映画評論家の町山智浩さんがTBSラジオ『たまむすび』で、続編が全世界で大ヒット中の映画『ピッチ・パーフェクト』を紹介していました。
(赤江珠緒)さあ、今日はすごく楽しい映画だということで。
(町山智浩)今日、紹介する映画はぜんぜん違う感じの映画でですね、もうアメリカンコメディー。ガールズコメディーなんですけど。『ピッチ・パーフェクト(Pitch Perfect)』っていう映画ですね。はい。あ、いまかかってますね。
(山里亮太)はい。
(赤江珠緒)きれいな歌声。
(町山智浩)これね、伴奏がないんですよ。
(山里亮太)アカペラ。
(町山智浩)これ、全部声でやってます。アカペラです。だからベースとか、パーカッションとか全部口で、『チュクチュク♪』言ったり、『ボンボン♪』言ったり。で、このピッチ・パーフェクトっていう映画はもうすでに2が作られて、先週。だから一昨日か。一昨昨日公開されたんですよ。アメリカで。
(赤江珠緒)へー。
(山里亮太)あ、もう2が。
続編が世界中で大ヒット
(町山智浩)で、これが大変なことになって。あの、アベンジャーズをチャートのナンバーワンから引きずり下ろしました。
(赤江珠緒)ええーっ!?じゃあもう大ヒット?
(町山智浩)大変なことに。大ヒットになっています。2位のマッドマックスに2倍近くの差をつけてるんですよ。
(赤江・山里)ええーっ!?
(町山智浩)空前の大ヒットになってますよ(笑)。
(赤江珠緒)えっ、でも1の方、あんまり日本でも知られてないですよね。
(町山智浩)1は日本では公開もされてなくて。DVDも出てないのかな?
(赤江珠緒)そうなんだー。
(町山智浩)でもそれがね、来週日本でやっと公開されることになったんですよ。1作目の方が。っていうのはこれね、アメリカでもそんなにヒットしてないんですよ。1作目は。
(赤江珠緒)ふーん。
(町山智浩)まあ、そこそこヒットしたんですけど、爆発的なヒットではなかったんですね。そうするとね、日本はそういうアメリカのコメディーはほとんど公開される見込みがないんですよ。
(赤江珠緒)うーん。
(町山智浩)何度もたまむすびでずっと言ってきてるんですけど。日本の映画会社がですね、本当に結構超大作で30億円とか40億円のヒットを狙う以外は、なんて言うか、5億円ぐらいは稼げそうだなと思う映画は、わざわざ公開しなくなっちゃったんですよ。
(赤江珠緒)ああー。
(町山智浩)やっぱりそれだけその、お金がかかったりして。で、当たらなかったらもう、ただ全部消えちゃうんですけど。30億、40億いけるかもしれなかったらリスクが大きくてもそっちに賭けるじゃないですか。
(赤江珠緒)ええ。
(町山智浩)だからそっち寄りになっちゃってるんですよ。
(赤江珠緒)ああー、そうか。大物狙いもいいけどねえ。
(町山智浩)そうなんですよ。だから中堅ぐらいの映画が、いちばん中規模ぐらいの制作費の映画とかが公開されにくい状態になっています。
(赤江珠緒)そうですか。
(町山智浩)だっていま、名探偵コナンとかいろいろアニメがあるじゃないですか。ドラえもんとかいろいろ。ああいうのが40億とか稼いじゃう状況になっていて。5億円ぐらいが設定目標の映画ってのは入り込めないですよ。
(山里亮太)なるほどー。
(町山智浩)したら、もう40億の映画がほしい!ってなっちゃうんで。そうすると、この手の映画は本当公開されなくないですね。まあそれは、商売だからしょうがないなと思うんですけどね。ただ、間違って『テッド』みたいに。テッド、40億いきましたからね。
(赤江珠緒)ああ、そうですね!テッド、面白かったもんな。
(町山智浩)そうなんですよ。だからなにかの間違いでそういうこともあるんで。あんまり見捨てないでほしいんですけど。コメディー映画を。でもまあ、しょうがないんですけど。仕事だからね。で、このピッチ・パーフェクトっていう映画は日本では見送られたんですけども。ただこれ、アメリカだけじゃなくて、日本を除く全世界でDVDとかネット配信でどんどん広がっていったんですよ。
(赤江・山里)へー!
(町山智浩)で、広がっていったきっかけっていうのは、ちょっとYouTube絡みなんですけど。『Cups』という、この映画の中の歌がね、すごく流行ったんですね。
(赤江珠緒)はい。
(町山智浩)で、これ、ちょっと聞いてもらうとわかるんですけど。ちょっと『Cups』、かけてもらえますか?
(町山智浩)これ、聞いたことありません?
(赤江珠緒)ある!最近、カップを裏返したり。やりなが歌うっていうのを。日本でもちょっと流行りましたよ。
(山里亮太)ドラマでなんか使われたりしましたよ。
(町山智浩)そう。これ、フジテレビでやっていた真木よう子さんがやっていたドラマで、『問題のあるレストラン』の中でやっているんですよね。
(赤江珠緒)はいはい。
(町山智浩)で、そうそう。これはね、この映画。ピッチ・パーフェクトの中で出てくるんですよ。
(山里亮太)あ、これが?見本になっているというか。参考になっている?
(町山智浩)そうなんですよ。それでそこからYouTubeで広がって、日本では映画が公開されてないにもかかわらず、この、まあカップ遊びだけは浸透したんですよね。
(赤江珠緒)へー!
(町山智浩)で、そのなんというか高校生とかの女の子たちが真似をして自分たちでやるうちに、この映画を見るようになって。それで、どんどん広がっていったんですよ。
(赤江珠緒)へー!
(町山智浩)でね、もう大ヒットしたわけですけども。アベンジャーズを引きずり下ろすって大変な事態ですけども。で、娘と一緒に見に行ったんですけども、会場、女の子でいっぱいでしたよ。映画館。
(赤江珠緒)へー!ええ、ええ。
(町山智浩)すごいことになって。それで、シングアロングっていって、これ、アカペラのコンテストの映画なんですけども。いま、そのピッチ・パーフェクト1の方はシングアロングパーティーって言って、全員で歌を歌うんですよ。映画を見ながら。アナ雪でもありましたよね。
(赤江珠緒)ああ、ありましたね。はい。
(町山智浩)そう。だからシングアロングバージョンのDVDが出たりとかですね。一緒に歌えるように。で、すごいブームになっているんですけども。まあ、ブームっていうか、ムーブメントみたいになってるんですね。
(赤江珠緒)へー。
(町山智浩)で、ピッチ・パーフェクトっていうタイトルの意味はね、これね、『Perfect Pitch』って言葉があるんですけど。『絶対音感』っていう意味ですね。
(赤江珠緒)絶対音感。はい。
(町山智浩)だからピッチ・パーフェクトだと、『音程が完璧』っていう意味ですけども。えー、舞台はですね、大学のアカペラ部なんですよ。で、アカペラって日本でもアカペラ甲子園とかやってますよね?
(赤江珠緒)ハモネプっていうのがね。はい。
(町山智浩)そうそうそう。で、もともとすごく、10年ぐらい前からアカペラブームっていうのはずっとあったらしいんですけど。特にアメリカでは、テレビ番組で日本と同じでアカペラコンテストとかやっていて。全国大会とか開かれたりしてるんですけど。それにまあ、出場したいと思っている、出場している大学の女子のアカペラチームなんですね。主人公たちは。
(赤江珠緒)ふーん。
(町山智浩)で、チーム名がBellasっていうんですけども。で、最初のそのアメリカの全米コンテストに出るところから映画が始まるんですよ。ピッチ・パーフェクトっていうのは。で、これね、部長さんっていうかキャプテンが非常に固い人で。伝統のあるアカペラ部なんで、その伝統通りにやろうとして、キチキチキチッとね、コントロールしないと気がすまない人がキャプテンなんですね。
(赤江珠緒)うん。几帳面な。はい。
(町山智浩)そう。でもそういう人って、すごくプレッシャーを自分にかけちゃうじゃないですか。だから全国大会なんだけど、ものすごくプレッシャーがかかって。この人、プレッシャーがかかるとね、ゲロを吐いちゃうんですよ。
(山里亮太)(笑)
(赤江珠緒)ええーっ!?(笑)。
(町山智浩)それで全国放送されているのに、ゲロをブワーッてものすごい勢いで吐いて。もう滝のように吐いて。それでもう、失格するっていうところから始まるんですよ。
(赤江珠緒)ええーっ!?
(山里亮太)あ、かなりコメディーですね(笑)。
(町山智浩)そう。だから、『な、なんだ、これ!?』って思っていると、これ、まあ女の子たちのアカペラグループのがんばるお話と思って見ているとですね、このピッチ・パーフェクトっていう映画は全編下ネタなんですよ。ギャグが。
(山里亮太)へー!
(町山智浩)徹底的に下ネタを狙っていくというですね。もう、娘と見ていて非常に困りましたね。
(赤江・山里)(笑)
(町山智浩)『こ、これは説明した方がいいのかな?』とか何か、いろいろ思ったですけど。これは困った!っていう感じでね。で、まあダメな部になっちゃうんですよ。それで、ゲロ事件で。
(赤江珠緒)はい。
(町山智浩)で、部員もいなくなっちゃって。で、まあ新しい部員を新入生から入れなくちゃならないっていうところから始まるんですけど。で、新しい部員が集まって。その中の主人公が、さっきカップをやっていた女の子で。アナ・ケンドリックっていう女の子なんですね。女優さんなんですけど。この人は最近、『イントゥ・ザ・ウッズ』でシンデレラを演じて日本でも知られている人ですね。歌、すごく上手いんですけど。
(赤江珠緒)上手いですもんね。さっきのも。
(町山智浩)すごい上手いんですよ。ただ彼女はね、この映画の中の役はね、まったく協調性のない女の子なんですよ。
(赤江珠緒)うん。
(町山智浩)で、もうチームワークぜんぜんできないんですよ。
(山里亮太)うわー、いいな。そういうスタート。
(町山智浩)そう。それで寄せ集めだから、みんななんかね、いろいろ問題があって。もうひとり、エイミーっていう女の子が入るんですけど。この子、そっちに写真があると思うんですけども。渡辺直美さんに似てない?
Rock out with Fat Amy and the Bellas and catch #PitchPerfect2, now playing! http://t.co/ZZ75HFNQwN pic.twitter.com/KGRHTZ1JQT
— #PitchPerfect2 (@PitchPerfect) 2015, 5月 16
(山里亮太)あっ、似てる!太ったね、ちょっとふくよかな。
(町山智浩)そっくりですよ。そう。太っているんだけど、妙になんかセクシーでね、おかしいんですけど。で、これはね、レベル・ウィルソンっていうね、コメディアンの人が演じてるんですけど。この人がめちゃくちゃ歌、上手いんですよ。
(赤江珠緒)あ、じゃあ本当に上手い人ばっかり集まっているんですね。
(町山智浩)これね、オーディションやったんですね。で、歌の芸は持っているんだけど、あんまり世間に出れなかった人とかがみんなオーディションに応募してですね。この人なんか完全にピン芸人で、もう舞台でいろんなことをやって笑わせていた人なんですけど。『私、歌うたえる』ってことで、まあオーディションに受かってですね。
(赤江珠緒)へー!
(町山智浩)エイミーっていう役をやって、いますごい人気なんですけど。この子はね、『名前、なんていうの?』って聞かれて、『デブのエイミー』って自分で言うんですよ。英語で『Fat Amy』っていうんですけど。すると、びっくりして『自分で自分のことをデブって言う?』って言うと、『あんたたちみたいな痩せっぽっちの女に陰でこそこそデブって言われないように、先に言っておくのよ!』っていうんですよ。
(赤江珠緒)(笑)
(山里亮太)おもしろいセリフ回し。
(町山智浩)そう。これね、全部このレベル・ウィルソンっていう人は自分で自分のシーンは全部書いているんですよ。
(赤江珠緒)へー!
(山里亮太)芸人さんだから、やっぱあるんだ。
(町山智浩)そうそう。ギャグは全部自分でやっているんですって。で、後ね、集まってくる人がみんな変な人ばっかりでね。ベースの担当の人はね、黒人の非常に歌が上手い人なんですけど。この人はレズビアンで。他のチームの女の子の体を触ったりしてばっかりいる、ちょっと困った人なんですよ(笑)。
(赤江珠緒)(笑)
(町山智浩)で、ソプラノの女の子はね、これはいわゆるなんていうか、ヤリ○○っていう人でですね。もうとにかくセックスばっかりしてて。セックスのことしか考えてないとかですね。で、あとアジア人の女の子がね、1人入るんですけど。その子はまったく声が出ないんですよ。
(赤江珠緒)えっ?アカペラ部なのに?
(町山智浩)アカペラ部なのに。声がちっちゃくて。で、だから完全に人数合わせなんですよ。だからもう、そういうなんて言うかどん底の人たちが集まって、さあどうする?っていう話ですね。
(赤江珠緒)ああ、いいですねー。個性がバラバラなのがチームになっていくっていうのがね。
(町山智浩)そうそうそう。がんばれベアーズ系ってやつですけども。で、まあ基本的にはバトル物なんで、どんどんどんどんバトルして勝ち上がっていくんですね。アカペラバトルを。でね、どういうバトルをするか?っていうのはね、これ、聞いてもらった方がいいんですけど。途中でですね、男子チームとアカペラバトルをするシーンがあるんですけど。ちょっと聞いてもらえますか?はい。
(町山智浩)はい。これね、アカペラバトル、お題が毎回出るんですね。それであの、これはね、『80年代の女性シンガーの歌』っていうお題が出て。それで、男子チームの方が『Micky』っていうトニー・バジルの歌ですけど。これ、ラッスンゴレライの中に出てくる歌ですよ。
(山里亮太)えっ?あ、ラッスンゴレライで?
(赤江珠緒)うん。
(町山智浩)ラッスンゴレライの途中で、『Micky』っていうこの歌を真似してるんですよ。
(山里亮太)よ、よくご存知ですね、町山さん(笑)。
(町山智浩)ねえ。で、それに対して女の子チームがマドンナの『Like a Virgin』を歌ってっていう感じで。で、どんどんどんどん80年代女性シンガーの歌を歌っていくんですけど、80年代の女性シンガーじゃない歌を歌ったりしたら、そこで負けっていうゲームをするんですよ。
(赤江・山里)はー!
(山里亮太)いかに引き出しをもっているか?を。
(町山智浩)そうそうそう。即興でバンバン出していくっていうのをやって。これがね、結構流行ったりしてるんですね。アメリカで。
(赤江珠緒)レベル高い争いですね!
(町山智浩)すっげーレベル高いんですよ。これ。で、これはもう、コンテスト番組がアメリカであって。すっごいレベルなんで。それに合わせてるんですけど。そのコンテスト番組で優勝したチームでPentatonixっていうグループがいて。それがたしか日本でも、出てますね。
(山里亮太)ああー!出てますね。出てます。すっごい、朝の番組とか出てましたよ。
(町山智浩)はい。すっごい上手いんですよ。彼らはピッチ・パーフェクト2の方にも出演してるんですけど。
(赤江珠緒)へー!
(山里亮太)会いましたもん。Pentatonix。
(町山智浩)えっ?会いました?本当に?
(山里亮太)朝の番組で、すれ違いました。
(町山智浩)あ、本当に?
(山里亮太)『どうもー』なんて言ったら、気さくでした。
(赤江珠緒)本当?どうも、通じてた?
(山里亮太)『歌、上手いっすね』って話したら、『Thank You』って言われたもん。
(町山智浩)あ、本当に。あの、ベースの白人の男の子、ものすごい背が高くてね。
(山里亮太)はいはい。そうです。
(町山智浩)あれ、だから全人種を入れることによって、声色が全部違うっていうのがね、すごくよくできているんですよ。だから、違う人たちがいっぱいいればいるほど、音が厚くなるんですよね。
(赤江珠緒)ああ、そっかそっか。
(町山智浩)そう。だからこのグループもみんな違うから。その、太った子もいるし、人種も違うし。そこがすごくいい感じになっているんですけどね。だからまさにね、アメリカらしい感じですよね。
(赤江珠緒)ああ、本当ですよね。
(町山智浩)でね、ただね、最初はぜんぜん上手くいかないんですよ。こんなバラバラだから。協調性ないし。主人公が。で、これでね、このピッチ・パーフェクトという映画で後半で、非常に重要な、キーになってくる映画があるんですけど。それ、たぶんね、いまの人はわからないと思うんですよ。いまの若い人たちは。っていうのは、1985年の映画で『ブレックファスト・クラブ』っていう映画があって。それがすごくこの映画で重要なキーになっているんで。ちょっとその話をするんですけども。
『ブレックファスト・クラブ』が重要なキー
(赤江珠緒)はい。
(町山智浩)これね、ブレックファスト・クラブっていう映画は、アメリカ映画で初めてスクールカーストっていうものの存在を暴いた映画なんですよ。
(赤江珠緒)へー。
(町山智浩)それまではね、そういうものは映画に出てくることはほとんどなかったんですね。もう30年前の映画ですけど。
(赤江珠緒)いまではね、スクールカーストって言われますけども。
(町山智浩)これ、見てます?
(赤江・山里)いや、見てないです。
(町山智浩)あ、そうですか。これね、アメリカの高校が舞台で。学校が終わったのに、ポカやった生徒たちが集められて、先生に『朝まで一緒に図書館にいなさい』と。で、『作文を書きなさい』っていう課題を与えられて、居残りをさせられるんですね。ところが、全員がバラバラなんですよ。
(山里亮太)ふんふん。
(町山智浩)1人はその学校のヒエラルキー、カーストの頂点にいるモテモテの金持ちの美人の女の子なんですね。で、もう1人はやはり男の方の頂点にいるレスリング部のキャプテンなんですよ。で、もう1人はいじめられっ子の男の子。と、すごく暗くて友達のいない女の子。と、不良でみんなから怖がられたり嫌われたりしている男の子っていうその5人が、はじめて一ヶ所に集められるんですけども。
(赤江珠緒)うん。
(町山智浩)アメリカの高校っていうのはクラスがないんで、そういった、スポーツマンはスポーツマンとか、オタクはオタクっていう風な、カテゴリーでグループになっちゃうんですよ。で、互いに一切話をしないんですよ。
(赤江珠緒)ええ、ええ。
(町山智浩)ご飯食べたりも、そのグループでやるんですよ。それではじめて、居残りで話し合うことによってそれぞれの辛さとかを知っていくっていう話なんですね。このブレックファスト・クラブっていうのは。
(赤江珠緒)へー。
(町山智浩)で、これがすごくアメリカに衝撃を与えて。アメリカっていうのは平等の国だとか思われていたけど、ぜんぜん違うじゃないかと。学校の中にも階級があるのかよということで、そのタブーの部分を暴いた映画だったんですよ。
(赤江珠緒)ふーん!
(町山智浩)で、彼らみんな打ち解けていって。最初はスポーツのやつがえばっていると思っていたら、スポーツマンも実はすごいプレッシャーに耐えているんだと。親とか学校とかからの。それとか、スポーツマンはぜんぜんオタクの子のことを知らなかったんだけど、オタクの子はこういうことを考えていて、辛い思いがあるんだってことを、互いに知っていって、友達になっていくんですよ。朝までに。
(山里亮太)ほうほう。
(町山智浩)ただ最後に、『でも僕たちは明日の朝、学校で会ったら、廊下ですれ違っても互いを無視するのかな?』っていう話をするんですね。で、『それはやめようよ』と。『もう僕がすれ違ったら、声をかけてくれないか?』っていうようなことで、それが主題歌の『Don’t You』っていう歌になるんですね。最後。それは、『道ですれ違っても、声をかけてくれる?僕のことを忘れないでね』っていう歌なんですよ。
(赤江珠緒)ふーん。
(町山智浩)で、この映画を主人公が見て、それからチームワークを立てなおしていくっていうのがすごくピッチ・パーフェクトでいい感じのところなんですね。
(赤江珠緒)あ、中に出てくるんですか?これを見てっていうシーンが。
(町山智浩)中に出てくるんですよ。ただこの映画の中身はまったく説明されていないので、はっきり言うとこの映画を知らないと、なんでここで主人公は人が変わっていくのか?っていうことがわからないんですね(笑)。
(赤江珠緒)ああ、なるほど!
(山里亮太)そっか。みんなご存知で。アメリカではご存知かもしれないけど。
(赤江珠緒)ああ、そうかそうか。じゃあ日本で言うと、なんだろう?
(町山智浩)なんの説明もないんですよ。ブレックファスト・クラブっていう映画について。
(赤江珠緒)金八先生を見て・・・みたいな。
(山里亮太)金八先生かな?(笑)。
(町山智浩)そうそう、そんな感じ。そんな感じ。
(赤江珠緒)なんかそういう感じでね、そのシーンを見る、『よし、明日からがんばろう!』みたいな。
(山里亮太)みんな知ってるからね。金八先生がどんな話か。
(町山智浩)そうそうそう。そんな感じなんですよ。だからそれをちょっと知っておくと、このピッチ・パーフェクトも楽しめると思うんですけど。はい。でね、これ、最後にそのブレックファスト・クラブの重要な歌である『Don’t You』っていうのと、最近のヒット曲のジェシー・Jの『Price Tag』をマッシュアップして混ぜたのがね、かかるんですけどもね。まあ、それを聞いてもらえますか?はい。
(町山智浩)このね、最後にね、それまでダメダメだった子たちが、それぞれの得意技を披露して戦うっていう、まあ思った通りの、誰でも予想がつくパターンなんですけども。
(赤江珠緒)いい!いい!もうこの歌声だけでも、なんかいい!うん。
(山里亮太)そのパターンもいいのよ。王道パターン。
(町山智浩)もう王道なんですけども。もう、わかっているんだけども、泣けるというね。まあよくできた映画でしたね。はい。
(赤江珠緒)ちょっと元気づけられそうな。
(町山智浩)ところが2の方がとんでもなくて。あの・・・(笑)。2はオバマ大統領出てきますよ。
(赤江・山里)ええーっ!?
(町山智浩)オバマ大統領が出てきて、とんでもないことになります。
(山里亮太)そっくりさんとかですか?
(町山智浩)ええと、本物です。本物のオバマ大統領が冒頭に出てきて、いちばん最初に出てきて。家族で出てくる前で、彼女たちが大統領に招かれてパフォーマンスするんですけども。あの、大変な事態になりますね。
(赤江・山里)ええーっ!?
(赤江珠緒)たしか、1でちゃんとまとまって終わってますからね。そっから2って、どうするんだろう?
(山里亮太)漫画だったらだいたい、より強い敵に出会って・・・
(町山智浩)あのね、はっきり言うと、ゲロ以上の大問題が発生するんですよ。
(赤江珠緒)(笑)
(山里亮太)ええっ?オバマさんが出てて?大問題?ゲロ以上?えっ?
(赤江珠緒)そうですか。
(町山智浩)はい。まあ、想像を絶することが起こって、ピッチ・パーフェクト2はもう、観客もだえ苦しんでましたね。そのシーンで。はい。
(山里亮太)ええーっ!?なんだろう?まず1も見ないと。
(赤江珠緒)まず1は、日本では5月29日。
(町山智浩)まずは1からで。たぶん2も年内に公開されると思いますね。
(赤江珠緒)ああ、そうですか。はい。
(町山智浩)でもね、これ日本でできないなと思ったのはやっぱり下品の限界がないですね。アメリカ映画って。
(赤江珠緒)そんなに下品なの?
(町山智浩)まあ、女の人がシナリオを書いているんで。女の人は男よりもやるなと思いました。
(赤江珠緒)へー(笑)。
(山里亮太)ああー、すごい。そのままで来るのかな?下品さをそのまま残して、やってくれるんですかね?日本でも。
(町山智浩)だからもう2は楽しみにということで。
(赤江珠緒)はい。ピッチ・パーフェクト、ご紹介いただきました。町山さん、ありがとうございました。
(町山智浩)はい。どもでした。
<書き起こしおわり>