ピエール瀧と岡田准一 目標を立てない生き方を語る

ピエール瀧と岡田准一 目標を立てない生き方を語る Growing Reed

ピエール瀧さんがJ-WAVE『Growing Reed』に出演。岡田准一さんと人生や仕事などについて語り合っていました。

(岡田准一 ナレーション)こんばんは。岡田准一です。今夜も始まりました。『Growing Reed』。この番組では毎週ひとつのテーマの専門家をお呼びして、徹底的に質問。番組の終わりには考える葦として僕もみなさんと一緒に成長したいと思います。さて、今夜のゲストはピエール瀧さんです。電気グルーヴのメンバーとしてデビューして以来、俳優としても様々な顔を私たちに見せてくれている瀧さん。

僕もですね、いろいろな作品で共演させて頂いておりますが、表現者ピエール瀧とは一体何者なのか?今夜は僕、岡田准一がひとつひとつ紐解いて行きたいと思います。J-WAVE『Growing Reed』、新しい一週間最初の60分、ぜひ一緒にお付き合いください。

(中略)

(岡田准一)瀧さん。

(ピエール瀧)はい。

(岡田准一)ありがとうございます。出ていただいて。お忙しいじゃないですか。

(ピエール瀧)忙しくはないでしょう?

(岡田准一)いやいやいや、瀧さんはいま、『大作映画にピエール瀧あり』って言われる・・・(笑)。

(ピエール瀧)なんで半笑いなんだ、そこ?(笑)。

(岡田准一)いやいやいや(笑)。大作映画と言えばどれでもピエール瀧ありと言われる役者さんですから。

(ピエール瀧)まあ、どの役もあまり重要でないっていうね(笑)。

(岡田准一)そんなことないですよ(笑)。こうやってでも、面と向かって話すっていうのは、ええと、でも大河の時に・・・お世話になりましたからね。

岡田准一との共演作品

(ピエール瀧)大河の時も話していたけど、まああれはほら、撮影の合間にさ、ふざけている感じだったじゃない。竹中さんを中心に(笑)。

(岡田准一)軍師としてね。同じ、蜂須賀小六さんと・・・官兵衛・小六は。まあ、親類ですからね。娘さんが長政と結婚しますからっていうような。

(ピエール瀧)おめーんところのなんか息子がえらいことしてくれたな。うちの娘に(笑)。

(岡田准一)(笑)。離縁をしてっていう。

(ピエール瀧)話になる、ねー。話ですけど。でも、『軍師官兵衛』でしょ?で、この間撮った映画『エヴェレスト』で一緒になって。

(岡田准一)あと、『木更津キャッツアイ』っていうのもあるんですけど。そんなに絡んでないんですよね。

(ピエール瀧)そうでしょう。『木更津キャッツアイ』さ、あれ、もうすごい前でしょ?だって。

(岡田准一)2002年とかなんで。シガニー小池っていう詐欺師風の役で。

(ピエール瀧)そうそう。すげー悪い役らしいよね。俺、『木更津キャッツアイ』、ちゃんと見てないから。話、知らないんだけど(笑)。

(岡田准一)どういう設定だったっけなー?(笑)。

(ピエール瀧)その後から会う人、会う人、『瀧さんは悪いっすねー!』って言うから。

(岡田准一)もう1回、見直したくなる。シガニー小池ってどういうあれでしたっけ?

(ピエール瀧)だからみんな、その後ですげー言われたのが、『あれでしょ?瀧さんが古田新太さんを殺したんでしょ?』って言われて(笑)。『えっ、何のこと?』っていう。こっちにしてみたら。

(岡田准一)そうだそうだ。

(ピエール瀧)っていう役なんでしょ?シガニー小池。悪い黒幕みたいな役だったんだよね。

(岡田准一)いまも、そうなんですか?いまも・・・

(ピエール瀧)なに?いまも人を殺しているか?ってこと?(笑)。

(岡田准一)(笑)。役者さんとして、目標みたいなのはないとかっていうのをインタビューとかで見たりとかしましたけど。いまも、こんだけやっていても、役者さんとして、賞とかもいっぱい取られても、そういう役者としての目標とかは?

(ピエール瀧)役者としての目標って、なんなの?たとえば、なんなの?みんな、他の人が持つやつって。『主演の舞台をやりたい』とか?

(岡田准一)とか、『大河の主演をいつかはやりたい』とか。うーん・・・

(ピエール瀧)そういうものなの?『日本を代表する役者に』とかっていうような?

(岡田准一)とか、『続けていきたい』とか?

(ピエール瀧)ってこと?そういうの、ないかな?ないな(笑)。

(岡田准一)(笑)

(ピエール瀧)ないんだよね。目標・・・目標を立てるとさ、目標にたどり着かなかった時のダメージ、半端なくない?

(岡田准一)ああー。

(ピエール瀧)たとえばじゃあ、大河の主役・・・まあ、岡田くんはもうやったからあれですけど。いつかは!とか思ってさ、立てるとするじゃない?でもさ、なかなかそういうのってさ、ほら、ねえ。でも実力があっても、なれない人もいるしさ。で、ねえ。そういうのを考えると、目標を立ててたどり着かなかった時の自分へのダメージがさ、半端なくないじゃない?だから、それだったら立てない方がよくない?

(岡田准一)なんか、だからいつもお会いして、ちょうど大河の時にもオラフの声をやっていて。あんだけヒットしてて。映画の、あんだけヒットしているのをやったりとか。『凶悪』でめちゃめちゃ賞を総なめにしてたりとか。なんか次に会った時、『「64」で俺、主演やるんだよ。バカだよね、プロデューサー』みたいなこと言ってて(笑)。『NHKで主演だよ、俺が?ガハハハッ!』って笑ってらっしゃるのとかを見て、なんか面白いなーと思って。

(ピエール瀧)(笑)

(岡田准一)でも、こんなにいま求められていたりとか、画で映った時に力のあるっていう風に見えるのもいないし。僕ら世代からすると、めちゃめちゃかっこいい人なんですよ。ピエールさん。

(ピエール瀧)マジで!?岡田くんからそんなこと言われるなんて。

(岡田准一)いや、僕ら世代とか下もそうなんだと思うんですけど。僕ら世代とか、男女問わず。女性に聞いても『ピエールさん、かっこいいよね』って。みんな聞くし。

(ピエール瀧)本当に?ぜんぜんその恩恵を受けてない感じがするな。俺(笑)。

(岡田准一)本人がそういう風にあんまり思ってないのか、隠しているのか。

(ピエール瀧)どういうこと?すごいかってこと?すごくはないでしょ?(笑)。基本。

(岡田准一)でもみんなピエールさんの生き方とか、なんだろう?ピエールさん自身はそんなことを言われているって思ってないっていうか。

(ピエール瀧)うん。思ってない(笑)。基本、ナメられてるんだろうなーとは思っているけど(笑)。あんまり、そういうのはないかな?まあ、ねえ。なんだろうね?

(岡田准一)なんですかね。

目標は立てず、流れに任せる

(ピエール瀧)なんかね、目標とかさ、こうなりたいって思ってここまで来たわけじゃないからね。なんか楽しそうだなとかさ、その時の流れとかさ、そういうのでさ。こっちかな?って。

(岡田准一)電気グルーヴもそうですか?

(ピエール瀧)そうそうそう。だから電気も、メジャーデビューしましたけど。もともとその前に人生っていうインディーバンドをやっていたのね。で、インディーバンドでインディー盤とかを出したりしてたんだけども。できればさ、大きいフィールドでやった方がいいわけじゃない?メジャーになれるっていうわけじゃないけども、できれば大きいところでやれればいいのにな、なんてのは多少はあったかもしれないけれど。

(岡田准一)ふーん。

(ピエール瀧)まあ、人生を解散して、その電気グルーヴっていうのを始める時に卓球くんと、そういうデビューとか云々じゃなくて、もう好きなことを好きなようにやっていくもの。『やりたいことをやりたいようにやるバンドにしよう』って言って始めたのが電気グルーヴで。言ってみたら部活みたいなもんじゃない?そういうのってさ。

(CM明け)

(岡田准一)もともと、会社に入られていたんですよね?制作会社かなんか入られて。

(ピエール瀧)まあ、そうそう。人生をやめたんで、まあ俺もバンドとかやることはないだろうなと思ったんで、映像制作の会社に。まあ、アルバイトだけどね。まず入って。で、それと並行して電気グルーヴを始めたのよ。で、それを始めたら、その電気グルーヴの2回目ぐらいのライブを見に来てくれたレコード会社の人が『君たち、面白いからじゃあメジャーでやってみない?』って言われて。で、メジャーデビューすることになったので。だからそれもさ、メジャーのところでやりたいと思ってなったわけじゃないじゃない。なんか。

(岡田准一)うーん。

(ピエール瀧)で、デビューすることになって。したらまあ、いろんな、たとえばラジオだったりとかバラエティーだったりとか。いろんなものに声をかけてもらえるようになって。で、そこもまあ面白そうだから、やってみたいじゃない。やっぱり。できるかできないかは置いておいて。そんなもん、呼んだ方が悪いんだし。そもそも。

(岡田准一)(笑)。長く続けられるかは置いておいて。

(ピエール瀧)置いておいて、とりあえずそのさ、ドラマの現場っていったらドラマの現場、ちょっと見たいじゃない?どんな感じ?なんつって。で、バラエティーっつったらバラエティーの現場もちょっと見てみたいじゃない。で、映画が来たら映画ってどうドラマと現場が違うのか、ちょっと見てみたいななんて思いながら、あっちこっちの現場に顔を出すようになってたら、いまに至ったっていう感じかな?

(岡田准一)へー。でも母体は電気グルーヴ。

(ピエール瀧)もちろん、もちろん。

(岡田准一)その、卓球さんは音楽を作る方にガーッ!っと行って。で、映像とかパフォーマンスとかっていうのを瀧さんが?

(ピエール瀧)まあ、そうと言うか・・・

(岡田准一)役割は話し合ってできたんですか?

(ピエール瀧)役割はまあ卓球くんがもともとね、その音楽が好きですし、作るのは彼がほとんど作っているんですけど。彼がやるもののお手伝いって言ったら変だけど。なんか・・・っていう感じなのかな?もともとは(笑)。

(岡田准一)お手伝い?

(ピエール瀧)あとは、当時バンドをやり始めた頃が1980年代で、その頃、ニューウェーブっていう音楽が割とイギリスとか、主に欧米から入ってきた音楽なんだけど。そういうのが割と、いままでのバンドと違って、たとえばギター、ベース、ドラム、キーボード、ヴォーカルがいてっていう編成でやらなくても、たとえばMTRのテープ一発流して、そこにシンセを乗っけてヴォーカルだけとか。あと、全員シンセのバンドがいたりとかっていうようなものもあったし。なんだろう?なんでもありな感じになっていたの。当時。ニューウェーブっていうものの音楽の流れのベースが。

(岡田准一)はい。

(ピエール瀧)だったら、別に楽器をやらないやつがステージに1人ぐらいいてもいいんじゃねーの?っていう感覚で始めたのかな?

(岡田准一)へー!面白担当。歌も歌うし、パフォーマンスもやるし・・・

(ピエール瀧)『あいつ、何だろう?何やってんだろう、あいつ?』っていうやつが1人ぐらいいても許される時代背景だったんだよね(笑)。で、そのままの流れで行ったら、ねえ。気づいてみたら周りにそういうやつが意外にいなくなっていたっていうだけの話かな?

(岡田准一)へー。

(ピエール瀧)だからもともと、なんだろうね?目標を持って、ああなりたいとかこうなりたいとかっていうのがなかったしね。あと、目標を立てちゃうとさ、目標にたどり着いたらさ、次に困んない?

(岡田准一)ああ、また新たなって作るのも?

(ピエール瀧)そう。

(岡田准一)目標はなかったですか?いままで、電気グルーヴをやっても、『これ行けたらいいね』とか。『Shangri-La』とか、アルバム『A(エース)』とか、めちゃくちゃ売れましたよね。50万枚ぐらい売れていて。

(ピエール瀧)でも、もちろん自分たちのね、やっているものをさ、お客さんが見て楽しいと思ってくれる人が増えたりとかさ。『ああ、こういうの、知らなかったけど好きだな』って思ってくれる人が増えたりするのはもちろん、目標というか心構えとしてはあるけれども。それ、目標か?っていうとまた微妙なラインでさ。

(岡田准一)うん。

(ピエール瀧)たとえば、『オリコンで一位を取りたい!』とかっていうものが目標ではないというか。だから結果として一位になったらいいじゃない。みんながさ、『すげーいいじゃん、電気!』なんつってみんなバンバン買ってくれて。いいねー!なんて言って結果として一位になれば、まあそれはもちろんいいとは思うけど。最初から一位を目指してもしょうがないかな?っていう感じはするけど。なんでいま、急に落書きを始めたのかな?岡田くんは。

(岡田准一)いやいや(笑)。

(ピエール瀧)飽きちゃったの?話(笑)。

(岡田准一)どういう・・・どういうあれなのかな?と。楽しむのがいちばん?

(ピエール瀧)まあ、そう。とりあえず、日々、『もう今日の仕事、嫌だな。行きたくないな』っていうものがない方がいいじゃない?『今日、楽しそう。なにが起きるか、なんだろうな?ちょっと行って楽しんでこよう』って思うものが日々ある方が、やっぱりいいじゃない?まあ、そういうもので日々、ストレスなくやっていけたらいいよねとは思うけどね。

(岡田准一)いまでも、お忙しいじゃないですか。めっちゃ働いている・・・

(ピエール瀧)忙しいって言っても、岡田くんよりは働いてないと思う。岡田くんの方が忙しいって。やっぱ。比較の話じゃないけどさ(笑)。

(岡田准一)めっちゃ出てますよ。だって。大作には、ピエールさん絶対に呼ばれるじゃないですか。

(ピエール瀧)まあ、呼ばれるというか、面白がって呼んでくださるのはありがたい話ですけどね。

(岡田准一)めっちゃ働いているじゃないですか。で、いろんな現場に行かれると思うんですけど。大変じゃないですか?

(ピエール瀧)でも、どれも撮影日数は短いのよ(笑)。岡田くん、だって1回入ると長いもんね。本当に。

(岡田准一)そうですね。1作品。『エヴェレスト』とか、4ヶ月ぐらい撮ってましたよ。

(ピエール瀧)そうでしょう?結局。あれを4ヶ月やっていたんでしょ?で、その前はだって官兵衛で1年やっていたでしょ。だって。やっぱそれとさ・・・

(岡田准一)ネパール行ったりとかしてましたからね。

(ピエール瀧)ねえ。それとV6と並行してやるのに比べたら、ぜんぜんもう、本当に忙しくないですよ(笑)。夜中じゅうゲームをやる時間もあるし。

(岡田准一)まだやってるんですか?

(ピエール瀧)やってる(笑)。

(岡田准一)へー!

寝る間を惜しんでゲームする

(ピエール瀧)50手前にもかかわらず、寝る間を惜しんでやってる(笑)。

(岡田准一)もともとだって、ドラクエを学生の時に・・・ドラクエをやりまくっていたみたいな。

(ピエール瀧)そう。ドラクエをやりまくって、ドラクエのやりすぎで専門学校をやめることになるんだけどね(笑)。学校に行かなくなって。

(岡田准一)ドラクエ相談所みたいなのを作っていたんですよね?

(ピエール瀧)そうそう。みんな、ファミコン電話相談室って呼ばれていて。で、困ったことがあると俺に電話がかかってきて。『瀧、ここのダンジョンの鍵なんだけど、どこにある?』って言ったら、『いや、そこのダンジョンの鍵はな・・・』って教えるっていう(笑)。

(CM明け)

(岡田准一 ナレーション)岡田准一がお送りしているJ-WAVE『Growing Reed』、今夜はピエール瀧さんにお話をおうかがいしています。瀧さんのお仕事に対する処世術をお聞きしました。

(岡田准一)じゃあ僕と『エヴェレスト』とか大河とかで共演してシーンを撮って。『ナントカだ!』とか言い合ったり、『おい!』とかって芝居をやった後、帰ってもゲームをずっとやってたりしてたんですか?

(ピエール瀧)やってるやってる。もっと言ったら、『官兵衛、お主!』って言っているところのセリフのところの5%ぐらいはゲームのことを考えているかもしれない。

(岡田准一)(笑)。いいなー。いいなー。

(ピエール瀧)もしかしたら(笑)。

(岡田准一)でもそれがたぶん、いいんですよね。

(ピエール瀧)なに?そうかな?

(岡田准一)いや、とらわれないのがやっぱりいいんですよ。こう、なんだろう?うーん・・・どうでもいいと。『呼ばれなくなったら呼ばれなくなっただ』って思われているじゃないですか。たぶん。

(ピエール瀧)うん。

(岡田准一)最後。『ラッキー』ぐらいで(笑)。

(ピエール瀧)ラッキーって思うかどうかはわからないけど、まあ、呼ばれなくなったら呼ばれなくなったで、まあそんなもんかな?って。

(岡田准一)ラッキーぐらいの感じでやられているじゃないですか。仕事。そんなことないですか?

(ピエール瀧)呼ばれなくなったらラッキーっていうか。あの、いろんな現場に呼ばれて、その現場を見れるから面白そうと思って行く感じ。

(岡田准一)その、いまできていることがラッキーぐらいに思って?

(ピエール瀧)そうそうそう。

(岡田准一)『いやー、役者さんと会えてラッキー』とか。

(ピエール瀧)そうそうそう。だから全部、ボーナス。

(岡田准一)(笑)

(ピエール瀧)基本、いまだからここで岡田くんと話しているのもボーナス。基本ラインは。

(岡田准一)へー!

(ピエール瀧)だからその感じでやっているから、目標とかじゃないじゃん。そういうのってさ。立てようもないというか。

(岡田准一)今後、『こういう役がやりたい』とかもないですか?

(ピエール瀧)『こういう役がやりたい』とかもないかなー?なんか・・・なんだろうね?

(岡田准一)おいくつでしたっけ?

(ピエール瀧)いま、48。

(岡田准一)48かー。じゃあですね、34の僕に、なんか伝えたいことはありますか?

(ピエール瀧)34の時に・・・34。34っていうと、そう。35で俺、結婚してんだよね。そういえば。34の岡田くんに伝えたい事は・・・結婚はしないのかな?(笑)。

(岡田准一)(笑)。そっちになるんですね。

(ピエール瀧)まあ、ねえ。っていうのもあるけども。楽しいでしょ?でも、岡田くん。毎日。楽しい?うれしくない?

(岡田准一)幸せだなとは思います。

(ピエール瀧)ないわけじゃないとは思うけどね。なんかもう1個、もう1個、なんかごっそり変わりたいなみたいな衝動ってない?それぐらいになると。33、4ぐらいになってくると。

(岡田准一)そうですねー。なんかこう、大きな企画も多いというか。なんで俺?みたいな。まあ、そういう歳なのか、こうチャレンジというか。

岡田くんは責任感がある

(ピエール瀧)やっぱでも、そういうのを見ると、岡田くんはやっぱり責任感あるよね。そういうのを引き受けてやれるっていうことに対してさ。やっぱりさ、そこって作品とかを作ろうとしてた人たちへもそうだし。まあ、言ってみたらなんだろう?そのジャニーズっていうさ、事務所単位だったりもするしさ。

(岡田准一)はい。

(ピエール瀧)その中でこう、岡田くんのポジションがあるわけじゃない。やっぱり、ジャニーズ内でも。そこでの自分がやるべきことみたいなとことかさ。そういうとこに関してさ、やっぱり責任があるよね。やっぱりね。責任感が。すごいなと思う。それは自分の人生に対してもそういうことでしょ?責任感。

(岡田准一)瀧さん、ないですか?

(ピエール瀧)ぜんぜんないよね。責任感(笑)。

(岡田准一)ええっ?『64』の時、どうだったんですか?主演じゃないですか。

(ピエール瀧)主演で。まあ、もちろん主演でやらなくちゃいけないことは・・・

(岡田准一)見ましたよ、僕。

(ピエール瀧)ああ、ありがとう。ありがとう。

(岡田准一)熱いお芝居をされていたじゃないですか(笑)。

(ピエール瀧)(笑)

(岡田准一)走り回って(笑)。

(ピエール瀧)なんで半笑いなわけ?そこで、いつも。そういう時に(笑)。

(岡田准一)熱いお芝居。走り回って。『○○!』って真剣に熱い話をやられていたじゃないですか。

(ピエール瀧)うん。まあでもあれも、なんだろうな?

(岡田准一)主演はでも、ちょっと違くないですか?

(ピエール瀧)まあ主演はそうで、やることも多いし。主演は主演であるんだけど。そこは主演って・・・主演を演じなくてはいけないピエール瀧っていうものをすでに演じているのかもしれない。もしかしたら。その感じというか。

(岡田准一)ああー。

(ピエール瀧)そこ、だから本気で向き合っちゃうとさ、もう大変じゃない。なんか。原作の横山さんへのやつもあるしさ。原作を書いた人へのものもあるしさ、NHKっていうものもあったりするしさ。

(岡田准一)いろんな期待もあるし。

(ピエール瀧)とかさ。そこを背負った日にはさ、ねえ。って、思うから責任感ない方が基本、いいじゃん。でも、さっきも言ったけど本当に『選んだ方が悪い』と思っているから。そういうのって(笑)。

(岡田准一)いいなー(笑)。

(ピエール瀧)『僕、お願いしましたっけ?』っていう話じゃない。だって。向こうがね、『やりません?』って言ったら、『うわっ、面白そう!』って思ってやっちゃうんだけど。

(岡田准一)いや、でもそういうのがなんか、昔の俳優さんの話とかを聞くと、なんかそれに近いのがあるんですよね。

(ピエール瀧)うん。

(岡田准一)なんか、『心を作って演じるのはこっちの仕事だけど、切り取るのはお前らの仕事だ』みたいな。スタッフの仕事であって。『上手く切り取れなかったら、お前らが悪いんだよ』みたいなノリが昔の方ってあるんですよ。

(ピエール瀧)ああ、なるほど。はいはいはい。

(岡田准一)『こっちは仕事、ちゃんとしてるよ。演じるっていうのは。切り取れないのが悪いんだよ』みたいな。スタッフに責任をちゃんと負って。『ダメだったらお前らが悪い』みたいなのを昔の人ってちょっと思われているところがあって。でも、いまの俺たちってそういう感覚、ないですよね。たぶん役者さんとかって。みんなやっぱり、自分の責任だし。『自分が上手くできないから』とか、『もっと上手く表現できればよかった』って。僕も思うし。

(ピエール瀧)うん。

(岡田准一)でも、そういうなんだろう?なんて言うのかな?昔の俳優さんの良さみたいなのがピエールさんにはたぶんあって。

(ピエール瀧)(笑)。でも俺いま、その話をずーっと聞きながら、ずーっと頭のなかをめぐっていたものが、そのね、さっき言った『大作映画とかにいろいろ出ているじゃないですか、たくさん』っていうのをいろんなのを総合した結果、俺の場合は、切り取ってくれる人が上手いんだなっていうのがわかった。いま(笑)。

(岡田准一)(笑)

(ピエール瀧)なるほど!切り取る人が上手なのか!と思って(笑)。

(岡田准一)本当ですか?

(ピエール瀧)ありがとう、スタッフのみんな!って思った。いま(笑)。

(CM明け)

(岡田准一)力まない生き方。それでいてちゃんと仕事もされていて。仕事も楽しんでいて。なんだろう?なんか、大事にするもの。役者だけじゃなくて電気グルーヴも大事にされていて。そこで見る姿も、やっぱりおしゃれだし。歌番組で出る、ご一緒することもあって。

(ピエール瀧)そうだね。この間ね、久しぶりにね、一緒でしたけどね。

(岡田准一)おしゃれだな!みたいな。ああいう大人になりたいなって思うし。

(ピエール瀧)マジで?(笑)。

(岡田准一)なんなんですかね?その安心感とかっていうのは。なんか、隠してないですか?照れて言ってないですか?今日はピエールさんの本当の核みたいなのを聞こうっていうのがテーマなんで。

(ピエール瀧)でも・・・なんだろうな?やっぱりさっきも言った責任感とかさ。そういうもの、自覚とかさ、背負っちゃうとさ、そこにもう染まらなくちゃいけないというかさ。なるじゃない?

(岡田准一)それがよく言われるっていうか、僕ら、生きるセンスがいいっていうのをピエール瀧さんとかに重ねている若者が多いんだと思うんですよ。センスというか。『センス』っていう言葉がぴったりというか。歳を重ねるセンスとか。楽しむセンスとか。おしゃれに生きるセンスとか。

(ピエール瀧)うーん・・・おしゃれにはちょっと生きてないかもしれないけど。でもまあ、さっきも言ったけど、全部ボーナスだと思うと。

(岡田准一)ラッキーと。

全部ボーナスだと思う

(ピエール瀧)そうそうそう。さっきの目標の話もそうですけど。自分はすごいイケてる男だ!と。こういうものがあって、これができるんじゃないか?っていうものを作っちゃうとさ、なんか、そこから外れられなくなるじゃない?そういうのを考えると、もうちゃらんぽらんでしょうもないなっていうところに足元を置いておけば、なんか全部ボーナスになるじゃない。全部ポイントっていうか。なんか(笑)。

(岡田准一)うんうん。

(ピエール瀧)だからそこをしっかりしたものにしてさ。たとえばじゃあ、なんです?しっかりした企業に入って、しっかりトントン出世していって。部長、将来は代表取締役かなんかにっていう感じに持っていったりする。まあこれ、一例ですけども。そういうところに置くと、やっぱりなんでしょう?そこにたどり着けなかった時のダメージも大きいし。そこに向かうために必要のないものって、切らざるを得なくなるじゃないですか。

(岡田准一)うん。

(ピエール瀧)やっぱり、基本的に。で、その向かう目標に対してはすごくシェイプされて身軽になって動きやすくなるかもしれないけど。もっと視点を高くしたら、もしかしたら捨てるものの中に、必要なものってあるかもしれないじゃないですか。昔、勝新が言っていた『ゴミの中に宝がある』って言っていた、そういうものというか。っていうのもあるから。だからまあ、自分ですごく目標がはっきりしていて。たとえばイチローとかさ、本田とかさ。ああいう感じの人って目標がすごくはっきりしてるから、そこに向かうためのものが必然的にこう、チョイスされるし、シェイプされるじゃない。

(岡田准一)うん。

(ピエール瀧)で、そうじゃない人っていうのは下手にそこに目標を作ることによって、本来持っていた方がいいものを捨てざると得なくなっていったりするようなことってあるんじゃないの?きっと。で、俺はその目標を立てない側の人間だったから、なにかしらいろんなところにあった方がいいものがあって。それをたまたま他の人が見つけてくれて。『じゃあこっち、映画、やってみる?』とか『バラエティー、やってみる?』っていうのを自分で『これ持っているから、これどうですか?』ってお店に並べるわけじゃなくて。俺の中にある、ゴッチャゴチャの納屋みたいなところから、『これ、君、面白そうだからちょっと表に出してみよう』とかって拾ってくれる人がいたんだと思うんだよね。

(岡田准一)ふーん。

(ピエール瀧)そういうのを考えると、さっきのシェイプした生き方だと、そこの目標に向かう人々には会うけど、そうじゃない人ってなかなか会わなかったりするでしょ?でも、目標を立てなければ、ほぼ全ての人が会う可能性もあるというか。その分、無駄な人ももちろん多いんだけど。

(岡田准一)(笑)

(ピエール瀧)そういうもので、そこをほら、どっちを取るかは、その人のポリシー次第というか。だから、目標を持って、もちろんそこに行ってたどり着く人も素晴らしいと思うけど、逆にそれをやることによって弊害っていうのは言い過ぎだけれども。その、本来自分が持っていたものっていうものが消え去ってしまうこともあるんじゃないのかしらん?っていう風には思うけどね。

(岡田准一)へー。

(ピエール瀧)そういうのが楽しいかもしれない。何かをやるっていうよりかは、わけもわからず行ってみて、行った先に何があるかな?っていう時の。何があるかな?って思っている時がいちばん楽しいかも。

(岡田准一)時間を重ねるとかっていうのはどう思ってますか?

(ピエール瀧)重ねるって?

(岡田准一)時間をこう、電気グルーヴでも、何周年ですか?

(ピエール瀧)26年目かな?

(岡田准一)わー、すごいな。26年重ねて、いろいろ変化もしながら時を重ねてきたと思いますけど。そういう時っていう面ではどう思ってますか?

(ピエール瀧)時は・・・そうだね。うーん、重なる・・・まあ、なんでしょうね?重ねることによってものすごく固まってしっくりしていくものもあるし。あるいはその、時を重ねることによって散ってなくなっていっちゃうものもあるじゃない?割とその、人間関係もそうだったりするし。いろんな部分っていうのがあるわけで。

(岡田准一)うん。

(ピエール瀧)それこそ時を重ねるっていうことで一長一短はもちろんあるけれど。時を重ねるというか、時が降り積もるみたいな感じじゃない。なんか。なんかこう、構築するっていうよりかは、降り積もっていく感じだから。その分こう、遠くは見るようになるよね。若い頃だと、ある事柄があった時にその事柄で右に行くのか左に行くのかをチョイスする時に、テーブルに乗っているデータが少ないけれども。時を重ねると、右か左かってなった時に、右か左かを選ぶために吟味しなくちゃいけない情報の量が増えるというか。

(岡田准一)うん。

(ピエール瀧)要素が増えたりするから。そこが面白いなという風にも思えるし、逆に言うと複雑化っていうこともあるじゃない。ものを選ぶ時。若い頃ってもっと破天荒に選べるじゃない。『右か左か、よし、こっち!』って選べたりするのもあるから。そこもやっぱり一長一短があると思うから。

(岡田准一)ふーん。

(ピエール瀧)すごくよくなった部分もあるし、一概にいいとも言えない部分もやっぱりある。パターの芝目を読むみたいなの、あるじゃない?こっちから見て、『おお、スライスか』って。で、逆から見ると、『あ、こっちからちょっとフックなのか』と思って。『なるほど』ってわかった感じでパットを打って外す時もあるけどね。それで(笑)。

(CM明け)

(岡田准一 感想トーク)J-WAVE『Growing Reed』、ピエール瀧さんにお話をおうかがいしてきました。ということでね、もうなんかかっこいいんですよね。なんか、いろんなことをわかっている感じがお話をしていても、普段共演しててもするというか。まさに今日、お話をしていたこともそうなんですけど。なんかこう、生きることのいいこと、しんどいこととかっていうのも、なんか『いろいろあるよね』っていうことを。『生きるっていろいろあるし、働くっていろんな方向から物事が見えるよね』っていうことを、なんかすごくわかっていて。

どんな人生も、なんだろうな?いろんなことがあっても・・・うーん。決してなんか物事を否定する方ではなくて、『うーん。1個の考えではそうだよね。でも、もう1個の考えではこうなんだろうな』とかっていうことも、全部なんかこう、わかっていておしゃべりをされる方な感じもするし。物腰もね、すごく優しいし。家に行って遊びたいですよね(笑)。なんか、ゲームを一緒にやったりとか、のんびりなんか、一緒に何日間か旅行いったりとかね、したらすごく楽しそうな感じもするし。

なんだろうな?うーん。なんかそばにいて安心する年上の男性という感じがすごくして。自分もああいう風になりたいなって思えるし。なんか相談とかしても、否定も肯定もされないんだろうな、みたいな。『そうだよねー』って聞いてくれながら、ちょっと面白おかしく返してくれるみたいな。なんかそういうところがすごく、素敵だなと思うし。うん。なんかね、憧れのお兄ちゃんっていう感じがね、すごくする方ですね。

<書き起こしおわり>

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