(渡辺志保)いいですね。『Get Rich or Die Tryin’』から『What Up Gangsta』ですね。『In da Club』とかもね、大ヒットしてるからみなさんぜんぜん知っていると思うけど。私、初めてニューヨークに行った時だかに、『In da Club』って『Go shorty, it’s your birthday』って。女の子のお誕生日を祝う曲なんですよね。あんなムキムキな、銃弾バババッ!ってなっているジャケットに入ってますけど。
(高橋・DJ YANATAKE)(笑)
(渡辺志保)それさ、最初に日本で聞いた時、あれがお誕生日の歌って、私はぜんぜんわからなかったんですけど。初めてニューヨークに行った時に、クラブに行って実際にあれがかかってみんなで『お誕生日おめでとう!』ってなっている現場を見て。それもまた、『アメリカってすげえ!』みたいな。ああいうバースデーソングがね、すっごいポピュラーに機能するんだ!っていう風にね、思ったという。そういう思い出もございます。
(高橋芳朗)(笑)
(渡辺志保)というところでお送りしておりますが。そんな感じで私の思い出シットをかけております。じゃあ、ここでまた、最後、高橋芳朗先生の思い出Gシットを紹介していただきたいと思います。
(高橋芳朗)思い出Gシット。僕が選んだのはですね、さっきちょっと話に出ました。このキャンペーンのサンプラー的なコンピレーション。私が選曲させていただきました。『オリジナル・ギャングスタ・ラップ・コレクション~inspired by ストレイト・アウタ・コンプトン』。思いっきり乗っかったタイトル、ついておりますけども。
(渡辺・DJ YANATAKE)(笑)
(高橋芳朗)これ、まあタイトル通りですね。N.W.A.の『Straight Outta Compton』がリリースされた当時の90年前後の西海岸のギャングスタラップを中心に選曲いたしました。で、ここから、私が1曲かけたいのが、いま後ろでかかっています。これもN.W.A.関連ですね。アバブ・ザ・ロウ(Above The Law)。西海岸のギャングスタラップの人気グループですけども。の、『Murder Rap』という曲です。
(渡辺志保)はい。
(高橋芳朗)1990年のデビュー・アルバム『Livin’ Like Hustlers』に収録されている曲なんですけども。アバブ・ザ・ロウもあれですね。イージー・E(Eazy E)のルースレス・レコーズ(Ruthless Records)出身で。
(DJ YANATAKE)もう映画見た人ならわかりますね?
(渡辺志保)(笑)
(高橋芳朗)で、メンバーのCold 187umという人はDr.ドレの『Compton』にも参加しております。
(渡辺志保)そうですね。ちょっと、クレジットを見た時にすごいギョッとしましたけども(笑)。
(高橋芳朗)ええっ!?っていう感じでしたけども。まあ、音楽的には、いま聞いてなんとなくわかると思うんですけど。小型N.W.A.というか。
(渡辺志保)小型N.W.A.(笑)。
(高橋芳朗)小型N.W.A.っていうと聞こえが悪いかもしれませんが(笑)。まあ、N.W.A.の舎弟みたいな感じですね。で、僕、思うんですけど。ウエストコーストのギャングスタラップがこういう割とサンプリング主体でさ、作られていた時期って意外と短いんですよね。
(渡辺志保)ああー、なるほどね。
(高橋芳朗)映画でも、Gファンクっていうのが出てきますけど。すぐ、92年ぐらいですか?Dr.ドレ『The Chronic』が出て、Gファンクブームが来るから。割と『Straight Outta Compton』的なプロダクションで作られたギャングスタラップって期間が短くて。数も少ないんですけど。だから、『「Straight Outta Compton」を買ってよかったけど、次はじゃあ何を買おうかな?』ってお嘆きの貴兄に・・・
(渡辺志保)あら、また!?
(高橋芳朗)アバブ・ザ・ロウを!アバブ・ザ・ロウが、僕は真っ先に推薦したい(笑)。
(渡辺志保)ありがとうございます(笑)。
(高橋芳朗)と、思うんですよ。で、この『Murder Rap』、You Tubeにビデオが上がってますけど。N.W.A.ファミリー総出演でございます。
(渡辺志保)おおー、熱いですね!
(高橋芳朗)ドレ、イージー・E、D.O.C、みんな出てますので。それもご覧になりつつ、この曲を聞いていただけたらと思います。映画『Pineapple Express』でもね、使われてますね。はい。じゃあ、聞いてください。アバブ・ザ・ロウ『Murder Rap』です。
Above The Law『Murder Rap』
(渡辺志保)はい。いまお送りしておりますのは高橋芳朗さんが送る思い出のGシットでございます。アバブ・ザ・ロウで『Murder Rap』。
(高橋芳朗)あの、この間、RHYMESTERの宇多丸さんがTBSラジオの『ウィークエンドシャッフル』でN.W.A.の時に話してましたけど。イージー・Eとか、あとこのアバブ・ザ・ロウとか。ちょっと甲高い声のさ、決してラップは上手くないやつのラップが醸す怖さ?みたいなのってありますよね。そのウエストコースト特有の・・・
(渡辺志保)逆にリアリティーがあるっていうね。
(高橋芳朗)そうそうそう。
(DJ YANATAKE)最初、それに気づくのには時間がかかった。最初はやっぱりアイス・キューブとかの方がわかりやすい怖さだったけど。甲高い人が怖いのを理解するのは、ちょっと時間がかかった。
(高橋芳朗)(笑)。イージー・E、怖くなってきますよね。だんだんね。
(渡辺志保)でも、それこそ映画の中でもね、イージー・Eが初めてレコーディングするシーンなんかはね、本当に、ねえ。
(高橋芳朗)本当にああだったのか?ちょっとわかんないですけど。
(DJ YANATAKE)この映画の続きの話が途切れないですね。そんぐらいの映画ですね。
(高橋芳朗)いくらでも話せますね。このアバブ・ザ・ロウの『Livin’ Like Hustlers』っていうアルバムにも、最後に『The Last Song』っていう曲がありまして。それはフィーチャリング N.W.A.です。
(渡辺志保)おおーっ!
(DJ YANATAKE)出た!フィーチャリング。
(高橋芳朗)たぎるクレジット!
Above the Law『The Last Song feat. N.W.A.』
(DJ YANATAKE)僕もじゃあちょっと1個追加しなきゃいけない情報があって。補足。すいません。あのね、アイス・キューブがソロ・アルバム『AmeriKKKa’s Most Wanted』を出す時、最初、全曲ドレにプロデュースをたのむはずだったの。で、ドレも『やりたい』って言っていたの。
(渡辺志保)それはもう、N.W.A.を抜けて?
(DJ YANATAKE)抜けて。でもほら、2人は友好的な感じだったじゃない。映画を見てると。でも、それをイージー・Eとジェニーが『No』って言ったらしい。それでボム・スクワッドになったっていう。
(渡辺志保)へー!
(高橋芳朗)なるほどね。それが行われていたら、またちょっと歴史も変わっていたかもですね。
(渡辺志保)そうだったんだ。
(高橋芳朗)もうみんな、逸話を話したくてウズウズしている感じですけども。
(DJ YANATAKE)どうですか?50セント追加情報は?
(渡辺志保)50セント・・・いまはもうね、なんて言うんでしょう?ゴシップおじさんみたいにね、50もなっていますけども。うーん・・・
(高橋芳朗)まあちょっとこのギャングスタラップコレクション。結構こっちもレア盤が含まれてまして。結構Gファンクですね。Gファンク、結構ものによってはかなり高値でヤフオクとかで取引されているんですけども。それで特に値段がレア盤で有名なリル・ハーフ・デッド(Lil 1/2 Dead)っていう、スヌープの親戚みたいなラッパーがいるんですけども。このアルバムがね、非常に売れてまして。
(渡辺志保)そうなんですね。
(高橋芳朗)このコレクション中、一位と。リル・ハーフ・デッドが一位。
(DJ YANATAKE)さっき、タイムラインのツイートでも『リル・ハーフ・デッドをゲトりました』と。
(渡辺志保)あ、本当だ。
(高橋芳朗)半分死人です。
(渡辺志保)半分死人(笑)。
(高橋芳朗)でもね、本当にジャケットはすごい怖いしかっこいいんですけど。音楽自体は非常に気持ちいいです。レイドバックした、ウォーレンG(Warren G)の『Regulate』に匹敵する気持ちよさなんで。ぜひチェックしていただきたい。
(渡辺志保)本当ね、廉価版といいますか。お求めやすい価格で揃ってますんで。びっくりしちゃいますね。なので本当、さっきもおっしゃってましたけど。ザ・ゲームとかケンドリック・ラマーとか、本当に2000年入ってからのラインナップもありますし。買い逃していた方っていうのはね、多いかな?と思いますので。ぜひぜひ。
(DJ YANATAKE)志保もね、N.W.A.の解説を書いてますよね?
(渡辺志保)あ、そうですね。私はN.W.A.の再発盤の『Niggaz4Life』の対訳ですね。歌詞対訳を、お仕事をさせていただきまして。22曲を、しかもさっきのアキネリ(Akinyele)の『Put It In Your Mouth』じゃないけど。やっぱりその手のね、リリックが非常にセカンドアルバムは多くて。
(高橋芳朗)まあまあまあ・・・
(渡辺志保)そう。見ていただければすべてわかると思いますけども。
(高橋芳朗)対訳の原稿を依頼することがセクハラになるっていう・・・そういう世界ですよね。
(DJ YANATAKE)(笑)
(渡辺志保)(笑)。それこそ、ちょっとネタバレじゃないですけど。押野素子さんがファーストアルバムの方は対訳されているんですけど。『「D-I-C-K」の単語を何て押野さんが訳しているんだろう?』っていう。私は全部『XXX』にしてたんですね。
(高橋芳朗)あ、もう全部伏せてしまっていたわけですね。
(渡辺志保)そう。なんですけど、押野さんは何て訳しているか?ぜひぜひね、ちょっと手にとって・・・
(DJ YANATAKE)教えてくれないのね(笑)。
(高橋芳朗)うわっ、ウズウズするなー!
(渡辺志保)あれを何て訳すのか?私もだから、くわえるのかしゃぶるのか・・・とか。そのへんのね、ニュアンスもね、いろいろ・・・
(高橋芳朗)もう言ってるに等しいですね(笑)。
(渡辺志保)いろいろね、切磋琢磨して学ばせていただきました。
(DJ YANATAKE)でも、タワーレコードとか行くとね、結構大展開してますよね。
(高橋芳朗)ぜひチェックしてください。
<書き起こしおわり>