菊地成孔さんがTBSラジオ『荻上チキSession22』にゲスト出演。大好きな新宿伊勢丹の話をする中で、最近の館内リニューアルで成功したと感じた点を語っていました。
(荻上チキ)これからは歌舞伎町に行く機会はなかなか少なくなるんですか?
(菊地成孔)いまはね、歌舞伎町はあんまり行ってないんですけど。ただ私、伊勢丹主義でもあって。伊勢丹がまあ、世界の中心なんで。
(荻上チキ)メンズ館ですか?
(菊地成孔)いやいやいや。メンズ館、行かないですよ。本館本館。本館が好きなの。
(荻上チキ)本館が。
(菊地成孔)あの、女物の服見るのが好きなんですね。
(荻上・南部)へえー!
(菊地成孔)ストレートですよ。ストレートですけども、好きなんです。
(荻上チキ)趣味として?
伊勢丹は癒やし
(菊地成孔)趣味として。あの、いちばんの癒やしですね。あとね、エステ。伊勢丹はエステのフロアが中二階のトイレみたいなところから全部見渡せるんですよ。そこでまあ、ほっと・・・人生について考えながら、エステ、すごい数の人が化粧されているのをね。あれを見ると和むんですよ。
(荻上チキ)化粧をされている女性を見るんですか?それともエステティシャンを見るんですか?
(菊地成孔)どっちも見てますね。なにか工場のようでね。これ、いい意味でですけど。なにかすごい近代っていう感じですね(笑)。
(荻上チキ)それはセクシャルな感心とか・・・
(菊地成孔)もうギンギンですよ!もうね。
(荻上チキ)ギンギンなんだ(笑)。
(菊地成孔)ギンギン。もうギンギン+癒やしですからね。まあ、えらいことになってるわけですね。
(荻上チキ)一石二鳥ですね。
(菊地成孔)これはもう、止められないですね。この話、マツコ・デラックスさんにしたら、思いっきり『変態ね』って言いながら内腿をパンッ!ってはたかれたんですけど。思ったより体重が乗ってて。ちょっと骨折れるかな?と思うぐらいの。
(荻上チキ)掌底レベルですかね。
(菊地成孔)掌底レベルですよ。はい。ヤバかったです。あれは。
(荻上チキ)女性物の服はなんで見るんですか?
(菊地成孔)元々ファッション批評をやっていまして。ファッションショーは小さいころから好きで。で、女性物の服を見るのが好きで。だから伊勢丹の中を流しているのが好きなんですね。
(荻上チキ)ほうほうほう。
(菊地成孔)いまのMIU MIUはやっばいなー、今回GUCCIは大したことないとか、いろんなところを見て。仕事でもありますし。伊勢丹ね、リニューアルして店内にスタンドがいっぱいできたんですよ。
(荻上チキ)スタンド?
(菊地成孔)南部さん、伊勢丹とか行かれます?
(南部広美)私、とんと行ってないですね。10年ぐらい行ってないと思います。
(荻上チキ)僕はメンズ館しか行かないです。
(菊地成孔)ああ、メンズ館ね。メンズ館は、まあ自分のものを買うわけでしょ?
(荻上チキ)そうです。
(菊地成孔)そうですよね。メンズ館は入っていま・・・まあいいや、この細かい話は。伊勢丹の本館は靴売り場がすごいリニューアルされて。壁面がこう波打った、波状ですごい長い距離の靴売り場になったんですよ。これで、疲れた人がみんな、シャンパン飲むの。シャンパンスタンドができたの。
(荻上・南部)ええっ?
リニューアルのいちばんの成功点
(菊地成孔)あのね、売り場の中にスタンドができるっていうのは、私が知る限り60年代以来なんで。伊勢丹のリニューアルでいちばん成功した点だと思うんですね。ちょっとなんか堅い話になってしまいましたでしょうか(笑)。あの、昔はホットドッグスタンドとかがあったの。伊勢丹に。
(南部広美)えっ?中にですか?
(菊地成孔)中に。中に。1階の売り場の中にあったの。私、そこでジェリー藤尾一家に会ったんだから。全然わかんないでしょうけどね。
(南部広美)知ってますよ、ジェリー藤尾さん。
(菊地成孔)それは私が生まれて最初に会った芸能人一家ですよ。元々一家でテレビに出てるところにもってきて、その一家が隣でホットドッグ食ってたんで。現実感が揺らぎましたね。あの時ね。リアル・アンリアルの壁をね、早くも察知しましたね。だいたい69年ぐらいだと思いますけど。
(荻上チキ)それ以来ということですか。
(菊地成孔)それ以来。で、そんなのもう今の衛生観念から言ったらダメじゃないですか。売り場に飲食があるなんて。これはね、リニューアルでは蘇ってるんですよ。だからミックスジュース屋さんと、シャンパンスタンドと、いくつか。4つぐらいできたの。
(荻上チキ)ほー。
(菊地成孔)で、ちゃんと昔みたいに、すぐ道一本挟んだら売ってる。洋服。で、ここで飲み食いできるみたいな。匂いとかうまく逃すように設計されてるの。あのポイント、素晴らしいと思いますよ。
(荻上チキ)ラグジュアリーな感じですね。
(菊地成孔)アイカード通信でチェックしてくださいね。私が連載枠を持っておりますので(笑)。
(荻上チキ)(笑)。告知になっちゃいましたね。
(菊地成孔)告知になってしまいましたね。
(荻上チキ)そういう文化って、食べながら、ワイン飲みながらとかシャンパン飲みながらとかね、服を買うってイメージはなかなかつかないですけども。
(菊地成孔)いや、買い物って足が疲れるじゃない?それでクッタクタになって喉も渇くんですよ。店員さんといろんな話するから。そういう時、軽く水一杯飲みたいなっていう人とか。伊勢丹に来る人はイセタニアンですから、やっぱりもうひとつの大変な人たちなんですよ。一種の目に見えない会員制っていうか。
(荻上チキ)はいはいはい。
(菊地成孔)だから、そん時にちょっとハイパー・エドシックのキュベとかっつって、シュッとシャンパンをね。で、喉の渇きを潤して帰るっていう。
(荻上チキ)そういえばメンズ館にこの前行った時、なんか飲み物を配ってた気がします。飲み物を持っていた人がいました。
(菊地成孔)メンズ館もいま、結構そこ行きたい方ですよね。
(荻上チキ)私は所詮メンズ館どまりですからあれですけど。
(菊地成孔)いやいや、メンズ館どまりって。メンズ館、本当は男性はメンズ館でよろしいわけですけど。
(荻上チキ)そうなんですけど。伊勢丹、やっぱり金持ちが行くイメージ、ありますけどね。
(菊地成孔)金持ちっていうか、もうおしゃれエリートですよね。とくに本館は完全にそうですよ。おしゃれじゃない人、1人もいない。
(荻上チキ)メンズ館はほら、2階とか結構安めのといったらあれですけど。お手頃価格のものとかがあったりして。割と3・4階とかはね、大変はハードルがあったりするわけですけど。
(菊地成孔)まあ、価格じゃないんですよ。やっぱり、伊勢丹っていうブランドなんですよ。伊勢丹にヤバい人がいたなってのは、ほんの短いシーズンで。これは別にDISりじゃないですけど、まあ大陸の富裕層の方が来てた時に、ちょっと・・・それこそスタンドがないのに、買った物並べて夜市感覚でですね、伊勢丹のあの階段に座り込んでいろんなものをパクパク食べてらっしゃってる方とかいて。これは困ったなと思ってたんですけど、中が是正されたんでしょうね。全然いなくなりました。
(荻上チキ)あらあらあら。
(菊地成孔)大陸からの方、多いですけど。みなさんとてもおしゃれで。ですね、いまは。
(荻上チキ)伊勢丹に行くのにも、おしゃれして行かないといけないぐらいの。なんかハードルが高いような感じを感じる人も多いんじゃないですか?
(菊地成孔)伊勢丹はたぶんそうですね。あと、滞館内時間が短いっていう。伊勢丹で何時間もいる人、いないんですよ。
(荻上チキ)ああ、そうでしょうね。
(菊地成孔)アイカードを持っている、なんて言ったらいいんですか?上客のみなさんは、だいたい平均時間がアンケートで読んだんですけど、20分なの。
(荻上チキ)20分!?
(菊地成孔)だから、うわーっ!って入って、買って買って買って・・・ちょっといろんな話聞いて出ちゃうっていうのがいちばん伊勢丹の使い方。
(南部広美)迷わないんだ。
(荻上チキ)マイケルみたいですね。
(菊地成孔)まあ、そのあと高島屋とかルミネでウロウロするんですよ。きっと(笑)。
(荻上チキ)それはちょっと、ほっとしますね。
(菊地成孔)そうそうそう。そういう、ひとつのね。
<書き起こしおわり>