吉田豪 素顔の乙武洋匡を語る

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吉田豪さんが2011年にTBSラジオ『小島慶子キラ☆キラ』の中で乙武洋匡さんについてトーク。世間の一般的なイメージとは違う、素顔の乙武さんについて話していました。



(小島慶子)でね、今日は私もずっとTwitterでフォローしていて。Twitterでフォローし始めた頃、とてもびっくりして。いまはもうすっかり慣れっこになってしまったんですけど。乙武洋匡さんですね。

(吉田豪)はいはいはい。

(小島慶子)Twitterの文面を見ているとちょっと、それまでのイメージとだいぶ違って。最初、びっくりしちゃったんですけど。

(吉田豪)そうですね。Twitterでようやくキャラが浸透したというね。まあ、1976年生まれの現在35才。大学在学中に講談社から出した『五体不満足』が500万部を超す大ベストセラーになって。その後、スポーツライターとか小学校の教師を経て、いま、4月からは保育園の運営に関わったりしているんですよ。

(小島慶子)あ、そうなんだ。保育園。へー。

(ピエール瀧)先生をやっていたっていうところまでは知ってますけども。保育園なんだね。

(吉田豪)先生でものすごいストレスをためて。「やっぱり保育園からやらなきゃいけない」と(笑)。いろいろやっているんですが。で、先月号の『BREAK MAX』でインタビューして。まあ、ざっくり分けるとエロ本側の雑誌なんですよ。『BREAK MAX』って。青いシールで貼ってある。「すいません、こんないやらしい本に」って伝えると、「いや、光栄です」っていう感じで。

(小島慶子)何度もインタビューされているんですか?

(吉田豪)まあインタビューは3度目で。最初が2002年に『小学三年生』で。2006年に『男気万字固め』っていう僕のインタビュー集の文庫版でインタビューして。ほぼ5年ペースで取材していて。ただ、今回インタビューの前に乙武さんにTwitterでものすごいハードルを上げられたんですよ。ちょっと小島さん、そこを読んでください。

(小島慶子)「僕がTwitterを始める10年以上も前から、僕のブラックさ、エロさに気づき、記事にしてくれていた人物がいた。インタビュアーとして評価の高い吉田豪さんだ。彼の取材対象に対する膨大な情報量と、表面にとらわれない観察眼には心底驚かされた。今日は夕方から、数年ぶりに豪さんのインタビューを受けます。今回は僕のどんな側面を描いてくださるのか、僕自身、いまからとても楽しみにしています」。

(吉田豪)うん。ハードル、上げすぎなんですよ(笑)。そこまで期待されても……っていう(笑)。

(小島慶子)(笑)

(ピエール瀧)まあでも、楽しみにしている感じは伝わりますよ。

(小島慶子)好きなんですね。豪さんを。

(ピエール瀧)「さあ、拾ってくれる人がやってきたぞ。俺のボケを」っていう(笑)。

(吉田豪)そうです、そうです(笑)。「ちゃんと突っ込んでくれる人が来たぞ」っていう。そうなんですよ。「僕のことをずっとそういう目線で伝えてくれる人は豪山だけだったと思う」って言ってくれているんですけど。たしかに、Twitterを始めて、みんな驚いていたじゃないですか。

(小島慶子)最初、びっくりしました。

Twitterで危ないギャグを飛ばす乙武くん

(吉田豪)乙武くんがこんな危険なギャグを飛ばしているっていう感じで。で、僕が持っているいちばん古い乙武さんの記事が98年のもので。ちょうど本を出した直後だったんですね。「両手両足のない早大生が書いた『五体不満足』に感涙・感動」っていうひどいざっくりした見出しで(笑)。で、記者に「爪の垢を煎じて飲みたい」と言われて当時の乙武さんがどう答えたか? というと、「残念ですが、その爪がないんですよ」っていうね、ブラックなギャグで返す。これ、乙武くんの持ちネタだったんですけど。

(小島慶子)うん。

(吉田豪)で、「日本のマザーテレサみたいな人になってほしい」とか言われるんですけど、「絶対に嫌です」っていう。まあ、基本的に変わっていないんですよ。13年前からずっと同じことを言っていて。「まあ、『成長がない』と言えば成長がないけど、『ブレない』と言えばブレない」って言っていて。ただ、乙武くんのこういうブラックでエロな面基本、スルーしていたんですよね。

(小島慶子)ああ、報道する側が。

(ピエール瀧)まあ、そりゃあね、整合性つかないでしょうからね(笑)。『五体不満足』しか持っていない人にとってみたらね。

(吉田豪)ただ、『五体不満足』もよく読むと、ブラックな状態のがいっぱい入ってるんですよね。要所要所に。ただ、そこを拾わないことが多かったんですよ。

(小島慶子)まあ、感動的なお話の中で取り上げられることが多かったのね。

(吉田豪)で、差別ギャグ言ったとして、それを載せた媒体が責任を取らなきゃいけないというような部分もあるというか。で、そのいい例と言っていいのが、そう言っていいのかわからないですけど、2002年の『小学三年生』では、僕が乙武くんのブラックなギャグを全部拾った結果、編集長が飛ばされたんですね(笑)。

(小島慶子)ええーっ?

(吉田豪)で、その話を前に乙武くんにしたら、即座に担当編集から連絡が入ってきて。「僕も飛びました」っていう(笑)。まあ、正確には担当編集と編集長が飛んで、連載が7ヶ月で終わったっていうのなんですけども。

(小島慶子)わー(笑)。

(吉田豪)まあ、どういうことか?っていうと、乙武くんのそういうギャグだけを拾うっていうのをやったんですよ。『小学三年生』で。乙武くんが「いろんなことに手、出しちゃうんですよ。手、ないのに」とかずっと、そういう度に僕がドカンドカン笑って。「最高!」って言うっていう(笑)。

(小島慶子)のを、やって?

(吉田豪)やって。で、その中で「『笑っていいとも!』のテレフォンショッキングに出た時の話っていうのが僕がすごい印象的だ」って言っていて。要は乙武くんが「雪の日に車いすで移動している時に、雪で立ち往生しちゃったんですよ。あ、僕の場合は座り往生か?」って言ったら、お客さんがドン引きしたんだけど、タモさんだけ爆笑して。「やっぱそういう時はなに? スパイクタイヤとかはつけんの?」っていう風にかぶせたんですよね。

(小島慶子)うん(笑)。

(吉田豪)「すごい! やっぱりこれは引いたら負けだな」っていう風に思ったんですよ。

(小島慶子)まあ乙武さんはね、仕掛けてきているわけだからね。

(吉田豪)そうです、そうです。っていう風な話をしていた記事だったんですけどね。でも、乙武くん曰く、「本当にいままでは『これを笑っていいの?』みたいな人が7割。『面白いじゃん!』っていうのが3割だったのが、続けていくことによって、だんだん五分五分になって。逆転して笑ってくれる人が7割になり……っていう感じで。Twitterを始めて本当に気持ちよかった」って言っていて。

(小島慶子)うん。

(吉田豪)で、今年の2月にニコニコ動画でホリエモンの番組に乙武さんが出る時に、ちょうど2人がTwitterでやり取りしていたんですよ。で、「僕も同席したい」ってTwitterでつぶやいたら、2人から誘われて。急遽、乙武くんのブラックなギャグを拾う係として出ることになって(笑)。

(小島慶子)そういう係(笑)。

(吉田豪)そうなんですよ。横で説明するっていうね(笑)。で、その時に乙武くんが言っていたのが、「車いすに乗っているとガンタンク。降りるとジオングになります。足なんか、飾りですよ。偉い人にはそれがわからないんですよ!」っていうね、乙武くんにしか言えないガンダムギャグを飛ばしていて(笑)。

(小島慶子)すごいですね(笑)。

(吉田豪)やればやるほどニコ動の人たちが衝撃を受けていくっていう(笑)。「すげー! すげー! すげー!」ってなっていくっていうのがむちゃくちゃ面白かったんですけど。乙武くん曰く、そん時にいちばん面白かったのが、ホリエモンに「最近は手足を伸ばすみたいな技術も発達していて、そういうオファーとかもあるんじゃないの?」って聞かれた時に、「たしかに『五体不満足』を出した当初はいくつかそういうお話をいただきましたね」って言ったらホリエモンが、「えっ? なんでそん時に受けなかったの?」って聞いてきて。「いまさら手足が生えても、美味しくないじゃないですか」って言っていて(笑)。

(小島慶子)うん(笑)。

(吉田豪)その直後、ニコ動のコメントが「美味しくない」「美味しくない」の弾幕になったっていうね(笑)。「まあ、普通の地上波だったらああいう時、『美味しくない』って絶対に言えないですよね」って言っていたんですけど。

(小島慶子)まあ、インターネットの動画だったから、言えたのかな?

(吉田豪)で、Twitterではいろんな人ともやり取りしているんですよ。乙武くんが。で、ある日、元AV女優でライターの峰なゆかさんとやり取りしていたりして。で、峰さんは最初は気にして。っていうか、世間的なイメージしかなかったから、「乙武さんにフォローされたら、不健全なことを書けなくなります」って言ったらしいんですよ。そしたら乙武くんが「いや、僕は五体不健全ですから」って返したって聞いて。さすがだなっていう(笑)。

(ピエール瀧)うーん。

(吉田豪)基本、そんな感じでAV女優の人とも友達とかになってるんですけど。「AV、そんなに見るわけじゃないんですか?」って聞いたら、「だってね、見てもね、溜まる。処理ができないから、あんまり見ない」って言っていて(笑)。

(小島慶子)コラッ(笑)。

(吉田豪)で、峰さんとやり取りした直後に、中村うさぎ先生とも交流していて。で、2人で一緒にホストクラブに行こう!っていう話で盛り上がっていたんですよ。で、「面白そうじゃないですか」って僕もそこに入ったら、「一緒にどうですか?」って誘われて。で、なぜかホストクラブじゃなくて、一緒に新宿のゲイバー『ひげガール』に誘われたんですよ(笑)。

(小島慶子)『ひげガール』(笑)。

乙武くんとゲイバーで飲む

(吉田豪)ショーパブ系のすごい激しい愉快なところですね。二丁目じゃないところですね。で、そこで、乙武くんは初めてのゲイバーだったらしいんですよ。で、初めて中村うさぎさんとの対面でもあって。「これは絶対、つぶやくのはマズいだろうな」って僕、思っていたんですよ。で、乙武くんのTwitterを見たら、「中村うさぎなう。ゲイバーなう」ってつぶやいていて(笑)。「あ、いいんだ、これ」っていう(笑)。

(小島慶子)(笑)

(吉田豪)で、朝方ぐらいまで飲んでベロベロになって。で、僕が笑ったのが、乙武くんが泥酔して、車いすが蛇行運転になっていたんですよ(笑)。

(小島慶子)千鳥足だ(笑)。

(吉田豪)そう(笑)。乙武くん曰く、「初めてお酒飲んだ日も、蛇行運転で電信柱にぶつかって。電信柱に『すいません』って謝っていた」っていうような(笑)。わかりやすい酔っぱらい。

(小島慶子)乙武さん、結構お酒いっぱい飲むんですか?

(ピエール瀧)『サザエさん』じゃん(笑)。

(吉田豪)漫画ですよ(笑)。

(小島慶子)かなり飲むんですね?

(吉田豪)結構飲みますね。ガンガン行きますよ。で、朝まで飲んで、解散した数時間後に、これも驚いたんですけど。Twitterを見ていたら、乙武くんが「妻が陣痛なう」ってつぶやいていたんですよ。

(小島慶子)あ、そんな時に行ってたんですね。

(吉田豪)その時にゲイバー行っていたことに衝撃を受けて(笑)。でも、さすがにこれは反省していたんですよね。「油断していたんですよ。予定日がもう1週間ぐらい後だったんで、ベロベロになって家でシャワーを浴びて。まさに寝ようとして電気を消して、カーテンを閉めた瞬間に電話が鳴って。義理の妹に『陣痛が始まった』って言われて、『うわー!』と飛び起きて。『ゲイバーなう』とつぶやいた時点では何の後悔もなかったんですけど、『陣痛が始まった』っていう連絡が来た時点で、『あれ、つぶやかなきゃよかった』ってさすがにショックを受けましたよ」って(笑)。

(小島慶子)(笑)。ねえ。身内も見てますからね。

(吉田豪)「でも、まあしょうがないと思って。あれ、やっちゃったな。しょうがない。楽しかったし!」っていう(笑)。しかも、ゲイバーでモテモテだったんですよね。乙武くんがトイレに行こうとすると、店は狭いんで、だいたい車いすを入り口に置いて、お付きの人が運ぶ感じなんですけど。で、トイレに行こうとすると、「私が連れてく! 私がチンコ持つ!」ってみんな大騒ぎするんですよ(笑)

(小島慶子)なんですか、コラッ(笑)。もう!

(吉田豪)引っ張りだこで(笑)。で、そんな時にちょっと僕、仕掛けてみた話があって。「乙武くん、ホスト経験があるっていう噂を聞いたんですよ」っていうのを確認したんですよ。そうしたら、「あ、僕、年に1回ぐらい働いてますね」ってあっさり返して。

(ピエール瀧)どういうこと? 「年に1回ぐらい働いてます」?

(吉田豪)そうなんですよ。乙武くんの親友のマキさんっていう方がホストクラブでオーナーを務めていて。その彼のバースデーイベントになると、ヘルプで駆り出されるらしいんですよ。

(小島慶子)ああー、なるほど。

(ピエール瀧)「スペシャルホストがやってきた!」っていうことで。

(吉田豪)ものすごい、うれしいですよね。乙武くんが来たら(笑)。で、乙武くん曰く源氏名もあるらしいんで。ちょっと瀧さん、ここをお願いします。

(ピエール瀧)「ホストの世界っていろんな営業の仕方があって。王道は『色恋』っていう恋愛をしているように見せかけてお客さんに来てもらうものと。あとは『友達営業・友営』っていって、『さあ、今日も楽しく飲もうね!』みたいなテンションでやるのと。あとは、『オラオラ』っていって上から出られることでキュンと来るような女の子に対して、『なんだよ、オメー。また来たのかよ? うぜーな』みたいな態度をわざと取るとかっていう中で、当然、キャバクラの世界でもあるように、枕営業っていうのもあって。それで、僕についた源氏名が『枕』」。

(吉田豪)(笑)

(ピエール瀧)ズルいなー!(笑)。

(吉田豪)ズルいんですよ。掴みとして、完璧なんですよ。乙武くんがやって来て驚いた上に、「どうも、枕です」って言ってドカンと来るっていう(笑)。

(ピエール瀧)すごいねー(笑)。

(吉田豪)卑怯ですよ。見た目か?っていう(笑)。

(小島慶子)これは、こうご自分でおっしゃるんですもんね? 戸惑う人も多いでしょうね。本当、「笑っていいのかな?」とかね。

(吉田豪)まあ、酒入っていればいいか?っていうような感じでしょうね(笑)。面白い。

(ピエール瀧)まあ、そこで試されるところもあるでしょうね。乙武くんサイドにしてみると。「あ、この人は引くんだ、ここで」っていうのと、「わっ、かぶせてきた!」っていう。かぶせてきた時は、キャッキャ楽しいでしょうね。でもね。

(小島慶子)いけるぞ!って思いますからね。

(吉田豪)わかんないんですよ。乙武くんって、試しているかどうかわかんない部分があって。僕も最初に会った時に、握手を求めてきたんですよ。それ、すごい試されている気がして。驚いたら負けじゃないですか。驚いたり、ちょっと引いたりしたら。いかに動じないで、「はい、どうもー!」っていう感じで握手するか?っていう。手の部分をキュッと握るんですけども。

(小島慶子)うんうん。

(吉田豪)でも、やっぱりそれを聞いたら、「『俺は動じないぞ』っていう顔をして握手をする人もいますね」って言ってましたよ。やっぱり。全部わかるっていう。

(ピエール瀧)そうだろうね。

(吉田豪)いやー、すごいですよ。でも本当、異常に自由度が高いんですよね。

(ピエール瀧)ねえ。禁じ手がないんだもんね。

(吉田豪)ないんですよ。「っていうか、結婚しててホストクラブ、いいんですか、それ?」っていう(笑)。

(小島慶子)そうよね。奥さん、怒んないのかしらね?

(吉田豪)って言ったら、「妻には感謝です。頭が上がらない」って言っていて。奥さん的にはこれ以上やっちゃダメみたいな線引きもなくて、自由ですっていう。ただ、「さすがに2人目の子供が生まれる時にゲイバーに行っていたのは怒られましたか?」って聞いたら、「別になかったですね。『えっ、ケンカしないんですか?』ってよく聞かれるけども、結論から言うと、しない。どの場面でも、言ってることが向こうの方が100%正しいから、怒られても『ですよね』で終わる」っていう。

(小島慶子)そうなんだ(笑)。

(吉田豪)そうなんですよ。だから、世の中的には乙武さんイコール正しいっていうイメージが強すぎたから。こうやって自分のだらしないところを言えば言うほど、「謙虚ですね」みたいに言われるらしいんですよ。「違うのに……」っつって(笑)。「そうやって自分を落とすなんて、本当に出来た人ですね」みたいな感じで。だから、「周りに『あいつ、ダメだよ』って言ってもらわないといけない」って言っていて。

(小島慶子)うん。

(吉田豪)だから自発的にこうやって言ってるんでしょうけど。まあ、こんな風にいろんな壁を感じながらブラックなことを発信し続けてきた人なんですよね。で、「カタワ」っていう言葉をよく使うんですけど。それにも理由があって。乙武くん曰く、「いま、その『カタワ』という言葉は障害者を差別する言葉だということから、『身体障害者』っていう言葉になって。それがまた今度は『害』の字がよくないってことで、『障がい』になって。でも、そんなことをしていたら、また何十年後かに、『障』の字は『差し障りがある』っていう意味がだから、『しょうがい』になるのは目に見えている。それって、障害がある人に対する見方、意識の中に差別をしてるんじゃないの?っていうものが残っているから、言葉だけをいじっていると思う」と。

(小島慶子)うん。

(吉田豪)「その意識さえちゃんとフラットになったら、もともとの『カタワ』っていう言葉だって別に使ってもいいんじゃないの?っていうメッセージを込めて、敢えて使っている。ただ、自分がそこだけ伝えきれてないせいかもしれないけれども、『乙武くんがそうやってカタワっていう言葉を使うのは障害者をバカにしてるんですか?』みたいな捉え方をしている人もやっぱりいる」っていう。

(小島慶子)よくね、やり取りされてますね。Twitterで。

(吉田豪)そう。で、そういう反応も含めて、Twitterは面白いこともあるけど、面倒なこともあるツールで。僕はいま、フォロワー3万5000人ぐらいでそういうことを感じるんですけど。乙武くん、30万人を超えているから、単純に考えて面倒なことも10倍あるはずで。でも乙武くん、いちいちちゃんと戦うんですよね。

(小島慶子)うん。

(吉田豪)で、そのおかげで、順調にというか定期的に騒ぎが起きて(笑)。たとえば、乙武くんに向けて誰かが「バーカ」とつぶやくと、乙武さんがそれに、「カ、カ、カメラ!」ってしりとりで返したりとか。で、フォロワーからは「なんでそうやって乙武さんのことをバカにしたり、すごく絡んでくる人に対して敢えて対応するんですか? それを見ている私たちも気分悪い。どうかスルーしてください」っていう反応もあるらしいんですけど。乙武くんは、「それはできなくて。そこがもしかしたら、教師気質なのかもしれないですけど。常にどんな意見でも、『なんでこの人はこういうことを言ってるのかな?』って考えちゃう」と。

(小島慶子)うん。わかるわかる。

(吉田豪)「で、考えた時に、もしかしたら中には本当に僕のことを嫌いで、なんか言ってやろうと思っている人もいるのかもしれないですけど、でもそれ以上に、『寂しいのかな?』とか、『本人の中で抱えているものがあるのかな?』とか、そういう風に考えてしまうタイプで」という。

(小島慶子)でもなんか、乙武さんのやり取りを見ていると、そうなのかな?っていうのはわかりますけどね。

(吉田豪)上手いですよね。「だから面白い返しをして。要は、『北風と太陽』じゃないけど、その対象の人に対して、無視するなりバッサリ斬り捨てるという北風を使う方法もあるかもしれないけど、『面白いじゃん!』とニコッと返してやることで、その人が救われた気持ちになったり、心が開かれたりしたらいいな」という。

(ピエール瀧)うん。

(吉田豪)「それが結局は捉え違いで、ぜんぜんそういうことがなかったとしても、別にその人にとってはマイナスにならない。自分がただミスをしたっていうだけで。だから、なるべくああいう返しをして。そうすると、びっくりするほど、手のひらを返したように、『本当はすごくファンなんです!』とか『ごめんなさい』とか言う人が多い」って言っていたんで。

(小島慶子)うん。

(吉田豪)それを聞いて、「まあ、乙武くんが本当、ああいう下らない返しをするたびに、『腕あるな!』と思いますもんね」って僕が言ったら、「腕、ないのにね!」っていうね(笑)。まあ、定番の落としをするっていう(笑)。

(小島・瀧)(笑)

(小島慶子)もう、乙武さんしかいないマーケットですからね。ライバルがなかなか出てこないっていうのはね(笑)。

(ピエール瀧)その返しの数々ね。他の人はね、使えないですからね(笑)。

(小島慶子)超オリジナル。

(吉田豪)持ちネタ、多すぎるんですよ。本当、手足絡みのギャグが多すぎるんですよね。ただ、最近被災地に行った時のことをインタビューで、「僕なんかが行っても足手まといになるかと思った」って言っていて。「ここ、突っ込むところなのかな?って思ったりした」って言ったら、乙武くん曰く、「本当にTwitterを始めて感じるようになったのは、手や足を使った慣用句があまりにも多いこと」っていう。

(小島慶子)うん。

(吉田豪)「だから本当にボケたい時はそういうのを使っているけど、普通の文章の時にそういう言葉が出てきちゃうと、『またボケてんのか?』と本心が伝わらなくなる可能性があるので、敢えて違う表現を探したりすることが多い。本当、多いんですよ。手や足を使った言葉が。それだけ手足って重要なんだなと思って」って言っていて。

(小島慶子)うん。

(吉田豪)まあ、たしかに乙武くん、mixiで僕、マイミクだったんですけど。mixiって、足あと機能ってあるじゃないですか? 乙武くんの足あとが付いている時に、毎回、シュールだなと思っていて(笑)。

(小島慶子)(笑)

(吉田豪)車輪?っていう(笑)。

(ピエール瀧)うーん。轍?っていう(笑)。

(吉田豪)そうそう(笑)。「そうやって、被災地に行った直後にこういうバカ話ばかりの取材を受ける振り幅が乙武くんらしいなって思った」って言ったら、「Twitterを始めてから、特に意識するようになったのが、本当にいいピッチャーってどんなに速い球が投げられても、ストレートしか投げなかったらだんだんバッターは目が慣れてきて打てるようになってくる。そういう意味で、伝えたいと思うメッセージを発信していく一方で、なにかクスッと笑えたり、『こいつ、下らないな』って思うものを挟んでいくことで、それぞれをより際立たせることができるのかな? と思って」と。

(小島慶子)うん。

(吉田豪)「これまでも相当変化球を投げてきたつもりなのに、世間では自分がメディアに登場するところだけを切り取られて、ストレートしか投げさせてもらえてなかった。それがTwitterは編集責任は自分にあるので。ようやくキャッチャーのサインを無視して、自分で変化球を投げたい時に投げるっていうそういう実感はあります」っていう。

(ピエール瀧)そうだろうね。ボールになる変化球みたいなものも、どんどん投げたいんだろうね(笑)。乙武くんはね。

(吉田豪)はいはいはい(笑)。ストライクゾーンとか無視したいっていう。

(小島慶子)乙武さんを取材する人は、乙武さんがどういう人か?っていうことよりも、こういう感じの乙武さんの素材がほしいと思って取りに来ちゃうからね。だから自分に必要な部分だけ使って、あとはもういらないって。

(吉田豪)そうです。ブラックなギャグを全部削っちゃうんですよ(笑)。

(ピエール瀧)まあ、その時点で向こうも本気で取材しようと思っていないっていうことですからね。

(小島慶子)そうだよね。本当、単に素材を取りに来ているだけっていうことになっちゃうし。それはそれで失礼だよね。

乙武くんのバンド活動

(吉田豪)ただ、そんな乙武くんも本当にどうしようもない人だなと思ったのが、去年からバンド活動を始めたんですよ。で、そのバンド名が『COWPERKING(カウパーキング)』って言うんですよね(笑)。

(小島慶子)もう、なにそれ? 本当、ろくでもない名前ですね(笑)。

(吉田豪)で、乙武くん曰く、「これね、ここで語ったら本邦初ですよ。豪さんだから今日、初めてメディアで語りますね」って言っていて。「バンドのリーダーがとにかく聞き間違いが多い人で。2人で一緒に海外旅行に行った時に、現地でドライバーを雇って。そのやり取りを彼に任せていたら、首をかしげながら戻ってきて。『カウパーキングって言ってるんですけど、何なんですかね?』『それ、どう考えてもカーパーキング(駐車場)でしょ?』『ああっ!』ってうことで。で、バンド名を決める時にその話が出て、『カウパーキングにしよう!』と。


(ピエール瀧)そこで切るんだ?(笑)。

(吉田豪)まあ、正確にはね。それと、ダブルミーニングですけどね。カウパーのキングと。

(ピエール瀧)(笑)

(小島慶子)『ウ』で切るのか、『ー』で切るのか。

(吉田豪)「『さすがにマズいんじゃないのか?』っていう話もあって調べたら、カウパー液のカウパーはもともとイギリスのウィリアム・カウパー教授が発見して、その名前をつけたっていう経緯があるから別に卑猥じゃないし、これはNHKにも出られるだろう。NHKにクレームが来たら、『人の苗字を何だと思ってるんだ?』と。あとは、ポルノグラフィティさんの存在が心強かったですね。かわいい女の子たちが『ポルノが大好き』って普通に言ってるじゃないですか。だから俺らも人気が出たら、『カウパーが大好き』とか言ってくれるんじゃないかと思って」っていう。

(小島慶子)ひどいですね(笑)。もう、本当に。

(ピエール瀧)「出た―、カウパー!」みたいなね(笑)。

(吉田豪)「待ってました!」って(笑)。

(小島慶子)もう、ひどすぎる(笑)。

(吉田豪)「Tシャツとかタオルとかのグッズを作る時のデザインも考えていて。三叉の王冠の先からピュッと出ているのとか。そのTシャツをかわいい女の子たちが着てくれるのを目標に頑張っています!」「なあ? カウパータオルで汗を拭く感じの」「はい。乾くんだか、濡れるんだか…」とかね(笑)。最悪です!っていう(笑)。

(ピエール瀧)(笑)

(吉田豪)「自由度、高いですよね。真面目に保育園のこととか考えながらも」っつったら、「はい。クレーム来るかな?」「大丈夫だと思います!」っていう感じで(笑)。そんなバンドのボーカルもやっているんでね。そっちの活動も注目してあげてほしいっていう。

(小島慶子)よくね、つぶやいてますね。バンド活動のことも。

(吉田豪)真面目な部分だけじゃなくて、こういうところも見てあげてくださいという。

(ピエール瀧)うん。いいですよね。乙武くんね。

(小島慶子)吉田豪さんとはやっぱり相性がいいんですね。ずいぶん突っ込んだことをね、お話されて。

(吉田豪)そうですね。ただ、真面目な話をぜんぜん聞かないんでね(笑)。かわりに僕は(笑)。

(小島慶子)今日は保育園のことがほとんど分からなかったですよ(笑)。

(吉田豪)そういうのは他のインタビューで読んでいただければ(笑)。

(ピエール瀧)いま、園でこのラジオが流れていないことを祈るばかりです(笑)。

(吉田豪)「この人にはちょっと預けられないな」って(笑)。

(ピエール瀧)「これ、園長先生のこと言ってない?」みたいな(笑)。

(小島慶子)真面目なね、父兄、父母の方がこれを聞いて(笑)。

(吉田豪)「この人、カウパーの王様なんでしょ?」っていう(笑)。

(小島慶子)ねえ。プロインタビュアーの吉田豪さんでした。ありがとうございました。また来週、お願いします。

(吉田豪)はい、どうも。

<書き起こしおわり>

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