鳥トマトと吉田豪 くら寿司ちいかわコラボ騒動が起きる構造を語る

鳥トマトと吉田豪 くら寿司ちいかわコラボ騒動が起きる構造を語る SHOWROOM

鳥トマトさんが2026年9月8日放送の猫舌SHOWROOM『豪の部屋』に出演。かつて出版社のライツ関係の仕事をしていた鳥トマトさんがくら寿司ちいかわコラボ騒動が起きてしまう構造について話していました。

(吉田豪)普通に仕事して帰ってからそういう作業をやってってやっていると、睡眠時間を削ってやるしかないから……。

(鳥トマト)そうですね。もうなんか本当にその時は……でも元々、子供がいるんですけど。子供が睡眠時間が大変短くてですね。

(吉田豪)そうか。それプラス子育てというハードな……。

(鳥トマト)そう。でも子供も特に何するでもなく起きてるだけなんですよ。だからその子供になんか本とか読んでも自分の興味のあるものしか興味がない感じの人間なので。なんか「えっ、こいつ、めっちゃサメの本読んでる。やることない。でも寝ない。漫画描くか……」みたいな感じで。なんかその時間を充ていてた感じはちょっとありますね。

(吉田豪)なるほど。だから大変な活動を……。しかもだからライツ関係の仕事とかをしてたわけじゃないですか。

(鳥トマト)そうですね。

(吉田豪)そのへんは今回の小説(『漫画でイけ』)でもだいぶリアルに描かれてますけど。

(鳥トマト)みんな「出版社勤務」っていうとほとんどの人は編集者の仕事を思い浮かべられると思うんですけど。実は本当に編集の仕事をやってる人って大手出版社だとごくごく一部で。ほとんどの人は編集じゃない仕事を実はしてるんですよ。で、特に今はアニメ化とかで金を稼ぐという……。

(吉田豪)そういうビジネスモデルがね。

(鳥トマト)そう。それが定着してしまっているのでライツは本当に各社、屋台骨のようになっており。

(吉田豪)しかもそれを各国で対応しなきゃいけないみたいな。

(鳥トマト)そうそうそうそうそう。なんかいろいろね、海外担当とかもいて。マーチャンダイズっていって、要はお人形を作ったりとかする係とか配信っていって、その配信をする係とか。日本にもTVerとかHuluとか、あるじゃないですか。あれがフィリピンとかタイとか……その国の数ごとにあるんですよ。そういうのを全部、対応したりっていう係の人が存在していて。そういう仕事をしてる人がいるんですよね。そういう人たちでした(笑)。

いや、でも本当にだから……なんかね、会社って何でも花形と花形じゃない仕事ってあるじゃないですか。自分は本当、アジア担当だったんですけど。やっぱりアジアってね、なんでかわからないけど常にちょっといつもナメられているんですよね。なのでなんか「私、フランス行ってきたの」とか「アメリカに行ってきたの」みたいな人は花形なんだけど。「なんかこの間、ソウルに行ってきたんだよね」「深圳って思ってるより都会なんだよ」とか言っても意外となんかみんな「へー。アジアかー」みたいな。リアクションが薄い、みたいな感じでしたね。それはちょっと悲しかったです。

(吉田豪)今回の小説でも書かれてましたけど。自分で漫画を描きながらそういう巨大ビジネスとしての漫画を扱うのって、どういう心境なんだろうと思うんですよ。

(鳥トマト)いや、これは本当に発狂が近くて……(笑)。本当に、ごめんなさい。これ、言っていいのかな?

(吉田豪)大丈夫です。問題ないです。

(鳥トマト)これはでもね、自分だけじゃなくて結構、多いんですよ。自分でたとえば休みの日に絵を描きながら、業務委託で漫画家を目指してるとか。絵を描きながらコミティアとか出ながら平日はこっちの仕事してるっていう人は結構いらっしゃって。

(吉田豪)漫画に近い仕事をしたいと思って。

(鳥トマト)そうそうそうそう。なんだけど、やっぱりね、別物なんですよね。やっぱりなんか、なんだ? 全世界累計何千万部とか何億部みたいな本って、たとえばですけどなんか祭りとかがあるんですけど。その自治体とかとも絡んでいて、もうインフラみたいになってるんですよね。もう失敗とか許されない。だってインフラだから。自治体の予算とかもちょっと入っていたりとかするから絶対に失敗は許されないし。例年の先輩が積んできた契約があって。「それに今年はこういう事情があるからこういう風になって……」みたいなのでもう本当にたくさんの人と調整して、調整して。で、なんかこの間ね、ちいかわがくら寿司で爆発してましたけど。ああいったことが起こらないように……。

(吉田豪)事故が起きないように(笑)。

(鳥トマト)そう。事故が起きないように。あんなこと起きたら本当にもう目も当てられないじゃないですか。あれが起きないように頑張る。

(吉田豪)担当が悪いわけじゃないんだけど……。

(鳥トマト)でも人間って物を取るんですよ。

(吉田豪)フハハハハハハハハッ!

(鳥トマト)わかりますか? 人間は物を取るんです。

(吉田豪)そうですね。わかりやすい窃盗じゃないみたいな麻痺のされ方、しますよね。ああいうのって。

人間は物を取る

(鳥トマト)そうそうそうそう。だからたとえばだけど、これは普通に誰でもやっていることなんで説明すると、たとえばあの証紙があるじゃないですか。ディズニーのグッズの裏とかに貼ってあるキラキラしたホログラムのシール。あれを配布したりとか。でも、たとえばあれってなんで配布するかっていうと枚数で……配布した枚数よりも多くさばけないじゃないですか。工場とかでたとえば100個作るって言ったら120個ぐらい作れるわけですよ。実際は。で、その余った20個をメルカリに出したりしないように。「証紙がついてないやつは正規ライセンス品じゃないですよ」ってやるために証書を売ってるんですけど。その証紙もペラペラの紙の証紙とかだと偽造したりするやつがいるんですよ。たまに。人間って悪だから。

(吉田豪)恐っ!

(鳥トマト)だからそれをやらないように「じゃあホログラム証紙にする?」「でもホログラム証紙一万枚刷ったら超高いよ?」みたいなことをなんかちまちまちまちまやったりとか。そういったことをやったり。それを日本だけじゃなくて東南アジアとか……なんて言えばいいんだろう? いろんな国、アメリカとかでやったりとかしてっていう仕事をしてましたね。

(吉田豪)出版界もだってね、大手は別として小さな出版社とかは増刷を黙ってやるとか聞くんですよ。

(鳥トマト)ああ、そうなの。それ、グッズとかも本当にあって。でも、何て言えばいいのかな? やっぱりなんかね、誰か犯人みたいなやつを特定することって本当に困難で。そういうことが起きる時って複数人がもう結託していたりするんですよね。だから、なんて言えばいいのかな? そういうことが起きる前に防がないと負けなんですよね。もう、なんかその空気がある時点で負けなんですよ。だからそういう空気が発生しないようにたまに意味なく視察みたいに抜き打ちとかで行ったりとかして。「あれ? なんかロゴも入ってない似たようなグッズがあるけど、これはなんだろうー?」みたいな。ニコニコしながら聞いたりとか、そういった仕事を……ちょっと嫌ですよね(笑)。そういう嫌な仕事をしているんだけど。それはでもやっぱりその大きなIP(Intellectual Property)。要するに知的財産、キャラクターのロゴには価値があるからそういうことがあるわけですよ。

(吉田豪)そうですね。

(鳥トマト)これが、たとえばぶっちゃけその鳥トマトのシールとかで作ってもそんなの誰もいらないから増産しないし(笑)。

(吉田豪)わざわざ偽造しないし。

(鳥トマト)そう。わざわざ偽造しないし。っていうのを見ると「あれ? なんでこの有名漫画のロゴにはなんであんなに価値があって、僕の漫画はゴミなんだろう?」みたいな。それは思いますよね(笑)。

(吉田豪)ふと。同じ漫画のはずなのに。

(鳥トマト)そうそう。で、なんかたまにこうド詰めすると取引先の方とかがもう、くら寿司状態になって。どうしようもなくなって涙しちゃう人とかもいるんですよ。こんな1個のロゴのために泣いてる取引先様がいて。僕は家で自分で漫画描けなくて。なんかこのクソみたいな絵をうまく描けないとかで泣いてる。「これ何? 何の時間?」みたいな。「お互いに全て何の時間ですか?」みたいな状態になってはいましたね。

(吉田豪)それは混乱しますね。

(鳥トマト)かなり混乱すると思う。だからたぶんみんな、その混乱の中にあって結構ね、みんなその整合性を取るために……たとえば「有名な先生は神だから私とは違うんだ」みたいな崇め方をする人がいたりとか。あるいはもうなんか、「私、もう6時なんで帰ります」みたいな。仕事とプライベートをバツッてするタイプの人もいるし。みんなそれぞれね、様々な方法でなんか現実との折り合いをつけてらっしゃいますね。今、思うと。

「人間は物を取る」ってものすごく当たり前のことですけど、本当にその通りですよね。その前提に立って諸々の仕組みづくりをしないと今回のちいかわコラボ騒動のようなことが起きるんだと再認識できました。

猫舌SHOWROOM『豪の部屋』ゲスト:鳥トマト

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