町山智浩 映画『イミテーション・ゲーム』を語る

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • 0

町山智浩さんがTBSラジオ『たまむすび』の中でベネディクト・カンバーバッチ主演の映画『イミテーション・ゲーム』を紹介していました。

イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密(字幕版)

(町山智浩)で、アカデミー賞が近づいているっていうか、その前哨戦となるゴールデングローブっていう、アメリカに住んでいる外国人の映画レポーターとか記者の人が投票して決める賞のノミネートが発表になったんですよ。

(赤江珠緒)ええ。

(町山智浩)で、ここでも紹介してきた、たとえば『セオリー・オブ・エブリシング』っていう、これなんか日本語タイトルが決まったみたいですけども。ホーキング博士の恋愛実録ものですね。あれとかが入ってるんですけども。で、今回紹介する映画も、また天才科学者の話なんですね。タイトルが『イミテーション・ゲーム(The Imitation Game)』といいます。

(赤江珠緒)イミテーション。はい。

(町山智浩)だから『真似っ子ごっこ』みたいなタイトルですけど。これはね、アラン・チューリングという科学者についての話なんですね。で、演じるのはベネディクト・カンバーバッチっていう、いま日本でもすごい人気だと思うんですけど。『シャーロック』っていうテレビシリーズのシャーロック・ホームズを演じているベネディクト・カンバーバッチが、また天才役なんですよ。

(赤江珠緒)あー。

(町山智浩)今回のアラン・チューリングっていう。あの人、天才役ばっかりなんですよ。

(赤江珠緒)賢そうななんですかね?やっぱりね。

(山里亮太)天才役、上手いんだ。

(町山智浩)よくわからない。その前にホーキング博士の役もやってるんですよ。テレビでね。カンバーバッチは。あと、スタートレックの最新作でも、超人類の役とかをやってますよ。

(赤江珠緒)あー!

(町山智浩)そうそう、彼。覚えてます?

(赤江珠緒)はい。覚えてます。覚えてます。

(町山智浩)宇宙に流刑にされていた、島流しになっていた男で。昔、地球を支配していた超天才の超人類っていう役でしたよね。なんだかわかんないけどね、超人の役ばっかりやってるんですけど。

(赤江珠緒)なんか脳がいっぱい入っているような感じも(笑)。

(山里亮太)えっ?脳がいっぱい入っている感?

スポンサーリンク

コンピューターの父の1人 アラン・チューリング

(町山智浩)わかんないですけど(笑)。でね、このアラン・チューリングっていう人は、コンピューターの父の1人なんですね。

(赤江・山里)ほう。

(町山智浩)今回のイミテーション・ゲームの主役のアラン・チューリングっていう人は。コンピューターっていうものがまだ発明される前に、コンピューターっていうのはこういうものじゃないか?ってことを何人かの人が考えてたんですね。要するに人工知能ってものはこういう理論で作れるんじゃないか?と。その理論を考えたうちの1人なんですよ。アラン・チューリングっていう人は。

(赤江珠緒)ええ。

(町山智浩)で、この人はいろんなことを考えていてですね。タイトルのイミテーション・ゲームっていう映画のタイトルはもともとチューリング・テストというですね、人工知能テストがあるんですよ。これ、難しいんですけど。

(山里亮太)はい。

(町山智浩)要するにコンピューターと人工知能は違うんですよ。わかります?

(山里亮太)えっ、ちょっと・・・

(町山智浩)コンピューターってただのコンピューターじゃないですか。ファミコンもコンピューターじゃないですか。でも、人工知能っていうのは人間と同じように考えるんですよ。

(山里亮太)はいはいはい。

(町山智浩)ファミコンって考えないでしょ?自分では。

(赤江珠緒)そうですね。コンピューターは打ち込んで、みたいな。

(町山智浩)そうそうそう。だから人工知能っていうのができれば、ロボット。要するに人間みたいなものができるわけですけども。それが人工知能かどうかっていうのを判定するテストっていうのはこういうものじゃないか?ってことをアラン・チューリングっていう人は考えたんですね。まだコンピューターが発明される前ですよ。この人がそれを言ったのって。

(赤江珠緒)へー。ええ。

(町山智浩)コンピューターってものはまだこの世に実在しないのに、人工知能について考えた人なんですよ。

(赤江珠緒)そっかー。

(町山智浩)で、それはたとえば1つの部屋の中に1人いて、その人が2人の、AとBの人に質問するわけですよ。たとえば、『最近商売はどうですか?』とか聞くわけですよ。するとAの人が『まあボチボチでんな』とか言うわけですよ。で、Bの人は『最近景気悪くてね』って言うとするじゃないですか。そのうち、AとBのどっちかが人工知能だとするんですよ。で、その答えを聞いて、人工知能かどうかを当てさせるんですよ。部屋に隔離されている人に。答えだけを聞いて。で、それをいっぱい、何人もの人にテストさせて、ほとんどの人がそれが人工知能なのか本物の人間なのか、判定できなかったらこれは人工知能と言えると。人間にほとんど近い考え方をしてると。

(赤江・山里)ほー!

(町山智浩)というテストというのをやったらどうか?ってことを考えたのが、このアラン・チューリングっていう人で。それをチューリング・テストって言ってですね。イミテーション・ゲームっていうのも、もともと人間のイミテーションをするわけですから。このタイトルはそこからきてるんですね。

(山里亮太)なるほど。

(町山智浩)で、これね、最近ね、2014年にですね、アラン・チューリングの死去60年を記念して、テスト実際に行われたらしいんですよ。イギリスの方で。で、あるコンピューターが13才の少年と見分けがつかないっていうテストに合格したそうですけどね。

(赤江珠緒)へー。13才。結構ですよ。

(町山智浩)13才だからあの、多分バカだと思いますけど。はい。

(赤江珠緒)思春期ど真ん中ですけど。

(町山智浩)まあ、大したことないと思いますけど。まだ夢精し始めとかなレベルですけど。

(赤江珠緒)(笑)

(山里亮太)すいません、人工知能の話・・・

(町山智浩)でも、一応そこまで行ったということみたいですね。はい。人工知能は。

(山里亮太)性のモノサシで行くとね。

(赤江珠緒)(笑)

(町山智浩)13才ですから。所詮はね。

(赤江珠緒)なにを勝ち誇ったようなことを言ってるんですか。町山さん(笑)。

(町山智浩)いやいや、このアラン・チューリングっていう人は、でも人工知能ってどうやって作るかっていうと、結局人間と同じで赤ん坊の頃から育てていかないと大人の人工知能にはならないんですよ。

(山里亮太)へー。育てるってどうやってやるんですか?

(町山智浩)いきなり大人にはならないです。いろいろ教えていって、育てて初めて大人の人工知能になるんですよ。まあ、それはいいんですけど。

(赤江珠緒)でもコンピューターがね、あるいまだからこそ、ある程度イメージできますけど。ない時代に無からそういうことを考えているっていうのがすごいですね。

(町山智浩)全くない時から、『でもこうやったら作れるんじゃないか?』って言ったのがアラン・チューリングっていう人で。しかもこの人は、第二次世界大戦でナチス・ドイツと日本とイタリアが枢軸国っていう形で世界と戦争をしましたけども。その第二次大戦を決定的に勝利させたうちの1人でもあるんですよ。アラン・チューリングっていう人は。

(赤江珠緒)あっ、その頃のお話。

(町山智浩)その頃の話なんですよ。で、この人は2012年に生誕100年って言われてましたから。まあそのぐらいの年齢の人なんですけども。この映画はですね、1951年に始まるんですね。戦争が終わってから何年かした時に始まって。マンチェスターっていう町でこのアラン・チューリングが警察にある疑惑でもって捜査をされるんですね。

(赤江・山里)はい。

(町山智浩)で、数学の先生なんだけれども、ある容疑をかけられるんですよ。で、刑事がそれを調べていると、このアラン・チューリングに関しての資料を取り寄せようとすると、『最高機密』って書いてあるんですよ。それで絶対に接触できないんですよ。内部に。で、『なんでこんな田舎に住んでいる数学の先生が国家の最高機密なんだ!?』って刑事がびっくりするっていうところから始まるんですよ。映画が。

(赤江珠緒)うんうんうん。

(町山智浩)それで、その最高機密の中身が明らかになって来るんですけども。1941年に時代は戻りまして。イギリスはその頃、ナチスによって包囲されていたんですね。空からは猛爆撃を食らって、海ではUボートと言われるドイツ軍の潜水艦によってイギリスに近づく船が次々と沈められていたんですよ。

(赤江珠緒)うんうん。

(町山智浩)で、燃料から食べ物から、資材から。もう何から何まで貨物船とかが次々とドイツ軍の潜水艦に沈められるんで、もう兵糧攻めになっていたんですね。イギリスが。

(赤江珠緒)物資も届かない。

(町山智浩)なにも届かないと。で、もうみんな飢えているという状態で。なんとかしてUボートとか爆撃の指令があるはずだ、ドイツからの無線の指令が。それを先に読み解けば、それに対応できるだろうってことでもって、彼らは暗号を使っている。その暗号がエニグマという暗号装置なんですね。ナチス・ドイツが使っていたのは。それを盗み出すことに成功するんですよ。暗号装置を。

(山里亮太)ふん。

(町山智浩)で、盗み出してみたら、盗んだところで絶対に暗号が解読できないものだったんですよ。暗号解読装置があっても。

(赤江・山里)へー!

(町山智浩)すっごい難しくて複雑な装置になっていて。歯車が4つかなんかついていて。さらにプラグが何本かついていて。その組み合わせでもって、たとえば『E』っていう文字を打つと、1回『E』って押すとまず『X』っていう風に変換されるんですね。暗号にね。ところが2回目に『E』って押すと、今度は『S』っていう文字に変換されて。毎回変換されるものが違うんですよ。

(赤江・山里)あー!

(町山智浩)その歯車が動いちゃうから、変換される文字が違っていくんで、変換がものすごく難しいんですね。で、その暗号の組み合わせは15京を超えると言われてるんですよ。

(赤江珠緒)京ってあの、兆の・・・

(町山智浩)兆の上なんですよ。億、兆、京、垓とかあるじゃないですか。15京を超えると言われる、その暗号を解かなきゃならないと。

(赤江珠緒)それは解読不可能でしょう。

(町山智浩)そうなんです。それで、Ultra(ウルトラ)という組織が作られるんですよ。これはこの暗号を解読する天才的な数学者をイギリス中から集めるんですね。で、まずその暗号をキャッチすると、それを全員に暗号を解かせるんですよ。とにかくもう総当りでもって片っ端からぶつけてって暗号を解くしかないんですね。その状態では。

(赤江珠緒)うん。

(町山智浩)で、10人ぐらいの人たちがバーッと紙と鉛筆で暗号を解いていくんですけども、間に合わないんですよ。で、間に合わなくて攻撃されちゃうんですよ。指令通りに。で、翌日になると暗号がまた変わってるんですよ。暗号のキーが。鍵が。だからまた、一からやり直しなんですよ。だからぜんぜん役に立たない状態で。そこにアラン・チューリングが呼ばれるわけですよ。

(山里亮太)ほう。

(町山智浩)そしたら彼は『こんなことをやっていてもダメなんだ。朝から晩まで暗号を解いてたって、人間がやっているならいつまでやっても解けるわけがない』と。そこで考えたのが、コンピューターなんですよ。

(赤江珠緒)ええっ?

(町山智浩)まず人間ができないものを機械にやらせればいいんだと。で、彼は暗号を解かないでコンピューターを作り始めるんですよ。コンピューターっていう言葉もまだないから、その頃は暗号解読機なんですけど。機械を。そうすると、他の人たちは一生懸命を暗号を解いてるし、軍としてはなんかわけがわからない機械を作っているから、『お前、ふざけんじゃねー!』みたいな話になってくるんですよ。

(赤江珠緒)うん、うん。

(町山智浩)しかもこのアラン・チューリングっていう人は変人なんですね。15才かなんかでアインシュタインの相対性理論を完全に理解した人なんで。

(赤江珠緒)すごいですね。へー。

(町山智浩)超天才なんで、他の人と話が通じないんですよ。だから彼が一生懸命機械を作っていても、それが一体どうでこうでって上手くきちっと説得することができないから、どんどん孤立してくんですね。内部で。

(赤江・山里)うん。

(町山智浩)で、あともうひとつあって。この暗号解読の技術ができる人っていうのを新聞で公募したんですよ。で、テストを全員に受けさせて、暗号を解ける能力のある人を集めたんですけども。それでトップの成績だった人は女の人だったんですね。これ、ジョン・クラークっていう人で。映画ではキーラ・ナイトレイちゃんが演じてますけども。ところが、その頃イギリスっていうのはものすごい男尊女卑だったんですよ。

(山里亮太)はあ。

(町山智浩)もう女性差別的なところがあって。そう言えば、『マッサン』っていうテレビドラマで、『日本は女性差別でイギリス、スコットランドは違う』みたいなバカなことを言ってますけど。イギリスとかすごいですよ、女性差別。もともと。

(赤江珠緒)そうですか。

(町山智浩)そうですよ。あれ、どういう勘違いをしてるんだ?って思いますけど。だってこの映画の中でも、女性で暗号を解く能力が高いのに、『女なんか働かせられない』っつって拒否しちゃうんだもん。軍隊は。爆撃されてるのにですよ。国家存亡の危機なのに、バカなことを言ってるんですよ。

(赤江・山里)へー。

(町山智浩)あと、『男と女が同じ場所で働くなんて許せない!』とかやってるんですよ。

(赤江珠緒)ぜんぜん違うじゃないですか。ねえ。

(町山智浩)ぜんぜん。そんなもんですよ。イギリスとかって。『ちゃんと調べろ、マッサン!』とか思いますが(笑)。

(赤江珠緒)(笑)

(山里亮太)見てるんですね、ちゃんと(笑)。

(町山智浩)それでね、ところがそこでアラン・チューリングは『彼女は天才なんだから、彼女は絶対必要なんだ!』と言って徹底的に説得するんですよ。周りを。で、しかもそのご両親は『こんな男なんかと未婚の娘は働かせられない。婚期が遅れちゃう』みたいなことを言うんですね。したら、そのアラン・チューリングが『じゃあ私が結婚しましょう』って言うんですよ。

(赤江珠緒)ええっ!?

(山里亮太)わっ、なんかかっこいい。ロマンチックな話。

(町山智浩)ロマンチックでしょ?で、婚約するんですよ。で、指輪がないからこの紐を輪っかにして、『これ、婚約指輪だよ』って。

(山里亮太)あら、素敵な。あ、そういう話。

(町山智浩)で、彼女の方は『女だから、女だから』って言われてたんだけど、彼だけは能力だけで認めてくれるわけですよ。アラン・チューリングだけは。で、2人で仲良く暗号解読を進めるんですけども。ただね、暗号解読がかなり進んでもね、毎回、キーワードみたいなものがないと突破できないんですよ。暗号って。で、暗号ってどうやって解くか?っていうと、要するに確実にこの言葉だけは使われているっていうものがわかれば、そこから解けるんですよ。

(赤江珠緒)ふーん。

(町山智浩)たとえば英語だと、いちばん使われる言葉ってなんだと思います?

(赤江珠緒)英語だと?

(山里亮太)『THIS』とか?

(町山智浩)必ず文章に出てくる言葉。

(赤江珠緒)あ、『THE』。

(町山智浩)『THE』なんですよ。T-H-Eなんですよ。だからそれは暗号の中に使うと、すぐにバレちゃうんですよ。暗号が。

(赤江珠緒)あー!

(町山智浩)いちばん多く出てくるのは3つの、T-H-Eだから。そっから解けるんですよ。だから暗号を作る時は、THEを使わないようにするんですよ。プロは。そっからバレるから。

(赤江珠緒)ちょっといま、天才の片鱗が出たわ。私。

(山里亮太)出てない、出てない。

(赤江珠緒)(笑)

(町山智浩)それでそのナチの暗号の中に必ずあった言葉っていうのは何か?っていうのは、まあこれは映画をご覧になればっていう。お楽しみなんですけどね。

(赤江珠緒)へー。なんだろう?

(町山智浩)で、そうやっていろんなことが明らかになっていくんですが。で、暗号が解けた。じゃあ、ある貨物船が攻撃されると。Uボートにね。じゃあ、どうする?助けるか?『攻撃されるから避けろ』って言うかっていうと、言わない。対策しないってことになるんですよ。イギリス軍は。

(赤江・山里)えっ?えっ?

(赤江珠緒)せっかく解けたのに?

(町山智浩)そう。それはどうしてか?っていうのは考えてみるとわかるんですけど。

(赤江珠緒)あー!

(町山智浩)暗号を解けても、それに対して対策はしないんですよ。そこでもう、100人、1000人死んでも、何万人が助かる道を選ぶっていう、非常に厳しい選択をしてるんですね。

(赤江珠緒)なるほどねー!うん。

(町山智浩)これはどうして暗号が解けていることを・・・はっきり言っちゃえばわかると思うんですけど。暗号をこっちが解いたってことが相手に伝わっちゃうからですよ。バレちゃうから。

(赤江珠緒)そういうことですよね。うん。

(町山智浩)だから、ここに爆撃されるってわかっていても、そこの人たちを避難させたりしないんですよ。爆撃されるままにするんですよ。

(赤江珠緒)非情な作戦ですけど・・・

(町山智浩)もう、それしかないんですよ。100人、200人死ぬかもしれないけど、これで何万人助かるんだからと。戦争に勝てば。死んでもらおうという世界なんですよ。

(赤江珠緒)そうかー。

(町山智浩)だから完全極秘だったんですよ。この計画に関しては。暗号をイギリス軍が解いていたってことは50年間、極秘だったんですよ。

(山里亮太)ああ、そんなに長いこと。はー。

(町山智浩)そうなんですよ。だから最近わかったんですよ。

(赤江・山里)へー!

(町山智浩)という話がどんどん暴かれていくんですけども。その中で、女の暗号解読者のジョン・クラークとアラン・チューリングが『じゃあ結婚しよう』ってことになっていくんですけども。結婚できないんですよ。

(赤江珠緒)えっ?

(町山智浩)それは、アラン・チューリングがひとつの秘密を抱えているからで。で、それが1951年に彼が逮捕されたことともつながってくるんですけども。

(赤江・山里)ほー!

(町山智浩)で、彼は自分が作った暗号解読機に『クリストファー』っていう名前をつけるんですね。なぜ、そのクリストファーっていう名前をつけたか?とか。それがどんどん明らかになっていくんですよ。

(赤江珠緒)あっ、クリストファーと言えばだな・・・

(山里亮太)赤江さん、なに?そのちょっと、自分の・・・

(赤江珠緒)クリストファーと言えば、ちょっと。私、いまちょっと思いついたけど。でも、違うかもしれない。

(町山智浩)えっ、なんですか?まあまあ、映画を見るとわかりますけどね。はい。

(赤江珠緒)ちょっと物語で出てくる話があるんですよ。クリストファーっていうのが。

(町山智浩)あ、そうなんですか。

(赤江珠緒)あれ?そうじゃないかな?わかんない、わかんない。

(町山智浩)まあまあ、ご覧に。ネタバレなんで言いませんけども。はい。というね、話なんですけども。これはね、結構厳しい話なんですよ。っていうのは、アラン・チューリングっていう人は1952年に自殺してるんですよ。あ、54年に。

(赤江珠緒)えっ?

(山里亮太)天才が、もったいない・・・

(町山智浩)自殺してるんですよ。この人が生きてたら、大変なことだったろうと思うんですよね。もう世の中、変わってたでしょうね。

(赤江珠緒)しかもイギリスからしたら、功労者ではないですかね。最大の。

(町山智浩)そうなんですよ。だから2009年に名誉回復ってことが行われたんですけどもね。だからこういう映画が作られるようになったんですね。

(赤江珠緒)えーっ。だっていまで言ったら、もうノーベル賞ものみたいな、感じでしょうね。

(町山智浩)そうですよ。ところがイギリスでは、彼が逮捕されて自殺した時には、彼がイギリスをナチから救ったっていう事実が完全に極秘になっていたから、誰も知らなかったんですよ。彼が偉大だってことを。

(山里亮太)うーわー!

(町山智浩)っていう話なんですよ。

(山里亮太)見たいな、これ。

(赤江珠緒)いや、実在でね。すごく数奇な運命をたどられた方なんですね。

(山里亮太)だって生きていたら、たぶんものすごい発明をさらにしてたかもしれない。もっといろんな技術が早かったかもしれないね。

(町山智浩)そう。まあ実際いまのコンピューターっていうのはこの人がいなければなかったであろうとも言われていますからね。

(赤江珠緒)へー!戦時中のそういうことがきっかけで、発明っていうことにもなったんですね。

(町山智浩)はい。すごく、まあ調べればわかりますけども。このアラン・チューリングっていう人はどういう人で、どういうことで自殺したか?とかね。でもまあ、映画を見る時には、知らない方が面白いと思うんですけども。ちなみにその、彼の名誉回復の署名をした人には、ホーキング博士が入っていますね。

(赤江・山里)へー!

(町山智浩)はい。ホーキング博士も人工知能の研究をやっている人ですからね。最近、なんか『人工知能を作らない方がいい』っていう風に言ったんですよ。彼は。ホーキング博士は。

(山里亮太)そうなんですか。なんで、またそれは?

(町山智浩)いや、『人間が抜かれちゃうから』って言ってるんですよ。『人間が負けちゃうから、後で後悔するぞ』みたいなことを言ってますね。

(赤江珠緒)うわー。

(山里亮太)それこそSFの世界がね、実際になってくるんだ。

(町山智浩)そうそう(笑)。そういうところも面白いんですけど。今回はアカデミー賞でね、このホーキング博士の映画と、このイミテーション・ゲームがね、激突することになっているんで面白いですね。主演男優賞で。天才学者同士の対決みたいな感じになってますけどね。

(赤江珠緒)しかも同じ年にね、そういう映画ができるっていうのもね。

(山里亮太)見たいなー!

(町山智浩)はい。で、ホーキング博士の方は実は結構ああ見えて結構エッチみたいな話でしたけども。まあこのイミテーション・ゲームも、そういう話が出てくるんですけど。イミテーション・ゲームっていうタイトルは、いわゆる人工知能が人間のふりをするっていう話なんですけども。博士自身が『人の心があまりわからない人』っていう風に描かれてるんですね。でも本当は、わかるんだみたいなところで、人間のふりをしているロボットみたいに周りに思われているんですよ。

(赤江珠緒)ふん。

(町山智浩)で、そうじゃないんだ、みたいなところがこのタイトルにも反映されてるし。もうひとつ、彼はある秘密を隠すために、一種のイミテーション・ゲームをしているんだということも描かれています。はい。

(赤江珠緒)へー。じゃあ、イミテーションにいろんな意味合いがあるんですね。

(町山智浩)そうなんですよ。だからいろんなことをね、含ませた非常に複雑な映画なんですけども。はい。これはね、本当に知らないで行った方が面白い映画ですね。

(赤江珠緒)ああ、そうですか。いやー、これちょっと両方見たくなりますね。

(山里亮太)ねえ。2つ。天才の。

(町山智浩)切ない話なんですよ。また。

(赤江珠緒)ああ、そうなんですか。いや、でもこういう数学的な天才とかって、時々ね・・・

(山里亮太)急に出てきて。いま、日本でも話題だもんね。

(赤江珠緒)いまね、そうです。町山さん。小学校1年生の男の子が高校2年生レベルの数学検定を解いたっていうことで。初の快挙だなんて、話題になったりしてるんですね。

(山里亮太)ひょっとしたら、そういう子が。

(町山智浩)そうです。育てないとダメですよ。天才の人でも、やっぱり日本でも多いし、イギリスでも多いけど。ちゃんと育てない。周りがね。で、こういうことになっちゃうからね。本当、大事にしないとなんないと思いますよ。

(赤江珠緒)ねえ。天才故に孤独になっちゃうなんてこともね、やっぱりありがちなんですね。

(町山智浩)だって変な人なんだもん。天才って。

(赤江珠緒)そうかー。

(町山智浩)だってものすごくいじめられるんですよ。このアラン・チューリングも子どもの頃に。

(赤江珠緒)そうなんですね。ふーん。

(町山智浩)そうなんですよ。

(赤江珠緒)今日はベネディクト・カンバーバッチ主演の最新作『イミテーション・ゲーム』をご紹介いただきました。日本公開ですが、来年の3月を予定しています。

(町山智浩)まあ、アカデミー主演男優賞候補のトップでしょうね。

(赤江珠緒)そうですか。

(山里亮太)カンバーバッチ。

(赤江珠緒)わかりました。じゃあ3月までね、待ちたいと思います。町山さん、今週もありがとうございました。

(山里亮太)ありがとうございました。

(町山智浩)はい。どもでした。

<書き起こしおわり>

※後日、山里さんと町山さんが再びこの映画の話をしていた際の模様です。

(山里亮太)いやー、町山さん、『イミテーション・ゲーム』、見ました。

(町山智浩)あ、イミテーション・ゲーム。どうでした?

(山里亮太)いやー、面白かったですね、あれ。ドキドキしながら見てました。あれ。

(町山智浩)あの、僕、あんまりちゃんと話せなかったんですよ。ネタバレになると思って。だから、『えっ?こんな展開になるの?』っていう感じだったでしょ?

(山里亮太)はい。これ、気持ちいいぐらいです。『おお、ああ、そうなって・・・あっ!』って。どんでん返しっていうか、そこでこうなるか・・・って。カンバーバッチってすごいんですね。なんか、見てて。

(町山智浩)カンバーバッチね。はい。あの人はホーキング博士の役もやってるんですね。別の映画でね。

(赤江珠緒)うん。天才の役ばっかりね。

(町山智浩)そう。それで、シャーロック・ホームズでしょ?ねえ。それで、スタートレックではなんか人類史上最強の男をやっているんですよね。なんであいつばっかりなんだろう?って思いますよね(笑)。

(山里亮太)いやいや、嫉妬?まさかの(笑)。

(赤江珠緒)いいじゃないですか(笑)。

(町山智浩)なんで!?と思いますよ。

(山里亮太)カンバーバッチばっか天才役やりやがって(笑)。

(町山智浩)昔、マット・デイモンがね、天才の役ばっかりやっていてね。あの人自身がハーバード出てたりするんですけど。

(赤江珠緒)あー!

(町山智浩)なぜかね、なんか数学の天才とかギャンブルの天才とか犯罪の天才とかですね。そんな天才役ばっかりやるんでね。非常にイライラしてました(笑)。なんなんだ!?と思いますけど。

(山里亮太)いや、でも納得するぐらい天才の役がもうピッタリでしたもんね。今回も、カンバーバッチが。まあ、かっこいい。本当に。

(町山智浩)ちょっとね、人間離れした感じがあるんですよね。彼はね。

(赤江珠緒)あ、そうなんですか。

(山里亮太)なんかこう、悪意なく人を傷つけちゃう天才の感じとか。

(町山智浩)そう。なんか、ちょっと地球人じゃないみたいな感じのところがあるんで。

(赤江珠緒)超人然としたところが。へー。

(山里亮太)あと、もうあれを見た後に、なんか家のパソコンで変なもの検索するの、止めようと思う。パソコンってこんなことに使っちゃいけない!って。反省させられる瞬間が来るの(笑)。

(町山智浩)(笑)

(赤江珠緒)そうですね。うん。

(山里亮太)いやー、面白かったです。

(町山智浩)ねえ。そういう、まあ偉大な先人たちがやっと発明したコンピューターなのに。実際にはね、エロビデオを見るのに使われているのが(笑)。

(赤江珠緒)(笑)

(町山智浩)そんなもんです。世の中は。偉大なメディアとか。

(山里亮太)そうなんですよね。本当、申し訳ないと思っちゃう。一瞬。でも、本当面白い映画でした。

(町山智浩)もう映画でもなんでもね、メディアはエロに使われた時に初めて普及するもんなんですよね。本とかもそうですけど。はい。

(山里亮太)ビデオとかもそうだって言いますもんね。ビデオデッキが普及した理由も。

(町山智浩)そう。まず、エロがあって初めて普及するんですよ。だから、いいんですよ。しょうがないんです。はい。何の話だっけ?はい(笑)。

<書き起こしおわり>


町山智浩 ホーキング博士映画『博士と彼女のセオリー』を語る
町山智浩さんがTBSラジオ『たまむすび』でスティーブン・ホーキング博士の夫婦生活を描いた伝記映画『セオリー・オブ・エブリシング(邦題:博士と彼女のセオリー)』を紹介していました。 ...
スポンサーリンク



シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする