菊地成孔 佐村河内守 ゴーストライター問題を語る

菊地成孔が大瀧詠一に捧げるラジオ ポップス解説『ヴァースの歴史』 菊地成孔の粋な夜電波

ジャズミュージシャンの菊地成孔さんがTBSラジオ『粋な夜電波』の中で、ゴーストライター問題で話題の佐村河内守さんについてこんな風に語っていました。

(菊地成孔)最近ね、私ね、番組公式サイトの写真なんかを見ていただくとお分かりだと思うんですけど、度付きのサングラスを買いまして。もう老眼が酷くなってきたんで。老眼鏡か、ライブの時にサングラスとか。遊びに行く時とか、サングラスとかっていうんだったんですけど。生まれて初めて、度付きサングラス。サングラス老眼鏡ですよね。買って、かけてね。で、髪の毛なんかもね、行っているヘアサロンがちょっと遠いんで。新宿じゃないんで。あんまり、出不精でね。忙しくて。ちょっと伸びてきちゃって。

ヒゲもね、結構ね、無精ヒゲが。私、前も大友良英さんが来た時に言ったんですけど、頭は白くないんですけど、ヒゲだけ白いんで。ヒゲ伸ばすと、老けてるなっていう気がするんで。うれしくて無精ヒゲ伸ばしたりして。ある日、ふと鏡を見たら、そこに佐村河内さんが立っていたんですね(笑)。ほんで、これはマズいなっていう。もう撮っちゃったんです。それで写真を。『戦前と戦後』のジャケットがね、もう佐村河内さんの新作みたいになってるんで。どうしようかな?と思ったんですけど。

これこそがね、一手違いってやつですよね。本当にね。だって、写真を撮った時は佐村河内さん、『さ』の字もなかったですから。まあ、あったのかもしれませんけど。一般的にはね、なってなかったんで。モーニング着ていて、中がドレスシャツなんで、まるっきり佐村河内さんなんですね(笑)。記号的には。あの方、デカいんで。まあ会ったらぜんぜん似てないと思うんですけど。私ね、前も番組で言ったことがあるんですけど。左耳が騒音難聴でちょっと、かなり落ちてるんですよ。半ば、もうバランス取れないんで右左、あれしてるんですけど。そういった件も含めて、キワキワの物件が出てきたな、この人はっていうことで。いま非常に多角的に、眼鏡をやめるか、ヒゲをやめるかといったですね、問題で悩んでいます。

まあ、でもね、いずれにせよ日本のベートーベンっていうのは佐村河内さんじゃないですよね。佐村河内さん、どんな方か私、存じ上げません。ぜんぜん。すごいいろんなところの人から『コメントくれ』って言われてるの。『あれは本当に作曲になるんですか?』とかなんとか。一切、お答えしてませんけどね。一小節でも素材があって設計図を渡していれば、もうそれで作曲だって言っている人、いますけどね。ただまあ、いろんなこうした議論ありますけども。私は何が言いたいかといえば、日本のベートーベンは佐村河内さんじゃなくて、ベートーベン鈴木さんしかいない!ってことなんですね。

バラクーダー、日本全国酒飲み音頭。ね。『2月は節分で酒が飲めるぞー♪酒が飲める飲めるぞ♪』これですよ。『酒が酒が飲めるぞ、酒が飲めるぞー♪』。あの曲、すごいですからね!いちばん何に似てるかっていうと、オッペケペー節ですからね。これね。一見、音頭みたいに。音頭って言ってますから音頭風になってますけど、音頭っていうのはペンタトニックって言って、こうヨナ抜きのね。『はるばる来たぜ函館♪』の音階で『ドレミソラド』で出来ているもんで。コードが進行しないようなのが日本の音頭の感じなんですね。

ところが、『♪♪♪♪』ってパッと聞くとハイドン風だったりしますね。ベートーベン鈴木のベートーベンたる所以ですよね。ちょっとクラシカルな洋楽の節がただ延々と1月から12月まで繰り返されて。サビは『酒が飲める飲めるぞ♪』って言うだけっていうね。あの曲、すごいですよね。まあ、いずれにせよですね、佐村河内事件っていうのは映画化されるといいと思いますね。その際は、松山ケンイチさん主演じゃないかなと、私は思ってるんですけども(笑)。

<書き起こしおわり>

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