能町みね子さんがニッポン放送『上柳昌彦・松本秀夫 今夜もオトパラ!』特番に出演。両国国技館地下の焼き鳥工場に取材に行った際の模様を話していました。
駅で買える国技館焼き鳥がウマい http://t.co/sVGYt6XPpN pic.twitter.com/ZKawlKd1Va
— フォロバ100%!!アカウント (@gw266950) 2015, 6月 9
(能町みね子)まず、なかなか人が行けないところということで。国技館の地下に行きましたね。国技館の地下って焼き鳥工場があるって、結構豆知識として知っている方・・・
(上柳昌彦)最初は都市伝説なのかなって。本当にあるらしいですね。
(松本秀夫)大がかりなものがね。
(能町みね子)そうなんですよ。で、私も噂には、前から聞いていて。『大工場がある』と聞いていたんですけど。取材でそこに潜入させていただいて。実際に稼働している時だったんですけど。まあ、巨大っていうのはちょっと誇張だったんですよ。割とあの、中規模・・・まあ小規模から中規模ぐらいの工場が地下にありまして。
(上柳昌彦)国技館の床面積全部、その下が全部、向こうの方まで焼き鳥をみんなでこうやっているわけじゃないんですね?
(能町みね子)じゃないんです。私もちょっとそれを想像しちゃってたんですけど。
(上柳昌彦)どこで消費するんだ?っていう話になりますからね。
(能町みね子)そこまでじゃなかったですね。まあ、そうは言っても、本場所中はとんでもなく焼くみたいで。その時に聞いた話だと、本場所で実際にお相撲をやっている15日間は毎日約6万本、焼くそうです。
(上柳昌彦)満員でどれぐらいですか?1万?1万5千くらい入るんですかね?
(能町みね子)満員が・・・私もちゃんと定員知らないんですけど。どのぐらいですかね?
(松本秀夫)1人4本くらい食べる計算かな?
機械化が進んだ焼き鳥生産ライン
(上柳昌彦)焼き鳥もね、いますごく自動化が進んでいて。鳥なんかをケースの中にキュッキュッキュッて詰めると、串刺しはね、自動的にやる機械があるんですよ。
(能町みね子)ああー、そこはですね、実際はですね、もう刺したものが別の工場から送られてきてですね。
(上柳昌彦)ああ、やっぱりそうなんだな。
(松本秀夫)そうなんですね。そこで刺しているっていうところはやってないんですね。
(能町みね子)刺してはいないですね。
(上柳昌彦)刺したら大変だよ、それ。朝からやんなきゃいけないもん。
(能町みね子)そうなんですよ。で、働いている方が極端に少なくてびっくりしたんですけど。社員さんが1人しかいないんですよ。工場の中に。
(上柳昌彦)あ、そうなんですか。
(能町みね子)で、まあパートさん、バイトさんが後から来るんですけど。社員さんがものすごい1人で働いていて。特に私が行った時は、もちろん忙しい時はお邪魔になるんで、場所前のゴールデンウィークまっただ中に行ったんですけど。その頃でも、最近は国技館以外の駅だとか、ちょっとデパートの売店とかで売ってるんですよ、あれ。
(上柳昌彦)お相撲やっている時じゃない時も、他に出すための焼き鳥を焼いてるんですか?
(能町みね子)そうなんですよ。
(松本秀夫)それは国技館の焼き鳥として、そういうブランドで?
(能町みね子)そうです。
(松本秀夫)へー!
(上柳昌彦)考えたな。
(能町みね子)ちょっと前までは本当に国技館でしか買えなかったんですけど。なんかこう、そうやって販促したらしくて。で、駅だとかデパートとかで。
(上柳昌彦)ちょっと味が濃いかったような気がします。タレのね。
(能町みね子)濃いですね。ちょっと普通の焼き鳥屋さんで食べるようなものと別物ですね。
(上柳昌彦)なんかたぶん冷えても美味しいみたいな感じのじゃないですか。あれ。
(能町みね子)冷えるのが前提で作っています。
(松本秀夫)部位はどういうところを使っているんですかね?
(能町みね子)部位?部位?部位まではでも私、ちゃんと聞いたかな?
(上柳昌彦)部位はじゃあ、置いておきましょう。
(能町みね子)部位はちょっと、すいません。
(上柳昌彦)それ、焼くのは炭ですか?それとも、ガスとかでやってるんですか?
(能町みね子)機械の・・・あれは・・・
(上柳昌彦)自動化が進んでいる?
(能町みね子)焼くの、自動です。
(松本秀夫)自動で焼くの、どういうのなんですか?
(能町みね子)自動で焼くのですね、なんかこう、グルーッとベルトコンベアー的なところを爪が回っていて。挟むような、ハサミ的なものが回っていて。そこに串を刺すわけですよ。
(松本秀夫)それは手作業なんですか?
(能町みね子)それだけは手作業。だからずーっと刺し続けるんです。
(上柳昌彦)こうやって、焼き鳥が刺さっているやつをはめ込んでいくんですね。
(能町みね子)はめこめまくり。
(上柳昌彦)それがベルトコンベアーでず~っと?
(能町みね子)ずーっと、回っている間に4回ぐらい焼かれ・・・
(上柳昌彦)4回くらい。タレはどうしているの?
(能町みね子)焼かれた後、タレの壺に入り、また出て焼かれ、壺に入り・・・
(松本秀夫)2度漬けてから焼くんですね。
(能町みね子)最終的に6回、浸かります。
(上柳昌彦)おおー、6度漬け。ラジオリビングのウナギだって4回だったからね。
(能町みね子)(笑)
(上柳昌彦)これは漬け込んで漬け込んで。
(松本秀夫)だから味、濃いんですね。あれね。もう肉に染みこんでいるんだ。
(能町みね子)お酒のツマミなんで。濃い目に作っているんですね。
(上柳昌彦)長く食えるんでしょうね。
(能町みね子)そうですね。で、漬けた後、焼いて漬けて、その後、冷やすんですよ。
(上柳昌彦)えっ?
(能町みね子)冷蔵庫があって。冷却して。もう最初に冷やしちゃって、その状態で箱に詰めて保存する。やっぱりあったかいまま箱に詰めちゃうと、蒸気とかで。
(上柳昌彦)蒸気でベチャベチャになっちゃう。ほー。
(能町みね子)だからなんかこう、機械の作業なんですけど、割と手作業部分も多くって。で、タレの仕込みなんかもでっかい機械でやるんですけど、でもやっぱり味の調整はその社員さん1人の手にかかっていて。
(上柳昌彦)おおー。
(能町みね子)で、その社員さんが今、62才なので。
(上柳昌彦)ちょっと、後継者の人が・・・
(能町みね子)そうなんですよ。その問題。私、聞いたら、なんかその方、自分にも他人にも結構厳しい方で。『ちょっとまだ継がせられる人がいない』って言うんですよ。
(上柳昌彦)こだわってんだなー!
(松本秀夫)現場がその方だけっていうんで、会社としてはもう少しちゃんとこう・・・事務方はいるんですか?
(能町みね子)会社としては、そうですね。その焼き鳥以外の、国技館の食事とかを仕切っている会社の方なんで。いろんな部署があるんですけど、焼き鳥部っていうのはその方しかいない。
(上柳昌彦)焼き鳥は全部。
(能町みね子)そうなんですよ。なんかもう私、そのレポートに・・・『dancyu』っていう雑誌の焼き鳥特集のレポートで行ったんですけど。いま、発行されているんですけど。それで私、行ったのに、なんか焼き鳥のレポートっていうよりも私、その人にすごい感情移入というか、興味を持っちゃって。
(松本秀夫)やっぱり職人さんですか?
(能町みね子)職人さん。まあすごい、私たちには優しい方なんですけど、考え方は職人さんですね。
(上柳昌彦)じゃあその方がもし引退したら、『おっ、味が変わったな』っていうファンの人が出て来るかもしれないです円。
(能町みね子)いや、ぜったい出ますね。あれは。あと5年ぐらいで、もしかしたら味、変わるかもしれないですね。
(上柳昌彦)食品のそういう工業化って、いますごいんですよ。この間ビッグサイトで見に行ったんだけど、驚いちゃうんですよ。もうロボット化が。だけど、最後の最後はやっぱり人間なんですね。
(能町みね子)そうなんですよ。タレもここ10年で1回、味変えたって言ってましたからね。
(上柳昌彦)日本人のね、最近の味覚にぜったい合わせてますよ。濃すぎるっていうのがあったのかもしれないですね。
(能町みね子)そうです。ちょっと甘くしたって言ってました。
(上柳昌彦)でしょう?
(能町みね子)で、言われてみて私も、子どもの頃はちょっと、もっとしょっぱいと思ってたなと思って。変えてるんですね。
(上柳昌彦)有楽町にもね、味濃いままね、カツ丼出している店があるんですけど。やっぱりね、それは『昔、よく来た人がリタイアして、たまに来た時に「味が薄くなった」って言われたくないから。今の人には濃いかもしれないんですけど、これです』って言ってますね。
(能町みね子)そこは守るんですね。いや、そこは本当、貴重な体験でしたね。
(上柳昌彦)面白いですね。
(松本秀夫)いまの『dancyu』ですね。
(能町みね子)そうです。工場は午前1時から稼働しているから、私、2時に行きました。
(上柳昌彦)午前1時から!?
(能町みね子)午前1時から。
(松本秀夫)62才の方が、午前1時から。
(能町みね子)1時に出勤してるんですよ。とんでもないハードワークしてます。
(上柳昌彦)終電車に乗っていくんだろうね。
(松本秀夫)そういうことですね。
(能町みね子)なんか、歩いてくるみたいな感じで。結構近所に・・・
(上柳昌彦)近所にお住まいですよ。
(松本秀夫)職人ですよ、そこは。
(能町みね子)だったような気がしますね。そうなんです。
(上柳昌彦)いや、でもね、きっとそういうところで煙とか臭いが外に出ない装置とかを全部つけてあるんですよ。きっと。
(能町みね子)そうですね。もういま、すごいです。
<書き起こしおわり>