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久保田利伸 ファンクを語る

久保田利伸と松尾潔 アルバム『L.O.K』を語り合う NHK FM
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久保田利伸さんがNHK FM『今日は一日ジェームズ・ブラウン&ファンク三昧』に出演。吉岡正晴さんとファンクについて語る中で、ファンクレジェンド、ジョージ・クリントンとのレコーディング体験などについて話していました。

(久保田利伸)『今日は一日ジェームズ・ブラウン&ファンク三昧』をお聞きのみなさん、こんにちは。久保田利伸です。

(吉岡正晴)久保田さん、今日はご出演、本当にありがとうございます。

(久保田利伸)お手柔らかにお願いします。

(吉岡正晴)いやいやいや(笑)。よろしくお願いします。あの、ファンクと言えば、やっぱり久保田さんの名前がまずいちばん最初に挙がるんですが。

(久保田利伸)めっそうもない。

(吉岡正晴)いやいや、それで久保田さんにとってのファンクとは、どういうものか?っていうのをまず、一言、二言、三言、四言、なんでもいいんですが。いただけますか?

(久保田利伸)ファンクっていうのはどういうものか?っていうのを、日本人の僕が言うのもなんですが。まあ、僕にとってのという意味で言うと、まあデカいです。存在は。デカさで言ったら、「衣・食・住・ファンク」みたいな。

(吉岡正晴)「衣・食・住・ファンク」。

(久保田利伸)そのぐらい、ないと困り果てるものですね。なかったら生きていけないですし、僕が音楽をやっているかどうかもわからない。

(吉岡正晴)ああー。

(久保田利伸)だから、ファンク……ソウルまで含めちゃいますけども。ファンク・ソウルがあるから、僕は夢を持って、気合を入れて、プロとしてもここまで来れたと。「ミュージシャンになりたい」という思いを強くさせたのもファンクでしょうしね。

(吉岡正晴)ああー。じゃあそのファンクがあったからこその、30周年と。

(久保田利伸)ありがとうございます。そうです! もう本当に、そうです。だからファンクっていうものすごい強いものがなかったら、僕がもし万が一、何かの形で歌唄いになったとしても、もうちょっと違うものをやっていたかもしれないじゃないですか。そうすると、僕の歌手としてのキャリアがどこまであったか、わからない。逆にファンクって濃い濃い強い音楽なんですが、その分、それが好きであれば一本筋の通った形で行けるので。ある意味、ブレないで。それが好きっていうことでブレないで来れたという。

(吉岡正晴)もう本当にブレてないですよね。30年。もうそれはすごいと思う。

(久保田利伸)まあ、好きだからしょうがないっすね。あと、他の表現方法というのもあまり思い浮かばないし。やっぱり、自分でやっていてワクワクしないと音楽って嫌ですから。ソウル・ファンク以外はワクワクしないんですよ、僕。やっていても、聞いていても。全然です。

(吉岡正晴)なるほど。

(久保田利伸)いま、自分のやっていることっていう話をしましたけど、僕、ミュージシャン、歌唄いである前に、リスナーなんですよ。一リスナーなんです。だから、歌うことよりも、もしかしたらソウル・ファンクを聞く方が好きかもしれない。そのぐらい、だから好きですね。

(吉岡正晴)ああー。あの、ファンクと言ってもいろんなバリエーションもありますよね。そんな中で、久保田さんにとってファンク頂上、ファンク横綱って言ったら、久保田さんにとってはどのへんになるんでしょう?

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ファンク界の横綱たち

(久保田利伸)あの、ファンク頂上という意味では、ミスター・ダイナマイトをまず挙げるべきです。ジェームズ・ブラウン(James Brown)を挙げるべきなんですが、僕にとってという意味では、ジェームズ・ブラウンフリークの人には「ん?」と思うかもしれないけど、ジェームズ・ブラウンとジョージ・クリントン(George Clinton)が同じ位置に。

(吉岡正晴)両横綱。東と西。

(久保田利伸)はい。そうですね。それに勝る人というのはいないです。もう、この2人がずーっと変わらず、存在としておりますね。

(吉岡正晴)なるほど。スライ・ストーン(Sly Stone)はどこに位置するんですか? 張出横綱ぐらいですか?

(久保田利伸)このね、僕ごときが大関横綱的な比べ方を彼らにしちゃいけないんですが、僕の好みとか、肌に合うという意味で言ったらば……いやー、それを大関って言っちゃいけない。

(吉岡正晴)言っちゃいけない? じゃあ、やっぱり横綱だ。

(久保田利伸)横綱です。

(吉岡正晴)3人横綱だ。

(久保田利伸)そうしましょう。言っちゃいけないっすね。みんな神様ですから。

(吉岡正晴)あの、そんな中でも3人挙げた中で、ジョージ・クリントンと久保田さんは一緒にやられていますよね?

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ジョージ・クリントンとのレコーディング

(久保田利伸)やってますよ。えっと25年以上前かな? 『BONGA WANGA』っていうアルバムを作った時に、ニューヨークのスタジオに来てもらいましたね。ジョージ・クリントンに。それで1曲、『MIXED NUTS』という曲を歌ったんですが。スタジオに来てもらって。で、ジョージ・クリントン、何かやってくれないかな? 何をやってくれてもいいから。これをやってくれとか、具体的にルールを作っても絶対に無理じゃないですか。ファンキー・ピーポーは。

(吉岡正晴)(笑)。ええ、まあ自由ですからね。みなさん。

(久保田利伸)「この曲、こんな曲があるんだけれども、もちろんあなたに影響を受けたような曲だけども。ここで何かやってくれないか? イントロでもいいし、間奏でもいいし、サビでもいいし、何でもいいよ」と。で、一応サビを僕、作ってあったんですね。「少なくとも、そこを一緒に歌ってくれ」って。なので、一緒に歌ったんですが。「これでいいのか? このサビの前後にPファンク(P-Funk)がほしくないか?」って言って……

(吉岡正晴)うん、うん。

(久保田利伸)「いやいや、そう言ってくれるなら!」っていうことで、ゲロゲロのPファンクチャント、Pファンク語です。を、入れてくれましたね。

(吉岡正晴)おおー。その時ってスタジオに何時間ぐらいいたんですか? ジョージ御一行様は。

(久保田利伸)ええと、僕がほしかった時間は2時間あればいいと思っていたんで、「最低2時間いてくれ。数時間ほしい」って言ったんですが……3日間、おりました。

(吉岡正晴)3日間!? ああ、そうなんですか!

(久保田利伸)はい。3日間、おりました。

(吉岡正晴)じゃあ今日やって、「じゃあ、また明日来るよ」ってジョージたちが来ちゃった?

(久保田利伸)1日目は、いろいろ話をしたり、こんな曲だ、なんてことで帰っちゃった。で、2日目、来てくれるのかな?って思ったら、ちゃんと来てくれまして。そこでちゃんとセッションして。「ああ、これで十分だ」と思って。それでもう、仲良くなって次の日。3日目も来て、スタジオにいたりとか、ラウンジにいたりとか。しかも、なんでそうなったかって言うと、ジョージとセッションする前後……後かな? たまたま、メイシオ(Maceo Parker)が来たんですよ。スタジオに。

(吉岡正晴)それは、予定してというか、声をかけて?

(久保田利伸)別の僕の曲で声をかけていて。で、ジョージ・クリントンとの時間はしっかり決まっていなかったので、かぶったんですよね。で、メイシオは意外とセッション通りの時間に来て。

(吉岡正晴)なんか時間にきっちりしてそうですね。

(久保田利伸)そうなんですよ。で、そこでもう2人で大盛り上がりですよ。「お前、トシ・クボタっつーんだよな? お前、すごいな」って言って。そういうところから、やっぱりじっくりと和んじゃって。で、メイシオは割と仕事やることをやって。で、ゆっくり和んで。セッションプラス2時間ぐらいで帰ったんですけども。

(吉岡正晴)おおー!

(久保田利伸)で、またそうやっていると前後して、ブーツィー(Bootsy Collins)も来たかな? その3日間の中に。

(吉岡正晴)あ、それはまた別に呼んでいた?

(久保田利伸)別に呼んでいたんです。で、ブーツィーとジョージ・クリントンは同じ曲の中でだったんですが。

(吉岡正晴)じゃあ、バチバチやってもらいつつの。こっちはコーラスでと。

(久保田利伸)そうです。で、同じ曲にまた、ワシントンDC・ゴーゴーのE.U.のドラマーのジュジュ(JUJU)。これも来る1週間だったんですよ。

(吉岡正晴)おおー、すごい濃い1週間(笑)。

(久保田利伸)すんごいファンキーなんですよ。超ファンキー。それで、ドラムのジュジュとジョージ・クリントンがそこで会うことになるんですが、その後、ジョージ・クリントン・バンドにジュジュが入りましたね。だから僕のおかげですよ。

(吉岡正晴)うわー、すごい! ファンク界をちょっと仕切っちゃったんですね。そこは。

(久保田利伸)ある意味、仕切ってますね。

(吉岡正晴)ある意味、仕切ってますよね。へー、そんなことがあったんだ。すごい濃い1週間ですね。それね。

(久保田利伸)いっぱいいっぱいでした。僕はもう。僕にしてみれば、夢のスターたちがそこに来てくれるだけでもすごいんですが、そこでこう、音楽が作られていくっていうね。その人たちによって。

(吉岡正晴)まあ、ファンクの人たちってもうセッションでどんどん曲ができちゃいますもんね。「とにかく回しておいて」っつって。で、「ああ、じゃあいまのところを使おう」っつってそれが曲になっちゃいますもんね。

(久保田利伸)そうです。本当にまざまざとジョージ・クリントンの曲の作り方っていうのをそれで学んだというか、目撃したっていうか。「そうだろう」と思いましたけども。僕はだいたい曲を作ってあって。だいたいのトラックもできていて。

(吉岡正晴)割ときっちりした。

(久保田利伸)そうなんですよ。で、そこに、「どこに乗っけてくれるかな?」って思ったんだけど。1回、そのトラックをもうちょっとシンプルに、いろんなものを落としてビートだけにして。そこに、ジョージ・クリントンがうなり始めるんですよ。「○△※……♪」ってムグムグうなり始めて。それが曲のスタイルになっていって、そこに自分の声や、知らず知らずに集まってくる彼の取り巻きたちの声が重ねられて。いつの間にか、めちゃくちゃファンキーな、キャッチーな。

(吉岡正晴)ああー。じゃあその最初の頃は、それこそいつの間にか歌詞ができてくる、みたいな感じになるんですか?

(久保田利伸)そうですね。六分出来ぐらいの。ただ、「ホナホナホナ……♪」って歌うわけじゃなんですが、だいたいのキーワードぐらいがありながらの鼻歌でちょっとうなっていて。その後、ひらめいた言葉がちゃんと乗っかって行き。ただ、そんなに驚きの歌詞というよりも、逆に言えば僕にとってはうれしいんですが。ファンクな歌詞と。

(吉岡正晴)ファンクな歌詞。ファンクな単語が連なる感じの。

(久保田利伸)ザ・ファンクな単語が。「Mothership」って言ってくれたりとか、「Fried Chicken」って言ってくれたりとか、みたいな。そういう感じですね。

(吉岡正晴)ファンクワードが散りばめられる感じ。いいですねー!

(久保田利伸)そうです。そこにゾクッとしましたね。逆に。たまんないですね。

(吉岡正晴)なるほど。すごいな。で、まあファンクのアーティスト、ジョージ・クリントンとも一緒にやった。それからブーツィーとも一緒にやった。メイシオ・パーカーとも一緒にやった。そうしたファンクのアーティストたちと交流することによって、それ以降、久保田さんのファンクライフに大きな影響っていうのはありました? やっぱり。

(久保田利伸)あるでしょう。それは。

(吉岡正晴)あるでしょうね(笑)。

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レジェンドたちとのレコーディングで受けた影響

(久保田利伸)やっぱり日本に生まれ育って、ただただファンクが好きで好きでと。いっぱい聞いて、というだけですからね。それが、生のファンク横綱たちに会って。会っただけじゃなくて、一緒に音楽を作ってとなると、その作り方も、僕も楽器を丁寧に弾きながらそれで曲を構築していく、作っていくっていうよりも、やっぱり雰囲気やセッションの中で作るのがもともと好きなんですが。だから、作り方にびっくりしたわけじゃないんですけど、とりあえずもう自由に。譜面は当然ないです。

(吉岡正晴)ああ、譜面は当然ない(笑)。

(久保田利伸)書かないし、読まない。で、譜面がなくって、体にそれぞれのビートだけが入っていて。それで少しずつできていく。それが最後にすごい曲になるという、その自由。本当にフリーなフリーなところから生まれるファンク・グルーヴっていうのが、後々に僕も曲を作る時、さらにそうなったし。それからまず、バンドでツアーのリハーサルをするという時は、たとえばリハーサルが10日間あるとすると、リハーサルのそれぞれの初めはファンクセッションから入るんですよ。

(吉岡正晴)おおーっ!

(久保田利伸)そこでなんか、ルールなしで自由でやって生まれていくものが上手く行ったらば、曲になっていったりとか。もしくは、ツアーの中のちょっと挿入部分に変化していったり。そのファンクのセッションによって、その日の気分を上げる、もしくはその日の調子を、「今日はベースが調子いいかな?」ってチェックするとか。

(吉岡正晴)うんうんうん。

(久保田利伸)やっぱりそれが何日もリハーサルで続くと、朝来るミュージシャン……まあ「朝」って「昼」なんですけど。昼に来るミュージシャンたちも、ある意味緊張しながら。ファンク緊張をしながら来るようになって、いいですよ。テンションが上がって。

(吉岡正晴)ああー。なるほど。じゃあもうまさにそのへんのファンク横綱に会った以来、20数年間ファンクライフがガーッと、久保田さんの中のファンク度がガーッと上がったっていうことは間違いないですね。

(久保田利伸)何よりも、自信がつきますよ。だって、聞いているだけとか、あの人好きとかっていうこと。こうであろう、ああであろうと想像しているファンクファンの僕がいましたけども、実際にファンクレジェンドたちと曲を作る、セッションをしたということ。本当のものを見たということだけで、その後の僕の音楽人生には自信がつきますよ。「知っている」っていう気持ちになりますよ。

(吉岡正晴)そうですよね。一緒にやっているんだもんね。

(久保田利伸)そうです。だから、たとえば誰かがファンキーなベースを弾いていると、「ファンキーだな」って思うけども。「もっとファンキーにならないかな?」っていう時に、「こういう風に弾いてくれ」って言うんじゃなくて、たとえばブーツィーとかジョージ・クリントンの時のセッションを思い出して、「何も考えるな」って言える。もう「テクニックじゃない」っていうことを言い切れるのも自信がついた証拠でしょうね。

(吉岡正晴)なるほど。その経験があるからこそ、久保田さんの次の世代に何かを言う時に、それが言えるわけだ。自信を持って。

(久保田利伸)言えますよね。

(吉岡正晴)そうですよね。

(久保田利伸)ジョージ・クリントン、ジェームズ・ブラウン、ブーツィーたち以上に参考にするものはないじゃないですか。ファンクの極みとして。だから、いいんですよ。自信がつきますよ。

(吉岡正晴)なるほど。世界の頂上と一緒にやっているわけだから。それはすごい。まあ、話は尽きないんですが、今日は『ジェームズ・ブラウン&ファンク三昧』なんですが、ゲストの方々にみなさん、ファンク一曲入魂っていうのを選んでもらっているんですね。まあ、「これが俺にとっての一曲入魂のファンク曲だ」っていうのをみなさんから募るんですが。久保田さんにとってのファンク一曲入魂は何でしょう?

(久保田利伸)今日の話の中でいちばん苦しいことです、これは。一曲ファンクを選べっていうのは。だけど、まあ王道がいいなという気がいましているので。ジョージ・クリントン絡みか、ブーツィーかどっちかがよくって。ジョージ・クリントンであれば……『Give Up the Funk』にするか、ブーツィーの雄叫びだらけの『Bootzilla』みたいな。

(吉岡正晴)じゃあ、どっちにしましょうかね、これ?

(久保田利伸)じゃあ、王道の王道っていう意味では、やっぱりジョージ・クリントン。パーラメント(Parliament)。

(吉岡正晴)はい。

(久保田利伸)パーラメントの『Give Up The Funk』を一曲入魂として。覚悟します。決めました。

(吉岡正晴)ありがとうございます。久保田利伸さんでした。

(久保田利伸)ありがとうございました。

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Parliament『Give Up The Funk』

<書き起こしおわり>

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