(安住紳一郎)もう本当に要するに、『全員が気持ち入れて一丸とならないと勝てないよ!』みたいなことになっているわけですよね。ええ。そしてもうトランペット、トロンボーン、管楽ですよね。管楽のその、ベルっていうんですか?音が出る部分ね。ラッパになっている部分ね。これをその、攻撃中はバッターボックスのバッターに向けるんだよね。で、徹底しているのよ。もう、その進軍ラッパよろしく、そのバッターがインスパイア、鼓舞されるが如く、その方向むけてもう、一点に向けて198人がブォーッ!って音を出すわけよ。
(中澤有美子)(笑)。もう、念を送りまくるんだ。
(安住紳一郎)念を送るわけよね。で、ここまではいいんだよ。ところがこの後ね、相手チームがピンチになってタイムかけて。内野手がピッチャーの元に集まるでしょ?で、いろいろ相談事をするわけだ。その時は石津谷先生は、『よし!マウンドに向けろ!』っつって、今度はラッパをマウンドに向けて。で、相手のチームがピンチに陥って、いろいろ相談事が上手く捗らないように、大音量で邪魔をするんだよ。
(中澤有美子)えええーっ!?(笑)。
(安住紳一郎)でさ、正々堂々の高校野球の精神に反してるよね?ええ。
(中澤有美子)それはちょっと・・・(笑)。いかがでしょう(笑)。
(安住紳一郎)マウンド上での相手の相談が上手く進まないように、ベルですね。そのラッパをマウンド上に向けるんだ。
(中澤有美子)(笑)。ちょっと悪音を出すわけですか?
(安住紳一郎)まあちょっとなんか、サッカーの、相手チームのフリーキックみたいに、ブーイングをするみたいなことなんだけれども。高校野球でブーイングなんかやった日にはね、もう各メディアで叩かれまくりますけども。ところがこれ、習志野高校は行ききってるんだ。
(中澤有美子)ほうほう。
(安住紳一郎)こういう風に顧問の先生はちゃんと公に語っちゃうんだもん。ええ。うん。
(中澤有美子)やってますって?
(安住紳一郎)もう、やってますよ!って。『気の弱いピッチャーだったら、ウチのラッパの音にビビるんでしすよね!』って言うんだもん。
(中澤有美子)(爆笑)
(安住紳一郎)行ききってるんだよ!本当はね、言っちゃダメなことだし、やっちゃダメだけども、行ききってるんだよ。
(中澤有美子)(笑)
(安住紳一郎)すごいよね。200人、束になってね。すごいよねー。で、今日も第一試合、出てましたけども。やっぱり普通の高校の5倍増くらいの音で。もう本当、劇団四季みたいでしたよ。なんか。ええ。ランナー2塁に行ったら、ちょっと荘厳になったりするんだよね。『パーッ、パパパパパパーパーパー、パパパパパパパァー♪』みたいな。えっ?なにが始まるの!?みたいな。
(中澤有美子)どういうことなんだろう?(笑)。
(安住紳一郎)すごいですよ。で、ホームに生還したら、普通は『パパパパパーパー、パパパパパーパ、パパパパパーパパ、パパーパパー♪』っていうのがオーソドックスなね、ファンファーレですけども。
(中澤有美子)うん。
(安住紳一郎)そこまで行くまで、長いんだもん。なんか。序章みたいなのがあって、ようやくそこにたどり着くみたいな。『パァー、パパパパパパー、パパパパパパ、パパパパパ・・・パパパパパーパー、パパパパパーパ!』みたいな。ええっ!?ペール・ギュント!?みたいな。
(中澤有美子)(爆笑)
(安住紳一郎)序章があったよね、いま!?みたいな。もうやっぱり全国一のね、吹奏楽部ですから。いろいろそういうちょっとね、普通にファンファーレ吹くにもいろいろあるんだよね、工夫が。
(中澤有美子)へー!
ファンファーレにも工夫がある
(安住紳一郎)すごかった。うん。でね、まあ習志野高校が言っていることなので、私もそれに則って言いますけども。ちょっとね、相手の静岡高校って県立の高校なんですけども。ちょっとね、さすがに吹奏楽部の応援にね、ひるんだところがね、1ヶ所ありましたね。うん。7回かな?習志野高校が、ちょっとこういう気風だってこともありまして。ホームスチールをするんだよね。
(中澤有美子)ほう。
(安住紳一郎)あんまりホームスチールってね、漫画とかアニメの世界。あるいは新庄選手ぐらいでした見ないですけども。真剣勝負で、たぶん1点差ぐらいの時に、ホームスチールをするんですよね。野球をご存知でない方は、あまりご存知ないと思いますけども。いわゆるその、本塁に向けて盗塁をするわけですよ。ところが、ピッチャーがキャッチャーに投げてますから、もうタッチの瞬間はすぐに訪れるわけですから。ほとんどその、成功しないような、非常にギャンブルなプレーなんですけども。
(中澤有美子)へー。
(安住紳一郎)結局それ、成功させるんですけど。そのホームスチールが成功する理由は、まあピッチャーが3塁ランナーを意識してなかったということがあって、3塁ランナーがフリーでスタートを切ることができるんですけども。キャッチャーがね、たぶん、キャッチャーにとってみますと、左から3塁ランナーやって来ますんで、右バッターボックスにバッターがいますと、3塁ランナーが死角に入っているので、ランナーが走っていることに気づかないことがあるんですね。
(中澤有美子)ああ、はい。
(安住紳一郎)で、ピッチャーからの送球をアウトコースで捕球しますと、ランナーが走ってくることに気づくまで、右バッターボックスのバッターの陰からランナーがヒュッて出てくるまで、ちょっと時間がかかるんですよね。でも、大抵の場合は内野手から『走ったぞ!3塁ランナー、走ったぞ、キャッチャー!』っていう声がね、ぜったいに届くはずなんですよ。
(中澤有美子)はあはあはあ。
(安住紳一郎)でも、それもしかすると、習志野高校のブラスバンドの、198人の大音量が、かき消したおそれがあるね!
(中澤有美子)うわー!
(安住紳一郎)静岡高校のキャッチャーは、捕球してからランナーに気づくまで、相当時間があったからね。
(中澤有美子)へー!
(安住紳一郎)それで、バッター越しにランナーが見えて、『マズい!』と思ってタッチに行くんだけども、ヘッドスライディングの右手が早かったという。これはね、習志野高校ブラスバンドのお手柄じゃないかな?と思いますね。
(中澤有美子)おー!ねえ、すごい。
(安住紳一郎)まあ、静岡高校側からしてみると、『ふざけんなよ!野球の試合やってんのに、ブラスバンドが邪魔していいの!?』っていう気持ちになりますけどね。うん。
(中澤有美子)本当ですねー。
(安住紳一郎)うん。先に習志野高校の事情を知ってしまったので、私は習志野高校びいきでした(笑)。
(中澤有美子)そうですね。びっくりしますよね。
(安住紳一郎)うん。まあね、いろいろ、もしかすると、習志野高校のブラスバンド、音が大きすぎ!って言われるかもしれませんけどもね。これだけ、コンプライアンスが叫ばれている中、みんながいろいろな人に気を使う中、ちょっと突き抜けて。どうなの?って言うぐらいの応援をしている習志野高校。千葉代表ですしね、私は、応援します!
(中澤有美子)(笑)。はい、次の試合、楽しみです。
(安住紳一郎)楽しみですね。
<書き起こしおわり>