菊地成孔さんがTBSラジオ『粋な夜電波』でロバート・グラスパー以降の『今ジャズ』は実はドラムンベースの第二次であるという話をしていました。
(菊地成孔)派手な演奏から、いきなり渋い今風の演奏に変わります。リチャード・スペイヴン(Richard Spaven)。ジャズアティテュードの時に紹介した『今ジャズ(いまジャズ)』と呼ばれている最近のジャズミュージシャンの傾向の中でポリリズムを多用した、そのまま歌伴をやるというスタイルのですね、ドラマーですね。満を持してソロアルバムを出しましたリチャード・スペイヴンのファーストソロアルバム『Whole Other』より、タイトルチューンであります『Whole Other』をお聞きください。
(菊地成孔)はい。ええとですね、まあ『今ジャズ』という言葉でくくられるロバート・グラスパー(Robert Glasper)以降のジャズの潮流ですけども。このリチャード・スペイヴンも含めまして、まあまあまあ・・・コーレンバーグ、ギルモア、クリス・デイヴといったあたりがかならず言われるのは、『HIPHOPを経由したドラムパターンだ』って。そこまでで話が終わっちゃうんですね。評論家の先生方、視界が狭いので。かならずそこで話が終わっちゃうんですけど。もっと簡単にわかりやすく言うと、実はグラスパー以降の今ジャズっていうのはドラムンベースの第二次だと思います。私。
第二次ドラムンベース。結局、上モノがないんですね。リチャード・スペイヴン、満を持して発表しました『Whole Other』ですけども、全9曲中、ベースすら入っている曲、ほとんどないっていう。ベースが入っている曲は3曲だけだっていうね。ドラムと上モノのふわーっとしたのだけで、ドラムのパターンを聞かせるという意味において、実は人力ドラムンベースの系譜にあるという指摘はあまりされておりません。というわけで、来週は実はジャズアティテュードでして。全面的にこの話を展開していこうと思います。
<書き起こしおわり>