大島育宙さんが2026年8月17日放送のTBSラジオ『アフター6ジャンクション2』の中で「普通じゃない宇多丸の映画批評3選」と題し、これまでの宇多丸さんの映画評の中から印象深かったものを3つ、選んで紹介。宇多丸さんの酷評代表作とも言われる品川ヒロシ『ドロップ』評に対し、「実は酷評ではない」という視点で話していました。
(大島育宙)そして第2位。「実は酷評じゃない型」というのがありまして。これ、品川ヒロシ監督の『ドロップ』でございます。2009年3月28日オンエアーなんですけれども。これ僕、品川さんは芸人としてももちろん、いろんな毀誉褒貶、功罪ある方ではあると思うんですけれども。基本的にはやっぱり好きな方で。で、あの人がいろんなことをやってるから「いろんなことをやっていいんだ」っていう風になって僕はすごく人生を支えられている人でもあるんですよ。
(宇多丸)ああ、たしかに。
(大島育宙)なんだけど、世の中的には『ドロップ』って「宇多丸の酷評代表作」みたいな風に言われているんです。
(宇多丸)いや、そんなことは……。
(大島育宙)僕らの世代では特に「あの酷評が好き」っていう人もすごく多いんですが。もちろん作品評から人物評に移っていくところ……。
(宇多丸)あれは良くない! あれは良くない、本当に。
(大島育宙)あれもね、僕はその自分に「器用に生きるのはいいことだ」みたいな気持ちがあったことに対して、自分もそれを言われているような気持ちにもなり。
(宇多丸)まあ『ドロップ』は話上、そういうところがあるからね。たしかにたしかに。
(大島育宙)そうですよね。その作品の描写としてこうだっていうこともあったんですけど。その前段がすごく面白くてですね。イケメン俳優を自分役に配しているというところとかから……。
(宇多丸)成宮くんがやっているもんね。
(大島育宙)それを「これ、どういうことなんだ? まあ、それはいいとして……映画館に行ってあれほどいわゆる普通の人たちばっかりの映画館って久しぶりに見ました。つまり『普通』ってどういうことかというと、テレビに出てくるお笑いとかイケメンを好む人たちということですよね」っていう、その普段、映画館に来ないような人たちを描写するっていうことをしていて。「ポップコーンの容器を逆さにして」っていう。
(宇多丸)ああ、はい。鼓のようにポンポンとやって。
(大島育宙)「上映中に逆さにして鼓のようにポンポンとやって最後まで食べきろうとした」っていうそのマナー違反を指摘していて。これがある種、作品評でもありながらマーケティング批評でもあるというところ。で、あとその作り手だけの問題ではなくて観客側にも責任がある種、あるのではないか?っていう実はその一番広い評を『ドロップ』の時にしていて。これ、実は品川さんの人格否定とか個人批判に僕はなっていないと思ったんですよ。ものすごく広い世界と対峙して、世界そのものを批評しているっていう。
(宇多丸)それは褒めすぎじゃないですか?
(大島育宙)だから僕はその、なんて言うのかな? 品川さん自身にすごく愛着はあるものの、すごく嫌な気持ちっていうのは僕、正直なところ全然してないんですよ。っていうので実は愛がある……ものすごく愛がある評じゃないかなっていう。
実は愛がある映画評
(宇多丸)僕は「あの向こうからやってきてガラスをバン!って割って入ってくるあのショットが良かった」とか、そういうところかと思ってたんですよ。ちゃんと褒めてるんですよ、僕は!
(大島育宙)そう。「細部でも品川さんの才能がすごくある部分っていうのはあって」って。
(宇多丸)『漫才ギャング』だって本当に「キャスティングがいい」とか、いろんな話はしてますから。
(大島育宙)あと「今後が怖いです」っていう話とかもしてたりとかするんで。実はその品川さんについてあの時期、一番考えてたのは宇多丸さんなんじゃないか?っていう。
(宇多丸)本当ですよ! ただ、今なら言わないようなこともいっぱい言ってると思います。うん。
(大島育宙)そのモラルの基準がね、その時々によって違うとは思うんですけど。
(宇多丸)怖っ!


かなり昔なんで『ドロップ』評がどんな風だったかだいぶ忘れていますが「映画館でポップコーンの容器を逆さにし、鼓のようにポンポンやっていた観客」という描写はめちゃ面白いですね! 「そういえばそんなの、あったなー」と懐かしくなりました(笑)。
