サイプレス上野 YOU THE ROCK☆『FUKUROU(YAKANHIKOU)』を解説する

サイプレス上野 YOU THE ROCK☆『FUKUROU(YAKANHIKOU)』を解説する ザ・トップ5

サイプレス上野さんがTBSラジオ『ザ・トップ5』の中で、日本語ラップ初心者の外山惠理さんに推薦曲を紹介。YOU THE ROCK☆『FUKUROU(YAKANHIKOU)』について解説していました。

(サイプレス上野)さて、このランキングの締めくくりは恒例のこちらのコーナー。『日本語ラップKILLA☆2016(まだちょっと仮)』。

(外山惠理)おっ、まだちょっとですね。

(サイプレス上野)まだちょっとってことは、もうちょいで取れるかもしれない。このコーナーは俺、サイプレス上野が惠理ちゃんに日本語ラップの名作を聞かせ、日本語ラップを好きになってもらうというチャレンジ企画です。惠理ちゃんは昨年末、Eri The MCとしてラッパーデビューを済ませ、筋のいいところをグイグイ見せています(笑)。

(外山惠理)いえいえ、そんな・・・

(サイプレス上野)グイグイ来てます!本当、将来有望な惠理ちゃん。

(外山惠理)嘘でしょ?もう(笑)。

(サイプレス上野)今夜紹介する日本語ラップはこちらでございます。YOU THE ROCK☆で『FUKUROU(YAKANHIKOU)』という曲でございます。これはまあ、YOU THE ROCK☆っていう人は・・・

(外山惠理)はいはい。お名前は。

(サイプレス上野)そうっすね。いま話題のベッキーちゃんとね、一緒にテレビとかでも司会をやってたりとか。『COUNT DOWN TV』かな?そういうのをやったりとか。本当、日本語ラップの先駆者でありながら、メディアにどんどん出て行った人っていうイメージがあるんすよ。焼きそばのCMに出たりとかもしたんですけども。

(外山惠理)ほうほう。

(サイプレス上野)もともと、YOU THE ROCK & DJ BENっていうチームをやっていて。アルバムとかも出していたんですけども。まあ、そこまでそんなに重鎮感はなかったんですよ。けど、これが96年の4月4日の発売で。YOU THE ROCK☆自身がメジャーファーストアルバム『THE SOUNDTRACK ’96』っていうメジャーデビューはじめてしたアルバムなんですけども。この96年の4月っていうのは、何回も言っている『さんぴんCAMP』のちょっと前なんですよ。

(外山惠理)うん。

(サイプレス上野)7月が『さんぴんCAMP』だったと。その前に、このアルバムが出たってことが、本当に日本のヒップホップの中でのターニングポイントっていうか。それまでもRHYMESTERとかもいたりはするんですけど、単体のYOU THE ROCK☆っていうMC1人で、本当に日本語ラップかかわる人たちが集結するようなアルバムを作り上げて。このちょっと前から、TOKYO FMで『YOU THE ROCKのHIP HOP NIGHT FLIGHT』っていう番組が始まって。

(外山惠理)へー。

(サイプレス上野)それも、本当にいまの時代とはぜんぜん違くて、日本語ラップ自体がまだ軍隊的に好きなやつらにしか響いてない時代だったから、新聞のラテ欄とかにも全然載らないんですよ。だから、自分で探すしかないんですよ。もう。渋谷とかに行ってフライヤー。いわゆるチラシで『やりますよ』っていうぐらいの情報しかないんです。

(外山惠理)へー。

(サイプレス上野)それをようやく見つけて、みんなで聞いていた時のオープニングテーマがこの曲で。『なんなんだろう?』と思って。したら、『YOU THE ROCK☆の曲なんだ。アルバム、いつ出るんだろう?』みたいな。みんながワクワクしてて待っていた曲っていうことなんですよ。

(外山惠理)ふーん。

(サイプレス上野)で、本当このアルバムを出したことによって、YOU THE ROCK☆は一気に日本語ラップのリーダーに躍り出るというか。ちゃんと司会とかもやって、『ユウちゃんにしかできないよ』っていう信頼を得ていたんですね。もう、みんなから。『ユウちゃんが司会やってるから俺も行くし』みたいな感じで。スチャダラパーも出たりとかしてたんですよ。要するに、垣根を超えていて。『ユウちゃんだし』みたいな感じになっていた人だから、俺、結構そのYOU THE ROCK☆のそういうところが大好きで。

(外山惠理)うん。

(サイプレス上野)誰とでも交流。自分のスタイルを変えずに交流してって。司会とかって実際、嫌なんすよ。俺もいろんな日本語ラップの番組とかやらせてもらったんですけど。司会をやればやるほど、他のリスナーから『司会のやつ』みたいな空気になっちゃうんですよ。ラッパーとして見られるっていうよりは。なってきちゃうから、なんかそういう空気になったのに、ユウちゃんはその時代に引き受けていたっていう。凄まじい精神力の持ち主だったんですよ。

(外山惠理)へー。

(サイプレス上野)で、アルバムが大爆発したことによって本当にもうね、素晴らしい男だというか、本当に俺たちにめちゃくちゃ影響を与えてくれたんで。はい。この曲をかけたいと思います。ユウちゃんに関しては思い出、めちゃくちゃあるんでね。聞いた後にもう1個だけ、話したいと思います。じゃあ、来てください。YOU THE ROCK☆で『FUKUROU(YAKANHIKOU)』です!

YOU THE ROCK☆『FUKUROU(YAKANHIKOU)』

(サイプレス上野)さあ、お送りしている曲はYOU THE ROCK☆で『FUKUROU(YAKANHIKOU)』でした。いま聞いても、俺もよくわかんないところ、めちゃくちゃあるんすけど。まあ、『真っ赤な目をしたフクロウ』っていう、『a.k.a (as known as・別名)』っていう。YOU THE ROCK☆ a.k.aって。

(外山惠理)ああ、そうなんだ。なんか最初の方、すっごい赤がいっぱい出てきてたのが、最後の方で赤がなくなっちゃったからどうしたのかな?って。

(サイプレス上野)だいぶ赤がなくなってきましたけども。まあ、『夜間飛行でフクロウが飛び立つ』みたいな、そういう。これはちょっと比喩的表現でもあるんですけど。まあね、後々、いろいろと関わってくる。まあそういう・・・名前で『真っ赤な目をしたフクロウ』って自分のことを言っていて。

(外山惠理)ああー。

(サイプレス上野)で、その日本語ラップを引っ張りながら、自分も楽しい旅をしているみたいな比喩的な感じの曲でもありつつ、途中で仲間に対して。『周り見渡せばT-W-I-G-Y』って。TWIGYさん。マイクロフォンペイジャーの人とか。『What’s Up G.K. いかれた兄弟』。G.K.Maryanさんが出てきたりとか。それも雷と言われる人たちにシャウトアウトを送ったり。あと、『朝になっても暗夜行路』っていうのは、『暗夜行路』っていうイベントがあったんですよね。

(外山惠理)ふーん。

(サイプレス上野)だからそういうのを上手く混ぜて。あと、『亜熱帯雨林』ってイベントもあったりとか。あと、『ハヤハヤホー』とか。この人の魅力って、曲全体で起承転結があることを望むっていうよりは、いい曲だなっていうよりは、もうどこでなにが出てくるかわかんない。ヴァイブスがすごいんで。

(外山惠理)うんうんうん。

(サイプレス上野)ラップ自体も当時、ああいうTWIGYさんとかSoul Screamとか出てきた時に、上手い人ってすごい出てきたんですよ。けど、そこをユウちゃんはそんなに技巧派じゃなくて。とにかく熱いんですよ。『やろうぜ、お前ら!見とけよ、ついて来いよ、俺たちに!』っていう。本当に兄貴感があったんで、みんなが『ユウちゃん・ダ・兄貴』って呼んでいたんですよ。

(外山惠理)ほー。

(サイプレス上野)俺も本当、『兄貴!ユウちゃん!』みたいな感じで、高3の冬にユウちゃんに弟子入りに行ったんですよ。『ユウちゃん、俺たちちょっとお願いします!』って。そん時に組んでいたDream Rapsっていうグループで。クラブチッタ川崎っていう場所に行ったら、『おう、お前ら!よく来たな!中、入れ!』って言われて、楽屋に連れて行かれて。『お前ら、ちょっとそこ立ってろ!俺のライブ、見とけ!』って言われて。『はい、ユウちゃん!見ます!』みたいな感じで。

(外山惠理)ふんふん。

(サイプレス上野)で、楽屋とかに入るのも、そんなのも初めてだったんで。ドキドキしちゃって。『あっ、有名人ばっか!』みたいな。『ヤバい!』って見ていて。『お前ら、見てたか!?』『はい、ユウちゃん、見てました!』『おい、まだまだ立っとけ、お前ら、そこで!ずっと、お前らは!下っ端なんだから!』みたいに言われて、『はい!』ってずっと立っていて。

(外山惠理)へー。

(サイプレス上野)結構何時間かたって、ぜんぜんユウちゃんが来ないんですよ。そこに。で、そこにLamp EyeのRinoさんが来た時に『お前ら、何やってんの?』『いや、ユウちゃんに「立ってろ」って言われたんで、立ってます!』って言ったら、『ユウちゃん、もう帰ったよ』って言われて(笑)。

(外山惠理)ええーっ!?

(サイプレス上野)『マジで!?』みたいな。そっからもう、『YOU THE ROCK☆の野郎!』みたいな感じになって。『ふざけんじゃねーよ!』みたいな感じで。その勢いでその後にユウちゃんのところに行って。『ユウちゃん、どういうことっすか!?』って言ったら、『おう、悪い!』って言われて。『はい!』っつって。なんかもう、許しちゃうんす。『悪かったな!』って。

(外山惠理)(笑)

(サイプレス上野)けど、いまは本当、YOU THE ROCK☆は俺、『ユウちゃんって呼べ。お前のことは恭ちゃんって呼ぶから』っていう風に。『ユウちゃん・恭ちゃん』っていう感じに。曲もやらしてもらって。曲やった時、俺は号泣しちゃったっすね。やっぱりもう。歌い終わった後に、なんかもう、楽屋行ったら涙が止まんなくて。

(外山惠理)へー!

(サイプレス上野)『やべー、ユウちゃんとついに曲やった!』みたいな。それぐらい影響力があって。『MASS 対 CORE』って曲とかでも、タワーレコードで音を止められてもダイブするような人で。

429 Too Many Requests

(外山惠理)はー!

(サイプレス上野)それぐらいパワーが半端じゃなかった。

(外山惠理)へー!でもすごい。そういう人と一緒に仕事する用になってね。

(サイプレス上野)なった時はちょっとびっくりしましたけどね。

(外山惠理)うれしかっただろうね。

(サイプレス上野)『あん時の高3の俺に見せてやりてえ!』って本当に思って。

(外山惠理)忘れられて帰っちゃったっていう(笑)。

(サイプレス上野)『忘れられて帰って立たされてたけど、お前、ぜんぜん大丈夫だよ!』っていう風に。それぐらい、いろんな影響を与えてくれて。本当に、日本のヒップホップを背負って外に出て行った人っすね。第一人者に近いかもしれないです。スチャダラパーとはまた別のベクトルで。

(外山惠理)へー!

(サイプレス上野)それぐらいいろんなことにチャレンジしてて。あまりにもいろんなことにチャレンジしすぎて、たまについて行けない時も多々ありますね。この人。もうバイタリティーの塊なんで。セカンドアルバムから急に作風が変わったりとか、そういう謎の行為をやったりとかして。それはもう、好きなことに正直なんですよね。この人は。『これやって、お前らわかんなかったらわかんねえから。仕方ねえじゃねえか』『はい!』っていう。

(外山惠理)へー!

(サイプレス上野)YOU THE ROCK☆は本当にこのアルバム『THE SOUNDTRACK’96』。都市伝説ですけど、弁当代一千万越えたっていう噂がありますからね。寿司の出前とかバンバンたのんだりとか、そういう。

(外山惠理)へー!

(サイプレス上野)あと、まだいいっすか?ちょっと話しても。YOU THE ROCK☆、面白話がめちゃくちゃあるんすよ。ダースレイダー(DARTHREIDER)っていう俺の友達の先輩ラッパーがいるんですけど。ダースさんもやっぱりユウちゃんにあこがれて、『これを聞いてください』という風にスタジオに行ったら、ちょうどレコーディングをしてて。

(外山惠理)うんうん。

(サイプレス上野)ユウちゃんはところどころ録るのが嫌いらしくて。1曲丸々納得いくまでぜったいに止めない!って。もう何テイク目かわかんなくなったから、ブースの外で『お前ら!ユウちゃんを応援しろ!』って周りにいた人たちに言われて、『ユウちゃん、がんばれ!ユウちゃん、がんばれ!』って(笑)。

(外山惠理)(笑)

(サイプレス上野)『ユウちゃん!ユウちゃん!』って。録ってるから聞こえてないのに、ずっとそのまま応援してて。たまに曲を録り終わって、『チッ・・・どうだ?』『ユウちゃん、がんばってください!』って。それを言うためだけに行ったっていう(笑)。それぐらいの人なんすよ(笑)。

(外山惠理)へー!そうしたくなっちゃう人なんだね。

(サイプレス上野)なっちゃう人なんですよ。『ユウちゃん、がんばってくれ!俺たちのために!』っていう人だったんで。ぜひ。アルバムを通すと、さらにユウちゃんの本当に人間性が伝わってくるんで。

(外山惠理)そうなんですか。へー!

(サイプレス上野)中にある写真とかもね、なぜか桜木町のクイーンズスクエアで撮ってたりして。なんでだ?っていう。長野出身の東京に住んでる人なのに、みたいな。まあ、いろんな伝説があるんで。みなさんね、ぜひ調べてみてください。

(外山惠理)面白そう。

(サイプレス上野)めちゃくちゃ面白いです。この人。めちゃくちゃですから。はい。そんな感じでこれで日本語ラップが気になった人は、私も出演しているテレビ番組『フリースタイルダンジョン』。今夜、やります。1時26分からチェックしてください。You Tubeでも1日後には配信されてます。

(外山惠理)うん。

(サイプレス上野)また今夜、23時25分から23時55分。NHK Eテレ『Eテレ・ジャッジ』内で放送される『THE PUNCH LINE ~素人が1週間でラッパーになる話~』にも先生として出演しております。

(外山惠理)ええーっ、先生。上ちょ先生だ。

(サイプレス上野)上ちょ先生。メディア三連発っすよ。1日で。

(外山惠理)あらま、すごい。11時25分から11時55分の間。

(サイプレス上野)そうっすね。時間的にはすごい短いんですけども。ラッパーとして教えた結果を、別の、サイトウ “JxJx” ジュンさんっていうYOUR SONG IS GOODっていうバンドの人がいるんですけど。が、また別の企画でやったのを対決させるっていう企画なんで。

(外山惠理)へー!Eテレだよ、Eテレ。

(サイプレス上野)Eテレっすよ?高校野球とか見てたEテレに出るんで。これ、対決番組なんで。ちょっと俺がどんだけ教えられたか?っていう結果をぜひみんなに見てもらえたら・・・

(外山惠理)わかった。見る。

(サイプレス上野)お願いいたします。ということで、以上、『サイプレス上野の日本語ラップKILLA☆2016(まだちょっと仮)』でした!

<書き起こしおわり>
https://miyearnzzlabo.com/archives/32118

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