大島育宙さんが2026年8月17日放送のTBSラジオ『アフター6ジャンクション2』の中で「普通じゃない宇多丸の映画批評3選」と題し、これまでの宇多丸さんの映画評の中から
印象深かったものを3つ、選んで紹介。『黒牢城』評で宇多丸さんがリスナーにサラッと課した「無茶ぶり」について話していました。
(宇多丸)で、今日は他の番組でもね、この本の話をされてるから。なんか差別化したような企画、ないのかね?ってディレクターの柴田くんと話していたら出てきた企画がこれということで。すいません。なんか私の映画評の普通じゃない3選ってこと選んでいただいて。私、でも基本的には普通のことを言うように心がけてるんですよ。奇をてらったこととか言わないようにしてるんですよ。
(大島育宙)ですかね。これもやっぱり非常に僕の本にも通ずるところでなんですけれども。主論というか、主なメインの論は「なぜこの作品が素晴らしいのか」っていう話ってやっぱりみんなに伝わるようにしゃべらなきゃいけないので、総合的な論立てになる、立論になると思うんで。それは普通のことですよ。みんなに届けようとしてるんだから。だけど、細部に漏れ出るところにその人が浮かび上がってくる。
(宇多丸)フハハハハハハハハッ! やだなー(笑)。ああ、そうですか。そういう話なんだ。怖っ!
(大島育宙)そうだと思うんですよ。だからその「『インビクタス/負けざる者たち』の評が良かった」とか、今日はそういう話をする日ではなくて。「ここに漏れ出ているのがすごいぞ!」っていう話を……。
(山本匠晃)「ここの味がする」みたいな。
(大島育宙)そうなんですよ。だからタカキさんの食事シーンに対するこだわりみたいな。ああいうことを僕はすごいしたいなという風に思っていて。この本の中で言うところの僕が「月9に妖怪が出てきたぞ」っていうことを言っていて。あれ、わけがわかんないと思うんですけど。しつこく言われたら「まあ、そうなんじゃない?」ってなるっていう。そういうもの……あなたの中にある普通じゃない独自の感想があるはずなのに「自分の感想は普通だ」って押し込めてるのではないか?っていう話をしたいという。
(宇多丸)ああ、ありがとうございます。じゃあちょっと恥ずかしながらと言いましょうか。選んできていただいてるんですものね。これね、見てください。私の台本だけこういうね……(文字が伏せられている)。
(大島育宙)徹底してるなー(笑)。
(宇多丸)そうなんですよ。だからちょっともう、ここからお任せするしかないんですよ。
(山本匠晃)じゃあ本日、こちらの企画お送りします。XXCLUB大島が選ぶ普通じゃない宇多丸の映画批評3選! 選ぶの大変でした?
(大島育宙)めちゃくちゃ大変でしたね(笑)。
(山本匠晃)大量にありますもんね。
(宇多丸)まあね、本当ですよね。たしかに。
(大島育宙)何百と聞き直したり、書き起こしを読み直したりして選んできました。もう直前まで、非常に悩みましたけれども。3.5個ぐらいに絞れたかなというところで。まず、じゃあ第3位。こちらですね、「リスナーにサラッと無茶ぶり型」というやつなんですけれども。『黒牢城』。2026年6月25日の回ですね。そしてセットで『ローン・レンジャー』の回。2013年8月10日オンエアなんですけれども。
(宇多丸)だいぶ……全然ね、種類が違うやつですもんね。
(大島育宙)実はこれ、共通点がありまして。リスナーの方も勘のいい方はお分かりかもしれないんですけれども。『黒牢城』の時にですね、宇多丸さんが「荒木村重って面白いなということでにわかファンになりまして。大河ドラマを中心に彼が出てくるものをU-NEXTとかで1週間、見比べておりました。めちゃくちゃ面白かった。それで荒木村重像がこういう風に浮かび上がってくるんです。このやり方、ぜひ皆さんにもおすすめしたいところです」って言ってるんですけど……そんなこと、やらないですよ(笑)。
(山本匠晃)フハハハハハハハハッ!
過去の荒木村重登場作品をひたすら見比べることをおすすめ
(宇多丸)いやいや、これね、違うんですよ。そんなに大変じゃないんですって。一応、説明したい。要は大河で荒木村重が出てくるやつはWikipediaに出てくるから。「これとこれとこれ」って出てくるから。
(大島育宙)まあまあ……でもめちゃくちゃ大変ですよ?
(宇多丸)で、その配役とか見るとこの人がやってるっていうことで。それであらすじを見ると「大体、この辺かな」っていうのがわかる。その歴史の流れ上、この辺に荒木村重が来るなっていうので見ると「おお、来た。村重!」って。だからそんな大変じゃないんですよ。
(大島育宙)バラエティをつけて村重杏奈さんの話をしてるんじゃないんだから(笑)。そんなに簡単に映ってないんですよ。ディグりに行くの、大変ですよ、やっぱり。作業としては。
(宇多丸)そうですかね? 遠藤周作の(荒木村重を描いた)『反逆』も読み終わりました。面白かったです。
(大島育宙)だからそういうのも「追わなきゃな」と思うんですけれども。もちろん、その枝葉として次に見るべき作品みたいなもの、ロードマップが仕上がっていくっていうのもすごく体験として面白いですし。もちろん、時間があればやるべきことなんですけど。皆さんにおすすめするのにはやっぱりハードルが高すぎると思うんですよ。僕は。
(宇多丸)ああ、本当ですか? そうか。
(大島育宙)まあでもやり方を提示して。「サラッと」っていうところが僕はすごい普通じゃないと思ったんですけど。やり方、手法としてはもちろん、真っ当なやり方だと思います。で、『ローン・レンジャー』の時も……。
(宇多丸)『ローン・レンジャー』。全然忘れてますよ。
(大島育宙)その時も似たようなところがありまして。若干、不評気味で。「最後のクライマックスはすごかった」っていう論なんですよね。
(宇多丸)ああ、ええと『ローン・レンジャー』は、だからあれですよね。鉄道アクションの。はいはい。あれはすごかった。
(大島育宙)で、あそこで「ウィリアム・テル序曲」が……今はもうギャグでしか使われないようなベタ曲であるけれども、それが繰り返されることによって感動的になると。
(宇多丸)しつこくあれが流れるんですよ。面白かった。
(大島育宙)で、「アクションが乱れ打ち。アイディアがどんどん詰まっていって。暗闇でメモろうとしたんだけれども、メモが追いつかなかった。これはでも皆さんも心の中でアイディアとアクションの数を数えていくと、最初はバカバカしいけどだんだん感動できます」っていうおすすめの仕方をしてるんですよ。
(宇多丸)フハハハハハハハハッ!
(大島育宙)いや、幽体離脱しすぎでしょ、それは。それ、何回目の鑑賞の話なんですか?っていう(笑)。難しいですよ、それは。
(宇多丸)たしかに。それはね。
(山本匠晃)「普通じゃないな、この人」って(笑)。
(宇多丸)しかも自分も見失ってるのに人にすすめるんじゃねえよ!って話だよね(笑)。うん。たしかにたしかに。
(大島育宙)そう。被害者の会なのに「1回、詐欺にはまってみませんか?」みたいなことを言ってるっていう。
(宇多丸)たしかに。あと映画館だとあんまりやるわけにもいかないから。この間、『パニッシャー:ワン・ラスト・キル』で実際、何人殺してるのかカウントしたんですけど。70人……前後でした。
(大島育宙)やっぱりカウントってね。普通じゃないですよね(笑)。没頭してないですもんね?
(宇多丸)まあまあ、もう5回ぐらい見てるからなんですけどね(笑)。
(大島育宙)そういうですね、リスナーにサラッと大きな作業を振る無茶ぶり型っていうので1個。ご自身が頑張ってるがゆえにというのはつい、聞いてる時に「えっ?」と立ち止まってしまう時があります。
(宇多丸)でもこれは本当に天然なところかもしれないです。全然、さっきの村重のとか「いや、難しくないって」って今でも全然、思いますから。
(大島育宙)リスナーさんで何人の方がこれをやったのか?っていうところで。
(宇多丸)できるっちゅーの。はい。




『黒牢城』映画評で宇多丸さんが過去の荒木村重が登場する作品を見まくったお話をされているのを聞いて「この人、すげえことやっているな」と大島さんと同じようなことを感じていました。こんな風に毎週、真摯に作品に向かい合っている宇多丸さん、マジでリスペクト!