脳科学者の中野信子さんがTBSラジオ『ジェーン・スー 生活は踊る』に出演。「人間関係を長続きさせるためには、ルールが少ないほどいい」という話や、「交際した人数と結婚できる確率」について話していました。
(ジェーン・スー)さあ、そんな中野信子先生に今日、伝授してもらう生活の知恵はこちらです。
(中野信子)「人間関係も番組も長続きさせるには、ルールが少ないほどいい」。
(ジェーン・スー)これ、なんかズシンと来るものがありますけども。どういうことでしょう?
ルールの数と相手にムカつくかどうかの調査
(中野信子)(笑)。これですね、2人のルールが3つ以上あるカップルや夫婦っていうのと、ないカップルや夫婦っていうのとをね、比べるっていう調査をした人たちがいるんですよ。そうすると「相手にムカつくことがありますか?」という質問をすると、「相手に対してムカつかない」って答えたのが、ルールを設けていない人では70%ぐらい。7割の人は「そんなにムカつきませんよ」と答えるんだけども、ルールがあるっていう人はそれが激減しまして。3割ぐらい。
(ジェーン・スー)おおー!
(中野信子)残りの7割の人は「ムカつくことがある」って答えるんですよ。だからルールがあればあるほど、相手に対してムカつくことが増えると。そういう結果なんですね。
(ジェーン・スー)結構付き合ったり結婚したりすると、ルールがどんどん増えていくっていうのはね、言われますけどね。
(中野信子)そうそう。まあね、想定されることではあるんですけど。
(井上貴博)しかも、3つなんですね。ルールは。3つ以上っていうのがボーダーなんですね。
(中野信子)うん。たくさんあるとよくないよっていうことなんですね。「ルールがある」っておっしゃる方のうちには、たとえば「『何か揉め事があったら相談することにしましょう』っていうシンプルなルールが1個だけ」っていうお家もあるので。そういう人は、少ない家ですね。で、ルールが多いご家庭っていうのはですね、ルールがあると、破ったことに目が行っちゃうので。それがストレスを増やす原因になっちゃうという。どうも、そういうことのようなんですね。
(ジェーン・スー)それは人間の脳の癖みたいなのであるんですか?
(中野信子)ありますね。
(ジェーン・スー)やっぱり、守られたことより破られたことの方が記憶に残るとか?
(中野信子)あります、あります。でね、この「サンクション」っていう難しい用語があるんですけど。「相手に対して制裁を加えたい」っていう感情があるんですね。
(ジェーン・スー)ああー、はいはい。
(中野信子)で、この衝動が強い人が、日本人には実は多いです。まあ、97%は多い人。
(ジェーン・スー)ええーっ! 本当に?
(中野信子)そう(笑)。
(ジェーン・スー)ここに国民性って、あるんだ。
日本人は遺伝的に制裁を加えたい衝動が強い
(中野信子)あるの。これ、遺伝的に決まっている要素なので。日本人に「そういう制裁は加えないようにしましょう」とか言っても無理なんですね。だから「不謹慎ですよ!」とか。
(ジェーン・スー)ああー!
(井上貴博)一気に傾く世論が、とか。
(ジェーン・スー)義憤系だ。はいはいはい。
(中野信子)そうそう。だから「不倫が許せません!」とか。全然自分と関係ない人なんだけれども、叩いちゃうっていう気持ちが強くなりやすい国民性なので。相手に対してルール設定すると、それを破ったね!って。それが関係の破綻につながりやすいですね。
(井上貴博)中野さん夫婦はルール、ないんですか?
(中野信子)うちはほぼないですね(笑)。
(ジェーン・スー)まあ、だから上手く行っているっていうのもあるのかもしれないですね。
(中野信子)まあ、困った時や、なんかこれは嫌だなっていう時は、その都度言うようにしていて。まあ、それで済む感じですね。
(ジェーン・スー)そうか。じゃあやっぱりそれで相手に制裁を加えたくなるような気持ちは避けられるっていうことですね?
(中野信子)そうですね。ほぼ生じないですね。うん。で、面白いことに、ちょっともう1個ね、これに関してお話したいんですけど。「そんなの関係ないから。自分とは関係ないことに対して責めるのはおかしいですよ」っていう、冷静な人がたまーにいると思うんですけど。
(ジェーン・スー)はいはい。
(中野信子)その人は、寛容なのでも何でもなくて。サイコパス傾向が高いかもしれないです(笑)。
(井上貴博)怖い怖い怖い。
(ジェーン・スー)ちょっとごめん。「サイコパス」の定義をもう1回、行こうか。
(中野信子)サイコパスっていうのは、「自分のことだけを考えている心の冷たい人」と言っていいと思うんですけど。そういう人は意外と、みんなが義憤にかられている時に、「義憤にかられるなんてお得じゃない」って考えて、相手を責めないのね。
(ジェーン・スー)はいはい。
(井上貴博)自分に得がないと。
(中野信子)そう。自分に得がないから(笑)。合理的な感じ方をするので。
(ジェーン・スー)すごく、いい考え方な気がするけど。でも、それってつまり……
(中野信子)利己的なんですね。
(ジェーン・スー)利己的だっていうことだ。
(中野信子)そう。利己的な要素とすごく密接だということがわかっていますね。
(ジェーン・スー)うわー。井上さん、サイコパスですか?
(井上貴博)いや、ちょっとでも、いま話を聞いていたら「わからなくもないな」と思いますけども。
(中野信子)(笑)。今度、チェックリストやりましょうか?
(ジェーン・スー)やりましょうか。サイコパスチェーック! 昼の番組でやるもんじゃない。
(中野信子)怖い(笑)。ごめんね。私がいると暗い感じに(笑)。
(ジェーン・スー)いいんだよ、いいんだよ。
(井上貴博)このまたトークが低いのがちょっと怖いんですよ。
(ジェーン・スー)あの、テレビでは見れない信子を待っていたんですよ。
(中野信子)でね、このサイコパスチェックリストに関連してというか。付き合っている人数がちょっと多くなりやすいっていう傾向もあってですね。『(白熱ライブ)ビビット』という番組がありますね。
(ジェーン・スー)ありますね。
(中野信子)で、2月26日の放送の『ビビット』、私もスタジオにおりましたけど。そこでなんと井上アナはですね、過去の交際人数をTOKIOのメンバーに聞かれてね、「7人」って答えてたの。
(ジェーン・スー)7人。
(中野信子)井上さんのお歳をご存知ですか?
(ジェーン・スー)31才。
(中野信子)はい。31才で7人って、ちょっと多い方かなと思うんですけど。たぶんね、ワンナイト・アフェアとか入れてないと思うので。
(ジェーン・スー)入れてないと思います。私も。「2ヶ月まで」も入れてないと思います。
(中野信子)(笑)
(井上貴博)2人でペラペラペラペラと……
(中野信子)で、この2月26日時点で7人とお答えになっていたんですけども。その後、増えたりしてますか?(笑)。
(井上貴博)いえいえ。この数字ですよ。
(ジェーン・スー)ちょっとちょっとー! そうなんですか?
(井上貴博)この数字です!
(中野・ジェーン)(笑)
(ジェーン・スー)強く言い返す(笑)。
(中野信子)ここね、リミットかもよ。あのね、交際した人数が7人を超えてくるとね、結婚しにくくなるんですよ。
(ジェーン・スー)はいはいはい。
交際した人数が7人を超えると結婚しにくくなる
(中野信子)これ、数学的なモデルによるとなんですけど。「ベイズ統計」っていうのを使うんです。「条件付き確率」っていうのを使うんですけど。そうすると、説明を端折るけどね。6人までは、ベストな人と結婚できる確率が30%を超える数字なんですけど。だんだんそれが下がっていく。7人になると20%台になり、8人になるとこれが10%台になり……
(ジェーン・スー)うわー!
(中野信子)9人になると、もうギリギリ10%。どんどん確率が減ってくるので(笑)。
(井上貴博)それは日本人に対する?
(中野信子)これ、完全に数学的なモデル。つまり、それまでの交際相手とは別かれて、その人より魅力的な相手が二番目以降に現れた時に結婚できるかどうか。
(ジェーン・スー)これさ、なにがすごいって、確率のところで言うと実際にその人がいい人かどうかって社会的に定義する点数とか基準点っていうのはないわけじゃん。やっぱりその本人の意識の問題なわけで。すごくわかりますよね。恋愛なんて、やればやるほど混乱していくだけで。正解がなくなって。「運命の人? いないいない!」っていう(笑)。
(中野信子)そう。いないんですよ。選択の科学。
(井上貴博)もうちょっと早く知りたかったな、それ。いま言われてももう、だって……
(ジェーン・スー)もうやっちゃってるから(笑)。
(中野信子)次だよ、次。次、次。8人目。
(ジェーン・スー)8人目。次で決めないと。
(井上貴博)この2人の笑顔が怖い。
(中野信子)結婚式には行ってあげます(笑)。
(井上貴博)(笑)
(ジェーン・スー)誘われてないのに「行ってあげます」って自分で言うのって、すごいですよね。じゃあ私、司会をやります。
(井上貴博)(笑)。えっ、本当に本当ですか?
(中野信子)本当ですよ。これね、『選択の科学』っていうシーナ・アイエンガーの本にも書いてあるんですけど。選択肢が増えれば増えるほど、後悔する確率が上がるので。これもあんまりよろしくないんですね。選択肢が1個しかない方が、幸せな結婚生活が送りやすい。
(ジェーン・スー)それはさっき言っていたルールとやっぱり密接な関係がありますね。
(中野信子)ねえ。ちょっとリンクしていますね。これはね。
(ジェーン・スー)いやいやいや。
(井上貴博)ちょっとわかる気がするな。でも。
<書き起こしおわり>