丸山ゴンザレス 海外の危険スポット取材で必要なものトップ5

丸山ゴンザレス 海外の危険スポット取材で必要なものトップ5 ザ・トップ5

ジャーナリストの丸山ゴンザレスさんがTBSラジオ『ザ・トップ5』に出演。様々な海外の危険スポットを取材してきた中で必要だと感じたものトップ5を紹介していました。

(熊崎風斗)それではさっそく今夜のゲスト、ジャーナリストの丸山ゴンザレスさんよりこちらのランキングを発表します。取材中に気づいた海外の危険スポットで必要なものランキングトップ5。

第五位:フィリピンの銃密造工場で気づいた『賄賂』
第四位:世界各地のアウトローとの交流で気づいた『タバコ』
第三位:ニューヨークのドラッグディーラー取材で気づいた『スマートフォン』
第二位:カンボジアの地雷原で気づいた『タオル』
第一位:各国のスラム街取材で気づいた『地元のネットワーク』

以上、今夜のゲスト、ジャーナリストの丸山ゴンザレスさんご提供。取材中に気づいた海外の危険スポットで必要なものランキングトップ5でした。

(中略)

(熊崎風斗)さっそくですが、丸山ゴンザレスさんよりランキングのご解説をお願いします。

(丸山ゴンザレス)(笑)

(高橋芳朗)これ、本当に大丈夫ですか!?っていう感じなんですけども。

(熊崎風斗)すごいランキング。

(丸山ゴンザレス)あの・・・(笑)。毎週やってる方のランキングとだいぶ毛色が違うんで。いいのかな?と僕も思っているんですけど。

(高橋芳朗)『地雷原』っていうフレーズはなかなかトップ5では出てこないと思うんですけど。

(丸山ゴンザレス)そうでしょうね(笑)。

(熊崎風斗)私自身、初めて発した言葉かもしれないですね。

(高橋・丸山)(笑)

(高橋芳朗)じゃあちょっと順を追って、お話を聞かせてください。

第五位:賄賂

(丸山ゴンザレス)はい。五位のこのフィリピンの密造工場で気づいた賄賂。まあ賄賂って、いわゆる現金ですよね。賄賂ってどんな時に使うか?っていうと、基本、自分がなんかやってしまったことを取り締まる側の人に見逃してもらうために使う。もしくは、自分が何かをしたい時に、要求を通すために使うんですね。その時には、やっぱり現金がモノを言うわけですよ。だから、いわゆる袖の下的なことっていうよりは、自分のやりたいことを通すために現金っていうのがやっぱり必要になるんですよ。だから、金は力っていうか。

(高橋芳朗)うんうん。

(丸山ゴンザレス)で、それが最近の取材の中でいちばん如実に感じたのはフィリピンのその銃の密造工場に潜入するっていうミッションをちょっと、自分に課してですね。

(高橋芳朗)自分に課してるわけですね(笑)。

(熊崎風斗)これ、自分で行こうと、なんでここに行こうと思い立ったんですか?

(丸山ゴンザレス)海外のニュースサイトっていうんですかね?そういうのに出てたんですね。その密造工場の写真が。それがすごい気になってて。だけどその、どうかな?行っていいものなのかな?って思っていたら、ちょっとフィリピンに行く機会が会ったんで、これはちょっと行ってみようと思って・・・まあ、行ったはいいんですけど、なかなか情報ってなくて。

(高橋芳朗)はい。

(丸山ゴンザレス)で、現地に行って、現地に住んでいる日本人とかに聞いてみたんですけど、みんな『その場所に行けば、すぐ見れるよ』みたいに軽く言っていたから。で、他、ネットで調べても大した情報は出てこない。とりあえず行ってみよう!と行ったんですけど、どうもその情報自体が古かったらしくて。10年以上前に取材したのが最近になってニュースサイトに出回ったっていうだけだったので。

(高橋芳朗)ほうほう。

(丸山ゴンザレス)だからもう、いざとなったらどうしようもないと。で、ここからどうしようかな?と思って。で、いろんな人にたのんでみたんですよね。地元で。でも、やっぱり誰も紹介してくれなくて。これはどうしようかな?と思って・・・金かな?と。

(高橋芳朗)(笑)

(熊崎風斗)なるほど!

(丸山ゴンザレス)で、ちょっととあるレストランの人とかに話をして。そこから数珠つなぎで紹介してもらうんですけど、そのたびに、お金を渡して紹介してもらう。そんな感じを繰り返して、だいたいトータルで15人ぐらいですかね?だから最初の紹介者の人とか、最後の方、知らないですよ。誰か。

(高橋芳朗)結構な額は使われるんですか?それはやっぱり。

(丸山ゴンザレス)その時は使いましたね。もうここまで来たら、後には引けないっていうのもあったので。普通だったら最初何人かでダメだったら諦めてもよかったんですけど。この時はちょっとどうしても行ってみたかったんで。まあ、15人目ぐらいでなんとかたどり着いたっていう感じでした。

(高橋芳朗)っていうかよくつながりますよね。そこがちょっと、まずびっくりですけども。

(丸山ゴンザレス)結構キワキワでしたね。途中で、でもなんて言うんですかね?『この関係性は明らかに他人だな』っていうあたりで、自分の身分を変えたんですよ。それまでは『取材に来た』って言っていたんですけど、誰もそれでいい顔をしなかったんで、これはちょっとマズイのかな?と思って。『ガンマニアの旅行者だ』っていう風に変えて。

(高橋・熊崎)(笑)

(丸山ゴンザレス)で、『写真をちょっと撮りたいんだけど』って言って。『じゃあ、連れて行ってあげる』っていうことで。

(高橋芳朗)はー!もうそういうノウハウがあるんですね。

(丸山ゴンザレス)まあ、そうですね。基本はその、『取材』って言うと向こうは構えるんですよ。海外でよく感じるのは身分を『ジャーナリスト』って言ってしまうと途端に身構えたり、なんか絶対に信用しない!みたいに言う人たちも結構多いので。だから『ジャーナリスト』って言うこともあれば、全然違う職業を言うこともあるし。まあ、いろいろですよね。

(高橋芳朗)ふんふんふん。

(丸山ゴンザレス)まあ、さすがに『学生』って言うと嘘くさすぎるので。まあ、20代の時は学生で通してたんですけど、さすがにいまは普通に『ツーリストだ』って言って入っていきますね。

(熊崎風斗)そんな中、こう苦労して見つけた銃密造工場っていうのは実際、どうだったんですか?作ってました?

(丸山ゴンザレス)あの、山の中にあるんですよ。フィリピンのセブ島にある、とあるエリアなんですけど。どうしても、山というイメージはないかもしれないですけど、内陸の方に入って行くと、ちょっと小高い山があるんですよ。その山一個に対してひとつの・・・一家族というか、一族というか、そういうのが住んでいるんですね。そこが、どうもその工房だったんですよ。

(高橋芳朗)ほうほうほう。

(丸山ゴンザレス)で、最後、連れて行かれるのはバイクみたいなのの後ろに乗っかってついて行くんですけど。どんどん人家がなくなっていって。『あ、山の中に入っていくな』と思って。ここは村人たちもいないし、どうしようかな?と思って入って行ったら、遠くの方からカンカンカンカン音がするから、『ああ、ここだ』と思って。

(高橋芳朗)ああ、その作っている工場の音がするわけですね。

(丸山ゴンザレス)そうですね。で、そこに入って行ったら、もう本当に2メートル×2メートルぐらいの本当に小さな工房があって。そこで銃のフレームを削って作っていたんですよね。

(高橋芳朗)ちょっともう聞きたいことが・・・いまの中にもすごいいっぱいあるんですけど(笑)。

(丸山ゴンザレス)でもなんか、そこの中に入っていくっていうのは、まあ流石に怖かったというか。やっぱり声をあげてもわからない場所ですし。まあ、目撃者も当然いないし。そういう意味ではちょっと怖かったですね。

(熊崎風斗)実際にどういう人が作っていたんですか?その場で。

(丸山ゴンザレス)あの、本当に50才ぐらいの普通の上半身裸のおじちゃんが作っていて。まあ、なんだろうな?本当、金属加工をやっている感じの職人さんっていう感じでしたね。だから、その作っている人が悪いっていうよりは、取り巻きにいる周りのチンピラみたいなのが迫力が結構ありましたね。

(高橋芳朗)そういう方たちも当然いたわけですよね。

(丸山ゴンザレス)そうですね。まあ、そういう人たちに連れて来てもらったんで。

(高橋芳朗)そうかそうかそうか。

(熊崎風斗)そこでまず怖いですもんね(笑)。

(高橋芳朗)あの、感覚的なものだと思うんですけど、引き際っていうのはどうやって察するんですか?

(丸山ゴンザレス)ええとね、だいたいが相手の空気を読んでいたら相手のペースになるんで。なるべくこっちのペースに持っていきたいんですよ。で、ひとしきりたとえば話を聞いたり写真を撮ったりして。で、それで全体的に『あ、ミッションこれでこいつ満足したんだな。クリアしたんだな』っていうのを相手にもわかるように伝えていって。で、こっちから『ありがとうございます』って言って。『じゃあ僕、帰ります』って。はっきり意思表示をするんですね。

(高橋芳朗)はー。

(丸山ゴンザレス)そうじゃないと、『あれ?こいつ、いつまでいるんだろう?』っていう風になっちゃうんで。基本、意思表示ははっきりとする。あとは、ここでもそのパターンなんですけど。たとえば、連れて来てくれた人に『ありがとう』って言って。それこそ謝礼を渡す。『これで終わり』っていう感じで。終わりを示すのに賄賂じゃないですけど、現金を渡すっていうのはひとつの区切りですね。

(高橋芳朗)なるほどねー。五位でこの密度(笑)。

(熊崎風斗)すごいなー!続いてじゃあ、四位の方を。

第四位:タバコ

(高橋芳朗)四位。世界各地のアウトローとの交流で気づいた『タバコ』。

(丸山ゴンザレス)タバコってまあ、いま日本にいると結構悪いもの扱いされると思うんですけども。これ、意外と使えるアイテムで。割と万能アイテムなんですよね。まあ、さっきの賄賂じゃないですけど、取材先でお金を渡すほどじゃないけど、何かお礼に渡さなきゃいけないっていう時。お話をうかがった時とかに、タバコをスッと1本あげるとか。特に途上国だったりとかすると、タバコってバラ売りしてるんですよ。箱じゃなくて。

(熊崎風斗)ああー。

(丸山ゴンザレス)なので、それ1個でも価値があるので。報酬として、謝礼として渡すこともできるし。まあ、お土産に使うこともできるし。何よりですね、アウトローの人たちって結構独特なリズムで話すんですよね。ゆっくりゆっくり言葉を選んで話したりとかするから。それを、こっちが何もせずに待っていると、間が持たないんですよ。間を持たすためにタバコを吸うとか。そういうのもありますね。

(高橋芳朗)うんうんうん。

(丸山ゴンザレス)あとはもう、お土産ってさっき言いましたけど、『日本のタバコを持ってきた』って言うと結構プレミアがつくというか。向こうも喜ぶんですよ。『ありがとう』って言って受け取ってくれたりするんで。いいお土産になりますね。

(高橋芳朗)へー。

(丸山ゴンザレス)だいたいアウトローの人たちって健康はそんなに気を使わないんで。

(高橋・熊崎)(笑)

(丸山ゴンザレス)世界中、だいたいみんな吸ってるんですよね。まあいままでお土産で渡して、渡そうとしたんだけど結局受け取らなかった人では、それこそ『クレイジージャーニー』に出ていたブルース・リーさん。あの人は『いらない』っつって断りました。

(熊崎風斗)それは、吸われないからってことなんですか?

(丸山ゴンザレス)いや、吸うんですけど、『施しは受けない』じゃないですけど。なんかこう・・・

(高橋芳朗)へー。そういう人もいるんですね。

(丸山ゴンザレス)はい。でも、もちろんそのタバコが通じる国っていうのも多いんですよ。やっぱり東欧とか東南アジアとか、あとは中米とかアメリカとか。そういうところは通じるんですけど。意外と通じないのがジャマイカと、ケニアとかそういうちょっとピンポイントで通じない国があって。

(高橋芳朗)ジャマイカはやっぱりマリファナとかガンジャなんですね?

(丸山ゴンザレス)そうなんですよ。あの、僕がタバコ吸っていたら、横にいたジャマイカの人に『煙い!』っつって怒られたんですけど。

(高橋芳朗)(笑)

(丸山ゴンザレス)その人、マリファナ吸ってたんですよ(笑)。『なんで俺が怒られるんだろう?』と思いながら。

(高橋芳朗)でも、たしかに僕、印象として、海外って日本にいるよりもタバコをせびってくるやつは多いですよね?

(丸山ゴンザレス)そうですね。はい。

(高橋芳朗)それで思わぬコミュニケーションが生まれたりっていうのはありますよね。

(丸山ゴンザレス)あの、喫煙所とかで結構交流ができたりするんで。あとはライターを持っていても、持っていないふりをして。『ちょっと貸してよ』っつって、相手のライターを借りたり、相手のタバコで自分のタバコに火をつけたりして吸うとか。そういうアイテムとしてすごい活用できるんですよ。

(高橋芳朗)なるほどー。

(丸山ゴンザレス)あとは、この後のランキングにも関わってくるんですけど。隠し撮りとかする時ですね。タバコで隠して、吸っているふりして、スマホを見ているふりして撮るとか。そういうことをやりますね。

(熊崎風斗)いろんな使い方があるんですね(笑)。

(丸山ゴンザレス)そうですね。いや、非常に万能アイテムですね。

(高橋芳朗)なるほどね。

(熊崎風斗)吸うだけじゃないと(笑)。

第三位:スマートフォン

(高橋芳朗)じゃあ、続いて行ってみましょうか。第三位 ニューヨークのドラッグディーラー取材で気づいたスマートフォン。

(丸山ゴンザレス)はい。これはですね、ドラッグディーラー。ニューヨークにいるんですよ。そういう・・・

(高橋芳朗)相当ヤバくないですか?

(丸山ゴンザレス)いや、そんなにヤバい感じはしなかったんですけど。なんですかね?特に踏み込みすぎなければ。ただ、踏み込むも何も、その最初の一歩目がハードルが高くて。向こうが取材というか話をしてくれるかどうか?っていうのがわからなくて。で、かなり手探りだったんですね。ちょっとフランス人の友達の紹介で行ったんですけど。ニューヨークの島の下の端っこの方の、ちょっとうらびれたエリアだったんで。

(高橋芳朗)ええ。

(丸山ゴンザレス)で、そこに入って行ったら、本当にギャング映画にしか出てこないような、普通のボロい部屋なのに、ベッドの横になぜかバスタブが置いてあるみたいな。そういうよくわからない・・・

(高橋芳朗)(笑)

(丸山ゴンザレス)『ここは大丈夫か?』と思いながら。でも、向こうもものすごい警戒してるんですよね。僕が来たことに。で、ただコミュニケーションを英語で・・・まあ英語、ある程度は話せるので。それで話そうと思ったんだけど、共通の話題が特になく、どうしようかな?と思っていたら、向こうの方から、『これは日本語で何て言うんだ?教えてくれ』って言って、スマホで画像検索して、いろんなドラッグの写真を見せてきて。

(熊崎風斗)はあはあ。

(丸山ゴンザレス)で、『あ、これは日本語でハシシって言うんだよ』とか。日本語でもないんですけど(笑)。

(高橋・熊崎)(笑)

(丸山ゴンザレス)『日本では大麻って言います』とか。そういうことを、やり取りをしてたらすごい意気投合していって。

(高橋芳朗)へー。

(丸山ゴンザレス)で、『これは注射器って言います』とか。そういうことを。

(高橋芳朗)(爆笑)

(丸山ゴンザレス)繰り返していたら・・・本当にそういうコミュニケーションから始まっていって。で、結構気に入ってもらって。で、そこからいろいろ話をしていって。で、わからない単語が出てくると、やっぱりスマホでその場で検索したりとかして。彼が・・・ちょっと専門用語になるので英語なのかどうなのかわからない言葉とかも混ざってくるので。そういうドラッグだったりとかすると。

(高橋芳朗)うんうん。

(丸山ゴンザレス)で、そういうのをいろいろやり取りしていると。で、それだけじゃなくて、イメージ検索も大事ですけど、先ほど言ったような隠し撮りですね。隠し撮りは、昔は・・・昔っつっても4、5年ぐらい前までは割と隠しカメラが主流だったんですね。ペン型だったりとか。そういうのが、かえっていまは目立つようになってしまったんです。

(高橋芳朗)ああー。

(丸山ゴンザレス)どこでも、いまは世界のどんな僻地に言ってもみんな携帯電話を持っているので。そうすると、携帯電話を持っている姿の方がよっぽど自然なんですね。なので、スマホで撮影するのがいちばん。音を出さないようにして撮ったりだとか。僕なんかだと動画で、最初から撮っちゃったりして。後で切り取ったりするっていうこともやりますし。だからそういう意味では、カメラとしてもすごい機能がいいですよね。あとはもちろん地図だったりとか。テレコとして使ったりとか。そういうこともできるんで。スマホはもう、スラム街とかアンダーグラウンド取材では必須アイテムですね。

(高橋芳朗)ふーん!

(丸山ゴンザレス)まあ、『Facebookのアカウントを教えて』とか。そういうのもありますけどね(笑)。

(高橋芳朗)ああ、それで友達になってしまう?

(丸山ゴンザレス)はい。とあるドラッグディーラーなんかは『俺のInstagramのアドレスをフォローしろ』と迫られまして。

(高橋芳朗)(笑)。でもそこでそういう交流が生まれたら、逆に取材はしやすくなったり・・・?

(丸山ゴンザレス)しやすくなったりしますね。まあただ、それをやるのは、そこまで交流するのはその場限りじゃない時。『また来るな』とか『この先もちょっと情報を取りたいな』っていう時だけで。そうじゃないと、あんまり付き合いが続くと・・・

(高橋芳朗)まあ、そうですよね。

(丸山ゴンザレス)さっきの現金の話もやっぱりそういうことなんですよね。お金を渡してそこで終わるっていう風にしなきゃいけないんで。

(高橋芳朗)それだけの関係ということで。

(丸山ゴンザレス)そうですね。だから、このドラッグディーラーなんかは割とこの先もいろいろ情報を教えてもらったりするので。そこから仲良くなって交流するっていう感じで。

(高橋芳朗)たしかにTwitterで交互フォローとかしてても、ちょっとね、怖いですもんね(笑)。

(熊崎風斗)友達に出てきても・・・。

(丸山ゴンザレス)いやでも、ドラッグディーラーのInstagramはヤバいやつばっかり出てくるのかな?と思ったら、意外と普通でしたね。時々タトゥーのやつが入ってくるぐらいで。ぜんぜん普通だったんですけど。

(熊崎風斗)そうなんですね(笑)。では続いて・・・

第二位:タオル

(高橋芳朗)第二位。来ました。カンボジアの地雷原で気づいたタオル。どういうことでしょうか?

(丸山ゴンザレス)これはそんなに大した話でもないんですけど。

(高橋芳朗)そもそもこの取材はカンボジアの地雷原?

(丸山ゴンザレス)そうです。結構昔なんですけど。まだ僕が20代前半ぐらいの時に、カンボジアのシェムリアップっていうところ。要はアンコールワットがある街です。。そこに旅をしてた時に、自転車とかで回っていたんですよ。遺跡群を。アンコール遺跡群の中のひとつがアンコールワットなので、すごい広大なエリアにいっぱい遺跡があるんで。

(高橋芳朗)うんうん。

(丸山ゴンザレス)で、結構長い・・・1、2週間いたのかな?で、そんなすることもなくなったのでグルグル回っていたら、ちょっと自転車で順路を回っているのが面倒くさくなってきちゃって。ちょっと突っ切ろうかな?と思って。

(高橋芳朗)(笑)

(熊崎風斗)嫌な予感がしてきましたが(笑)。

(丸山ゴンザレス)ちょっと原野というか。そこを、まあ世界的な観光地だし。大丈夫かな?っていうか、地雷のこととか頭の端っこにもなくて。まあ大丈夫だろうと思って普通にスッと行ったら、なんか地元住民が遠くの方からずーっと手でバツを作っていて。

(高橋・熊崎)(爆笑)

(熊崎風斗)いや、いまだから笑えますけど。怖すぎませんか?

(丸山ゴンザレス)で、なんか叫んでいるから、なんだろう?なんだろう?と思ったら、『No Enter!No Enter!(入るな!入るな!)』とか言って。で、そん時にパッといろいろ頭の中で結びついて。『あっ、やってしまった。入っちゃったんだ』って。で、そこで初めて急に怖くなって。足がピタッと止まって。自転車も止まって。『どうやって戻ろうかな?』と思ったんですけど。

(高橋芳朗)うん。

(丸山ゴンザレス)急に立ち止まったら、滝のように汗が流れてきて。もう目にどんどん入ってきて、見えなくなって。ヤバいヤバい!と思って、タオルでちゃんと顔を拭いて、冷静になって。

(高橋芳朗)(笑)。ああ、そういうタオル!?

(丸山ゴンザレス)はい。

(高橋芳朗)なんかタオルを地面にやって、こう・・・

(熊崎風斗)地雷を避けていくためのなんか方法がタオルに隠されているのかと思った。

(丸山ゴンザレス)緊急事態はやっぱり冷静になるのがいちばんなんで。冷静にならないと、どうやっていいかわからないので。

(熊崎風斗)じゃあ、タオルで拭いて冷静になられたと?(笑)。

(丸山ゴンザレス)なって。で、来たところをそのまんま戻りました。後ろ足にそのまま戻って行って。

(高橋芳朗)たしかに一歩ズレただけでもう・・・

(丸山ゴンザレス)あるかもって。まあ、どこにあるかわからないからっていうのもあるんですけど。本当はこういうことをやっちゃいけないんだと思うんですけど。はい。これはね、いま話すと笑い話ですけど、当時は結構ドキドキだったと思いますね。

(高橋芳朗)いやいやいや・・・

(丸山ゴンザレス)いまはもう、結構シェムリアップ周辺もなくなってきているそうですけど。まだ当時は結構あったらしいんですよね。まだ、たしかに横で撤去作業とかしてましたから。当時は。

(高橋芳朗)これは・・・絶句でございます。

(丸山ゴンザレス)いや、でもタオルとか大事ですよ(笑)。

(高橋芳朗)タオルは大事(笑)。タオルは必須です。はい。

第一位:地元のネットワーク

(熊崎風斗)そんな中、次、一位ですね。各国のスラム街取材で気づいた地元のネットワーク。

(丸山ゴンザレス)そうですね。これはまあ、わかりやすいと思うんですけど。僕、よく受ける質問で『スラム街ってどうやって取材するんですか?』って。

(高橋芳朗)まあ、そうですよね。

(丸山ゴンザレス)僕自身はそんなにスラム街って危ないと思っていないんですよ。要は『不法占拠して、そこにあまりお金を持っていない人が住んでいるエリア』ぐらいに僕は定義してるんですけど。だから、あくまで住宅地のひとつ。ただ、お金がないところというか、そういう人たちはいろんな犯罪に関わることも巻き込まれることも多いので。まあ、比較的治安が悪いっていう風なイメージで捉えているんですね。

(高橋芳朗)うんうん。

(丸山ゴンザレス)だから、もちろんそういうところで集団で住んでいるわけだから、かならずリーダーとか、エリアを治めている人がいるわけですよ。で、その人を見つけ出して、その人にたのんで。『取材したい』とか『見たい』っていう形でやるんですね。で、もちろん僕の場合は結構短期間で取材するんですよ。1日、2日とか。いっても4、5日だったりすることもあるんで。そういう時って誰かの紹介とかがないと危ないというか。どんなトラブルに巻き込まれるかもしれないっていうのはあるんですけど。まあ、あくまで保険です。

(高橋芳朗)はい。

(丸山ゴンザレス)基本はやっぱり自分で回るんで。ただ、『誰かの紹介を受けている』って言うと、何かトラブルに遭った時に言えるんで。一応そういうことはやるんですね。まあ、何ヶ月もかけて住人と溶け込んでいって入っていくっていうそのやり方も、それはそれで大変なんですけど。僕はいろんなスラムを見たいので。なるべく短期間で済ますようにしてますね。

(高橋芳朗)うん。

(丸山ゴンザレス)で、どうやってそのボスを見つけるか?っていうと、だいたい周辺の飲食店に入っていって、『こういうことをしたいんだけど』って注文をしながら。『誰に話を聞けばいいのかな?』って聞いたりとか。だいたいお店の人に聞くことが多いです。で、それもできない時はどうするか?っていうと、朝4時ぐらいに行って、下見して歩きます。

(熊崎風斗)下見して?

(丸山ゴンザレス)はい。朝4時ぐらいって、悪い人はだいたい寝てるんで。

(高橋芳朗)ああ、なるほど!

(丸山ゴンザレス)で、むしろ朝から仕事する人がちょうど仕事に向かうための準備をし始める時間なので。そのぐらいの時間に行くと、だいたい大丈夫。

(熊崎風斗)そうか。時間にもよるんだ。

(丸山ゴンザレス)まあでも、『ボスじゃなくても案内してくれる人、いるだろ?』って思うと思うんですけど。これ、結構裏社会的なスタンスとして常識なのかもしれないですけど。僕は常識だと思うんですけど、紹介者のランクに応じて扱いが変わるんですよ。

(高橋・熊崎)ああー!

(丸山ゴンザレス)だからじっくり話を聞きたい相手とか、たとえばそこで何かブローカーをしている人だったりとか。労働者を束ねている人だとか。そういう人がいる場合は、下っ端の紹介で入っていっても相手してくれないんですけど。リーダーの紹介で行くと、相手してくれるんですよね。これは日本のヤクザ取材とかでも一緒で。やっぱりランクというか、組の役職が低い人の紹介で行っても、上の人はお話をしてくれないので。上の方からの紹介だと、だいたい行けるっていう。

(高橋芳朗)ふーん!

(丸山ゴンザレス)まあそういうのをちょっとスラム街にも応用してやっていて。今のところは上手くいってますね。

(熊崎風斗)スラム街ごとに、国によって結構スラム街って雰囲気って違ったりするんですか?

(丸山ゴンザレス)ぜんぜん違いますね。あの、特に違いがあるとしたら、やっぱり家族の単位がどうなっているのか?っていうことですね。たとえばアフリカなんかだと、意外なことに、結構個人主義なんですよね。

(高橋芳朗)へー。

(丸山ゴンザレス)一家族、一個の家ごとに行動したりするんですけど。たとえばジャマイカなんかだと、地域で子供を面倒見たりだとか。極端なことを言うと、収入とかも地域で分配したりするんですよ。

(高橋芳朗)へー!

(丸山ゴンザレス)1人にお金が入ったから、今日はみんなに振る舞うッて言うような。

(高橋芳朗)コミュニティーで生活しているみたいな?

(丸山ゴンザレス)そうです。だから、『ジャマイカのスラムで飢え死にするやつはいない』なんて言われるんですよ。

(高橋芳朗)なるほど。みんなで助けあって生活している。

(丸山ゴンザレス)そうなんですよ。だからそういう意味では、見た目はたしかに似ているところがあったりするんですけど。まあ、ボロいので。だけど、やっぱり家族単位というか、集団が生活する上ではそういう民族性というか。そういうので全然違ったりしますね。

(熊崎風斗)逆にこう、危険なスラムっていうとどこが怖かったなとかってありますか?

(丸山ゴンザレス)うーん・・・危険なスラムですね。特に・・・どうですかね?スラムの・・・ちょっとこれもジェーン・スーさんに相談したいぐらいなんですけど。

(高橋・熊崎)(爆笑)

(丸山ゴンザレス)危険のハードルがちょっとわからなくなってきちゃっているところが若干あるんですけど(笑)。でも、危険なスラムの兆候としては、やっぱり薬物中毒者が多いところですね。薬物中毒者は交渉とか常識がもちろん通じないので。いちばん危ないんですよ。逆に売春宿とかがいっぱいあったりするところは、かならずそこをシメているグループやリーダーがいるので。マフィアとかギャングがいるので意外と安全だったりするって言う。

(高橋芳朗)話が通じるかどうか?っていうところですね。

(丸山ゴンザレス)そうですね。

(高橋芳朗)いやー、結構緊張感ありますね(笑)。

(熊崎風斗)すごいな。危険がわからなくなってきているって(笑)。

(丸山ゴンザレス)いえいえ。まあ・・・(笑)。

(熊崎風斗)『全部怖いな』って思いながら聞いてましたけどね(笑)。いや、すごかった!ありがとうございます。以上、今夜のゲスト、ジャーナリストの丸山ゴンザレスさんご提供。取材中に気づいた海外の危険スポットで必要なものランキングトップ5でした。

<書き起こしおわり>

タイトルとURLをコピーしました