菊地成孔さんと近田春夫さんが2026年10月30日放送のInterFM『TOKYO CULTURE BUZZ』の中で藤井風さんのピアノのやばさについて話していました。
(近田春夫)じゃあ、そういう意味でいうとそこまで変人ではないかもしれないね。割といるじゃない、そういうタイプって。
(菊地成孔)ああ、モーガン・フィッシャーはね。モーガン・フィッシャーはむしろロックンロールをやってた頃がバイトだったんじゃないですかね?(笑)。
(近田春夫)なんかだんだんそういう気がしてきたよね。ロックンロールピアノなんて誰でもできるから。
(菊地成孔)いや、「誰でも」はできないですよ(笑)。
(近田春夫)俺もやってたからさ、わかるのよ。でも、なんかすっかり本当にロックンロールが好きな、そういうさ、なんかジェリー・リー・ルイスとかさ、リトル・リチャードみたいなところを研究して弾いてた人なのかと思ったら、違ったんだね。じゃあね。
(菊地成孔)そうですね。音楽家として真っ当っていうよりは……。
(近田春夫)どっちかっていうとミュージシャンっぽい……普通の意味で音楽家の人だったのかもしれないですね。
(菊地成孔)そうですね。ロックンローラーではないですね。
(近田春夫)ないんだね。でもなんかモット・ザ・フープルっていうと、なんとなくその……昔のフィルムを見るとグラムロックっぽいさ、そういう意味での正統派だと思っていたから。ああ、そうか。モーガン・フィッシャーについてはずっと気になっていたことが今日、謎が解けました。ありがとうございます。
(菊地成孔)いえいえ、とんでもないです(笑)。
(近田春夫)いや、気になってたの。俺もキーボードだからさ。
(菊地成孔)ああ、そうですね。俺、これが一番たぶん界隈にいないところだと思うんですけど。ロックピアノとかロックキーボードのことを体系的に知りたいとか、研究してる人ってたぶん近田さんしかいないと思うんですよね。
(近田春夫)そうかな?
(菊地成孔)あんまりいなくないですか?
(近田春夫)もしかしたら、そうかもしれない。
(菊地成孔)あの、リトル・リチャードがピアノ弾けましたっていう、それはまあみんな知ってるわけじゃないですか。ギターじゃなくて彼はピアノでね、『のっぽのサリー』をやったんだっていうようなでっけえ話はみんな、知ってますけど。もっと細かい、いろんなバンド……僕はほら、サックスなんで。逆にロキシー・ミュージックのアンディ・マッケイとか、要するに必ず80年代で間奏を吹いてたやつ、いるじゃないですか。
(近田春夫)ああ、間奏を吹いてたやつね(笑)。
(菊地成孔)あとシャーデーのところのサックスとか。ああいう奴らの持ってる機材とかの研究をしてるんですよ。
(近田春夫)変わってるよね(笑)。
(菊地成孔)そんなもん、好きなやついないんですよ。
(近田春夫)いや、お前しかいないよ(笑)。
(菊地成孔)いないでしょう? だから僕ね、サックスはたしかにニッチだと思うんですけど。ロックンロールのピアノって……ブギとかブルースって、やっぱりピアノが重要じゃないですか。ギターかピアノかっていう。で、みんなギタリストにはめちゃくちゃ詳しくないですか?
(近田春夫)詳しいですよね。
(菊地成孔)全員、ギターの話をしますよね。だけどロックンロールピアノに関してずっとファッツ・ドミノあたりからグーッと研究してて。:普通にグラムロックのね、バンドのピアニストの話とかも含めて、なんか研究家って感じじゃなくて普通にファンって感じでパッて近田さんが毎回、収録の度に誰かの話をするじゃないですか。あの時、輝いてますよね。話題が(笑)。
(近田春夫)やっぱりね、子供の頃からさ、特にそういうロックみたいな音楽……ポップスもそうなんだけど。ピアノってさ、前面に出てこなくて埋れてるところがあるじゃない? そうするとね、「これ、どうやって弾いてるんだろう?」ってさ。なんとなく知りたいじゃないですか。それで一生懸命、ラジオから流れてくる曲とかのピアノを聞いて。特に「左手はどうやって弾いてんだろう?」みたいなこととか。
(菊地成孔)いやー、そこですよね。
子供の頃からピアノの左手が気になっていた
(近田春夫)でね、その「左手はどうやって弾いてんだろう?」っていうのが唯一っていうか、唯二つ、分かったのがだからジェリー・リー・ルイスとリトル・リチャードが昔、残っているフィルムなんだけど。あんまり手って映さないんだよね。で、特に左手とか、まだこっちはね、キャンキャンキャンってわかるんだけど。左手に関してはブギウギのリズムをこうやってドドドドドドッてやっているのか、ドンドンドンドンドンドンッてやっているのかっていうのは見える時と見えない時があるんですよ。だから、そんなことを子供の頃からずっと気になっていて。しかもその……。
(菊地成孔)要するにベースとコンフリクトするからね。
(近田春夫)そうなんですよ!
(菊地成孔)ベースとコンフリクトするかどうかの話でしょう?
(近田春夫)そうなんですよ。いまだにある意味で、そのことをずっと昔から「どうなっていたんだろう?」って知りたい私にとっては、最近このYouTube文化っていうのはありがたいですよね。
(菊地成孔)ありがたいですよね。手元、すごく映るじゃないですか。
(近田春夫)そうなんだよ!
(菊地成孔)X JAPANの方とかの手元。アンジェラ・アキさんとかね。その手元まで、完全に映るからね。
(近田春夫)映りますよね。
(菊地成孔)だから左手、何をやってるかって。
(近田春夫)最近になっていろいろさ、やっと左手がわかるっていう時代は嬉しいですよ。
(菊地成孔)いや、やばいですよね。「藤井風の左手、かなりやばいな」とか。
(近田春夫)あの人ってさ、達者ですよね。
(菊地成孔)いや、めちゃくちゃすごいですよ。藤井風の左手はもう右っていうか、真ん中……下手したら右手の領域は平然と行ってますけど。メロディーギリまで行く時、あるからね。とけちゃって、こうやって。あれ、すごいよ。あの人。
(近田春夫)そうそう。だからその、バッハのインヴェンションでいうと、四声ぐらいのことをいつもやってるようなところはあって。しかもあの人さ、鍵盤を見ないよね。
(菊地成孔)見ない。全く見ないですよね。
(近田春夫)まあ大体、みんな鍵盤は見ないけどさ。いや、だからそういうことも最近わかるからね。「ああ、やっぱり最近の人はすごいな」ってなんかね、落ち込んだりもしておりますけれども。
ずっとピアノの特に左手でどんな風に演奏しているかが気になっていたという近田春夫さん。その近田さんをして「やばい」と言わせる藤井風さん、すげえ!
