

Dynamic Duo『Fireworks』

(鳥居咲子)はい。こんな感じの……

(Wardaa)だいぶ、派手ですね。

(鳥居咲子)だいぶ……まあ、PSYみたいなもんですかね?(笑)。ちょっとそういうノリのところはあると思うんですけども。でも、これ以外にも結構真面目なバラードみたいなのもやったりとか、割と幅広く。2年前でしたっけ? DJプレミア(DJ Premiere)ともコラボシングルを出したりとかして。

(Wardaa)はいはい。

(鳥居咲子)結構すごいんですけども。まあ、これからもがんばってほしいなと。全体的にちょっと韓国のヒップホップシーン、30代が20代にだいぶ押されてきているんで。30代にがんばってほしいっていう……

(Wardaa)(笑)。まあ、ヒップホップだとそれが普通っちゃ普通だと思うんですけどね。

(鳥居咲子)なので、私、この本の中でもディープフロウ(Deepflow)さんっていう人にインタビューで話しているんですけども。「日本だとロックミュージシャンとか50代、60代で活躍している人がいっぱいいるから、あなたたちもそこまで目指してがんばってください」っていう話をしています(笑)。

(Wardaa)激励ですね(笑)。

(鳥居咲子)で、続いての曲なんですけど、先ほど紹介したジェイ・パーク(Jay Park)さんがやっているAOMGっていうレーベルに所属しているロコ(Loco)っていういラッパー。こちらも前回紹介できなかったので。ロコはこの本の34ページに載っているかわいい感じの方です。そして「純朴そうな感じが女性受けする」って書いているんですけど。声が結構かすれていたりとかして、そういうところが聞き所だったり。あと、ラップのフロウが全体的にフラットな感じなんで、好き嫌いがちょっと分かれるかもしれないんですけど、好きな人には結構ハマる感じだと思います。

S K T ??

Loco | ??さん(@satgotloco)が投稿した写真 –

で、その前のページに載っているグレイ(Gray)さんという方がフィーチャリングしているんですが。このグレイっていうのがプロデューサーであり、シンガーであり、ラップもする。そしてイケメンっていう。全部持っているズルい人になっていますんですが。

#Drive ????

GRAYさん(@callmegray)が投稿した写真 –

このロコとグレイ、2人ともAOMGというジェイ・パークがやっているレーベルに所属しています。で、そのAOMGってさっきのジェイ・パークとアグリー・ダック(Ugly Duck)にしろ、このグレイとロコにしろ、センスいい感じ。

(Wardaa)うん。そうですね。間違いないです。

(鳥居咲子)おしゃれで、洗練されていて。で、いまのヒップホップシーンを牽引している人たちなんですけども。で、いまのグレイがAOMGの曲以外にもいろんなレーベル外のアーティストの曲もプロデュースしていて。結構、あれもこれもグレイだったのね、みたいなことが多いんですけども。すごくヒット曲を本当に量産していて。彼はもともとK Popとかの大衆音楽を作っていたキャリアがあるので。結構ヒップホップ色が強い曲よりもポップス的な聞きやすい曲とか、キャッチーな曲が多いのかなって思うんですけども。次に紹介するこのロコ feat. グレイの『Respect』という曲もそんな感じで。

(Wardaa)はい。

(鳥居咲子)かなり聞きやすい……いま、これが5曲目なんですけど。いまのところ5曲全部サウンドがバラエティーに富んでいて。それぐらい韓国のヒップホップは音楽に多様性があるということがいきなりわかっちゃうかなって思いますね。

(Wardaa)特にAOMGとかは、ジェイ・パークもそうですけども。どんなスタイルでもやるっていうか。それもありますよね。

(鳥居咲子)そうですよね。もう、曲を出すごとにイメージを変えてくれたりとか。そういう面白みがある人たちです。じゃあ、ロコ feat. グレイで『Respect』。お聞きください。

Loco『RESPECT (Feat. GRAY & DJ Pumkin)』

(鳥居咲子)はい。こういう感じです。

(Wardaa)かなりやっぱり、ちゃんとトレンドも取り入れているし。ディスコっぽい感じとか。フロウ自体もキャッチーだし。やっぱり、売れるレーベルだなっていうのはすごいわかりますね。

(鳥居咲子)そうですね。で、やっぱりこのキャラとかも笑顔とかがね(笑)。偏見を持っている方ってヒップホップって多いのかな?って思うんですけども、その偏見を絶対に覆すタイプのかわいさっていうか。

(Wardaa)たしかに(笑)。萌えじゃないですけどね。

(鳥居咲子)萌え(笑)。そうなんですよね。で、次の曲なんですが。前回、韓国のヒップホップの歴史を紐解くということで、90年ぐらいのラップのいちばん最初の頃の曲なんかをご紹介したんですが。その時に時間の都合上、説明しきれなかった話があって。不汗黨(プランダン)っていうクルーがいます。大御所のラッパー、プロデューサーたちで構成されているクルーなんですが。その中に、Pタイプ(P-Type)っていうメンバーがいて、この人がすごくライム、韻を踏むことが得意というか、第一人者みたいな人なんですね。

(Wardaa)うん。

(鳥居咲子)で、この『ヒップホップコリア』の中でもちょくちょくとライムの話はしていて。韓国語におけるライムの説明を簡単にしていたりするんですけど。で、本の183ページから、歌詞の解説ということで、『不汗黨歌』っていう不汗黨の曲の歌詞の解説……ハングルがあって、カタカナがあって。で、どういう風に韻を踏んでいるのか?っていうのを色分けで説明しているというマニアックなページがあるんですが(笑)。これ、『不汗黨歌』という曲で、多音節ライムっていうのを踏んでいるんですけども。

(Wardaa)はい。

(鳥居咲子)多音節ライムっていうのはなにか?っていうと、それの対義語として単音節ライムがあります。単音節ライムは行の語尾だけとか、1ヶ所だけでライミング、韻を踏むっていうことなんですけど、多音節ライムっていうのは単語全体とか、複数、2ヶ所以上でライムを踏むことを多音節ライムっていうんですけど。この『不汗黨歌』っていう曲がそれの極みみたいな感じで。この『不汗黨歌(プランダンガ)』っていうタイトルにあわせて、「ウアンアンア、ウーアンアン、ウーアンアンア」っていうこの4つの音をずーっとライミングし続けるんですよ。だけど、ちゃんと文章になっていて意味も通っているっていう、そういう感じの曲でですね。『不汗黨歌』って不汗黨のメンバー4人がラップをしているんですが、そのうちの3人めがP・タイプさんの「ブーランダンガ」で韻を踏んでいる部分なんで。ちょっと曲の途中からになっちゃうんですけど、そこからかけたいと思います。

不汗黨『不汗黨歌』


※動画2:18からスタートします

(鳥居咲子)はい。こんな、もうすごい……もうなにを言っているかわからないんだけど、すごいんですよ。みんな……日本人には全部「プランダンガ」って言っているように聞こえちゃうぐらい(笑)。すごいんですよ。

(Wardaa)いや、テクニカルですよね。

(鳥居咲子)本当に。そうなんですよ。テクニカルと言えばP・タイプって言われちゃうぐらい。でも、P・タイプさん自身はあんまり「ライムがすごい、ライムがすごい」みたいに言われると、「ライムしかできない」みたいに聞こえちゃって嫌みたいですね。だからもっと普通にラッパーとして評価されたいんだけど、どうしても「ライムの教科書、ラップの教科書」みたいなあだ名もついちゃって、どうしてもそういう人という風に……ちなみに、結構アイドルにもラップ指導をしてきている人で。

(Wardaa)うん。

(鳥居咲子)YGエンターテインメントっていうBIGBANGの所属している会社の2NE1のCLっていう、いまアメリカデビューしてすごいことになっていますけども。彼女にラップを教えたのもP・タイプなんですよ。

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(Wardaa)へー! そうなんですね。

(鳥居咲子)なんか、「ああ、なるほど!」っていう感じですよね。

(Wardaa)でも、やっぱりその多音節ライムが始まって、かなり表現の幅が広がったっていうか。

(鳥居咲子)そうなんですよ。やっぱり、1990年代後半から韓国でラップがかなり本格化したんですけど。その頃は結局ライムが成熟してなくて。で、アメリカのヒップホップを好んで聞いている韓国の若者たちにとっては結構物足りな買ったみたいなんですよ。それが、このP・タイプと次に紹介したいバーバル・ジント(Verbal Jint)さんっていうこの2人を中心に多音節ライムが開発されて。そこから急に、大きく韓国のラップが成長をしていったと見られています。

で、いま言ったバーバル・ジントっていう人が、2000年ぐらいにP・タイプと一緒に多音節ライムを開発したんですけど、そのへんの話がこの『ヒップホップコリア』の中で、バーバル・ジントにインタビューをしたんですね。で、ちょうど1年ぐらい前に、バーバル・ジントさんがライブで日本にいらっしゃったんですよ。その時にインタビューをさせていただいて。このインタビューの中で、「どんな風に多音節ライムを開発したんですか?」みたいな話も聞いていて、15年ぐらい前の話を思い出していただきながら、その時の話なんかを聞いていたりします。で、このバーバル・ジントさん。見た目もジェントルマン感がにじみ出ている、そんな感じの人で。声からしてもジェントルマンな感じが漂う。で、人柄もジェントルマン。でも、ジェントルマンっていうよりも結構SNSを通してバレちゃっているのが、だいぶ天然っていうそういう感じの……

(Wardaa)(笑)

(鳥居咲子)そういう人なんで。で、最近、ここ5年ぐらいとかで出している曲がみんなラブソングだったりバラードだったり、そういう曲が多いので、そのイメージがすごく強くついちゃっているんですけど。もっと昔は、それこそこの多音節ライムを開発したその当時はかなりのディスキングで。いろんな人を相手にディスをしていて。そういうマッチョな精神の人だったんですよ。で、すっかりいまはイメージが変わっちゃったんですけども。

(Wardaa)大人になったんですか?

(鳥居咲子)それもインタビューで聞いたんですけど、「もうディスはしないんですか?」って言ったら、「怒ることがあったら、します」みたいなことを言って。「あ、もう怒らなくなったんですね!」っていう話だったんですけど(笑)。で、バーバル・ジントさんはすごくラブソングとかバラードとかも素敵なんですけど、やっぱりそうじゃない、ハードな感じの曲の方がかっこよさがわかりやすいというか。で、バーバル・ジントさんって「King Of Flow」っていう名も持っているんですが。まあ、フロウの王様ですね。その名の通り、ライミングももちろんなんですけども歌詞もすごくウィットに富んでいたり。リズムとかが結構トリッキーだったりとかして、P・タイプさん同様テクニックがすごく高い人なんですよ。

(Wardaa)うん。

(鳥居咲子)で、楽器演奏もするので、ラッパーというよりも音楽家のイメージもあったりして。紹介したい曲が『Classic』っていう曲で、若干ハードっていうよりは、ハードコアとかサウス系とか、そういう意味でなく、やっぱりソフトなんですけども、自負心。自分に対する自信みたいなのとか強気な姿勢とか、そういうのを感じさせる曲になっています。じゃあ、『Classic』をお聞きください。
Verbal Jint『Classic』

(鳥居咲子)はい。どうですか?

(Wardaa)いやー、いいっすね。

(鳥居咲子)最近のバーバル・ジントさんのイメージとたぶん違うのかな?って。

(Wardaa)でも、やっぱりその、90年代的な正統派のヒップホップっていうのを受け継いでいるなっていう気がしますね。

(鳥居咲子)ビートをこれ、作っているのもサイコバン(Psycoban)っていうプロデューサーで。やっぱりそういう90年代的なのとかも割と器用になんでも作る人なんですけど。得意な人なんで。その2人の相乗効果がよく出ているかっこいい、やっぱり王道ヒップホップっていう感じの曲だったと思うんですが。バーバル・ジントさん、さっきから言っているように、一般的な普通の韓国人のお茶の間の方々にはたぶん全然違うイメージがあって。普通の人はこういうイメージを持っているだろうなって思う曲をご参考までに、紹介したいと思うんですが。いま、かけた曲の最初の冒頭の部分で鼻歌を口ずさんでましたが。その曲なんですけども、『チョアボヨ』っていう曲で。これはたぶん典型的、一般的なバーバル・ジントさんのイメージの曲です。

(鳥居咲子)はい。こんなイメージがたぶん強いんじゃないかな?って思うんですが。最近、もう1年ぐらいになっちゃうんですけども、去年の年末に新しいアルバムを出しまして、そこはちょっと原点回帰というか、ちょっとハードなバーバル・ジントに戻ってきているんですけども。結構、その時その時の自分の気持ちで音楽性が大きく変わったりとかするタイプなので、今後はまたどんな姿を見せてくれるのか、すごく楽しみな人です。ベテランでも元気がある人は少なくなってきているんで、がんばってほしいなっていう風に思っています。

<書き起こしおわり>

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