吉田豪が語る ユースケ・サンタマリアと鬱

吉田豪が語る ユースケ・サンタマリアと鬱 たまむすび

(吉田豪)どういうことか?っていうと、先生が自分の目をじっと見ながらしゃべっていると、ちょっと目線をキョドらせてみたりとか。先生の期待に応えようとするんですよ。ちょっと病んだ感を出そうとしちゃうらしいんですよ(笑)。

(赤江珠緒)(笑)

(博多大吉)『こんな感じですよね』みたいな(笑)。

(吉田豪)そうそうそう(笑)。

(赤江珠緒)そうですか。先生が求めている症状を出そうと。

(吉田豪)健康すぎるとよくないんじゃないか?みたいな。気を遣いすぎなんですよね。で、病院以外にも占い師みたいな人にも見てもらったりで。弱っていた時期はやっぱり変な人もいっぱい寄ってくるっていう。『こういう知り合いがいて、あなたのことを話したらぜひ会いたいと言っている』とか言われて。で、そういう人から電話がかかってきて。『呼んでくれたらいつでも行きます。常にサポートします』と言いつつ、こっちに来ている間の宿泊費とか全部こっち持ちでしょ?っていう話で。いくらかもわかんない。金額を聞くと、『気持ちで』って言われて。ぜんぜんわかんなくて、ユースケさん曰く、『宗教に走る人の気持ちがちょっとわかったというか』っていうね。『わかります。誰でもそうなりますよって言われると信じちゃうから。だからちょっと高い授業料を払って。で、本当に悪かったのは5年ぐらいですね』って言っててね。

(赤江・大吉)へー!

(吉田豪)でも、『思うのが、サブカル的な人が壊れる理由の1つとして、本来の自分の居場所じゃないところでの仕事が増えたりして。そこの座りの悪さでおかしくなるパターンはあるんじゃないか?と思ってるんですよ。なんで俺はここにいるんだろう?みたいな気持ち』って言ったら、『まさにそうです。身の丈に合ってない』って言って。僕も多少そういうのはあるんで。『なんで俺いま、テレビに呼ばれてこんなところにいるんだろう?』っていう。『芝居したりタレント業みたいなのも楽しかったし。いまも楽しんでいるけど、どこか芸能人にはなれないなって思いがあって。一般人がなぜか芸能界にいるっていう感覚で、完全なこの世界の住人にはちょっとなれないっていうのはいまだにすごい思う』っていう。

(赤江・大吉)なるほど。

(吉田豪)大吉さん、赤江さんはその点どうですか?芸能界の人になれてます?

(博多大吉)いや、やっぱふと我にかえる時、ありますよね。収録現場とかで。『あれ?ダウンタウンの2人がこっち見てる』とか。『あれ?俺のこと、大吉先生って呼んでるぞ』とか。思うんですけど、僕、でも恵まれてるのは吉本で劇場があるんですよ。だからどんだけテレビで夢みたいな生活というか仕事をやっても、もう1週間のうちに必ず1回は劇場でお客さんの前に出されて。ウケたり滑ったりやってますから。だからまだ、しっかりできてるかな?

(吉田豪)安いギャラで酷い目にあう場が常にあるというか(笑)。

(博多大吉)そうですね。だからある程度、しっかりしてるけど。いまこうやって聞かれたら、ひょっとしたらテレビの仕事だけだったら、ワーッ!ってなっちゃうかもしれない。赤江さん、どうですか?

(赤江珠緒)私、なんかね、身の丈にあった評価をね、ラジオでも『ポンコツ』とか言われて。本当に合ってるっていうかね、そのまんまなんで。あんまり・・・

(吉田豪)ラジオできて結構救いになった部分、あるんじゃないですか?たぶんテレビでちゃんとした人みたいなイメージだとしんどいかな?と思って。

(赤江珠緒)そうですね。だからまあ関西だと、たぶんそれがテレビもそうだったんで違和感なかったですけど。東京きてやっぱりあのニュースだけの時よりはいまの方がいいかもしれないですね。

(吉田豪)ですよね。ポンコツ感出せるようになる(笑)。

(赤江珠緒)そうですね(笑)。もう知られちゃったからしょうがないな、みたいなところ、ありますもんね。

(博多大吉)でも、豪さんはどうですか?最近ね、ちょこちょこテレビなんかも。

テレビの居心地の悪さ

(吉田豪)だから気持ちはわかるような部分はあるんですよね。居心地悪さ、座りの悪さはたしかにすごい感じるんで。ユースケさんなんか特にだって打ち上げなんかも行かない主義とかで。そこに馴染めないらしいんですよね。そう。僕もだから、ユースケさんからも聞かれて。ちょくちょくテレビに出るようになって、金額以上のリスクを求められる仕事とかも結構あるわけですよ。『アイドルのえげつない話してくださいよ』なんて。あの、それを言って僕になんのメリットがあるんですか?みたいな(笑)。

(赤江珠緒)たしかに(笑)。そうですね。そうかー。

(吉田豪)つい最近もだから、打ち合わせだとすごい自由に、あんまりテレビで言ったことない話をできるような感じの番組だったんですけど。現場についたら、そのディレクターさんが、打ち合わせの人と違う人がきて、『豪さん、やっぱり沢尻エリカの話でお願いします』みたいな感じで。あの、いつもの話を求められるしんどさっていうのがあるんですよ(笑)。『もう何回言ったと思ってるんですか、それ?』っていう。『いや、そう言わずにお願いしますよー』みたいな。こういう愚痴言えないと病むなと思いますよね。

(博多大吉)なるほどね。

(赤江珠緒)大丈夫ですか?豪さんも、みなさんが予言されるように、そっちの道へ?

(吉田豪)僕はラジオなりなんなりで、そういうぼやきができるからまだ逃げ場はあるんですけどね。たぶん事情をしらない人がそれだけ見るて、『吉田豪、また同じ話してる』って叩かれるだけだと病むだろうなっていう。

(博多大吉)そうですよね。こっちにはこっちの事情がありますからね。

(吉田豪)事情があるんですよ!っていう(笑)。で、ちなみにそのユースケさんに『そういうハードな経験をした人が鬱伝を読むと、どう思うもんなんですか?』って聞いたら、『俺の方がしんどかった』っていうね。たしかにそうなんですよ。単行本バージョンに出てる人たちよりも明らかに重症で。で、重症な人がテレビでずーっと前線で活躍し続けたっていう。

(赤江珠緒)そうですよね。その5年間、お辛かった時も休んでないですもんね。

(吉田豪)そう。それがすごいんですよ。松尾スズキさんも一時期、自分は鬱だとか鬱っぽいとか言ってたんだけど、ユースケさんは『でも仕事してるじゃん』って思っていたというか。本当、仕事できないぐらい追い込まれて。ユースケさんもギリギリの仕事だけしかやってなかったらしいんですよ。

(赤江珠緒)へー。

(吉田豪)『だから自分はもっと酷い状態なんじゃないか?と思っていて』っていう。で、これはよく言われるんですけど。人は弱ってくるとアイドルに走る傾向があるんですよ。アイドルに救いを求めるように。

(赤江珠緒)そうですか。

(吉田豪)そうなんですよ。アイドルブームでアイドルにハマっている人たちって結構そういう人たちが多くて。ユースケさんも最近モーニング娘。にハマっているから、『アイドルに救われた部分ってありました?』って聞いたら、『いや、その時はもう調子よくて。調子よくないとなにかを好きになったりっていう余裕もなかった。なにかを好きになるエネルギーがある人はまだ鬱じゃないと思いますよ。鬱々の軽いバージョンで、本当に鬱だったり鬱々とした状態がすごい深刻な人は、ナイナイの岡村さんもそうだったんじゃないかな?』って言っていて。

(博多大吉)うん。

(吉田豪)ちなみに、大吉さんから見て岡村さんはどうでした?

(博多大吉)いや、もうね、元気になったから言えますけど。『もう終わりだ』と思ってました。僕。

(吉田豪)あの時は、もう復帰できないレベル。

(博多大吉)だってもう、なに言っても返ってこないっていうか。で、ご飯も食べないし。本当、引退するんだろうなって横で見てましたね。まさかね、1年もたたずに帰ってくるなんて。なんちゅうミラクルを起こすんだ!って。

(吉田豪)すっかり健康になって(笑)。

(博多大吉)すっかり!いまじゃいろいろ夜遊びでね。出歩き・・・

(吉田豪)DJやったりね。

(博多大吉)DJやって。だからね、僕、岡村隆史入れ替わった説を唱えていて。

(赤江・吉田)(笑)

(博多大吉)あんな子じゃなかった(笑)。

(吉田豪)すごいですよね。で、ユースケさんの話を聞いていて思ったのが、杉作J太郎さんが何かにハマるのは、落ちる前の防衛本能な気がしてきたんですよね。『ヤバい、何かにハマんなきゃ!いまのうちに』みたいな感じで。ユースケさん曰く、『鬱伝でインタビュー受けている人はタフガイだと思う。常人だったらもっと酷いことになってるんじゃねえか?でも、それを商売にしたりとかできて、たくましい人たちですよ』っていう。

(赤江珠緒)たしかにそうですね。

(吉田豪)そうなんですよね。みんなそれを原稿に書き、お金に変えていく人たちで。でもユースケさんの場合はCMとかの関係もあって、隠す必要があったんですよね。

(博多大吉)ああ、なるほど!

隠すことで長引く

(吉田豪)そう。『パブリックイメージとかもあって、鬱じゃないけど鬱みたいな感じで書かれちゃうとイメージ的にも変に思われちゃう。で、本当はこういう話もしたいんだけど、番組的にちょっとその話なしで・・・みたいな感じでアウトプットもできなかったと。それが長引いた原因だと思う』って。

(赤江・大吉)あー。

(吉田豪)だからそれがようやくこうやって、大々的に話すことができるようになって。だからインタビューの最後に、『今日は本当、話が聞けてよかったですよ』って伝えたら、『本当に?2ページぐらいで終わるような話じゃない?』って。まだ自信がないという(笑)。

(赤江珠緒)(笑)

(吉田豪)深刻さが違うし、しかもそれが伝わってないから、これは貴重ですよ!っていうね。本当、自分が弱っていた時期の話をここまでするのは今回が初めてで。本人としては隠したくて隠していたんだけど、こういう機会もこういうインタビューとかもなかったっていう。で、インタビューで話したとしても、事務所がそこをカットで、みたいな話で。マネージャーとかも俺のことを知ってるようで知らないから、実は今回も吉田さんからインタビューの依頼があって、『やらないですよね?』って聞かれたらしいんですよ(笑)。そんな話だしっていう。

(赤江珠緒)ああ、そんな感じで。

(吉田豪)で、『いや、それやりたいわ!サブカルスーパースター鬱伝でしょ?俺、本も読んでるし、オトナの!でも一緒になってるし。やるよ!』っていう。だから、マネージャーさんも外して、全部話して。なおかつ、原稿チェック出したら、こんなデリケートな話なのに直しゼロですよ(笑)。

(赤江珠緒)あ、そうですか!それでね、そっか。お二人でかー。

(吉田豪)びっくりしましたよ。で、『この連載、元々していたQuick Japanでしょ?俺、あの雑誌もぜんぜん接点ないし、見たらすげームカつくんですよ。結構近い人が出てたりして、なんであんたらが?俺じゃなくて?』っていう。『TVブロスとかもそうですよ。勝手に俺がムカついているだけなんだけどね。うらやましいだけで。なんで俺を出さないんだ?』っていう(笑)。

(博多大吉)出たいんだ。Quick Japanも。

(吉田豪)サブカル好きな人ほど、こう思うんですよね。なぜ俺呼ばれない問題(笑)。僕もそれでしたからね。『ブロスになぜ俺は呼ばれない?』って言って。だから本当、考え方も僕とかなり近い人で。で、取材終わったら『この後、すぐそこにシガーバーがあるんだけど、行きませんか?』って言われて、『付き合いますよ!』ってことで。それもおごりで、初めて葉巻吸いながらの・・・(笑)。葉巻吸いながら、コーヒーとかを飲んで深い話を。深い話っていうのはモーニング娘。の話とか、タレント本の話とかをどんどんぶつけあうっていう(笑)。

(赤江珠緒)深いですよね(笑)。

(吉田豪)深い話をして。『卒コン行く?道重さんの』って(笑)。

(赤江・大吉)(笑)

(吉田豪)『生田さんのあれでしょ?誕生日イベント、出たんでしょ?豪さん。うらやましいなー!なにやったの?なにやったの?』みたいなことを聞かれるみたいな(笑)。そんな話でしたね。

(赤江珠緒)そうなんですね。そっかー。ユースケ・サンタマリアさんね、お会いしたことも、お仕事をご一緒したことも1回もないんですけど。それこそ10年ぐらい前に私がテレビ朝日さんのお仕事をし始めた頃に、メイクさんからユースケさんが赤江さんにメイクちゃんとしなさいって言ってるよっていうのが伝言できて。

(博多大吉)(笑)

(吉田豪)気になってたんですか?

(赤江珠緒)だからいまね、お話聞きながら、ユースケさんそんな大変な時に私の・・・

(吉田豪)そんな時でもアドバイスはするっていう(笑)。

(赤江珠緒)心配してくれてたんだって思って。

(吉田豪)そんなひどかったんですか?

(赤江珠緒)なんかひどかったみたい(笑)。

(吉田豪)(笑)

(赤江珠緒)いま、申し訳ないなっていう気持ちで聞いてたんですけど。

(吉田豪)他人のことを心配できるような状況じゃないですよ。

(赤江珠緒)ねえ。そうだったんですね。

(吉田豪)いい人でした。

(赤江珠緒)今日、紹介していただきましたユースケさんのインタビューは徳間書店から出版されています、『サブカルスーパースター鬱伝』に載っています。帯文はですね、『サブカル男子は40才で鬱になるって本当?真相に迫る』ということで。やっぱり、本当なんですか?

(吉田豪)いや、わかんないですけどね。みんなが本当にしようとしてる感じ、ありますよね。『許さない、お前だけそのままでいようなんて』って。

(博多大吉)『みんなそうだ』って言われるのもね・・・

(赤江珠緒)そうか(笑)。いや、でも本当に読み応えがありますからね。うん。豪さんもね、今日ちょっと弱ってらっしゃるから。気をつけてくださいね。

(吉田豪)はい・・・

(赤江珠緒)次回豪さんにご登場いただくのが12月17日水曜日ということです。

(吉田豪)この後病院に行きまーす。

(赤江珠緒)(笑)

(博多大吉)お大事に。

(赤江珠緒)本当に(笑)。吉田豪の月イチ豪外、プロインタビュアー吉田豪さんでした。ありがとうございました。

(博多大吉)ありがとうございました。

<書き起こしおわり>

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