アシッドパンダカフェ8周年記念のトークイベントの、ジェーン・スーさんとしまおまほさんがゲスト出演したパート書き起こし。まずは学園生活におけるスクールカースト問題について語り合っていました。
出演者:ジェーン・スー(音楽プロデューサー・ラジオDJ)、しまおまほ(漫画家・イラストレーター)、高野政所(DJ・クラブ アシッドパンダカフェ店主)、浮き輪(アシッドパンダカフェPodcast司会進行役)
(一同)よろしくお願いします。
(高野政所)ちゃんとお話するのは・・・
(ジェーン・スー)だいたいいつも、(TBSラジオ ライムスター宇多丸ウィークエンド・シャッフル)初代しまおまほさんのコーナーにちょっと居残りをさせていただいて、しゃべるぐらいですよね。
(しまおまほ)あと、(TBSラジオ)ザ・トップ5の1期目のいちばん最初のゲストで呼んでいただいたんですよね。
(高野政所)あ、そうだ。はいはいはい。そうか、それがあった。
(ジェーン・スー)あまりに昔のことで私の記憶が・・・
(しまおまほ)そうそう。ナタリー(TBSアナウンサー 小林悠)とブラジャーの話をした気がします。
(高野政所)ということはそれ以来というか・・・あ、ちょこちょこと・・・タマフル居残りで・・・
(ジェーン・スー)でも、ちゃんとご飯行ったりとかしゃべったりとかはないですね。多分共通の知り合いとかはすごい多いと思うんですけど。
(しまおまほ)ああ、土岐(麻子)さんとか。3回ぐらい?会ったの、もしかして。
(ジェーン・スー)3、4回。あとはイベントとかで「あー!」みたいな。『POP SONG 2 U』来てもらったこととか。
(しまおまほ)そうですそうです。あの時、メンチョが出来ていて、ほとんど人に会わないようにしてたんですよ。
(浮き輪)避けるように・・・
(高野政所)人目を避けて(笑)。
(ジェーン・スー)かせき(さいだぁ)さんが出てくれた時かな?
(しまおまほ)そうですね。まめ(もんた申し訳EGG)さんじゃなくて、TELYEEさんとかが(DJを)やってた。TELYEEさんは毎回やってるのかな?
(ジェーン・スー)そうですね。TELYEEさんはそうです。
(しまおまほ)あと、Small Circle of Friendsが出たとき。
(ジェーン・スー)完全に私が見たいものを盛り込んだ回の時だ(笑)。
(浮き輪)ということで、スーさんに『しまおさんと話してもらおうと思うんですよ』っていう話をした時に、結構スーさん自体がしまおさんとね、こうやっておしゃべりする機会もなかったから、話したいっておっしゃってたんですよ。
(しまおまほ)本当ですか?よかったです。
(浮き輪)しまおさん、大丈夫ですか?スーさん、怖くないですか?
(高野政所)(笑)大丈夫ですか?怯えたりしてませんか?
(ジェーン・スー)デフォルト『怖い』ですから。
(しまおまほ)あの、何て言うんですかね?言いたいことが言える人っていう・・・
(ジェーン・スー)またまた・・・
(しまおまほ)私、本当に・・・
(高野政所)言いたいこと、言えないんだ?
(ジェーン・スー)しまおさん、放送聞く限り、言いたいこと言いたい時に言ってるような・・・(笑)
(しまおまほ)あの・・・言いたいことの周辺のことは言えるんですよ。でも、これになかなかたどり着かない。『言いたいこと』に。
(浮き輪)あ、ズバッと言える言葉がいつも出てこないみたいな。
(しまおまほ)そう。出てこないで、『何か、あれ・・・何か・・・』みたいな感じで。
(浮き輪)で、『言いたいこと、言えなかったな』みたいな感じ。
(しまおまほ)が、ずっとあるんで。スーさんの出現により・・・(笑) みんなはすごい溜飲が下がるっていうんですか?宇多丸さんの言葉を借りるなら。
(高野政所)的確にビシッと射抜いてきますからね。
(しまおまほ)そうですね。その射抜き具合がもう・・・
ビシッと射抜くジェーン・スー
(高野政所)すごいですよね。黄忠みたいな感じですよね。三国志で言うとね。
(しまおまほ)そう!感心っていうと失礼ですけど、上から目線かもしれないけど、でも本当なんかね、すごいな!って思うんですよ。
(ジェーン・スー)そんなことないですよ。
(しまおまほ)相談したくなる。っていうのはよく分かる。
(ジェーン・スー)相談事があれば、いつでも。
(しまおまほ)いやー、そんなー・・・
(高野政所・浮き輪)(爆笑)
(高野政所)まあでも、せっかくこういう機会ですからね。なんかもし相談事とかあったら、スー姉さんがビシッと黄忠のように・・・(笑)まあ、話せる範囲で。
(浮き輪)あの、スーさんのしまおさんのイメージはいかがですか?
(ジェーン・スー)いや、まえ会った時に、たぶんいちばん最初か二回目にポロッと言ったんですけど、しまおさんともしこういう機会があったら話したかったのが、いわゆる私がしまおさんを最初に知ったのって、やっぱりオリーブ(Olive)で。
(しまおまほ)連載していた。(女子高生)ゴリ子の後に。
(高野政所)『オリーブ調査隊』か。
(しまおまほ)97年にゴリ子を出して、98か99年くらいから連載が始まったのかな?98年か。
(ジェーン・スー)そうですよね。だからゴリ子の時で、高校生ですよね。あの時。
(しまおまほ)あの時、大学1年生です。
(ジェーン・スー)あ、大学生だったんですね。そうかそうか。私の中ではイメージ高校生だったんですけど、オリーブってやっぱり今、『負け犬の遠吠え』とかで結構論客の1人になっている酒井順子さんが立教高校の高校生の時にマーガレット酒井として泉麻人さんと対談をやってたりとか、結構早めにピュッと文化系ガールを引きぬいて、世にパッと出すっていうのが得意だったんですけど。しまおさんも完全にそういうグループの人っていう認識で、日陰の高校生としては『クゥー!』みたいな。
(高野政所)『あの野郎!』みたいな。
(浮き輪)世に出おって!
(高野政所)『世に出おって!』(爆笑)
(ジェーン・スー)世に出おって!あの・・・私はその時、女子高生ではなかったんですけど、いわゆる都会の・・・都会のっていっても私も都会生まれなんですけど。
(高野政所)東京じゃないですか。
(ジェーン・スー)そう。なんですけど、何て言うんだろう?『イメージ東京』みたいなの、あるじゃないですか。概念としての『東京』みたいな。地域ではなくて。あの『TOKYO』みたいな。
(浮き輪)みんなの頭のなかのね。
(ジェーン・スー)そうそう。で、すっごいうらやましかったですよね。したら、「そんなこと、全然なかったんですよ。」みたいな話をちょっとされてた気がして。
(しまおまほ)あー。私はやっぱりそうですね。市川実日子ちゃんとかには、『出おって!』って・・・
(高野政所・浮き輪)出おって!(爆笑)
(ジェーン・スー)だから、私から見たら『出おって!』衆の1人なんですよ。
(高野政所)『出おって!』衆(笑)。『出おって!』ゾーンにいる人ってことですよね。
(しまおまほ)うーん・・・
(ジェーン・スー)どうだったんですか?高校とか大学とか。
(浮き輪)アシッドたんぱにしまおさん出てもらった時に話したんですけど、意外と暗黒というか・・・
(高野政所)そうそうそう。暗黒期、長いんですよね。
(しまおまほ)オリーブもCUTiEも、おしゃれ読者ナントカみたいなやつの、あれ送ってたんですよ。読者モデル募集とか。だけど全部落ちてたし、そっちの何て言うんですかね?かわいい、おしゃれをして行きたいんだけど、それは無理っていうので。自分としてはオリーブの中でも、連載してる時でも、おちゃらけ要員っていうか、別におしゃれとかかわいいとかじゃなくて、身近な楽しい人だよね、みたいな感じで行けばいいかなっていう。だから全然その・・・やっぱりあれが違いますよね。
(ジェーン・スー)あの面白枠ではない女の人たちって、やっぱり高校時代のあの眩しさったらないですよね。
(しまおまほ)いや、ない・・・本当に。
(ジェーン・スー)ね。あの、友達なんですよ。別に全然友達じゃないとかでもなくって、それなりにしゃべったりとかもするんだけど、何かの時にパキーッ!って線が・・・だからいわゆる読モが雑誌に載ったりする代だったんですね。私ぐらいの時から。
(しまおまほ)そうですね。スーさんって・・・
(ジェーン・スー)私は(昭和)48年生まれなんで、今年40ですね。5個ぐらい違うんだよね、たぶんね。そうです。なんですけど、私ぐらいの年から、いわゆる『Fine』とかに、雑誌でこう、『彼氏とちょっと載っちゃって大変!』みたいな・・・
(高野政所)『出おって!』できる。読者が『出おって!』になれるっていう時代だったんですね。
(しまおまほ)ちゃんこDiningの奥さん・・・
(ジェーン・スー)そうですそうです。若の奥さん。栗尾美恵子さん。
(高野政所)ちゃんこDining!(爆笑) 間違ってないっすね!
(ジェーン・スー)栗尾さんっていったら、もう天使でしたよね!あの時ね。
(しまおまほ)同じぐらいですよね。たぶんオリーブで。
(ジェーン・スー)そう。オリーブ世代で栗尾さんっていったら、本当に・・・あんな人だと思わなかったって言ったらアレですけど。
(高野政所)(爆笑)
(浮き輪)語弊がありますよ。
(ジェーン・スー)ああいう感じの人じゃなかったんですよね。
(しまおまほ)うんうん。
(ジェーン・スー)まず彼女がスチュワーデスになった時点でオリーブ少女からしたら大誤算で。
(一同)おー。
(高野政所)『そっち行きおって!』みたいな。
(ジェーン・スー)そっちじゃないだろ!っていう。やっぱりかわいらしい格好して、私たちが憧れるモッズヘアーのヘアメイクさんにメイクをされて、所ジョージさんとかと対談をしたりとかっていう、もう高校生たちの夢みたいな人だったと思うんですけど。それがなんかこう、グイグイグイグイ・・・でもあの時の、結婚記者会見の時のあの感じはオリーブ感はありましたけどね。
(しまおまほ)ありましたよね。
(ジェーン・スー)クマのぬいぐるみみたいなことを言って、ずっと歯が出てるとかああいう・・・
(高野政所)『お口ポカーン』ってよく雑誌に書いてありましたね。
(しまおまほ)そうなんです。そうなんです。
(ジェーン・スー)基本的にこの世代って、本当に中高生のころにオリーブの奴隷みたいになっていた世代なので。
(しまおまほ)うん、そうそう。本当、そうですよね。私たちがちょっと最後、後半ぐらいです。そんな感じですかね。スーさんは女子校ですか?
(ジェーン・スー)女子校です。女子高女子大なんで。共学ですよね?
(しまおまほ)共学と違うんですね。土岐さんとも話すんですけど、やっぱり女子校だと男の人の目がない分・・・
(ジェーン・スー)ヒドいですね。
(しまおまほ)ヒドい(笑)。でも、モテるモテないっていうのが付かないじゃないですか。その中で。だからやっぱりそこがうらやましいっていうか。やっぱり共学だと明らかに女子もモテない吹き溜まり系と・・・コサキンリスナーですから。私は。1人しかいなかったですからね、女子は。
(浮き輪)コサキンと、あとなんだっけ?岸谷五朗の・・・
(しまおまほ)岸谷五朗のレディオクラブ。レディクラ派でしたから。
(ジェーン・スー)いやー、でも女子校だってやっぱりその、文化祭に行くだの何だのっていう時に・・・
(しまおまほ)いやでも、彼氏がいない理由が『女子校だから』っていうのにできるじゃないですか。共学だと、それ理由になんないんで。
(高野政所)いや、本当そうですよ。有無を言わさないんですよね。そういう部族にされちゃいますからね。
(しまおまほ)そう。で、もう何がトチ狂ったか私服の学校に入っちゃったんで、私服でまた判断される、彼氏いるいないで判断される、もうね、地獄でした。
(高野政所)地獄(笑)。
(浮き輪)えっ、その当時にしまおさんはクラス分けされている感じをもう肌身で感じるわけですか?
(しまおまほ)もう高校入った途端に分かりますね。
(ジェーン・スー)ありますよね。女のスクールカーストほど明確なものは多分ないと思いますね。
(浮き輪)それさ、女の中でなのか?対男性の中でなのか?両方あってグループって出来ると思うんですけど。
(しまおまほ)いや、何て言うんですかね?女子の中ではもう、すぐ出来ますよね。で、そうすると下の方の人たちって、もう本当に下の方の人たちは男の人からは、もうカーストに入れる対象にもなっていないっていうか・・・
(ジェーン・スー)『アウトカースト』ってやつですよ。
(高野政所・浮き輪)あー!
(高野政所)スードラとか(笑)。っていうことですよね。バラモンで言うとね。
(しまおまほ)だから、男の人の目はもうね、気にする気にしないの問題じゃなかったですね。その前にもう、出来ちゃってたんで。
(浮き輪)それは女子校でも一緒ですか?
(ジェーン・スー)同じですね。スクールカーストはもう、明確にありますね。
(しまおまほ)やっぱり女同士だとね、倍ですから。共学の女子の数の。いろんな女子もいるし。
(ジェーン・スー)ただ、私とかはトップ5とかをやって、女性のアナウンサーがワーッ!ってこう、大型犬みたいに喰らいついてくる・・・
(高野政所)今、アラサー女子の教祖として名乗りをあげつつある・・・
(ジェーン・スー)勘弁してくれってね。
(浮き輪)ラジオ界のマツコ・デラックス。
(ジェーン・スー)本当に。そのクラスとか学年とか学校とかでは女子だけですから、ものすごい人気を博すんですよ。でも、『ペソ』みたいなもんで。
(しまおまほ)ペソ!?
(ジェーン・スー)国外で流通できない通貨みたいな。学内だけで流通する通貨で。
(高野政所)そこの国だけで通用する・・・なるほど。プロップス。
(しまおまほ)射抜きますねー。本当に・・・
(高野政所・浮き輪)(爆笑)
(高野政所)射抜きぶりに感心っていうね。女黄忠。
(浮き輪)那須与一!
(ジェーン・スー)あの、ペソ長者みたいな感じなんですよ。どこも換金できないっていう。ああ、ペソはペソだなっていうね。でも、意外と学校では1ペソぐらいしか持ってないような女とかが、ちょっといなたい男子校生とかには人気だったりとか。意外と男好きのする感じで彼氏がいたりとかして。
(高野政所)リアルだな、すげえ・・・
(浮き輪)いや、リアルだよ。
(ジェーン・スー)いや、本当に1ペソしか持ってないのに、外でたら100ユーロぐらい持っているとか。
(しまおまほ)わー!
(高野政所)なるほど。いるんですね、そういうのも。
(ジェーン・スー)本っ当にね。ダサい女、好きじゃん。男って。
(高野政所)まあ、嫌いじゃないかも(笑)。
(ジェーン・スー)安心できるからさ。イモくさい女、好きじゃん。だから女子スクールカーストの中では完全に底辺のところの人たちが、外に行くとガンガンね・・・
(高野政所)でもそのスクールカーストが低い、イモっぽい好きの男は、男スクールカーストではかなり下の方ですよ。
(ジェーン・スー)まあでも、それでもね・・・
(浮き輪)外に出てもペソを持ってないからね。
(ジェーン・スー)ペソしか持っていない人間は、外ではやっぱりユーロ・・・高校の時、彼氏いました?
(しまおまほ)いないです。いないです。
(ジェーン・スー)いないですよね。高校の時彼氏のいた人とか、ラジオ出ちゃダメですよね。
(高野政所・浮き輪)(爆笑)
(ジェーン・スー)女は特に。本当に。今日も女の人、いたら帰ってくださいね、今ね。
(しまお・高野・浮き輪)(爆笑)
(高野政所)すぐ出て行けと。
(しまおまほ)でもちょっとこう、ピリッとしますよね。・・・いたんだ、っていうね。
(高野政所)部族ちげーな、みたいな。
(ジェーン・スー)あの、危険な水域の話になるんでしまおさんはニコニコして聞いてくれればいいんですけど、いつ処女を喪失するか?とかそういう話も、ピリッピリになるわけですよ。女子校とかでも。
(しまおまほ)そういう話はないもんなー。
(ジェーン・スー)うん。あの、男がいない分、みんな明け透けにするから。
(高野政所)あー、そうなんですね。
(ジェーン・スー)そうなんですよ。
(しまおまほ)そこが怖いですよね。
(浮き輪)四六時中ガールズトークっていうことですよね。
(ジェーン・スー)そうです。そうです。ずーっと。でもう、恐ろしいですよ。そのモテてる子はモテてる子で、彼氏からバースデー、いや、クリスマスだ。プレゼントですごいかわいい手袋をもらってたんですよ。私たちからしたら、『男から手袋もらってる!』みたいな。
(高野政所)『マジ、すげー!』って。
(ジェーン・スー)ヨダレ垂らして『うわー!』って感じなのに、「指輪もらえると思ったのに、すごいイヤだ」みたいなことを。パスン!とかやって。「ほぉーう!」って。落ちた手袋をワラワラワラって・・・
(高野政所)拾いに行って(笑)。ニオイ嗅いだりとかして。
(浮き輪)これかー!男からもらったモノって、これかー!
(ジェーン・スー)だからその、何だろう?彼のところと旅行で泊まりに行くのにどうやって口裏を合わせる?みたいなことを話しているわけですよ。
(高野政所)レベル高けー!
(ジェーン・スー)『ほー・・・』って聞いているだけで。そこになると、私も学内なのにペソが通用しないっていう。
(高野政所)なるほどなるほど。
(ジェーン・スー)そんな・・・でも共学でもそういう話はしないんですか?
(しまおまほ)いや、します。何か『お風呂入った』とか。
(ジェーン・スー)一緒にね。
(しまおまほ)うん。何か家に帰って寝たくなるような話、いっぱい聞かされました。
(高野政所・浮き輪)(爆笑)
(高野政所)寝込みたくなるような。早く家に帰りたい(笑)。
(しまおまほ)一回家に帰って布団に入って、そっからもう一回出なおして・・・
(ジェーン・スー)ただ、騙そうと思えば騙せるじゃないですか。
(高野政所)嘘をつくっていう。嘘経験談。
(ジェーン・スー)『おーんおーん・・・』みたいな。敢えてそこは向こうにも踏み込ませないし、こっちも『この文脈、読めよ』って強制する感じ。そういう人もいましたけどね。
(高野政所)でもそれは童貞界でもありましたけどね。
(浮き輪)童貞界では結構定番のね。
(高野政所)『おーおー、あるある・・・』って。
(浮き輪)まず政所さんが嘘童貞喪失をしたとして、俺に言うわけですよね。「俺、こんな感じで童貞喪失したんだよね」って言ってきたら、俺も童貞喪失してないんだけど、「分かる!」。
(高野政所)(笑)「だよねー!」って。
(浮き輪)これが、童貞同士で話している不毛さね。
(高野政所)真実が1つもない(笑)。それがだから女性同士でも・・・
(浮き輪)あるってことでしょ?
(ジェーン・スー)女子校だと、したことがある人が『何てことはない』って感じでサラッと言って・・・
(高野政所)それを『おおおーっ!』って。
(ジェーン・スー)っていう人と、『おーん、だよねー。』っていうのに分かれると思いますね。共学とかだと・・・
(しまおまほ)あんまりやんない。その話に入れないっていうか。
(高野政所)部族がね・・・
(しまおまほ)部族が違うんで。ただ、ラリー・クラークの話、しましたっけ?
(浮き輪)いや、してないと思います。
(しまおまほ)あの、私がイキがって岡崎京子さんのマンガとかラリー・クラークの写真集とかを持って学校に行ってたんですよ。それもものすごい恥ずかしいんですけど。
(高野政所)カマしに行ってたんですか?
(しまおまほ)カマしに行ってたんです。『こんなの見ちゃうよ』って。
(浮き輪)アタシはこんなの・・・
(高野政所)こういうセンスしてっから・・・
(しまおまほ)まあ、そこの時点で嘘っていうか、『おーん・・・』みたいな。
(ジェーン・スー)処女のやりそうなことですね!
(浮き輪)しまおさん、その時ね、部屋和室だしね。畳だしね。
(しまおまほ)そう。土壁だった。っていうのを持って行くと、女子高生のイケてる子たちが見て、「えっ、こんなの見てんの、真帆?」みたいな。「うわっ、この外人すごいデカい!」みたいな。ラリー・クラークの男の子のヌードの写真見て。「入んないよ、こんなの・・・」みたいな。『うわぁー!』って。
(高野政所)(笑)
(ジェーン・スー)コンセプトが違う!
(高野政所)実践的!って(笑)。
(しまおまほ)そう。私はこんなの『見れる』ぐらいで。『この写真見れる』自慢で来たのに、『入る・入らない』って。ああ、そうですか・・・
(ジェーン・スー)ありますね。あります。
(高野政所)倍カマされちゃってる感じですよね、それ。
(ジェーン・スー)大学卒業ぐらいまで続きますよね。でもそれって。
(しまおまほ)いやー、そうね・・・大学もまた美大だったんで、何かそこら辺は若干違いがあるのかもしれないですけど。
(高野政所)また違うカマしがあったんですよね。タバコのケース持って写真に写るみたいな。
(しまおまほ)そうそう。美術カマしみたいなのが。
(ジェーン・スー)右と左の髪の長さ全然違うみたいな。
(しまおまほ)セルフヌード。
(一同)あー!
(しまおまほ)ポエトリー・・・
(高野政所)カマしてるなー。
(ジェーン・スー)何で美大の人はすぐ自分のヌードを撮りたがるの?あれ、よく分かんない。
(高野政所)カマしでしょ。それも。
(しまおまほ)カマしですね。あと、ナプキンを作品に使う。大人のおもちゃを作品に使うとか。
(高野政所)あー。でもそれはナードコアの人が童貞なのに急にAVの声ばっかりサンプリングして曲作るのと同じですね(笑)。『カマしてんだよ、俺』っていう。『分かってるぜ!』みたいな。分かってねーくせに。分かりますよ、そういう気持ちは。
(ジェーン・スー)ありますよね、そういうの。
(高野政所)同じ部族同士でもあるんですか?
(浮き輪)要は底辺の中でのカマしあい。
(高野政所)『男って、こうらしい』って推測も飛ぶじゃないですか。
(しまおまほ)私とかは全然もう・・・むしろお互いのそこの話には、今だにやっぱり入らないですから。付き合ってる・付き合ってない話まで、まだしないぐらい。
(高野政所)でも健康的ですよね。童貞同士なんてさっきのそういう不毛なカマしあいとか結構やるんですけど。『おーんおーん・・・』っていう。それ、ないんですね。女性の場合はね。
(しまおまほ)ないですね。結構それ、こじらせてるかもしれないですね。
(浮き輪)もう話さないこと自体が、こじらせてる。
(高野政所)そうかそうか。その領域には踏み込まないようにしようっていう不文律が。
(しまおまほ)彼氏いる・いないも『聞いていいのかな?この話から推測すると・・・』みたいな感じになって。
(浮き輪)でもそれ、逆にあれでしょ?いても言えない感じの空気だったりするんじゃない?
(しまおまほ)あー、なんかね、その報告みたいなのがまず・・・報告どうする?問題。で、彼氏のことを『彼氏』って呼ぶか?問題。
(ジェーン・スー)ありますね。それ、ありますね。
(しまおまほ)そういうの、いろいろ考えてると、やっぱり家帰って寝たくなる・・・
(高野政所・浮き輪)(爆笑)
(高野政所)息つまるようなね・・・
(しまおまほ)何なんですかね?もう・・・
(高野政所)バレるとだから、『世に出おって!』的に似た『男作りおって!』みたいになるんですかね。
(しまおまほ)うーん、別にそんなにいろいろね、底辺ぶるっていうんじゃない、何ていうの?全ての自虐は『私ってスゴい』に通ずってこの間・・・(音声途切れる)
(高野政所)(笑)よく出てくるなー、今日。
(しまおまほ)だから、それも肝に銘じないと。だから全然自虐するつもりはないんですけど、何かそんなこじらせちゃってんですよね。
(ジェーン・スー)でも何かおしゃれとかそういうのとか、男性と話したりとか、どのへんから自分は大丈夫だなっていう感じになったんですか?
(しまおまほ)高校3年生の時に、もうダメだダメだと思っていたけど、告白されたんですよ。
(ジェーン・スー)おおー!デカいですね。
(しまおまほ)ラブレターをもらったんです。で、それで『あっ、自分のことを好きになってくれる人がいるんだ』って思って。その人とはどうにもならなかったんですけど、むしろ『こんな自分のことを好きになってくれる・・・キモい!』って思ってたんで。
(一同)(爆笑)
(しまおまほ)それはそれでです。何かちょっとイヤな思い出っていうか、申し訳ない思い出になっちゃってるんですけど。でもそこで1個、チャックが開いたっていうか。で、そのままツツツーッてこう・・・
(高野政所)すごくいい話ですね。
(しまおまほ)大学になって初めて男の人と付き合って、これでもう1個上がったなっていう気持ちはあったんですけど。
(ジェーン・スー)あの、男の人は多分『やれる・やれない』みたいな。童貞をいつ喪失するかとかあると思うんですけど、女もたぶん一緒で、『性的対象に見られるか・見られないか』っていうところがすごく大っきくて。『自分が性的対象にどうやらならないらしい』みたいなこととかって、アウトカーストの人たちだったりとか感じるわけじゃないですか。あれ・・・そこから出られないまま大人になっている人とかって、いっぱいいますからね。
(高野政所)ほー・・・
(ジェーン・スー)だからあの、東電OLの話とか聞いて、『ひっ!』ってなるの。たぶんいろんな女の人が『ひっ!』って一瞬はなる、あの感じとかってやっぱり、『性的に自分に値段がいくらつくのか?』みたいなことっていうのは・・・自分の価値とかとイコールとは言わないですけど、イコールな時期もありますからね。やっぱりね。
(浮き輪)だから、そういう人のこじらせ方の一形態として、『ブラパン』問題みたいなのとかがあるわけです。『ブラパン』っていうのは、黒人男性とかだと日本人の女性ってやたらチヤホヤされることがあって、そういう人専門に行く、結構顔面が不自由な方がいらっしゃるんですよ。で、そういう人が他の日本人とかをバカにする問題みたいなのが。よく宇多丸さんとかね、話題にしてますけど。そういうこじらせ形態もあるじゃないですか。
(ジェーン・スー)良かったですね。高校3年のときにその・・・
(しまおまほ)そう、だからね、それまで下駄履いていたけど・・・
(浮き輪)あの、高校で下駄を履いていた。
(高野政所)下駄通学。
(ジェーン・スー)えっ!?比喩じゃないんですか?
(しまおまほ)あの、そうなんです。でもバカボンのパパが履いているような下駄じゃなくて、もうちょっと女の子が履く下駄ですけど。下駄は下駄です。下駄は履かなくなりましたね。それ以来。
(高野政所)あー。下駄を脱がせてくれた男性(笑)。
(しまおまほ)真帆の下駄を脱がしてくれた。
(ジェーン・スー)何か、本当にそうか分からないですけど、聞いてると下駄を履いていくことによって、女としての性的価値っていうところに対して値段をつけるな!っていう・・・
(高野政所)そうですよね。拒絶になりますよね。
(浮き輪)お断り!っていう。アタシに値踏みは不要っていう。
(しまおまほ)あとね、一休さんのTシャツ着てたんですよ。
(高野政所・浮き輪)(爆笑)
(ジェーン・スー)完全にそれ、『値段をつけるな!』っていうことですよね。
(しまおまほ)そうそうそう。
(高野政所)触れてくれるなっていうね(笑)。
(しまおまほ)もうこっち行くよって。私は。あたしゃ、こっち行くよ!って。そっちが来ないんだったら、こっち行くよ!って。
(ジェーン・スー)それがね、お値段つけて頂けるんだったら、ちょっとあっちの世界にも入ろうかなっていうの、ありますよね。
(しまおまほ)しおらしくなったかもしれないですね。
(ジェーン・スー)あるある。女子大だったんで。私は。
(高野政所)女子高・女子大なんですね。
(ジェーン・スー)違う学校なんですけど。ストレートじゃないんですけど。いわゆるキャバクラとかでバイトしてる子がどんどん増えていくんですよね。地方から出てきて、すっごいイモイモっぽかった子たちが、夏ぐらいからバンバン遊び始めて、遊ぶに金が足りないからキャバクラ行って、どんどんキレイになってみたいな。で、大学の時はそんなにいわゆる・・・派手な子たちと仲はいいけど、そのグループじゃないみたいなところにいたんですけど。あの、キャバクラで自分たちがバイトできないのが分かっているのが3-4人いて。だから何とも言えない気持ちになりますよね。そこでバイトしたくても、たぶん採用されないというのが、みんな何となくこう、分かっているっていう。
(高野政所)へー。
(ジェーン・スー)だから女子大に行くと、女子高もそうですけど、外に出た時に女としてどのぐらいの価値がつけられるかのの楽屋裏みたいなもんですから、そこって。目の前で戦争が起こっている共学とは違って。
(浮き輪)毎日が戦争ですからね。
(ジェーン・スー)共学は毎日が戦争だと思うんですけど、こちらは兵舎といいますか。
(高野政所)そうですよね。作戦たてたりとか。司令部みたいなところで。
(しまおまほ)(笑)
(ジェーン・スー)で、いつもベンチウォーマーみたいな。
(高野政所)あー、戦場(いくさば)に出る機会のないっていうね。
(ジェーン・スー)あの、戦耳年増(いくさみみどしま)みたいな。
(高野政所)(笑)いろんな戦法だけ知ってる。アドバイスとかしちゃう感じなんですか?
(ジェーン・スー)もうもうもう・・・(戦に)出たことないのに、脳内ではすごいしてますから。結構そういうのはやっぱり、ありますね。
(高野政所)だからその派手な女子グループの子たちに、逆にアドバイスしちゃったりとかもしてたんですか?
(ジェーン・スー)そうですね。なんか偉そうなことを言ってみたりとか。
(高野政所)実戦を戦わない軍師みたいな、そういう・・・(笑)
(ジェーン・スー)兵士としてはダメだったけど、監督としては結構・・・っていう。あるじゃないですか、プロ野球とかでも。
(一同)(爆笑)
(浮き輪)プレイヤー経験ないまま監督になるパターンね。
(しまおまほ)なるほどねー。
(ジェーン・スー)毎日が戦争の共学に比べたら全然。ただやっぱり何がいいって、毎日が戦争の共学は、助けてくれる人が出てくる場合もあるわけじゃないですか。
(高野政所)まあ、そうですよね。下駄を脱がす・・・
(浮き輪)値踏みされないと思っていた側から、値をつけていただけるようなパターンがある。
(しまおまほ)やっぱり見ているのはほんの一面だったんですよね。なんかこう、やっぱり色眼鏡というか、前列しか見えないから。しかもその高校で。
(浮き輪)あの、自分がってことですよね?
(しまおまほ)自分がね。そう、だから本当はこっち側から見てる人がいたんだっていうのが、何かすごいほっとしたっていうか。
(ジェーン・スー)いい話。
(高野政所)すげーいい話ですよ。
(浮き輪)いや、超いい話ですよ、これ!
(ジェーン・スー)みんなもラブレター送ろう!
(浮き輪)思いを伝えよう!
(高野政所)誰かの心の下駄を脱がすことになるかもしれないんだよ。これが。
(ジェーン・スー)みんなで下駄を脱がそうよ。
(しまおまほ)心っていうか、本当に履いてたからね。
(高野政所)(笑)だから、みんなは履いてないからね!
(浮き輪)みんな、下駄を履こう!
(高野政所)違げーよ!っていう。下駄を履くところから始めようっていう。
(ジェーン・スー)下駄的な何かを・・・
(しまおまほ)いやー、そうですね。
<書き起こしおわり>
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