山下達郎さんが2026年11月1日放送のTOKYO FM『山下達郎のサンデー・ソングブック』でスイートソウル楽曲で棚からひとつかみ。お気に入りのスイートソウルを紹介していました。
(山下達郎)山下達郎がお送りいたしておりますサンデー・ソングブック。ということで11月に入りまして季節柄、今日はスイートソウルで棚からひとつかみ。スイートソウルって何か? その名の通り、スイートなソウルミュージックです。クワイエット・ストームとかソフトソウルとか甘茶とか、いろんな言い方しますが。要するにバラードの、主に裏声が響く……日本で一番有名ですと、あのスタイリスティックスになります。今日はスタイリスティックスはかかりません。サンデー・ソングブックなので。Shazamで引っかかんないやつもあるかもしれません。
で、スイートソウルといえばニュージャージーの3人組、モーメンツの1975年の全米ソウルチャートナンバーワン『Look at Me』。もう何百回、聞いたかわからない。私の大好きなモーメンツ。でもリードボーカルのハリー・レイも亡くなってしまいました。偲びつつ、今日はモーメンツで始めてみました。
The Moments『Look at Me (I’m in Love)』
(山下達郎)ちょうどシュガー・ベイブをやってる時代であります。そこからソロになった頃にそうしたスイートソウル物というのがですね、ディスコのまあ反動みたいな感じですけれども。割とたくさんヒットが出ました。有名無名、たくさんありますが。その頃からレコードをですね、一生懸命シングル盤を買い集めまして。ふとして中古屋で買ったレコードがものすごく良くてですね。ファーストクラスという、これはボルティモア出身のグループですけれども。やはりニュージャージーの大プロデューサー、ジョージ・カーのプロデュースでたくさんいい曲を出しました。中でも白眉のやつはこの1曲。1977年の1曲ですが。
ジョージ・カーというプロデューサーはSE(サウンドエフェクト)が大好きでですね。これは電話のSEがすごく秀逸で。これ、シングルバージョンでしか聴けないバージョンであります。アルバムバージョンはちょっと中途半端なエディットでですね。こちらの方が圧倒的に優れております。ファーストクラス、1977年の『Coming Back To You』。
First Class『Coming Back To You』
(山下達郎)ファーストクラス、1977年の『Coming Back To You』でございました。こうしたいわゆるソフト・サウンディング・ソウルというのは本当に70年代の中期にですね、たくさん出まして。ラジオでも……ラジオっつってもFENですけど。いわゆる米軍放送ですけど。それでたくさんかかりました。そういう中からなんか一生懸命、でも昔は思うようにシングルとか手に入りませんのでですね、セコハン屋で見つけたり。いろんなことをして苦労しましたが。
お次のグループはワシントンDC出身の4人組、ザ・チョイス・フォー。アルバムが全然日本じゃ出ませんでですね、後からみんな手に入れたやつですが。プロデュースがヴァン・マッコイ。ヴァン・マッコイが『The Hustle』で大ヒットを飛ばした1975年の作品ですので、脂が乗り切っております。ヴァン・マッコイは本当に若死にしてしまいまして。もっと生きていれば本当にたくさん作品を出せたんでしょうけども。
で、ヴァン・マッコイが使ってたのがスタッフというですね、スティーヴ・ガッド、ゴードン・エドワーズ、コーネル・デュプリ、エリック・ゲイル、リチャード・ティーというですね、このリズムセクションでいろんなヒット曲を出しました。そうした周辺、この作品はたぶんクリス・パーカーがドラムを叩いてるというデータですけれども。いずれにしましてもザ・チョイス・フォー、1975年のアルバムからヴァン・マッコイの作詞・作曲『Angel Don’t Fly Away』。
The Choice Four『Angel Don’t Fly Away』
(山下達郎)ザ・チョイス・フォー、1975年『Angel Don’t Fly Away』。ヴァン・マッコイ、作詞、作曲、編曲もやる多才な人でありますが。もうなんか一気呵成に3曲、やってしまいましてもうCM前になってしまいました。いつまでもやっていたい。こうしたいわゆるスイートソウル物っていうのは昔、サウンドストリートというNHKの番組で何回か特集をしました。それで人生を誤ってしまった方がたくさんいらっしゃいます。今でもリクエストをいただきますが。それでまあ、こうした棚からひとつかみをやる場合、選ぶ曲はですね、あんまり変わりません。本当にベスト・オブ・ザ・ベストってそんなに変わらないので。それでオールディーズなので今更、新しいものが出てくるわけでもないので。
お知らせの前にもう1曲。これもその当時、よくかけました。ロバート・ウィンターズというこの人、ピアニストでありますけれども。ロバート・ウィンターズ&フォールというグループ名で1980年、全米ソウルチャート11位。いきなりこの曲がヒットしまして。私、それをラジオで聞いていて「ああ、いい曲だな」って一生懸命、アルバムを買いました。その後、自分の番組で一生懸命、かけました。レコード屋さんのカタログには「山下達郎もかけている」って、そういうのがいまだに書かれておりますが、曲の良さには変わりません。久しぶりにかけます。ロバート・ウィンターズ&フォール、1980年の『Magic Man』。
Robert Winters & Fall『Magic Man』
(山下達郎)ロバート・ウィンターズ&フォール、1980年の『Magic Man』。このロバートウィンターズという人は小児麻痺で足が不自由なんですけど。ピアニストとしては随分、活躍した人だそうです。というわけで『山下達郎のサンデー・ソングブック』、本日はスイートソウルで棚からひとつかみでお届けしております。お知らせです。
(中略)
(山下達郎)スイートソウルに戻ります。今度はザ・ソフトーンズ。ソフトーンズは日本でも随分、有名です。マーヴィン・ブラウンっていうね、リードボーカルの人。素晴らしいファルセットですが、もう亡くなってしまいました。ソフトーンズ、ボルティモア出身の4人組。1973年のソフトーンズのファーストアルバムから『Extra-Ordinary People』。
The Softones『Extra-Ordinary People』
(山下達郎)ザ・ソフトーンズ、1973年の『Extra-Ordinary People』でございました。正直なことを申しますとこれ、73年ですから私、20歳の時なんですけども。この頃はこうしたいわゆるそのソフトーンズぐらいに甘くなるとですね、なんか甘いなって。若さゆえですけどもなんか甘すぎてなんか、あれだなって。あんまり好きじゃなかったんです。実は。スタイリスティックスなんかでもですね、なんか甘すぎるな。もっとなんかこう……とか、今日初めにお聴きをいただいたファーストクラスとかモーメンツとか。あのぐらいになるとちょっと泥臭い感じが出るので。そういうのだったんですけども。
でもなんか40、50と年を重ねるにつれて、「いやー、このマーヴィン・ブラウンっていい声してるな」って。年を取ってきてわかるという、そんな感じであります。で、こうしたスイートソウル。だいたい今までお聴きをいただいた方々はアップとバラードを比べると、どっちかというとバラードの方が得意というあれなんですけども。アイズレー・ブラザーズ。私の最も好きなグループの一つです。これはもうアップだろうが、バラードだろうが、何でもいけちゃう。すごい! 1981年のアイズレー・ブラザーズ、全米ソウルチャート57位。『I Once Had Your Love』。
The Isley Brothers『I Once Had Your Love (And I Can’t Let Go)』
(山下達郎)アイズレー・ブラザーズ、1981年のアルバム『Grand Slam』。アイズレー・ブラザーズの最高傑作の1枚ですが、ここからのシングルカット『I Once Had Your Love (And I Can’t Let Go)』。というわけで、スイートソウルで棚からひとつかみ。調子に乗って来週もやります。もう毎週でもできます。はい。来週はもうちょっともっとマニアックになるかもしれません。頑張っていきます。
山下さんによるスイートソウル棚からひとつかみ、最高でしたね! 来週の続編も楽しみです!