吉田豪 永井豪から聞いた梶原一騎伝説を語る

梶原一騎の息子・高森城 大山倍達が結婚式で披露したスピーチを語る dommune

吉田豪さんがDommune『梶原一騎生誕80周年/知られざる梶原一騎世界』の中で、永井豪先生とのトークショーの中で聞いたパーティーで梶原一騎先生と遭遇した際のエピソードについて話していました。

(吉田豪)永井豪先生とこの前、大阪でトークショーをやったんですけど。永井豪先生が、梶原先生のパロディーをやって。その結果、パーティーに行ったらずーっと梶原先生が睨んでいて。

(宇田川・植地)(笑)

(宇田川岳夫)それは、いつごろの?

(吉田豪)いや、ジャンプの初期でしょうね。「ヤバい!」と思って。

(宇田川岳夫)ああ、『ハレンチ学園』とかやっていた頃。

(吉田豪)「すいません、あんなこと描いちゃいまして」って行ったらニコニコしてくれて…って。

(宇田川・植地(笑)

(吉田豪)「自分から行くと、なんとかなるんですよ。梶原先生は」っていう(笑)。

(植地毅)行かないと、どんどんどんどんね、事態が重くなっていくっていうことですよね。

パーティーでの梶原一騎先生

(吉田豪)いろんな人から、そういうパーティーでの梶原先生話を聞いて、全部最高だもんな。だから、さいとう・たかを先生のインタビューをした時も、やっぱりその話が出たじゃないですか。「パーティーで出会ったら、ずーっと梶原先生が僕の周りを回るんだ。グルグルと、睨みながら」っていう(笑)。

(植地毅)威嚇してるんすかね?(笑)。

(吉田豪)お互いに一切挨拶もしないままの距離感でっていう(笑)。

(植地毅)そう。ねえ。東西劇画の巨塔にもかかわらずね。

(吉田豪)ねえ。小林よしのり先生とかが当時、ジャンプのパーティーに行ったら、その時はやっぱり入り口に真樹(日佐夫)先生がいて、入りづらかったっていう(笑)。

(植地毅)(笑)

(吉田豪)真樹先生がこうやって、ずーっと待っていて(笑)。漫画家、入れるわけねえだろ、これ?っていう(笑)。

(植地毅)そうね(笑)。

(中略)

(宇田川岳夫)いや、だからそれだけほら、語り尽くせないものがあるんですよ。新発見が次々と出てくるんですよね。

(植地毅)だから、いまだにそうなんですよ。

(宇田川岳夫)まだまだこれから、たぶん出てくると思いますよ。いろんなところで。

(植地毅)だから、いま話しているだけでも、やっぱり単行本になっても復刊されてないし。もしくは、未収録であったりとか。

(宇田川岳夫)そう。そういうのも見ないとダメですよね。

(植地毅)そういうのをどんどん掘り下げていかないと、やっぱり本当の梶原って語れないんじゃないかなって。真実の姿を。

(宇田川岳夫)そう。真実の姿ね。

(吉田豪)そして、同じ時代に活動していた漫画家さんとかから、本当に全く話の流れとは関係ないのに、梶原先生の話を一応聞くっていう活動は僕、やっているんですよ。

(宇田川・植地)(笑)

(吉田豪)「永井豪先生と、なんで公開トークイベントで梶原話を掘っているんだ?」みたいな(笑)。

(植地毅)でも、さっきのみたいに。

(吉田豪)新ネタ、出るからね。そう。……全然関係ない話、していい? そん時、永井豪先生が話していた全く知らなかった新ネタがあって。『ハレンチ学園』の時にワイドショーとかに引っ張りだされて、PTAに吊るし上げられた話は有名じゃん? そん時の話で、「今回は全然『ハレンチ学園』の話はしないですから」っていう条件で、大阪の番組に呼ばれたことがあって。「ああ、本当に言われた通りだな」と思ったら、途中でなぜか、巨大な、デカい、ボロボロの服を着たアフロの女が入ってきて。「あんたの『ハレンチ学園』、なんや!?」って感じで、突然絡みだす奴が出てきたんだって。

(植地毅)現場で?

(吉田豪)現場で。スタジオで。「なんだ、これ?」と思いながらも、「突然、こんな人が乱入するっていうのはおかしいから、たぶんこれは仕込みかなんかだろう。テレビ局の」と思っていたら、その人が数ヶ月後に和田アキ子としてデビューしたんですって(笑)。

(宇田川・植地)(笑)

(吉田豪)「ええーっ!?」っていう(笑)。まだまだ知らない話、あるな!っていう(笑)。

(植地毅)それ、仕込みなんすか?

(吉田豪)仕込みだったんだって。デビュー前の。

(植地毅)ああー。じゃあその、『ハレンチ学園』に物申す一般視聴者みたいな。

(吉田豪)物申すデカい女っていう(笑)。

(植地毅)デカい、関西の(笑)。

(吉田豪)(笑)

(植地毅)あの、昔のテレビ局って、めちゃくちゃやりますよね。

サラ金 杉山会長とミッキー安川の戦い

(吉田豪)昔、めちゃくちゃやるねー。ねえ。それこそ、梶原先生の貴重な、見ていない映像もまだあるもんね。そういう、それこそサラ金の鬼の杉山会長と梶原先生の……あれ、映像は見たことがないんですよ。俺。

(植地毅)そう。ミッキー安川と杉山会長が番組の中で取っ組み合いを始めて、梶原先生が仲裁に入るっていう(笑)。

(吉田豪)そう(笑)。

(宇田川岳夫)そんなことがあったんですか?

(植地毅)らしいんですよ。

(宇田川岳夫)それ、何年ごろ?

(植地毅)だから、全盛期でしょうね。

(吉田豪)写真はある。杉山会長の本にそのへんの描写は全部出ているんですけど。映像で見たことがなくて。

(植地毅)そうそう。で、あれ結局ね、プロレスだったわけじゃないですか。

(吉田豪)まあ、ミッキー安川さんは言ってましたね。

(植地毅)杉山会長は本気だったかもしれないですけど(笑)。

(吉田豪)打ち合わせ済みでギリギリの試合をするっていう(笑)。

(植地毅)ダーッて金をバラまいてっていう。それを梶原先生が、あれですかね? ワイドショーのコメンテーター的なポジションにいたっていう? それとも、ジャッジとして呼ばれたのかな?

(吉田豪)だから本当、梶原作品の謎っていろいろあって。それこそ、『人間兇器』とか『カラテ地獄変』的なもので、しょっちゅう地下プロレスみたいな話が出てきていたじゃない?

(植地毅)はいはいはい。血のしたたるステーキを食いながらね。

(吉田豪)そうそうそう。普通のプロレスではない、地下のギリギリの試合をするやつ。あれが実はね、実在したっていう話は真樹先生から聞いたことがあって。正確には、温泉場とかで黒社会の人が金をかけてやるようなプロレスが存在して。で、そこでずっと勝っていたのが、木村政彦さんの弟子の岩釣さんとかで、みたいな話をそのへんの周辺から僕も聞いたことがあって。だから、梶原先生、ただのファンタジーかと思ったら、実はリアルがだいぶ混ざっている説っていうのがあって(笑)。

(植地毅)事実にもとづいていた(笑)。

(吉田豪)そうそう(笑)。

(宇田川岳夫)一時期は地下プロレスって新宿やなんかでやってましたよ。

(吉田豪)まあ、ああいうものじゃない、本物のやつです。

(植地毅)本物。ああいう、お客を入れてやるやつじゃなくて。お客も本物、みたいな。

(吉田豪)そうそうそう。

(宇田川岳夫)いまの、その岩釣さんの話って、『木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか』に書いてますよね?

(吉田豪)そうです。いろんな腕利きの外人たちのトップに立っていたのが岩釣さんだったっていう話ですけど。

(植地毅)それはもう、リアル『人間兇器』ですね。完全に。あれ、実話?

(吉田豪)そうそうそう。

(植地毅)まあ、すごい出てくるんですけどね。エピソードが。『空手バカ一代』だって、出てきますよね?地下プロレスの話は。だから、梶原一騎世界、「ファンタジーだ」なんて言われてますけど、結構事実です!(笑)。

(宇田川・吉田)(笑)

(宇田川岳夫)そうなんですかね?

(吉田豪)意外と。

(植地毅)そういうことですよね。意外と。だいたいほら、主人公の生い立ちとかも実体験に基づいているっていう感じじゃないですか。ねえ。カンカン(鑑別所)なり、少年院なりにブチ込まれて、そこでリンチされて、みたいな話とかも。

(吉田豪)そして、ねえ。真樹先生曰く、「あのへんは全て俺の少年院のエピソードがもとになっている」っていう(笑)。

(植地毅)(笑)。あの、ねじりん棒の話とかね。

(吉田豪)そうそうそう。

(植地毅)『あしたのジョー』に出てきたね。あれは事実だったっていうね。だからこそ、あの迫力につながってくるんじゃないかと思いますけどね。

<書き起こしおわり>

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