ケラリーノ・サンドロヴィッチ ピエール瀧 ナゴムレコードの思い出

ケラリーノ・サンドロヴィッチ ピエール瀧が語る ナゴムレコード時代の思い出 たまむすび

(赤江)あの、瀧さんが『あまちゃん』に出演してるっていうのもケラさん、ご存知でしたけど・・・

(ケラ)瀧のさ、マネージャーさんから『人生のCDが手元にないから、ケラさん持ってないか?』って連絡が入ったらしくて。俺、なんだろう?って思って瀧に連絡したら、『あまちゃんの能年ちゃんにあげる約束したから・・・』っつって(笑)。『ごめん!そんな大げさにするつもり、なかった!』って言われたんだけど。ウチにも、自分の分しかないんだよ。

(瀧)俺も自分の分しかないから。

(赤江)そうなんですか。みんな、大量に持ってない。自分の分を最後に。

(瀧)ないんだよねー。

(ケラ)話のタネに人生とか、人にサンプルとかあげたくなっちゃうよね。『面白いから、聞いてみ?』って。いいとかじゃない。面白い。

(瀧)びっくり箱と同じ感覚で。

(ケラ)そうそう。1回聞けば、まあ(笑)。

(赤江)ケラさんが音楽の道に入っていくのは、最初に喜劇役者に憧れていたっていうところから、どっからどうして?

(ケラ)ちょっともう、覚えてないですね(笑)。

(瀧)当時、僕ら静岡から来た人間たちから見ると、たとえばケラさんとか、筋肉少女帯の大槻とか、ばちかぶりの田口トモロヲさんとか、そのへんが・・・

(ケラ)大槻、呼び捨てなんだ。先輩だよ?

(瀧)大槻ケンちゃんね。じゃあ、ケンちゃんにしとこう(笑)。そのへんが、ワチャワチャっとやっている感じがすでに出来上がっていたから。それで中野を中心とした集団が出来上がってたんだけど、それはどう構成されたかはわからないんだよね。

(ケラ)僕も覚えてないんですよ。っていうか、本当に覚えてないんですよね。ごちゃごちゃすぎて。誰といつ会ったかとか、もう整理してらんなくて。自分のそういう活動をまとめた本とか、ナゴムの本とか出る。インタビュー、受けるじゃないですか。もうわかんないんですよね。ファンの人たちに聞くんだもん。そういう時に。どうだった?って。いまも鈴木慶一さんとNo Lie-Senseっていうのを・・・ムーンライダーズって日本最長寿のロックバンドだったわけですから。35年やって活動休止して。今年62ですよ。大先輩の鈴木慶一さんとユニットを組むなんて思ってもみなかったし。だからその時その時で。

(赤江)じゃあその時に出会いで自然発生的に、化学反応みたいに。展開が広がっていったりして。

(ケラ)いま、もうほとんど演劇人としか見られてないから、音楽もやってるんだよ!ってちょっと、ちゃんとやろうと。

(瀧)ケラさん、バンドいくつめ?これで。結構やってるよね?

(ケラ)わかんない。今度、12月に新宿ロフトで4日間やって。それに人生も出てもらうんですけど。それではね、8つで歌いますね。1日2つ。歴代のバンドが全部。

(赤江)ああ、そうですか。

(瀧)有頂天、空手バカボン・・・

(ケラ)LONG VACATION、シンセサイザーズ、No Lie-Sense、あとソロとかね。即興バンドみたいなのもあるし。

(赤江)すでに8つは、確実にあるんですね。

(瀧)いま、中年のおっさんたちが小躍りしている感じがね。久しぶりに聞いた!その名前!っつってね。

(赤江)劇作家として、監督としては瀧さんの演技ぶりとか・・・

(ケラ)瀧はね、一本目の映画に出てもらったですよ。

(瀧)『1980』ね。

『1980』

(ケラ)でもそん時は、こんなに瀧がいろんな映画とか出て。瀧のバイオグラフィー、すごいじゃないですか。寿司屋やった後、凶悪犯やったわけでしょ?そんなになると思わなかったから、ミュージシャンの瀧としてちょっと出てもらったんですけど。もうちょっとやってもらえばよかったね。

(瀧・赤江)(笑)

(ケラ)次、やってもらう時は大きい役でね。

(瀧)怖っ!なんだろう?すげーハードル高い感じになりそう。

(ケラ)だいたい断定で、こういうところで公表しちゃえばいいってことがわかったから。

(赤江)ケラさん、もう50になられたわけですが。大台に乗られて。どうですか?50代になってみて。

(ケラ)うーん。日々、体が痛い(笑)。どっかが痛いね。体。

(瀧)ケラさんのtwitterとか見てる感じだと、仕事量がハンパなさそう。いつ寝てるのだろうと。またなんか書いてるっていうのと。

(ケラ)そうですね。書くのがいちばんしんどい。

(瀧)たぶんね、ケラさん双子説っていうのが、いま。

(赤江・ケラ)(笑)

(瀧)2人いないと無理だろ?それっていう。

(ケラ)瀧、読んでるんだね。twitter、やってないのに。

(瀧)一応読んでて。そいで、『ケラさん、そんな感じか』って。

(ケラ)よく瀧の話もしますよね。

(赤江)じゃあもう書き始めるとずっと、一気に長時間書くとか?

(ケラ)それができれば、苦労はないんですよ。書き始めるまでの、相関図とかそういうのをずっと書いてる時間の方が長いかもしれない。書き始める前って、選択肢が無数にあるわけじゃないですか。ある程度書いちゃえば、方向が見えて。だからなにを選ぶか?っていうのが延々時間がかかるんだけど。周りにしてみれば、それはただの書いてない、怠けてる時間に見えるから。悔しいんですね。その時間がいちばん辛いんだけど。

(赤江)料理で言うと下ごしらえみたいな。

(ケラ)違うなっつって、ボツにして、また別のことを・・・ボツにするのも勇気がいるじゃないですか。何日も考えたことをボツにするって。それで日々、傷んでくんですよ。心も体も。だから音楽は楽しいよ。こういうのも。今日、全然仕事のつもりで来てないし。瀧と話せるしねっていう。

(赤江)くつろいだ感じでスタジオにお越しいただいてますけどもね。

(中略)

(赤江)普段はケラさん、最近ハマってることとか・・・

(ケラ)普段とか、あんまりないんですよ。これが普段。趣味が全部仕事になっちゃってるから、あんまりないですね。瀧、今度鰻食いに行かない?鰻。近所にあるんだけどさ。予約しなきゃ・・・

(瀧)あ、裏のところじゃない?

(ケラ)そうそう。裏のところ。行こうよ、あそこ。

(瀧)俺、気になってたの。

(ケラ)予約してあげるから。

(瀧)あ、行きたい行きたい!

(ケラ)近所にあるんですよ。なかなか取れない。

(瀧)裏の細い路地のところにあって。

(ケラ)民家みたいな店なんだよ。

(瀧)でもね、ガラスとかキレイに拭いてある、きっとあそこはいいだろうなっていうお店なんだけど、怖くて行けないの(笑)。あ、行く行く!

(ケラ)ナビゲートしてあげるよ。

(瀧)あ、お願いします。

(赤江)(笑)。本当、くつろいでるな。

(瀧)(笑)

(赤江)じゃあケラさん、お時間来てしまったんですけども。それではもう1曲、ご紹介いただいてお別れということになります。

(ケラ)No Lie-Senseのデビューアルバムから『イート・チョコレート・イート』を聞いてください。

(赤江)ありがとうございました。

(瀧)ありがとうございました。

『イート・チョコレート・イート』

<書き起こしおわり>

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